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TWG-DC(障害問題作業部会)

TWG-DC第9回会議(2004年12月1~2日)議事録

(財)日本障害者リハビリテーション協会

項目 内容
発表年月 2005年1月7日
備考 英語版:原文

2005年1月7日

UNITED NATIONS
REGIONAL COORDINATION MECHANISM
THEMATIC WORKING GROUP ON DISABILITY-RELATED CONCERNS

障害問題作業部会(TWG-DC)第9回部会
日時:2004年12月1日-2日
場所:国連会議場 バンコク

  1. 開会
  2. 議題の採択
  3. 2004年6月15日-16日に開催された第8回障害問題作業部会議事録の確認
  4. タスクフォースの活動報告
  5. TWG-DCメンバーによるUNESCAP活動の成果と問題点の評価及びアジア太平洋障害者の10年(2003年-2012年)の中間評価(2007年)に向けたUNESCAPの今後の事業に関する提案
  6. 2004年10月11日-12日にバンコクの国連会議場で、UNESCAPとアジア太平洋障害フォーラム(APDF)により開催された、第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップワークショップの報告
  7. 2005年に開催されるAPDF総会及び第11回障害問題作業部会に関する事項
  8. 2004年12月3日にバンコクの国連会議場で開催される国際障害者の日を祝賀するために計画中の活動に関する報告
  9. 今後の活動報告(ILO、CBM/ICEVI)
  10. その他

I. 開会

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)社会問題部(ESID)のThelma Kay部長が、第9回障害問題作業部会(TWG-DC)の開会を宣言し、開会の辞を述べた。

Thelma Kay氏は、2004年度、UNESCAPは主に次の3つの分野に焦点を絞って活動を行ってきたと述べた。すなわち、(1)アジア太平洋障害者のためのインクルーシブでバリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)の実施をモニタリングすること、(2)障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約の制定に向けたプロセスに地域として貢献すること、そして(3)地域内及び地域間での協力とネットワーク作り、である。

Kay氏は、2004年10月11日-12日に開催された、第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップ地域ワークショップが、新たに設立されたNGOフォーラムであるアジア太平洋障害フォーラム(APDF)との共催により実施されたことを述べ、このワークショップが、国際的なNGO(INGOs)、非政府機関(NGOs)、草の根の当事者団体、政府及びその他の様々な関係者の地域的・準地域的な協力の模範となるよい機会であったと語った。

更にKay氏は、2004年12月25日-29日に開催された、UNESCAPと中国障害者連盟(CDPF)との共催による、障害者の貧困緩和に関する現地調査及び地域ワークショップについても簡単に紹介した。

Kay氏は、我々が現在「障害者の10年」の最初の2年を終え、2007年に予定されている中間評価とBMFの見直しに向けて、独自の戦略を立てる新たな段階に入ろうとしていることを指摘した。そして、引き続き残りの「10年」のために関与を再確認し、TWG-DCの参加者に対する感謝の意を表し、スピーチを終えた。

TWG-DC第9回部会では、APDFを代表するディスアビリティー・オーストラリアのGraham Smith氏が議長に任命された。参加者は約30名で、付録Iとして参加者リストを添付した。

II. 議題の採択

TWG-DCは以下の議題を採択した。

A. タスクフォース会議:

  1. 雇用と貧困緩和
  2. 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)
  3. 情報通信技術(ICT)
  4. 障害をもつ女性
  5. 障害者の当事者団体(SHO)
  6. 紛争終結国
  7. 障害者に関する国際条約案

B. TWG-DC本会議:

  1. 第9回障害問題作業部会(TWG-DC)本会議開会
  2. 議題の採択
  3. 2004年6月15日-16日に開催された第8回障害問題作業部会議事録の確認
  4. タスクフォースの活動報告
  5. TWG-DCメンバーによるUNESCAP活動の成果と問題点の評価及びアジア太平洋障害者の10年(2003年-2012年)の中間評価(2007年)に向けたUNESCAPの今後の事業に関する提案
  6. 2004年10月11日-12日にバンコクの国連会議場でUNESCAPとアジア太平洋障害フォーラム(APDF)により開催された、第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップワークショップの報告
  7. 2005年に開催されるAPDF総会及び第11回障害問題作業部会に関する事項
  8. 2004年12月3日にバンコクの国連会議場で開催される国際障害者の日を祝賀するために計画中の活動に関する報告
  9. 今後の活動報告(ILO、CBM/ICEVI)
  10. その他

