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講演者への質疑応答及び会場との意見交換 (モデレーター:河村宏)

 
<司会>これから質疑応答及び意見交換のお時間とさせていただきます。モデレーターを河村が務めさせていただきます。

<河村>村田さん、大変な状況の中、ありがとうございました。これから質疑応答の時間となりますが、ご無理のない範囲でのご参加をお願いします。
 それでは、最初に講演に関する質問がある方だけ、挙手をいただけますか。お一人手が上がりましたので、お願いします。

<石井>河村さんにしつこいと思われるかも知れませんが、DAISY4で動画を期待していました。今後、どうなりますか。
<河村>EPUB3及び3.01で動画は使えると承知していますが、同期させるというところで作り込みが必要という認識ですが、村田さんいかがでしょうか。
<村田>私の勘違いでなければ、動画の話はできないです。私がFace Bookに投稿したEPUBのいろんなリソースへのリンク集があります。その中にアクセシビリティに関する部分があります。
https://docs.google.com/document/d/1nEkTH0OVTz2ONf8szXmaThKE4wmgEmpmagTXlv1wmyk/edit#heading=h.k4dduhrjpiw
サブグループの議事録が載っているページがあるんですね。
https://docs.google.com/document/d/1GcwrWIXSTfQYJlufbceK8utU8KPdOZp2wtj2T23P9hQ/edit#
その中で、videoっていうのを探してみたんですけど、なんと一か所しか出てこなくって、Support for video Media Overlays for hearing impaired: Out of scope due to limited time。video media overlaysに関しては、時間がないのでやめようということです。
<河村>要は、かなり手数を要するんですね。そこでしっかりと議論をして、提案をして、こうすればできるよということを示さないと採択されていかないんです。まだまだ努力を要するところだと思います。DAISY4の改訂のためのPublic Requestということで、世界中にDAISY4にどのような機能を盛り込んで欲しいかという照会をしたときに、その中には、スウェーデンの教育省も入っていたんですけど、その時には、EPUB4で実現することとして、高いランクに入っていたので、あきらめずにやっていきます。是非応援してください。
 それでは、これから意見交換に入りたいと思いますので、ご意見のある方は挙手をお願いいたします。

<三崎>質問に近いことになってしまいますが、電子書籍、教科書を作る際に、仕様を公募したというかヒアリングしたというような話がありましたが、その中にdeafとかdeafの団体とか難聴者とか個人とかそういう方たちの要望はどうなのかなということ。もう一つは、そういうことを実際に、ギャローデット大学で組織的にとか個人でやられている方がいらっしゃるのですが、画像データはすぐに10メガ100メガと大きなデータになってしまうので、既存のメディアに押し込むのは、かなり難しくなるかと思いますが、そういうことに関する議論はあるのかどうかということをおうかがいしたいと思います。
<村田>文科省のデジタル教科書に関する動きが初等中等教育局でなく生涯学習局でありましたよね。あれは、テクニカルな使用まで踏み込んでいます。ただし、あれはおそらく初等中等教育局はそれを採用しないんだなと私は理解しています。
<三崎>理由は何ですか?
<村田>私にも分かりませんが、とにかく、初等中等教育局は技術の細部には踏み込まないと、民間に任せますと。
<三崎>技術的なことが議論の中心になってきているんですけれど、音声で本を読むとか自閉症の方が画像で読むとかいろんなニーズがありますが、Couseraみたいなものについても字幕の代わりに手話を入れてほしいというような要望が出ているような状況で、手話をいれてアクセシビリティを高めるというような議論はないですか。
<村田>アクセシビリティに関する議論はほとんどありません。文科省のデジタル教科書に関する生涯学習局の事業で、私以外の人でアクセシビリティという言葉を一回でも言った人はいないと思います。

