ひと~マイライフ-すべてのご縁に感謝して

「新ノーマライゼーション」2023年7月号

岡元雅(おかもとまさし)

1982年生まれ、宮崎市在住。デュシェンヌ型筋ジストロフィーにより日常生活ほぼすべてに介助が必要。わずかに動く指先に持ったスイッチと目の動きを使った視線入力でPCやゲームの操作を行う。ゲームなどの工夫を当事者目線で発信する活動を行っている。活動名は「みやびProject」

私は3歳の頃に筋ジストロフィーの診断を受けました。最初は他の子より転びやすい程度で小学校は地元の学校に通いました。中学校への進学を考える時、その頃には歩くのはかなり難しくなり、電動車椅子で自由に行動できる養護学校(現支援学校)に通うことを自分で選びました。自宅から遠かったため親元を離れ学校に隣接する筋ジス病棟に入所しました。

高等部卒業後熊本の大学に進学し、ヘルパーを利用して一人暮らしをしながら通い、卒業後は実家に帰り、地元のボランティア活動などのお手伝いをするなどして過ごしていました。そんな中、私にとってとても素敵な出会いがあり、4年前の私の誕生日に結婚しました。その後、実家を出て現在は社会福祉法人の運営する家族同居型バリアフリーアパートにて夫婦二人暮らしをしています。

現在の身体状況は鼻マスク人工呼吸器を使用して、主にベッド上で生活しています。普段は指先に持った2つのスイッチと視線入力を併用してPCを操作して、ゲームなどをして過ごしています。特に好きなゲームについて、視線入力やスイッチを使ってゲーム機を操作する方法を確立し、その情報を発信する活動をしています。

私は子どもの頃からゲームが好きでしたが、病気の進行によりコントローラーが持てなくなった時に一度あきらめてしまいました。そんな時、偶然見つけたネット情報から重度の障害があってもいろいろな工夫をしてゲームを楽しむ方法を知り、ゲームを再開することができました。誰かが発信した情報で自分が助けられたように、自分が発信することで誰かの役に立てればと思ったのが発信のきっかけです。

そうして活動していくうちにご縁が広がり、全国各地につながりや友達ができました。そこから私の知らない情報が入ってきたり、ゲームに役立つ機器の開発に協力させていただくことができ、私のゲーム環境も進化しました。また、開発に協力させていただいた製品を通して「あきらめていたゲームができるようになった!」といううれしい声もたくさんいただきました。

最初は「誰かのために」行っていた発信が、いつの間にか自分自身の生活の質を高めることにつながっていることに気づきました。同じようにたくさんの人が発信することでみんなで困りごとをシェア(共有)して、みんなで解決していく、これからはそういう世の中になるのだと思います。

情報発信活動の他には、ゲームを通してつながった友だちなどと月一回ほどオンラインで対戦するサークルもやっています。勝ち負けを競うものではなく、年齢や障害に関係なく同じ場で楽しむことを目的としています。

こうした活動を通して当事者の方からよく聞くのは「ゲームを始めたいけど身近に相談できる専門家がいなくて困っている」という声です。私自身も同じ経験があり、今後の大きな課題であると感じています。その課題に対して、現在一部の地域では作業療法士さんなどが主体となってゲームに関する支援をされています。そうした支援を全国どこに暮らしていても受けられるようになってほしいと願っています。

私自身のこれからについては、病気の進行は続いていて体調面などいろいろな問題が出てきてはいますが、素敵な出会いに感謝し、妻と一緒に楽しく生活していければと思います。私と一緒にいてくれている妻には感謝しかありません。

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