[国交省]「新幹線の新たなバリアフリー対策について(中間とりまめ)」を公表

リハ協ブログ2020年3月5日より転載

令和2(2020)年3月3日、国土交通省は、「新幹線の新たなバリアフリー対策について(中間とりまめ)」を公表しました。

新幹線については、車イスで利用できる席の数が一編成に2から3席しかないこと、車イス用スペースが狭く通路にはみ出してしまうこと、また、車イス用予約専用電話か窓口で乗車2日前までに申し込みをしておかないと当日では一般に販売されてしまってチケットが購入できないことがあること、ウェブ上から申し込みや購入ができず窓口に行かなければならないこと、窓口で購入するのに長時間待たされるなどの問題が指摘されており、国土交通省は、新幹線のバリアフリー対策を抜本的に見直すために、令和元(2019)年12月23日に「新幹線のバリアフリー対策検討会」を設置しました。

同検討会は、鉄道事業者、障害者団体等により構成されており、さらに、ソフト対策のワーキンググループとハード対策のワーキンググループが設置され、2回の議論が行われてきました。今回の報告書は、その検討結果の中間とりまとめです。

とりまとめの内容は次のようになっています。

[基本方針]

①移乗が困難な方、保護者の付き添いや介助が必要な方等、様々な障害の状態※1に対応し、障害のある方が一般の方と同様にグループで快適に乗車できるよう「車椅子用フリースペース」(仮称)※2を一般客室の窓際に設ける。また、車椅子対応トイレ及び多目的室についても広さや快適性の改善を図る。

②これまで電話や窓口での申し込みが必要であった車椅子対応座席※3について、ウェブでも対応可能※4とする。また、これまで当日には一般の方にも販売していた車椅子対応座席について当日でも車椅子使用者に確保する。さらに、介助要員(駅係員)の確保に係る調整方法や窓口でのきっぷ予約・発券方法等の運用の改善により、待ち時間の短縮等の利便性向上を図るとともに、案内方法の改善を図る。

※1様々な障害の状態:移乗が困難な方、移乗される方、保護者の付き添いや介助が必要な方、ストレッチャー式車椅子の方、同じ姿勢を保つのが困難なリクライニング機能付き車椅子の方などが想定される。

※2車椅子用フリースペース(仮称)の要件:

[1]車椅子に乗ったままでも車窓が楽しめるよう窓際に面していること

[2]車椅子が通路にはみ出ることなく通路の通行を阻害しないこと

[3]大型の車椅子の方もグループで利用可能であること

   [4]車椅子使用者の移乗用席、介助者用席、同伴者席が近くに配置されていること

※3車椅子対応座席:車椅子スペースに隣接し、車椅子使用者が当該スペースを利用する際に予約する座席

※4車椅子用フリースペースに対応したウェブ申し込み・販売方法:車椅子用フリースペースに対応したウェブ申し込み・販売方法については、席数や車内のレイアウト等を踏まえて検討したうえで決定する。

[基本方針を踏まえた取組]

①可及的速やかに実施

[1]車椅子用フリースペース(仮称)の創設

●車椅子に乗ったまま利用できる席数や車内のレイアウトの考え方等について、車椅子使用者も参加する実車等を用いた実証実験を行い、検討したうえで決定する。また、その内容について、基準等の改正を行う。

[2]現行の車椅子対応座席の申し込み方法・案内方法の改善

●全新幹線において車椅子対応座席のウェブ申し込みを導入する。

●車椅子対応座席を利用する際の案内方法について、2日前までの申し込みを求めない形に変更する。

●普通車指定席の車椅子対応座席の販売方法を変更し、当日においても車椅子使用者用に確保する(一般用席として販売ない)。

②①の実施状況を踏まえ以下の事項について具体的な改善を検討

●介助要員(駅係員)の確保に係る調整方法や窓口でのきっぷの予約・発券方法(予約・発券に要する時間の短縮や希望する駅での受取)等運用改善(検討の結果、結論を得られたものは、可及的速やかに実施)。

●車椅子用フリースペース(仮称)に対応した利便性の高いウェブ申し込み・販売方法の導入。

●一般の方と同様に普通車(自由席)・グリーン車に乗車できるよう車椅子用フリースペース(仮称)の設置。

●介助者と共に使用できる車椅子対応トイレ及び車窓が楽しめる多目的室のレイアウト等。

※各取り組みの具体的なスケジュールは引き続き検討

詳しいことは、下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo07_hh_000175.html

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