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TWGDC タスクフォース報告書

TWG-DC(障害問題作業部会)

タスクフォース報告 ― 行動計画(案)

(財)日本障害者リハビリテーション協会

項目 内容
備考 英語版:原文

タスクフォース: 情報通信技術(ICT)

任務

ICTタスクフォースの任務は、とくに発展途上国農村地域を中心として、障害者にとってのデジタル・オポチュニティ(情報機会)を高めながら、デジタル・ディバイド(情報格差)を解消していくことにある。

ICTタスクフォースの目的

  1. 意見・経験の交換を促進する。
  2. 適切なICTリソースについての提言を行う。
  3. アジア太平洋地域でのICT研修プログラムの連絡調整を行う。
  4. アジア太平洋障害センターとの連繋を密にし、成果を共有する。
  5. 障害者のICTへのアクセスおよび利用に向けたガイドラインを作成する。

予想される成果

  1. 日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)・情報センターを配信元とする、タスクフォースメンバー間のメーリングリストサービスを発足させる。
  2. ICTに関する推奨リソースの一覧をTWGDCウェブページ上に公開する。
  3. ICT研修プログラムの一覧をTWGDCウェブページ上に公開する。
  4. ユーザのニーズおよび要請事項をウェブページ、印刷物、DAISY(デジタル音声情報システム)のすべての媒体で出版する。
  5. 障害者のICTへのアクセスおよび利用に向けたガイドラインの草案をTWGDCに提出する。

期間: 2002年末まで

リーダー: 河村 宏

メンバー

  1. TWGDC参加団体はそれぞれ、少なくても代表者一名を挙げるよう奨励されている。
  2. メンバーは電子メールの使用が可能であることが望ましい。
  3. 電子メールの使用が困難な参加団体の要望を考慮する必要がある。
  4. 主な連絡はメーリングリストサービスを通じて行う。
  5. タスクフォースの第1回会合は、タイで開催されるWBU(世界盲人連合)アジア太平洋委員会主催のDAISY研修と併せて9月に行う。また、今後の同種の会合は、TWGDCもしくは毎年開催される「アジア太平洋障害者の十年」キャンペーン会議の各会合と併せて行う。

参考資料入手先

  1. グローバルな情報社会に関する沖縄憲章(HTML形式・PDF形式)
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/ko_2000/documents/it1.html (日本語)
    http://www.mofa.go.jp/policy/economy/summit/2000/documents/charter.html (英語)
  2. 国際的な情報格差問題に対する日本の包括的協力策
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/ko_2000/it.html (日本語)
    http://www.mofa.go.jp/policy/economy/summit/2000/it1.html (英語)

タスクフォース:起業研修、小規模事業経営と所得創出活動、開発(起業家精神)

今回、TWGタスクフォース3つのうちのひとつである起業家精神タスクフォースの第1回会合が行われた。同部会の任務は、そのテーマ分野に関する基本的問題について議論するとともに、同部会が「アジア太平洋障害者の十年」終了までに遂行できる活動内容の概要をまとめることであった。同部会はまず「起業家」という基本用語の定義を確認し、関連する諸問題について議論した上で、この部会の行動課題を探った。会合の要点は以下のとおりである。

  • 「起業家」の定義:起業家とは、何らかの事業経営を通して金銭(もしくは他のリソース)を得るために、リスクを厭わず、進んでリソースを投資する個人である。
  • 起業家の特徴
  • 理念をもっている
  • 生計を立てる手段として、採算性のある持続可能な事業を経営しているか、したいと考えている。
  • 進取の気性がある
  • リスクを厭わない
  • リソースにアクセスできるか、アクセスしたいと考えている
  • 投資(時間、金銭、土地など)を行う
  • 願望もしくはやる気、気力がある
  • 野心的である
  • 困難な課題や失敗に諦めることなく対処することができる

農村地域と都市部の起業家が抱える問題、課題、ニーズと、自営推進プログラムの間には相違があるのではないかという点が指摘された。また、「起業家」という用語を定義する際に、農業従事者を起業家と考えるべきかどうか、リスクや投資の内容は何か、などについて、活発な議論が交わされた。
タスクフォースでは、起業家は"生まれる"のかそれとも教育されるのかが議論された。これは、人選や研修の問題を考える上で重要なポイントとなる。この部会は、起業スキルは教えることができるが、かといって誰もが起業家の適性を備えているわけではないという点で意見の一致をみた。

障害者に通常の就職を促進するよりも、別の就労形態として事業を始めるよう勧められる場合が多いという点が指摘された。
以下のような問題点が議論され、一部は解決したが、解決していないものもある。各問題点に関して、具体的なケース・スタディが例として多くあげられた。

選択:

障害者は、ひとつの選択肢として起業家精神をもつべきである。障害者は、住んでいるコミュニティや国において万人に開かれている雇用機会のすべての選択肢を享受すべきである。

人選:

