[米国]エイブル年齢調整法成立

2022年12月29日、バイデン大統領がエイブル年齢調整法(ABLE Age Adjustment Act(S.331 and H.R. 1219))を含む統合歳出法(Consolidated Appropriations Act, 2023[H.R.2617])に署名し、エイブル年齢調整法が成立しました。

同法は、「より良い生活体験を実現するための法律(エイブル法:Achieving a Better Life Experience (ABLE) Act (Public Law 113-295))」の対象を発症年齢が26歳前の障害者から46歳前に引き上げるというものです。

エイブル法は、2014年12月19日に成立した法律で、エイブル口座という一定額(年間17,000ドル+就業収入等)まで贈与税・所得税がかからない銀行口座を規定しています。例えば、障害のある子の親が子どものためにお金を渡したいと思ったとき、この口座に振り込めば、限度額までは無税で贈与できます。ただし、この口座からの支払うことのできるのは、その口座を所有している障害者本人にかかわる健康、自立、生活の質の向上・維持のための費用に限られます。

また、この口座にあるお金は、一定額(ニューヨーク州では520,000ドル等)までは、資力調査のある手当における資産として認定されません。そのため、労働収入があっても、それをこの口座に振り込むようにすれば、一定額までは収入認定されませんので、障害年金、補足的所得保障給付などの手当やメディケイドという低額所得者のための国民医療保障制度から外されることがありません。

この法律は、「障害のあるアメリカ人法(Americans with Disabilities Act:ADA)」などとならんで、障害者のニーズに対応した最も重要な連邦法の一つであるといわれています。

元の法案には年齢制限がありませんでしたが、議会予算局(CBO)と合同課税委員会(JCT)による審査により、コスト削減のために障害発症年齢が26歳に達する前とする年齢制限が追加されました。そのため、それを46歳前に引き上げるために、2016年以降同様の法案が繰り返し連邦議会に提出されていましたが、なかなか成立せず、2021年2月23日にも第117回議会(2021-2022)にエイブル年齢調整法として提出されていました。

法律の施行は2026年1月1日で、これ以降は戦争で障害を負った多くの退役軍人などもエイブル口座を開設可能になります。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)

統合歳出法
https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/2617

エイブル年齢調整法
https://www.congress.gov/bill/117th-congress/senate-bill/331/actions
https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/1219/all-info

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