[厚労省]労働政策審議会障害者雇用分科会が意見書をとりまとめ

令和4(2022)年6月17日、労働政策審議会障害者雇用分科会が意見書をとりまとめました。同意見書の表題は、「今後の障害者雇用施策の充実強化について(労働政策審議会障害者雇用分科会意見書)」となっています。

同意見書の概要と注目点は、次のとおりです。

1.雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化
 障害者の活躍促進のため、事業主に対し、キャリア形成の支援を含め、適正な雇用管理をより一層積極的に行うことを求める。

2.雇用施策と福祉施策の更なる連携強化
○ アセスメントの強化
 ハローワークは、障害者総合支援法の就労選択支援(仮称)(就労アセスメントの手法を活用した新たな障害福祉サービス)を利用した障害者に対し、その結果を参考に職業指導等を実施する。
○ 障害者就労を支える人材の育成・確保等
 ・障害者の就労支援(就労系福祉サービスを含む)に従事する人材に対して、福祉分野と雇用分野の知識・スキルを横断的に付与する基礎的研修を実施するなど、専門人材の育成を強化する。
 ・地域障害者職業センターは、基礎的研修を実施するなど、これまで以上に障害者就労を支える人材の育成に努め、地域の就労支援の基盤整備を図ることとするなど、地域の就労支援機関の役割分担を整理する。

3.多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進
○ 障害者雇用率制度における週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者の扱い
 ・雇用義務の対象となっていない週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の就労機会の拡大のため、これらの障害者を事業主が雇用した場合に、特例的な扱いとして、実雇用率において算定できるようにする。
 ・当該措置により、週所定労働時間20時間以上の就業が困難な者に対する就業機会の拡大を直接的に図ることが可能となるため、特例給付金は廃止する。
○ 障害者雇用率制度における精神障害者の算定特例の延長
 ・精神障害者の雇用促進のため、週所定労働時間20~30時間未満の精神障害者の算定特例を延長する。

4.障害者雇用の質の向上の推進 障害者雇用納付金財政について、財政の安定的運営を図るとともに障害者雇用の質の向上を推進するため、障害者の数で評価する障害者雇用調整金等による支出増加を抑制し、その分を助成金に充て、企業が実施する職場定着等の取組を支援する。
○ 障害者雇用調整金、報奨金による対応
 ・調整金を受給している企業が一定の人数(10人)を超えて、調整金の対象となる障害者を雇用している場合、当該超過人数分の調整金について単価を引き下げる。(1人当たり月額2万7千円を半額)
 ・報奨金を受給している企業が一定の人数(35人)を超えて、報奨金の対象となる障害者を雇用している場合、当該超過人数分の報奨金について支給しないこととする。
○ 障害者雇用を推進する企業の取組に対する支援
 ・中小企業のノウハウ不足という課題に対処するため、障害者雇用に関するコンサルティングを行う民間事業者から相談支援を受けることで障害者雇用を促進する企業に対して助成する。
 ・中高年齢者の障害者の雇用継続のために企業が実施する取組に対して助成する。

5.その他
○ 在宅就業障害者支援制度の活用促進
 ・在宅就業障害者支援制度の更なる活用を促進するため、在宅就業支援団体の新規登録が促進されるよう、登録要件の緩和(団体登録に必要な在宅就業障害者の人数要件を10人から5人に引き下げる)等を行う。
○ 有限責任事業組合の算定特例の全国展開
 ・事業協同組合のスキームを活用して複数の中小企業の実雇用率を通算できる算定特例については、現在、国家戦略特区内においてのみ有限責任事業組合(LLP)が対象として認められているが、これを全国においても認める。
○ 除外率の引下げによる障害者雇用の促進
 ・平成14年の障害者雇用促進法改正で廃止されたものの、当分の間存置されている除外率について、一律に10ポイント引き下げる。

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26265.html

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