[米国]AbilityOneの参加要件として最低賃金の支払いを求める規則を施行

2022年10月19日、「視覚障害者または重度障害者からの購入のための委員会(Committee for Purchase From People who Are Blind or Severly Disabled)」による「ジャビッツ・ワグナー・オデイ法に基づく非営利機関の参加資格としての14(c)証明書に基づく最低賃金以下の賃金の支払いの禁止(Prohibition on the Payment of Subminimum Wages Under 14(c) Certificates as a Qualification for Participation as a Nonprofit Agency Under the Javits Wagner O'Day Act)」という規則が発効しました。

この規則は、同委員会が2022年7月21日に公布(87FR43427)していました。

米国での政府機関は、「ジャビッツ・ワグナー・オデイ法」第2条に基づき、指定された非営利団体から製品やサービスを購入することになっています(AbilityOneプログラムと呼ばれている)が、今回の規則は、この非営利団体に参加するための要件として「公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)」第14条(c)に定める最低賃金除外規定を適用していないことを追加したものです。

「公正労働基準法」第14条(c)は、「生産能力」が低下している心身障害者については、認定に基づき、最低賃金以下の賃金を支払うことができるとしているため、多くの雇用主は、当該障害者の生産能力を非障害者と比較して低下していることを示す申請書を労働局長(Secretary of Labor)に提出し、同法に定める最低賃金の除外を認められています。そのため、作業所等で働く重度の障害者の多くは、最低賃金以下の賃金(subminimum wage)しか受け取っていないという実態があります。

「公正労働基準法」第14条(c)の廃止については、これまで何度も議論されてきており、最低賃金適用除外規定を廃止した州もあります。また、連邦政府も、政府職員や政府となんらかの契約関係がある企業に対しては、最低賃金を適用することを課していますが、障害者の作業所などについては、これまで対象になっていませんでした。

今回の規則の施行により、いわゆる保護工場のような組織は、政府に製品やサービスを販売するためには、最低賃金を補償しなければなりません。

かなり影響力の大きい規則であると考えられます。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.federalregister.gov/documents/2022/07/21/2022-15561/prohibition-on-the-payment-of-subminimum-wages-under-14c-certificates-as-a-qualification-for

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