III. 第8回障害問題作業部会の議事録の確認

2004年6月15日-16日にバンコクで開催された、第8回障害問題作業部会の議事録が採択された。

IV. タスクフォースの活動報告

議題に記載されている7つのタスクフォースから、簡単な報告があった。タスクフォースの活動に関する全議事録は付録IIに添付した。

a. 雇用と貧困緩和

タスクフォースは、フィジーとスリランカの両国がILO条約第159号を批准する過程に入っていることを報告し、もし両国がこれを批准すれば、UNESCAP地域における46の署名国のうち、11カ国が第159号条約を批准したことになると述べた。これは署名国の約24%にのぼる。

タスクフォースは2005年6月或いは7月に、TWG-DC第10回部会と同時期に2日間のワークショップを開くことを確認した。UNESCAPがワークショップ初日の事務局となり、ILOが二日目の事務局となる予定である。初日のテーマは、「貧困緩和及び地域社会に根ざしたリハビリテーション(CBR)」に焦点が絞られ、二日目は、「多国籍企業及び関係者による、障害者の雇用と訓練に関する円卓会議」が行われることになっている。このワークショップはTWG-DC第10回部会に先立ち開催される。ワークショップと第10回部会の正式な日程はまもなく決定されるが、おそらく2005年6月の最終週か、或いは7月の第一週のどちらかになるであろう。

ワークショップの第一部は、2004年10月25日-29日に開催された、UNESCAPとCDPFの共催による障害者の貧困緩和に関する現地調査及び地域ワークショップの第二段階にあたると考えられる。そのため、2004年10月のワークショップで出された「障害者の貧困緩和に関する共同声明」に基づいて、効果的な貧困緩和戦略にとって公共部門と民間部門及び市民社会の連携が重要な役割を果たすこと、そしてCBRが重要な鍵となることを重要視しつつ、第一部の議題が決定される。

ワークショップの第二部は、「障害者の雇用に関する多国籍企業円卓会議」との仮題がつけられている。そして、自動車産業(本田技研工業)、ホテルサービス業(マリオットホテル)、コンピューター及び情報産業(IBM、マイクロソフト)など、様々な産業部門から多数の多国籍企業が参加することが期待されている。招待される企業の選択基準は、ILOのDebra Perry氏によって作成され、この円卓会議の準備委員会のメンバーにオンラインで送られる。この基準には以下の事柄が含まれる。1)当該企業がアジア太平洋地域で操業しているかどうか(タイのバンコクに地域事務所或いは支社があることが望ましい)。2)当該企業が過去に障害者を雇用した好例があるかどうか。3)当該企業が将来障害者の雇用と訓練を推進する意欲をもっているかどうか。

Bill Brohier氏から、視覚障害者を雇用しているマレーシア航空を招待するよう提案があった。既にこのワークショップの準備委員会が結成され、メンバーはそれぞれの責任において多国籍企業とコンタクトを取りはじめている。

ワークショップに招待される政府は、その国の多国籍企業の利益を考慮して選ばれた。これまでのところ、バングラデシュ、カンボジア、中国(香港を含む)、フィジー、インド、フィリピン及びベトナムが招待されており、今後その他の国が追加される可能性がある。

b. 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)

タスクフォースはまず、UNESCAP事務局に対し、同タスクフォースのために3時間の討議時間を設けてくれたことへの感謝の意を表した。

タスクフォースは、Penny Price氏がリハビリテーション・インターナショナル(RI)教育委員会の委員長に、またNareewan Chintakanond氏がRIアジア太平洋地域委員会委員長に、それぞれ選出されたことを報告した。Chintakanond氏が新しく委員長に就いたことにより、現在タイにRIの地域事務所が置かれている。

ユネスコは2004年10月にインクルーシブ教育をテーマとする2つの会議を開催した。インクルーシブ教育に関する地域ワークショップと、第6回全国EFAコーディネーター会議である。数人のTF EFAメンバーがこれらに参加し、プレゼンテーションを行った。ユネスコとの間に非常に強力かつ緊密な協力体制がしかれたことは、TF EFAにとって最も重要な成果の一つとなった。しかし、2004年10月にバンコクで開催される予定だった、第2回障害者の教育を受ける権利に関するフラッグ・シップ運営委員会:「インクルージョンに向けて」は、資金不足のためにキャンセルされ、その代わりにユネスコ会議に参加するためにバンコクに滞在していた事務局メンバーとの小会議が開かれた。

