[日本]障害者政策委員会で将来志向非金銭的救済について議論

リハ協ブログ2019年7月13日より転載

2019年6月27日、第45回障害者政策委員会が開催され、障害者差別解消法の見直しについて検討されました。そのなかで、差別を受けた障害者を救済する制度について議論があり、国連障害者権利委員会委員でもある石川准障害者政策委員会委員長(静岡県立大学教授)から、「将来志向非金銭的救済」についての資料提供があり、議論されました。

「将来志向非金銭的救済」は「Forward-looking, Non-pecuniary Remedies」の日本語訳で、2018年に発出された国連障害者権利委員会の一般的意見第6号の第22パラグラフに次の記載があります。

「差別が体系的な性質のものである場合、個人に対する単なる補償の供与だけでは、アプローチを変更するという意味では、本質的な効果をもたらすことができない。そのような場合のため、締約国は法制度において「将来志向非金銭的救済」も導入すべきであり、これはつまり、民間の当事者及び団体によって実行される差別に対するさらに効果的な保護が、締約国によって提供されるということを意味する。」

すなわち、構造的な差別をなくしていくためには、差別された個人に対する金銭的な補償だけでは十分ではなく、将来に向かって体系的あるいは実質的な救済が必要であるという考え方です。「将来志向非金銭的救済」には、差別廃止計画を採択するといった奨励的アプローチと、差別を行った事業体に対する公共調達における入札手続への参加禁止措置等の懲戒的アプローチがあり、欧州諸国を中心に多数採用されているとのことです。

第45回障害者政策委員会については、下のサイトをご覧ください。
国連障害者権利委員会の一般的意見第6号の仮訳も掲載されています。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html

また、同意見(Comment No6)の原文は、下のサイトにあります。(寺島)
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/GC.aspx

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