<吉本>視覚障害の当事者で音声デイジーを愛用をしております吉本と申します。EPUBやDAISYのSpecificationの話とか、ビューアーについてのディスカッションが中心かと思いますので、ちょっと別の側面の意見というかご質問になるかと思いますが、Speech APIについて感じることがあるので、村田先生、河村先生、もしくは会場のどなたかからご示唆をいただければと思います。
 今のSpeech APIのベースですと、現在合成音声が読み上げている箇所をビューアーからトラッキングできないと理解しております。それによりまして、ディスレクシアの方向けのEPUBやDAISYビューアーで、現在読み上げている箇所の単語や文節をダイレクトにハイライト表示することができないと私は理解しております。句読点単位や一文単位でのハイライトはできるけれども、今発話されているワンワード単位でのハイライト表示はできないと理解しています。その関係によって、私は全盲に近い視覚障害がありますけれども、合成音声のテキストデイジーを聞く際に、聞きのがしても、ワンワードだけ戻ることができない、ワンセンテンス戻らないと聞き直すことができない、逆に既知の情報だから聞き飛ばすという場合にも、ワンワード単位で聞き飛ばすことができないということがあります。
 この問題に派生して、英語のリスニングをする際に、今聞いている単語をスペルアウトして確認したいときに、今聞いている単語をビューワーに問い合わせることができない。英語を聞いていてスペルを知りたいという状況は、非常に頻度が高く現れると思います。
 原因はスピーチエンジンがどこを発話しているか、ビューワーが把握することができない、Speech APIにどこを読んでいるかトラッキングしなさいという方法が規格化されていない。スピーチエンジンにも今読んでいるところをコールバックする機能が実装されていないし、ビューワーにもそれを問い合わせる仕組みが作り込まれていないという状況だと理解しています。
 使う場合、今の単語をスペルアウトしたいとか、ワンワードだけ聞き直したいとかというニーズはある。この問題に対して、EPUBやDAISYのコンテンツのSpecificationの問題でもないし、ビューワーの作り込の問題でもない。TTSのレイヤーとOSのSpeech APIのレイヤーが未整備であるがゆえにそういった機能を作り込むことがなされていないという風にユーザーからは見える。
 今の私のニーズと、あるいは英語を学習するにあたっての教育的な課題について問題意識を持っているんですけれども、これについて、村田先生あるいは会場の皆様で、どういった解決策がありうるのか、あるいは、参考になる情報がありましたら、お聞きしたいと思います。
<河村>ありがとうございました。今の意見について、村田さん何かありますか。
<村田>一つ私が知っていることは、EPUB3.0にあったcss speechです。cueとかpauseとかrestとかspeak as voice family、そういうものを使ってcss sppechをプロパティとして導入されていたんですね。ですが、ブラウザから一切実装されていないので、3.1では全部落とすことになったんでっすよ。これに関しては、Daniel BeckとかDAISY関係者も非常に書いてますけど、残念ながらブラウザを作る人には全く興味がない。それが現状だと思います。

<河村>それに関連して、DAISYのプレーヤーではたった一つだけですけど、単語単位でハイライトして、さらにその中で文字単位でハイライトするというプレーヤーがアメリカで一つだけ出ているのを見ています。プレーヤーの実装の問題ではないかと思うのですが、シナノケンシの西澤さん、いかがでしょう。
<西澤>プレーヤーのアプリを実装した経験から申し上げますと、確かに残念ながら、規格という意味では制定されていないんですけども、すでにいくつかのTTSのエンジンがそういうコールバックの機能を持っています。
 私度の製品ではないんですけど、アメリカのBookshareから出ているRead2Goという英語の再生アプリがあって、それは私どもで開発したものなのですが、いわゆる句読点でのハイライトとword単位、分かち書きでの同期ができるようになっています。私どものリンクポケット等の製品でも実はトライはしてるんですが、残念ながら、日本語の音声合成のTTSのエンジンがそういうコールバックの機能を持ってくれているものがまだ少ないです。
 これには理由があって、ひとつは日本語の解析エンジンを搭載しないとできないということなんですが、実は音声合成というのは、日本語の解析エンジンを搭載していて、品詞とか動詞とか助詞とか分析したうえで正しいイントネーションを出すように工夫されていますので、この辺、音声合成エンジンのメーカーさんに頑張っていただければと思っているのが現状です。
 今後については、再生機、アプリの方で日本語の解析エンジンを積めば、全部自動で分かち書きをして、ご要望に応えていくことは可能かと思います。今日は、KGS社が発表されている点字ディスプレイも、日本語のかな漢字交じり文を日本語解析して分かち書きにして、点字でディスプレイしているということですので、基本的には可能な範囲の技術ですので、今後再生機のレベルでも頑張っていきたいと思います。以上です。
<河村>ありがとうございました。もう一度吉本さんに戻しますから、どうぞ。
<吉本>ありがとうございます。今の西澤さんのご説明に関してまた感じるところがあったのでコメントしたいんですけれども、再生機側が分かち書きをしてしまったうえでTTSに流してしまうと、TTSの音声合成が途切れ途切れになってしまうことはないですか。
<西澤>そのとおりです。おっしゃる通りです。なので、再生機の方でできることには限りがあります。例えば句読点で送った時にワード単位で戻りたいというご指定の時には、再生機の方で戻ってしゃべれるんですけれど、その時には、音声合成のエンジンに送る単位が分かち書きの単位になるので、自然さについていうとご指摘のとおりです。なので、理想は音声合成のエンジンが何を再生しているのかのコールバックをちゃんと分かち書きの単位で返してくれるということです。
<吉本>ユーザーの意見を最後に述べさせてください。ちょっと戻れたら、ワンワードだけ聞き直せたら便利ですよね。便利という言葉だけでは済まされない非常に重要な問題がここに内在していると感じています。それは、聞き直したいときにそのワードだけ聞き直したいというのは、学習能率への影響がとても大きいです。その一言だけを聞き直したのに、1句読点分くらい戻ってしまうというのは、学習効率を大きく下げる。
 もう1点は、日本語というのは同音異義語が非常に多い言語です。英語のスペルを確認することと同等もしくはそれ以上に、どういう漢字で表記されているかということを確認できるかできないかで非常に効率が変わります。産業分野でも法律分野でも、ありとあらゆる学習分野において、日本言語というのはどういう表記、漢字が使われているのかということをすぐに確認できることが非常に重要です。それは、今読み上げている単語が耳に聞こえてきたとき、例えば「ほしょう」といった時に、どっちの「ほしょう(保障/保証)」ですか、障害者の障ですか証明書の証ですか、どちらの漢字かということを問い合わせられるような仕組みがDAISYおよびEPUBを学習において使う場面では必要になります。
 便利とかいう問題ではなくて、学習において非常に重要なことなので、西澤さんが再生機側で努力できる部分もあるとおっしゃっているのを聞いて、そうなんだろうなと想像しますが、きちんと各TTSが分かち書きというか自然言語の形態素解析をコールバックすると、それは、OSもSpeech APIを通じて、どこがコールバックされているのかを各TTSに対して、標準ルートとしてコールバックをトラッキングできるという仕組みを整備して、先程申し上げたような、日本語で学習する際や読書をする際の効率を適切に確保してほしい、と思います。
<河村>ありがとうございました。とても切実なのに、みんなが何をどうすれば解決する問題なのかよく分からないという課題の典型例だと思います。相当大きなチームワークでやっていかないと今の問題も解決できないと思うんですけど、先ほどの動画をどのように取り込んでいくかというのと同様に、必要なことが実現しなければいけないので、今後とも力を合わせて解決の道を探っていきたいと思います。