更に、タスクフォースは、アジア太平洋地域フラッグ・シップ作業委員会(ワーキンググループ)の現況について報告した。その報告によれば、ワーキンググループの委任事項(TOR)は2003年11月にフラッグ・シップ事務局によって承認されたが、ユネスコのバンコク支部が、TOR原文に規定されている事務局としての調整の役割を引き受けることを拒否したとのことであった。現在代わりの調整機構が検討されており、RIアジア太平洋地域委員会、CBM、UNESCAP及びユネスコのバンコク支部など複数の機関が共同で調整に関する責任を負う方法が可能性としてあげられている。

タスクフォースはTWG-DC本会議で、TF EFAとワーキンググループの合併を承認するよう求めることを提案した。UNESCAPは、会議室や、場合によっては休憩場所などの提供を含め、限られた範囲内ではあるが後方支援を行うと述べた。

c. 情報通信技術(ICT)

APCDのLasapan Toomsawasdi氏が、タスクフォース議長のMonthian Buntan氏の代理として報告した。同氏はまず、Buntan議長の活動について報告した。

最近の主な活動の一つは、Microsoft(MS)のBiil Gates氏との会議で、これは2004年11月8日-10日に、アメリカ合衆国ワシントン州のリッチモンドにあるMicrosoft本社で開かれた、「視覚障害者及び印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館:デジタル化された未来に向けて」というサミットの一部として行われた。Buntan氏は、世界各地の視覚障害者及び印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館からの代表者達と共に、世界的なデジタル図書館を通じて、すべての人々のために情報へのアクセシビリティーを確立する計画を始めるため、Gates氏との会議に参加した。サミットには、20以上の国々からの代表と、発展途上国で活動している機関、国際的な出版社団体、W3C ウェブアクセシビリティー・イニシアティブ、DAISYコンソーシアム、そして国連や世界保健機構(WHO)を含む国際機関が参加した。このGates氏との会議でMSは、デジタル著作権運動(DRM)はアクセシビリティーに影響を与えることはないこと、またMSの次のオペレーティングシステムは更にアクセシブルな機能を備えたものになるであろうということを保証した。

2004年9月6日-9日、日本においてSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)に関する会議が開かれた。SMILによって様々なメディア(音声、テキスト及び画像)が同期化され、携帯電話のアクセシビリティーを強化する機能が増えた。現在多くの企業の間で、SMIL1及び3.0への関心が高まっている。

アメリカ合衆国政府はHTML、DAISY 3、ANSI/NISO Z 39.86に基づいた全国自主ファイルフォーマット規格(National Voluntary File Format Standard)を発表した。この全国的な規格は政府によって採用され、DAISY DTD或いはZ39.86ドキュメントファイルが利用できるようになるであろう。MSはMS Office の次のバージョンでこれを採用する予定である。
この新しい基準が適用されれば、ユーザーはファイルを保存する際にアクセシブルなフォーマットを選択できるようになる。

UNESCAP事務局は、2004年10月13日-15日に開催されたBMF実施のモニタリングに関する地域ワークショップにおいて、一連の指標が作成され、提案されたと報告した。しかし、BMFの第6の優先分野である、「情報、コミュニケーション及び支援技術を含む情報及びコミュニケーションへのアクセス」については、利用可能な統計指標を設定することは難しく、政策指標(例えば、国際ICT基準、国内のICT基準)の方が利用しやすかったと述べた。タスクフォースメンバーはこの見解に同意した。

d. 障害をもつ女性(WWD)

タスクフォースは、2004年9月7日-10日に開かれた、北京行動綱領の地域における実施状況に関するハイレベル政府間評価協議における新たな進展について報告した。3人のタスクフォースメンバーが協議に参加し、タスクフォースの代表として本会議で声明を発表した。声明の一部は公式な最終報告書に盛り込まれ、2005年3月にニューヨークで開催予定の女性の地位に関する委員会に提出されることになっている。声明のコピーは、タスクフォースの議事録草案に添付されている。

タスクフォースは、障害をもつ女性の問題をジェンダー分野で重要な問題として取り上げるようロビー活動をすすめることの重要性を再度確認した。そしてそのための具体的な行動計画として、以下のことに同意した。Nareewan氏が、タイ全国女性協議会にアプローチし、共同での活動が可能かどうか検討する。更に同氏は、RIアジア太平洋地域委員会内で障害をもつ女性に関する分科委員会を設立し、2006年11月29日-12月2日に開催予定のRI地域会議において、障害をもつ女性の問題を取り上げるようにする。

