[オーストラリア]障害者虐待は経済に46億ドルの損失をもたらすというレポート

2023年2月21日、障害者王立委員会(Disability Royal Commission)は、「障害者に対する暴力、虐待、ネグレクト、搾取の経済的コスト(Economic Cost of Violence, Abuse, Neglect, and Exploitation of People with Disability)」というタイトルの研究報告書を発表しました。

王立委員会(Royal Commission)は、重要な問題を調査する独立政府機関で、公聴会を開催し、証人喚問をしたりできる強力な権限を持ち、政府に勧告を行います。

障害者王立委員会は、障害者に対する暴力、ネグレクト、虐待、搾取を防ぎ、障害者の自立した生活を支援するインクルーシブな社会を促進する等のために2019年4月に設立されました。

オーストラリアの障害者人口は4,800万人(総人口の19%)で、半数は65歳以上ですが、障害者の60%が暴力、虐待、ネグレクト、搾取の被害にあった経験があり、障害児の28%がひどいいじめを経験しているとのことです。

報告書は、2021年から2022年までの統計に基づいて、障害者に対するこれらの被害がなかった場合に回避される支出を計算しました。

その結果、障害者に対する暴力、虐待、ネグレクト、搾取による経済的損失は年間46億ドル、障害者一人あたり平均9,600ドルと推定されています。

その内訳には、政府、企業、その他の制度的な問題のため、障害者が経済活動に参加する平等な機会が奪われていることや十分な医療・福祉・住宅サービス等にアクセスできていないことによる損失27億ドル、個人による虐待等による医療費の増加や生活の質の低下等による18億ドルが含まれます。

また、さらに多くの情報が利用可能になればさらにコストが高くなる可能性が高いと述べています。

政府や社会が体系的に障害者に対する暴力、虐待、ネグレクト、搾取を防ぐことができれば、これらの費用が節約できるとしています。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://disability.royalcommission.gov.au/publications/economic-cost-violence-abuse-neglect-and-exploitation-people-disability

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