[米国]オレゴン州が保護工場を支援付き雇用サービスへ転換

2022 年 8 月 12 日、オレゴン地区連邦地方裁判所は、オレゴン州が司法省および障害者との和解合意の条件を履行したと認定し、Lane v. Brown/United States v. Oregon の訴訟を終結しました。

この訴訟は、2012 年 1 月に集団訴訟として、オレゴン州の保護工場(sheltered workshop)で働いていた知的/発達障害のある人々により、最低賃金以上の賃金が得られる一般労働市場で働くことを求めて提起されました。保護工場とは、日本でいえば、就労支援事業A型やB型のイメージです。

米国には、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act of 1938)という古い連邦法があり、その14条(c)(により障害者に対する能力給(commensurate wages)の支給が認められています。障害のある労働者の生産性を障害のない労働者の生産性と比較して、どの程度であるかにより賃金を決めているわけです。ただし、この措置を行うには、労働長官の許可がいります。多くの保護工場では、この制度を使って、障害者に対して最低賃金以下の賃金を支払っています。

この制度については、以前から問題視されてきており、州ごとにそれを適用できないようにしたり、連邦政府の職員は除外したりするなど、適用される人は少なくなってきていますが、それでも、まだ、多くの障害者が保護工場で最低賃金以下で働いているという状態です。
 2013 年 3 月には、司法省が訴訟に加わり、オレゴン州は知的/発達障害のある成人を保護工場で不必要に隔離しており、「障害のあるアメリカ人法(ADA)」 のタイトル II に違反していると主張しました。

2015 年に和解が成立し、オレゴン州は、一定の期間内に、1,115 人の保護工場の労働者が地域社会で新たに一般就労ができるように、支援付き雇用サービスを提供することや、新卒者に対する同様の措置を行うことを約束しました。

今回、オレゴン州はそれらの措置を実施したことで、訴訟終結となったとのことです。

詳しくは、下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.justice.gov/crt/case/united-states-v-oregon-lane-v-brown

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