タスクフォースは、バングラデシュの障害者リハビリテーション及びリサーチ協会(Disabled Rehabilitation & Research Association - DRRA)理事であるFarida Yesmin氏を、Supattraporn Tanatikom氏に代わる新しいコーディネーターとすることに合意した。

e. 障害者の当事者団体(SHO)

アジア太平洋障害開発センター(APCD)は、2004年8月10日-30日にタイで行われた、APCDによる当事者団体開発トレーニングについて報告した。このトレーニングは3カ国のみ(カンボジア、ミャンマー及びタイ)を対象とし、当事者団体の効果的な結成を目的としていた。タスクフォースは、APCDが地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)或いは地域開発の一部として、障害者の積極的な参加によって、当事者団体の地位向上をはかる戦略を支持した。

タスクフォースは、BMFの達成目標1及び2について提案されている指標を検討した。これらの指標はBMF実施のモニタリングに関する地域ワークショップで作成された。タスクフォースは、当事者団体を支援する政策或いは機構が存在するかどうかを尋ねる二項式の指標は第一段階にすぎず、適切な予算を確保し、政策或いは機構の実施を保証する一連の包括的な指標を更に設けるべきだという点で同意した。

タスクフォースは、当事者団体への政府の支援や、「当事者による自助」の様々な解釈、また「障害者による意思決定」など、その他の問題についても徹底的に議論した。しかし、どのような場合でも、障害者の尊厳が尊重されなければならず、障害者の意思決定における支援と、障害者の代わりを務めることとははっきりと区別する必要があるという点で同意した。

タスクフォースのコーディネーターであるTopong Khulkhanchit氏は、第6回アジア太平洋都市サミット(2004年12月1日開催)で出された、タイの障害者によるバンコク市長への勧告について報告した。この勧告には、BMFの遵守と、今度の選挙におけるアクセシビリティーの提供、そしてハンディキャップのない環境の保証が盛り込まれている。

f. 紛争終結国

東チモール

東チモールにおけるCBRと障害者の所得創出に関するプロジェクトの更なる進展についての報告があった。Joseph Kwok博士(RI香港)の尽力の結果、香港、東チモール、日本及びインドネシアとが共同で第二期目を進めていくため、香港トラストから約45,000USドルの資金が提供された。このマッチングファンドとして、日本のNGOから(丸山氏を通じて)約15,000USドルが提供された。この資金を元に、インドネシアのソロにあるCBR開発トレーニングセンター(Handojo Tjandrakusuma博士)との共同で、NGOのKatilosa(RI東チモール)が、CBRと所得創出に関する新たなプロジェクト(社会的なモデルに基づいたCBR)を開始することになった。同プロジェクトはKatilosa及び東チモール労働連帯省によって実施される。

アフガニスタン

ILOは障害者の雇用と訓練に関する国内アドバイザーが、最近カブールで新に任命され、2004年9月から12ヶ月間の任務を開始したと報告した。アドバイザーの仕事には、アフガニスタンにおける関連プロジェクトの実施と障害に関する国家政策の作成に関し、政府及びその他の関係者に対して専門的なアドバイスを提供することが含まれる。報告によれば、アドバイザーは既に活動計画と提案の作成を始めており、特に(1)インクルーシブな職業技術訓練及び(2)統合的なアプローチに基づく障害者の雇用推進(国の既存のILOプロジェクト及びその他の国家プロジェクトの中で「障害を取り上げること」)に焦点を当てている。

国連開発計画(UNDP)は940万ドルの予算を組み、当初3年間の予定で障害問題に関する新たなプロジェクトを開始した(前のUNDP/UNOPS(国連プロジェクトサービス機関)プロジェクトに代わるプロジェクト)。このプロジェクトの主な活動には、(1)意識向上、(2)能力開発、(3)国家機構の設立(NCCなど)、(4)政策の作成、そして(5)研究開発が含まれる。

その他の紛争国

UNESCAP地域の「10年」はその他の発展途上国にも好影響を与えた。その他の紛争国については、2004年5月にチュニスで開かれたアラブサミットにおいて「アラブ障害者の10年(2004年-2013年)」が正式に宣言された。

