[厚労省]「児童虐待防止対策の更なる推進について」を閣議決定

全国の児童相談所における虐待相談対応件数が一貫して増加を続け、虐待により死亡する事件も後を絶たず、多くのかけがえのない子どもの命が失われていることを踏まえ、令和4(2022)年9月2日、「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」は、「児童虐待防止対策の更なる推進について」を閣議決定し、特に重点的に実施する取組を新たな総合的な対策として示しました。

同閣僚会議は、平成30(2018)年3月に発生した目黒女児虐待事件を背景に平成30年6月15日に設置され、平成30年7月20日には、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を決定しました。また、平成 31 年2月8日には、「『児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策』の更なる徹底・強化について」を決定したほか、同年3月19日に「児童虐待防止対策の抜本的強化」を決定した上で児童虐待防止対策を強化するための児童福祉法等の改正する等により児童虐待対策の取組を進めてきました。

今回の決定では、これらの取組についてフォローアップを行った上で、令和5年4月に創設されるこども家庭庁を中心に取組を強化し、虐待予防のための早期対応から発生時の迅速な対応、虐待を受けたこどもの自立支援等に至るまで、切れ目ない支援を受けられる体制を構築することとしています。

主な取り組みは次のようになっています。

1.こどもの権利擁護
 令和4年改正児童福祉法で設けるこどもの権利擁護の環境整備、民法上の懲戒権に関する規定の見直し
2.児童相談所及び市町村の体制強化
 「こども家庭センター」の設置、認定資格の導入、児童虐待防止対策の次期プラン策定
3.児童虐待の発生予防・早期発見
 児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」等の周知広報、こどもや家庭が相談できるSNSアカウントを開設、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実、学校の教職員等のマニュアルを周知、子育て世帯訪問支援事業・児童育成支援拠点事業・親子関係形成支援事業の円滑な実施、未就園児等がいる家庭の把握とアウトリーチによる支援の検討、産後ケア事業の全国展開、妊産婦等生活援助事業等による支援体制の構築
4.適切な一時保護の実施
 一時保護開始時の司法審査の具体的な運用や手続の検討、一時保護所の設備・運営基準の検討、一時保護所の定員超過解消、一時保護中の学習機会の確保に向けた支援の検討
5.社会的養護の充実
 社会的養育推進計画の評価指標等の検討、里親支援センターの設備・運営基準や第三者評価基準等の検討、児童自立生活援助事業の年齢要件等の弾力化の運営基準やガイドライン等の検討、在宅指導措置の積極的活用
6.親子再統合への支援強化
 親子再統合支援事業のガイドラインの作成の検討
7.関係機関における事案への対応の強化
 親の交際相手等に対する対応、教育・保健・福祉等のこどもに関するデータの連携による早期に発見とプッシュ型の支援、支援にかかわるNPOやこども食堂など多様な民間機関の要対協への参画を進め要対協の実効性を高めるための方策を検討、警察の対応力の強化、事案対応時の危険度判定の高度化
8.DV対応と児童虐待対応との連携強化
 加害者対応の在り方の検討と多機関連携等支援体制の充実
9.障害児支援の充実
 地域の障害児支援の中核的な支援機関として児童発達支援センターが役割・機能等を果たす、保護者に対するペアレントトレーニング等の実施や巡回支援専門員の配置を推進する
10.関係機関との連携強化
 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の施行に向けて、婦人相談所及び婦人保護施設と児童相談所その他の関係機関との緊密な連携が図られる体制の整備

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27671.html

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