<植村>立命館グローバルイノベーション研究機構の植村と申します。若干流れの違うコンテンツの話になるのですが、特に河村先生に対する質問になるかと思います。今日、お話の中でデジタルマスターを作成していくというお話がありましたが、その辺りについてです。
 現状のボランティアさんに依存したコンテンツ作りは、点字でもメディアオーバーレイでもマルティメディアでも、今後、人材的に楽観できる状況ではないだろうと思っておりまして、今日お話にありました出版社等を巻き込んでいくという方向に進んでいくというのが一つの案かと思います。そこで、出版社を巻き込んでいくということに関して、今後何か動きがあるのか、またどんな議論が進んでいるのかについてうかがいたいと思います。
<河村>まずは、私からとりあえずお応えしますが、村田さんも関わっていらっしゃるので後ほどご意見いただきたいと思います。今日は他にも出版界の錚々たる方がいらしているので、ご意見をうかがいたいと思いますが、私が関わっているものとしては、パイロット的に、非常に簡単にはできないけれど、やればできそうだというのは、教科書かなと思っています。レイアウトの複雑さに度肝を抜かれるというのはありますが、国が買い上げているもので、規模も毎年400億円以上あるので、ゴールを数年単位で見定めて、適切に400億円分購入する際に、どういう方向付けをするかということで、方向付けをして確実にアクセシブルなものを教科書としてすべての子供たちに提供するということを非常に明確に設定できるものだと思うんですね。
 法律で、授業には教科書を使わなければいけないと定めているわけですから、その教科書にアクセスできないというのは、国の責任ですので、すべての子供たちにどうすれば、アクセシブルなものを提供できるようになるのか、製作費を見直してきちんとゴールを目指すということをすぐには無理かもしれませんが、年次計画を立ててそこを目指すというのは、当然だと考えておりますし、技術的にも十分に見通しがつくことだと思っています。
 現に東京書籍の方がデジタル教科書のあり方に関する検討委員会の第5回目で発表をされておりまして、東京書籍としての障害者差別解消法への対応としては、生徒症のデジタル教科書をEPUBをベースにしてアクセシブルにしていくということをおっしゃっていますので、東京書籍としては、他の出版社もそうだと思いますが、その方向で目途が立つという見通しを持っておられると思います。東京書籍は、確か最大手の教科書出版社だと思いますので、他の教科書会社ができないということはないだろうと。ただ、時間的に準備期間や何らかのインセンティブが必要かと思います。最終的なゴールとしては、デジタルマスターからアクセシブルな生徒用のものを出すという風に、まず教科書からしていくということは十分可能かと思います。村田さん、出版関係の方、ご意見いただけたらと思います。
<村田>エネルギーが切れて、もう駄目です。
<河村>ありがとうございました。それでは他に出版関係のかた、何かご意見いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。(間)分かりました。またの機会にご意見いただけたらと思います。

<司会>長い時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。たくさん貴重なご意見をいただきまして、大変有意義な会になったかと思います。引き続き、日本デイジーコンソーシアムをよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。