その他

タスクフォースは、会議は着実に良い方向へと進展しているが、会議の参加者数が引き続き減少し続けていることを認めた。そのため、今後のタスクフォースの会議は、当分の間、特別な場合にのみ、オンラインで行うということで同意した。これによりTWG-DCと時間的に重なってしまう問題が解決され、他のより大きなタスクフォースグループにもっと時間をかけることができるようになるであろう。

g. 障害者に関する国際条約案

タスクフォースのメンバーである、Kay Nagata氏が、「提案されている、障害のある人びとの包括的かつ総合的な権利条約の構成、要素及び原則に関する共同声明」の背景と内容について報告した。この声明は、第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップUNESCAP/アジア太平洋障害フォーラム(APDF)の共催によるワークショップ(2004年10月10日-11日にバンコクで開催)でまとめられた文書である。

Nagata氏は、同声明は、UNESCAPのKim Hak-Su事務局長によって正式に署名され、特別委員会の議長であるLuis Gallegos Chiriboga氏に提出され、またそのコピーが、ニューヨークの国連経済社会局(DESA)と、国連社会開発委員会の障害問題担当特別報告官であるHesa K.A.Al-Thani氏へ提出されたと報告した。

声明の主なポイントは、1)政府及び障害者、NGOの間の連携を再確認すること、2)条約制定のプロセスが適宜効果的な方法で行われるように強く勧めること、3)特別委員会の政府代表として参加することを含め、プロセスのすべての局面における障害者の参加を奨励すること、そして4)障害を盛り込んだ国際協力プロジェクトの実施及び評価を行うよう特別な配慮をすることである。

タスクフォースは、条約の作成と協議のプロセスがますます政府主体となっていくにつれて、国内レベルでのロビー活動や政府代表の一員となることを通じて、障害者自身がプロセスへ参加していくことが極めて重要になってくるという見解を示した。

タスクフォースの別のメンバーであるMonthian Buntan氏は、現在の条約草案の内容に関する問題について概説した。同氏によれば、第15条までの最初の読み合わせが終了しており(ただし定義に関する第3条を除く)、2005年1月末から2月初めにかけて開催される次の特別委員会で残りの部分が採り上げられる。第一回目の読み合わせで検討された部分については、多くの未解決の問題が残されているが、その中には、次のような問題が含まれている。1)国際協力、2)社会経済的な権利の漸進的な実現、3)第5条(態度を入れるべきか否か)、4)統計/データに関する条文(モニタリングの条文の一部とするべきか否か)、5)「差別禁止」条約(EUは強力に推進している)対「社会開発」条約、6)大韓民国によって提出された女性に関する別の条文(しかしEUは反対している)、7)主に世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワーク(WNUSP)が主張している「意思決定支援」の妥当性と第9条II、8)第17条の教育形態に関する非常にデリケートな「選択」の問題。

V. TWG-DCメンバーによるUNESCAP活動の成果と問題点の評価及びアジア太平洋障害者の10年(2003年-2012年)の中間評価(2007年)に向けたUNESCAPの今後の事業に関する提案

UNESCAP事務局は、「障害者の10年」及びBMF に関するUNESCAPの活動を評価するために事務局が実施した、TWG-DCのメンバーに対するアンケートへの回答をまとめた報告書を要約した。評価の詳細についてはhttp://www.worldenable.net/bmf2004/docworking3.htmで見ることができる。

事務局の報告によれば、評価の結果は以下にあげるUNESCAPの2005年から2006年までの活動に反映される。1)国際条約(NGOと政府を対象、2005年から2006年)、2)国家政策の作成(政府、2005年)、3)障害に関する統計(政府、2005年)、4)CBR及び貧困緩和(NGO、2005年)、5)当事者団体(NGOと政府、2006年)、6)2007年のBMF中間評価。

事務局は2007年のBMF中間評価に向けて以下の戦略を実施することを発表した。1)TWG-DC第10回部会(2005年6月)までに、BMF見直し及び修正に関する特別作業委員会(ワーキンググループ)を結成する。2)APDF総会と同時開催される(2005年11月メルボルン)TWG-DC第11回部会までに、協議のための最初の修正文書を提出する。3)TWG-DC第12回部会(2006年6月)において、修正文書を協議し、採択する。4)採択された文書を、2006年の第4四半期に開催される予定の専門家会議(EGM)で協議、採択するために提出する。5)EGMの最終的な草案をTWG-DC第13回部会で検討する。6)最終的なEGM草案を、2007年第4四半期に開催予定の中間評価に関するハイレベル政府間会議に提出する。

