[厚労省]女性支援法成立

令和4(2022)年5月19日、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(女性支援法)が衆議院で可決され、令和4年5月25日公布されました。(法律番号52)

これまで、困難な問題を抱える女性への支援は、昭和31年に制定された売春防止法に基づく婦人保護事業により実施されてきましたが、DV、ストーカー、性暴力・性犯罪、人身取引、家庭関係破綻、生活困窮等女性を巡る課題が多様化・複雑化・複合化するなかで、売春防止法に代わる新しい法的枠組みの構築が必要とされていました。

厚生労働省は、平成30(2018)年から令和元(2019)年まで「困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会」を開催し、令和元年10月11日には、「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会中間まとめ」を公表していました。

このような議論を受け、超党派の議員立法として同法が提案され、成立しました。

法律の概要は次の通りです。

〇基本方針及び基本計画の策定(第7条~8条)
・厚生労働大臣は基本方針を策定(義務)、都道府県は都道府県基本計画を策定(義務)、市町村は市町村基本計画を策定(努力義務)
〇女性相談支援センターの設置(第9条)
 都道府県(義務)、指定都市(可能)。「婦人相談所」を売春防止法から移行して名称変更。
〇女性相談支援員の配置(第11条)
 都道府県と女性相談支援センターを設置する指定都市(義務)、市町村(努力義務)。「婦人相談員」を売春防止法から移行して名称変更。
〇女性自立支援施設設置(第12条)
 都道府県(可能)。売春防止法から「婦人保護施設」を移行して名称変更。
〇民間団体との協働による支援(第13条)
 訪問、巡回、居場所の提供、インターネットの活用、関係機関への同行その他の方法により発見、相談その他の支援に関する業務を行う
〇民生委員等の協力(第14条)
 民生委員、児童委員、人権擁護委員、保護司、更生保護事業を営む者と協力
〇支援調整会議の設置(第15条)
 関係機関、民間団体等の関係者により構成される会議の設置(努力義務)

施行日は令和6年4月1日となっています。

なお、障害女性については、法律には規定はありませんが、「困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会中間まとめ」においては、「困難な問題を抱える女性」に障害女性が含まれており、また、具体的には、「性的被害を受けた女性が知的障害や精神障害を持っているという例は数多く見られるが、その立ち直りには、女性支援、障害者福祉の両面からの支援が不可欠である。」等の記述がありました。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)

法律:https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g20806007.htm

困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会中間まとめ:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00520.html

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