自営プログラム参加者の人選ならびにどのような判定基準を設定するべきかについて、さまざまな視点から議論された。国際連合食糧農業機関(FAO)は8の判定基準からなるマッシュルーム栽培プロジェクトについてのケース・スタディを行っており、これはFAOのマニュアルに収録されている。タスクフォースメンバーはいずれも、人選は重要な検討事項であると感じているようだったが、中には、希望者をふるいにかけてプログラムから除外することや不必要な基準を設定することに懸念を示すメンバーもいた。

選択可能なサポート:

障害者は事業経営を成功させるために、支えになるような環境や新たな組織を必要とする場合がある。たとえば、家族の枠組の中で事業を行う場合、役割や責任は家族というシステムの中で分担し、対応することができる。同様に、コミュニティ組織や共同組合方式では、障害者はその能力に応じて起業家としての力を発揮することができる。研修および起業プログラムでは、障害者のニーズを考慮しなければならない。

クレジットへのアクセス:

障害者は、クレジット・リスクの点で問題があるとか、資金調達に必要な担保がないなどと見なされることが多い。また、場合によっては文化的理由から、直截的な差別を受けることもある。

研修:

事業のよりどころとなるような起業研修と専門技術研修の両方を行う必要がある。技術研修は、コミュニティの市場ニーズに合致したものでなければならない。識字能力は、障害者を研修プログラムに参加させる上で、重要な点のひとつである。なぜなら、障害者はしばしば基礎教育プログラムの対象外とされるため、研修プログラムの参加に必要なスキルを備えていない場合があるからである。研修では、資産管理についても取り扱う必要がある。

研修指導者:

研修指導者は経験を積んだ起業家が担当するべきであり、可能な限り、障害をもつ起業家を教師として登用するべきである。

統合:

障害者はメインストリーム・プログラムに統合するべきであるが、その特別なニーズに対する対応や、そのためのリソースの提供は十分に行う必要がある。

引用されたケース・スタディには以下のようなものがある:1.所得創出活動としてFAOがさまざまな障害をもつ人々を対象として行ったマッシュルーム栽培の研修プロジェクトでの経験、2.カンボジアの障害者を対象とするアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の「成功事例の再現」モデルに関して、国際労働機関(ILO)が最近行った実地試験、3.インドが障害者および健常者を対象に行った起業研修プログラムでの経験。

活動:

障害者の起業家精神醸成を図るための活動として、以下の点が指摘された。これらは、タスクフォースがとりあげて検討するか、権利擁護者やその他一般の人々に広く検討を促すことになっている。

タスクフォースは、各国の障害者の起業家精神醸成を奨励・代弁するためのガイドラインを策定するべきである。多くの国で、こうした活動は中央政府の手を離れる傾向が強まっており、こうした活動に関わっている地方自治体やNGOに働きかけていくことが必要である。国レベルでの介入は効果的な政策立案に、地方レベルでの介入は効果的な実践に、それぞれ必要なものである。

障害者は起業研修に関するすべてのメインストリーム・プログラムの参加対象とするべきであるという点で、タスクフォースは概ね意見の一致をみた。これは、研修、アクセス、識字能力、支援などの面で障害者がもつ特別なニーズに対応するためにリソースを配分する必要があることを十分に踏まえたものである。これは、別個のプログラムを実施するよりも望ましいものと受けとめられた。

具体的行動課題:

各メンバーは、起業研修にかかわっている他の個人・団体と積極的にパートナシップを構築するべきである。権利擁護やパートナーシップを進展させることによって障害者の統合がいかに達成されたかを示すケース・スタディが、多数報告されている。

各メンバーは、それぞれの国で行われている政府主催のプログラムに障害者の参加を進めるよう、政府関係者に訴え、啓蒙していくべきである。

各メンバーは、それぞれのウェブサイトを活用して、こうした考え方の普及を図るべきである。

我々は、男女平等に関する婦人運動を手本に学ぶとともに、すべてのプログラムへの障害者の参加に関する具体的声明を支持するべきである。これは、個別の目標を定めることが目的である場合であっても然りである。国連機関、開発銀行その他の各金融機関は、障害者の参加について具体的な姿勢を示すとともに、融資プロセスに障害者が関与するよう求めていくべきである。

各メンバーおよび検討班は、雇用問題や障害者問題全般に関連するワークショップのテーマとして、起業家精神および障害者の問題が盛り込まれるよう主張するべきである。具体的には、「キャンペーン会議2001」にこの議題を盛り込むべきである。

タスクフォースは、障害者が起業プログラム・研修で成果をあげた事例についてのケース・スタディおよびデータの収集を開始するべきである。

タスクフォースはまた、他の障害者にとって参考となるような、障害をもちながら成功した起業家の事例を探るべきである。


タスクフォース:障害をもつすべての子どもと若者のための教育(EFA)

背景:
ESCAP地域において障害をもつ子どもと若者の教育へのアクセス状況に関して最近行われた調査(1999年UNICEFおよび1999年ESCAP)によると、何らかの教育を受けている者はわずか2~5%にすぎないことが分かった。