TWG-DCの参加者達は、これらの戦略に同意し、Penny Price氏とBill Brohier氏、Debra Perry氏(ILO)、そしてAPDFが特別作業委員会のメンバーに立候補した。その他のメンバーは今後採用される。

UNESCAP事務局は、BMFの見直し及び修正の目的は、現在ある文書を補足したり省略したりすることではなく、別の補足文書を作成することにあると指摘した。補足文書の目的は、1)現在の地域及び世界的な障害問題の状況に合わせて文書を更新すること、2)優先分野、ターゲット或いは戦略を追加する確固たる理由と強力な意見がある場合、これを実施すること、3)更に調和のとれた効果的な実施のために、必要で有れば優先分野或いは戦略をまとめること(例えば、優先分野1と2をまとめる、或いは優先分野5と6をまとめるなど)、4)BMF実施の進捗状況を効果的にモニタリングするための一連の指標を作成することである。

VI. 2004年10月11日-12日にバンコクの国連会議場でUNESCAPとアジア太平洋障害フォーラム(APDF)により開催された、第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップワークショップの報告

APDFを代表して、ディスアビリティー・オーストラリアのGraham Smith氏がUNESCAP/APDFによる第3回及び第4回障害者の権利条約特別委員会の地域におけるフォローアップワークショップ(2004年10月10日-11日にバンコクで開催)について簡単に説明し、そこで出された「提案されている、障害のある人びとの包括的かつ総合的な権利条約の構成、要素及び原則に関する共同声明」について説明した。

VII. 2005年に開催されるAPDF総会及び第11回障害問題作業部会に関する事項

APDFを代表して、ディスアビリティー・オーストラリアのGraham Smith氏が、2005年11月にオーストラリアのメルボルンで開かれるAPDF第2回総会について最新の予定を発表した。その説明によれば、APDFの総会は19日から21日まで開催される予定で、TWG-DC第11回部会のタスクフォース会議は、総会の議題に組み込まれる。その後2005年11月22日に、TWG-DC第11回部会の本会議が開かれる。上記Vに記載されているように、TWG-DCの参加者は、総会後、BMFの見直し及び修正に関する協議を行うことを日程に加えることに合意した。

VIII. 2004年12月3日にバンコクの国連会議場で開催される国際障害者の日を祝賀するために計画中の活動に関する報告

UNESCAP事務局は、12月3日の国際障害の日を祝して、同日、国連会議場(UNCC)において記念行事が開催されることを発表した。今年のテーマは、「私たちぬきで私たちのことを決めないで」で、これは障害者の生活に関わるすべての局面において、障害者の、障害者による、また障害者のための参加を保証する国際的な障害者運動のモットーである。I

IX. 今後の活動報告(ILO、CBM/ICEVI)

ILO

ILOのDebra Perry氏は、最近の活動と今後の活動計画について報告した。ILOによる活動は、地域のネットワーク作りから国ごとにアドバイスを提供するサービスへと焦点が移された。現在活動の対象となっている国は、中国、大韓民国、ラオス及びモンゴルである。最近、WHOとUNESCOの共同による「CBR:リハビリテーション、機会均等化、貧困軽減及び障害者の社会参加の方策」などの出版に関するプロジェクトが紹介された。

CBM/ICEVI

CBM(クリストッフェル視覚障害者援護会)の視覚障害者教育地域アドバイザーで、国際視覚障害教育会議(ICEVI)前会長のBill Brohier氏が、両機関の使命と活動について報告した。

X. その他

TWG-DC第10回部会と雇用と貧困緩和に関するタスクフォースによるワークショップの日程は、今後遅くとも2004年12月31日までに決定される。

タスクフォース会議の召集方法を変更することに関して合意が得られた。現在有る7つのタスクフォースはそのまま残されるが、以下の変更がなされる。1)紛争終結国タスクフォースは特別な場合、或いはオンラインベースで会合を持つ。2)障害をもつ女性タスクフォースの会議と当事者団体タスクフォースの会議は一つの会議にまとめられる。3)雇用と貧困緩和タスクフォースの会議とすべての人のための教育タスクフォースの会議は午前中に開催され、参加者が両方の会議に参加できるようにする。

0800-1030 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)
1030-1300 雇用と貧困緩和
1300-1400 昼食休憩
1400-1530 1)情報及びコミュニケーション技術(ICT)
1400-1530 2)障害をもつ女性及び障害者の当事者団体(SHO)
1530-1630 障害者に関する国際条約案

これまで通り、各タスクフォースのまとめ役は、本会議において報告を行わなければならない。