[厚労省]障害者総合支援法見直しについて報告書を提出

令和4(2022)年6月13日、社会保障審議会障害者部会は、「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて」という報告書を公表しました。

平成 28 年に「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(平成28年法律第65号)」(障害者総合支援法改正法)が成立した際、施行後3年を目途として施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされました。そこで、同部会は、令和3年3月から検討を開始し、関係団体からヒアリングを行うとともに、計 13 回にわたって議論を行ってきた結果をまとめたとのことです。

報告書では、見直しの基本的な考え方として次の3点が示されています。

1.障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり
 障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実/地域共生社会の実現/医療と福祉の連携の推進/精神障害者の地域生活に向けた包括的な支援

2.社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応
 障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築(※児童福祉法改正法等で対応) /障害者の多様なニーズに応じた就労の促進

3.持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現

また、各論点の主な内容は次のとおりです。

1.障害者の居住支援

  • 障害者総合支援法におけるグループホームの支援内容として、一人暮らし等を希望する利用者に対する一人暮らし等に向けた支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援が含まれる点について明確化すべき(新たなグループホームのサービス類型を検討)
  • 地域生活支援拠点等の整備を推進するため、市町村の整備の努力義務化

2.障害者の相談支援等

  • 基幹相談支援センターについて、市町村の設置の努力義務化
  • 協議会の守秘義務規定を設けるべき

3.障害者の就労支援

  • 就労アセスメントの手法を活用して本人の就労能力や適性の客観的な評価や就労に当たっての必要な支援や配慮事項の整理を行い、障害者本人がその能力や適性等に合った一般就労や就労系障害福祉サービスの事業所の選択ができることを目指して、必要な支援を行う新たなサービス(「就労選択支援(仮称) 」)を創設すべき
  • 企業等での働き始めに週10時間~20時間未満程度から段階的に勤務時間を増やしていく場合等に就労系障害福祉サービスの一時的な利用を法令上可能とする

4.精神障害者等に対する支援

  • 精神障害者に加え、精神保健に関する課題を抱える者に対しても、相談支援を行うことができる旨を法令上規定すべき
  • 家族からの音信がない市町村長同意による医療保護入院者を中心に、精神科病院の理解のもと、精神科病院に入院する患者を訪問し、相談に応じることで、医療機関外の者との面会交流を確保することが必要
  • 医療保護入院の入院期間を定め、精神科病院の管理者は、この期間ごとに医療保護入院の要件を満たすか否かの確認を行うこととすべき
  • 退院促進措置の対象者を拡大すべき
  • 医療保護入院者や措置入院者に対して告知を行う事項として、入院を行う理由を追加するとともに、医療保護入院の同意を行う家族等は、退院等請求権を有することから、告知を行うことが求められる旨を明文で規定すべき
  • 医療保護入院について、家族がいる場合でも、当該家族の意向を確認することができない場合は、市町村長が同意の可否を判断できるようにすべき
  • 本人と家族等との間で虐待等が疑われるケースについて、市町村長が同意の可否を判断できるようにすることについて検討することが適当
  • 精神科医療機関において、従事者等が虐待を発見した場合にこれを自治体に伝えるとともに、伝えた者の保護を図ることが望ましい。このような仕組みについて、制度化に向けた具体的な検討を行うべき

5.障害福祉サービス等の質の確保・向上について

  • 障害福祉分野におけるデータベースを整備するとともに、第三者提供の仕組みを設けるべき

6.制度の持続可能性の確保について

  • 都道府県が行う障害福祉サービス事業者等の指定について、市町村が障害(児)福祉計画との調整を図る見地から意見を申し出ることを可能とし、必要と認める条件を付することができる仕組みを導入すべき

7.居住地特例について

  • 介護保険施設等を居住地特例の対象に追加すべき

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000107941_00002.html

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