2000年4月26~28日にダカール(セネガル)で採択された「ダカール行動枠組み」は、全ての人に教育を(EFA)という目標を、すべての市民およびすべての社会を対象に達成するための取り組みを進めるよう求めている。 さらに、2015年までにすべての子どもに無償初等教育への機会が確保できるように取組みが行われている。

教育は、開発の中核をなす基本的人権のひとつである。教育は国レベル、国際レベルで優先課題とすべきものであり、強力かつ持続的な政治的取り組みを行うこと、資金配分を拡大すること、「全ての人に教育を」という目標達成に向けたプロセスにすべてのEFAパートナーが参加することが必要である。 「ダカール宣言」は、少女、HIVに感染した子どもなど、特別な配慮が必要であるとして列挙されたグループと並べて、障害をもつ子どもをとくに具体的な形で挙げているわけではない。しかし、もっとも傷つきやすく恵まれない境遇にいる子どもについて言及する場合、障害児は当然その中に含まれると考えられる。

障害児を具体的に明示できなかったことによって、「2015年までに全ての子どもに教育を」という目標達成のために策定される戦略に、障害児が明確に含まれないおそれがある。

ダカール宣言の目標達成に向けた主要戦略のひとつに、国レベルで「国内行動計画」を策定するというものがある。
国内行動計画の作成期限は2002年末である。

障害問題作業部会は、国際機関や国連機関、ならびにアジア太平洋地域の各国政府機関、NGOの代表で構成されている。これらメンバーはいずれも障害問題に関わりをもっており、したがってEFAのプロセスにおける潜在的なパートナーである。また、さまざまな活動を行うことによって、EFAの取り組みの成果に影響を与えるとともに、すべての障害児が国レベルの教育サービスに参加する機会を拡大するだけの能力を備えている。

EFAタスクフォース:行動戦略・成果

  • タスクフォースメンバー間の電子メールネットワークの構築。
  • ESCAP地域各国の教育担当政府関係者(教育大臣、長官)の詳細な連絡先リストを作成する。
  • TWGメンバーは、アジア太平洋地域の教育担当大臣に対して、ダカール宣言に沿った国内行動計画の中に障害児を明確に含むよう求めるとともに、現状および今後の行動予定について詳細に回答するよう要求する。 (アンケートの作成も検討中。)
  • TWGメンバーは、教育担当大臣宛てのアンケートを作成し、障害児の教育に関する現状および今後の行動予定について、詳細な情報を回答するよう求める。
  • 政府機関やNGO、また、とくに障害者当事者団体、両親、コミュニティ・グループのすべての交流先やネットワークに対して、教育担当省に以下のような対策を求めて国内活動を行う旨、TWGメンバーから提言するよう要請する。
  • 実行委員会への代表者派遣を求める
  • 国内行動計画の中に障害児(者)の参加を求める
  • EFAに向けた国の行動計画策定に必要な機関や他の重要事項や、国際レベルおよび国内レベルのリソースパーソン、リソース団体の連絡先を一覧にした情報シートを作成し、各国政府に配布する。
  • アジア太平洋地域で行われている障害児を含む教育の取り組みに関する情報交換を行う。
  • アジア太平洋地域での優れた実践事例をまとめ、2001年12月にハノイ(ベトナム)で開催予定の「キャンペーン会議2001」で発表する。
  • 多国間金融機関は、いろいろな国での経験から得られた教訓をTWGDCに伝えるべきである。TWGは別の国でも同様に優れた実践が行われるよう働きかけていくことができる。TWGは加盟国に対して、その環境の中で質の高いインクルーシブ教育を行うためにもっとも適した方法を選択できるよう、複数の選択肢を提供することができる。

注意: (多国間金融機関は、障害児を支援するためのプロジェクトをさまざまな国で多数実施している。たとえば、インドでは8つの州で、国連とインド政府が統合教育のプロジェクトを運営している。UNDP(国連開発計画)も、障害児支援プロジェクトを実施している。

  • 障害児教育を含む教育に携わる教師の養成など、人的資源開発を担う各国政府およびNGOに対して、視覚・聴覚障害その他の障害をもつ子どもにとって力強いモデルとなるよう、そうした障害をもつ教師の養成を行うよう促す。
  • 各国政府に対して、とくに聴覚障害をもつ子どもの特別なニーズについて慎重に検討するとともに、これら聴覚障害児をEFAの国内計画に含むよう働きかける。

参考資料入手先

  1. ユネスコ・ダカール宣言
    http://www.unesco.org/education/efa/ed_for_all/dakfram_eng.shtml (英語)
  2. 国内行動計画作成のための国別ガイドライン
    http://www2.unesco.org/wef/en-docs/angguid.pdf (英語)
  3. Brohier, W. 著「万人のための教育? その後は?」" (英語) アジア太平洋リハビリテーションジャーナル