編集後記

12月3日は、国際連合が定めた「国際障害者デー」であり、12月3日から9日までの1週間は、わが国の障害者基本法が定めた「障害者週間」です。

国際障害者デーは、第37回国際連合総会において1982年12月3日に「障害者に関する世界行動計画」が採択されたことを記念して、1992年の第47回国際連合総会において宣言されました。

また、障害者週間は、国際障害者デーから12月9日の「障害者の日」までの1週間として、平成7(1995)年6月27日に、総理府(現内閣府)の障害者施策推進本部により定められ、平成16(2004)年の障害者基本法改正時に同法に明記されました。

なお、障害者の日は、1975年12月9日に国際連合の第30回総会において「障害者の権利宣言」が決議されたことから、昭和56(1981)年11月28日に、国際障害者年を記念して、日本の厚生省(現厚生労働省)に置かれた国際障害者年推進本部により決定され、平成15(2003)年12月3日公布された障害者基本法において法律に規定されていました。

そのために、12月は障害者関連のさまざまな行事が世界中で催されます。わが国でも国、地方自治体の多くでイベントを開催しています。

本号の記事にもありますが、当協会も内閣府が実施した「障害者週間」オンラインセミナーで、「発達障害児の読みを支援するデジタル図書「マルチメディアデイジー図書」」というタイトルで、ビデオ出演いたしました。

当協会は、読みに困難のある発達障害児のためのデジタル図書「マルチメディアデイジー図書」を製作しており、「デイジー子どもゆめ文庫(https://yume.jsrpd.jp/)」等のサイトを運用しております。

本号の別の記事にもありましたように通常の小中学校の生徒の3.5%が「読み」又は「書く」に著しい困難を示すとされています。この中には、発達障害のために読みが困難な児童が含まれています。

これらの児童は紙の教科書では文字の認識が困難でも、マルチメディアDAISY図書を使って文字と音声を同期させたり、読んでいるところをハイライトすることで教科書を読むことができる場合が多くあります。

しかし、マルチメディアDAISY図書の製作は時間と費用がかかるため商業ベースには乗りにくく、ボランティアの皆様やご寄付をいただいている皆様のご支援により少しずつ図書数を増やせているというのが実態です。重度障害のある皆様には、ご自宅のベッド上などでマルチメディアDAISY図書の製作をお手伝いいただいておりますが、残念ながら、教科書以外の発達障害児向けマルチメディアDAISY図書はまだまだ少ないというのが現状です。

日頃からの皆様のご支援に心から感謝申し上げますとともに、ひきつづき一層のご支援をお願い致します。(寺島)

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