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BMF―SCM会議に出席して

上野悦子
(財)日本障害者リハビリテーション協会 国際部次長

BMF-SMC会議の様子

はじめに

2007年3月1日と2日にESCAPによるBMF(びわこミレニアムフレームワーク)関係者調整会議(BMF―SCM)が開催された。直前の2月27日、28日に開催された、ESCAPのBMF補足文書草案作成に関する専門家会議での協議の結果をもとに、さらに同草案に関する修正作業が行われた。BMFーSCM会議にAPDF事務局として出席したので簡単に報告する。

今回の会議の概要

2月27日,28日の専門家会議および3月1日、2日のBMF―SMC会議の参加者は一部異なるもののほぼ同じで、政府代表、ILO、FAOなどの国際機関、障害者団体、支援団体を含む国際NGO、地域内ネットワークであるAPDFなどの代表約50名人であった。

2つの会議は同じ構成で開催された。1日目は、冒頭にESCAPの人口社会統合課の大崎氏によるBMFプラスファイブ決議までのロードマップが示され、続いて、BMFの項目との関連で、障害者自助組織、貧困削減、アクセシビリティなどについての進捗報告があった。他に、国連障害者の権利条約関連、開発や国際協力に関する発表もあった。

2日目には、1日目の議論のレビューに続いて、BMFプラスファイブのドラフトへの修正作業が参加者により行われた。同ドラフトへの修正作業は、主に27日、28日の専門家会議で十分に行われたため、3月2日にはESCAP事務局が用意した修正ドラフトに基づき若干の意見交換をしたのみにとどまった。

BMFプラスファイブについて

第二次アジア太平洋障害者の十年は2007年に中間年を迎え、9月19日から21日にESCAPは、バンコクでハイレベル政府間会合を開催し、そこでBMF(びわこミレニアムフレームワーク)の補足文書であるBMFプラスファイブを採択する予定である。それは第二次アジア太平洋障害者の十年後半5年の重要な戦略文書となる。しかし法的拘束力はない。世界的には2006年12月13日に採択された国連障害者の権利条約への署名が3月30日に国連本部で行われ、各国が批准に向けての動きがある。多くの国、特に途上国では批准までに時間がかかると思われるため、それまでの間、域内でBMFプラスファイブを推進していくことは重要と思われる。

BMFプラスファイブのドラフトは、全部で16ページに渡り、前文、BMF優先課題のアクション、主要な戦略、協力の向上とBMF達成のための支援、有効なモニタリングの5つのパートで構成されている。すべてが、BMFに含まれていないことを補足として記述したものだが、中でも注目したいのは、主要な戦略の中に新しく書かれた、インクルーシブ開発の促進、すなわち開発のメインストリームに障害を組みいれることの促進である。

ドラフトでは、戦略21から27までがインクルーシブ開発の促進で、域内各国政府、国際機関などに対する提案が書かれてある。具体的にはMDGの実施とモニタリングにおいて障害が含まれるようにすること、開発計画に障害を含めるための指標の開発、災害の管理に障害を含めるようにすることなどである。

原文:http://www.unescap.org/esid/psis/disability/index.asp

ESCAP事務局が配布した資料の中に、国連障害者の権利条約、BMFおよびミレニアム開発目標(MDG)をわかりやすく表示した比較対象表があり、これは理解をすすめるのに役に立つものである。

他にもESCAPが出版した、
"Disability at a Glance : a Profile of 28 Countries and Areas in Asia and the Pacific"
http://www.unescap.org/esid/psis/disability/index.asp)から、28の国と地域に関する統計、法律、国内調整委員会、などを一覧表にして配布された。

なお、この冊子は当協会で日本語に翻訳し「ひとめでわかる障害関連情報:アジア太平洋28の国と地域のプロフィール」として関心のある方に配布している。DINFでも6月中旬頃掲載の予定である。

BMF-SMC参加者