[オーストラリア]グループホーム等に関する調査結果を公表

2023年1月16日、NDIS品質保護委員会(NDIS Quality and Safeguards Commission)は、「NDISの支援型宿泊施設の状況に関する独自調査(Own Motion Inquiry into Aspects of Supported Accommodation in the NDIS)」の結果を公表しました。

国民障害保険制度(National Disability Insurance Scheme: NDIS)は、2013年から段階的に導入されてきており、障害者サービスを消費者主導の市場へ移行してきました。日本の福祉が措置制度から契約制度に代わってきたのとよく似ています。

NDISは、導入からほぼ10年たち、多くの制度が市場へ移行しましたが、この移行が完全に実現されていない分野やサービスがいくつかあります。それらの分野の1つにグループホーム等の支援型宿泊施設があります。

今回の調査は、完全移行の準備として、現在の支援型宿泊施設で発生している問題、それらの問題の原因、それらの問題を防ぎ対処している好事例を把握し、品質保護委員会のサポート方法を明らかにすることを目的としています。

調査は、2018年7月1日から2022年9月30日までの期間に、支援型宿泊施設サービスを提供している大手のプロバイダー7社がNDIS委員会に提出した報告対象のインシデントと苦情を分析しました。

調査結果では、次のような指摘がなされています。

  • グループホーム環境の質と安全性を高めるためには一定の規制が必要である。
  • 従業員の良好な態度と適性を確保する文化を醸成するために組織的な取り組みが必要である。
  • 自立生活支援(SIL)と障害者専用宿泊施設(SDA)の選択の範囲が他のNDIS利用者よりも制限されており、新たな制度設計が必要である。
  • より現代的な生活を生活を望む場合の選択肢がプロバイダー次第になっており利用者の意見や好みが確実に考慮されるようにする必要がある。
  • 医療と支援型宿泊施設との連携が不十分でありシステム的なアプローチが必要である。
  • 支援型宿泊施設市場についてNDIS委員会と全国障害保険庁(National Disability Insurance Agency:NDIA)が十分なデータを把握していないため、両者が連携して積極的な関与を可能にすることが重要である。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.ndiscommission.gov.au/media-centre/new-report-help-improve-lives-people-who-live-group-homes

menu