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日本ライトハウス情報文化センター:「HyMe(ハイミー)」 紹介

久保田文(日本ライトハウス情報文化センター製作部長)

 日本ライトハウス情報文化センターの久保田と申します。
 私たちは、活字印刷された本であったり、教科書を読むことが困難な視覚障害者等のかたがたへの点字の本、それから録音図書、マルチメディアDAISY図書などを製作しています。きょうはHyMeという、この言葉はライトハウスが作りました。ハイブリッドメディアの略で、HyMeでハイミーと読んでいます。

 音訳という言葉があるんですが、ご存じない方は、音声だけで例えば活字印刷されているもの、視覚的なものを正しく的確に伝えるように肉声で読むというのが音訳の技術というものがあります。今、電子書籍が多く出版されていて、視覚障害の方もパソコンを使ったりタブレットを使ったりという方、増えてきましたので、出版された電子書籍のテキスト部分を合成音声が読み上げるようなものであれば、視覚障害の方がそれを購入し、晴眼者と同じタイミングで情報を入手することができます。
 ただ、ここで問題になってくるのが、この電子書籍時代に求められる視覚的資料の情報保障をどうしようかということなんですね。視覚的資料というのは、図であったり表であったり、グラフ、写真、絵等のこういった画像なんですけれど、このような視覚的資料は合成音声は読みません。
 そこで、読まないものというのは、視覚障害の方は見ることができませんので、どのように保障するか。今、画面にHyMeのデモのようなものを作ってきました。文字の部分と、あとは円グラフが示されています。この文字の部分は合成音声で読みますので、合成音声で読み上げさせます。円グラフになると読みませんので、ここにだけ音訳した音声解説の音声を当てているんですね。それをちょっと聞いていただきたいと思います。

(合成音声:C-) 視覚障害者の状況。

今これは、文字の部分の合成音声を使って読み上げています。

(C-) 身体障害者実態調査、かっこ平成18年7月1日現在かっこ閉じによると、18歳以上の在宅視覚障害者の総数は31万人。このうち、60歳以上が全体の70パーセントを超え、かっこ図1かっこ閉じ、高齢視覚障害者の割合が多くなっています。なお、18歳未満は4900人と推定されています。図1、年齢別に見た視覚障害者の状況。

(音訳データ=肉声:D-) 円グラフです。年齢別に、人数とパーセンテージが示されています。18歳から19歳、1000人、0.3パーセント。20歳から29歳、5000人、1.6パーセント。30歳から39歳、1万2000人、3.9パーセント。40歳から49歳、2万1000人、6.8パーセント。50歳から59歳、4万6000人、14.8パーセント。60歳から64歳、3万3000人、10.6パーセント。65歳から69歳、3万3000人、10.6パーセント。70歳以上、15万3000人、49.4パーセント。不明、6000人、1.9パーセント。総数、31万人。図、終わり。

 はい、こういう形ですね。
 これは今、単純な円グラフなので、例えば合成音声で中のテキストだけをうまく抽出して読んでいけば意味は通じるのかもしれないんですけれど、一つ大事なのは、視覚障害の方が音声だけで聞いていった場合、複雑な視覚的資料になればなるほど、読み方と間の取り方というのが重要になってきます。それによって、例えばこの円グラフの、今、『18歳から19歳、1000人、0.3パーセント、20歳から29歳、5000人、1.6パーセント、30歳から39歳』っていう形で、間の取り方が画一的になってしまうと、一体どっちが、18歳から19歳が1000人なのか、20歳から29歳が1000人なのかというの、分からないようなまとまりになってしまいますので、ここはやっぱりきちんとした音訳の技術を持った音訳ボランティアが読むというのがいいのではないかというので。
 ただ、全国的に今ボランティアの数というのが減少しているものですから、本全部を音訳するというのは時間がかかりますし、視覚障害の方に提供するのにも時間がかかってしまいます。ですので、もうあるもの、例えば出版社が出版したアクセシブルな電子書籍、そこの読まない部分ですね。視覚的な資料の部分にだけ、私たち情報提供施設がボランティアの協力の下、音声解説を当てて、正しい情報として視覚障害の方に、例えばサピエなりというような所で提供していくという仕組みがつくれればいいなと思っています。
 これには、いくら効率よく作れるようになったからといって、私たち点字図書館かボランティアの力だけでは駄目なんです。これには本当の意味での即時性ですとか正確性を提供するためには、やっぱり出版社との連携というのが必須になってくるんですね。そういった連携を取っていくのが、われわれのような点字図書館なり情報提供施設の役割かなとも思っています。

 もひとつご紹介します。
 これは放射線の種類とその性質というもので、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線はこういうものですという文字の情報があって、その下に何を透過するかというようなものが図で示されています。これちょっと複雑なんですが。

(合成音声:C-) 放射線の種類とその性質。放射線。

今これ、合成音声で読み上げていますね。

(C-) いろいろな種類がありますが、主な放射線としては、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線等があります。放射線には、物質を通り抜ける性質、かっこ透過性かっこ閉じ、があり、その透過力の強弱は放射線の種類によって異なります。セシウムからはベータ線とガンマ線が放出されます。アルファ線、除染等作業ではほとんど存在しません。ベータ線、透過力が小さいため、通常は空気やほこり等にほとんど吸収されます。ガンマ線、透過力が大きいため、除染等作業での主要な放射線となっています。中性子線、除染等作業では、ほとんど存在しません。

(C-) 図の説明。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線の透過力を示した図です。紙、アルミニウム、コンクリートや水の順に、放射線が通り抜けるかどうかで透過力を示しています。
 アルファ線は紙を透過しません。ベータ線は紙は透過しますが、アルミニウムは透過しません。ガンマ線は、紙とアルミニウムは透過しますが、コンクリートは透過しません。中性子線は、紙とアルミニウムは透過しますが、コンクリートや水は透過しません。図、終わり。

(C-) さらに、放射線が物質を透過するとき・・・。

 はい、こういった感じですね。
 このHyMeを実現するために一番いいのは、日本ライトハウスではEPUBかなと考えていまして、なのでEPUBのほうの研究と同時に、これらの視覚的資料の音訳を読むための技術力の向上ということで、音訳ボランティアの養成等にも今力を入れているところです。まだ研究段階なんですが、どこかでHyMeという言葉を聞いたら、日本ライトハウス、進んでいるのかと思って、無事にやっているのかと思っていただければと思います。ありがとうございました。


資料

音訳と合成音声の融合で実現するアクセシブルな電子書籍
 ハイブリッドメディア「HyMe(ハイミー)」とは

日本ライトハウス情報文化センター

音訳:音声だけで視覚的情報を的確に伝える肉声による読み上げ技術

視覚的資料:図(地図、系図、系統樹、流れ図、配線図、見取り図等)、表、グラフ、写真、絵等の画像

「HyMe(ハイミー)」とは:

■視覚障害者にとってのアクセシブルな電子書籍

  • 書籍の電子出版の広がり
  • 合成音声の進化、パソコン、スマートフォン、タブレットの普及による読書形態の変化
  • 電子書籍のメリット、デメリット
  • EPUB(イーパブ)の可能性

■視覚的資料の音訳(肉声)とテキスト情報の読み上げ(合成音声)のハイブリッドメディア(Hybrid Media)

  • 効率よく多くの本を提供するには
  • 全国的なボランティアの減少
  • 機械にもできること、人間にしかできないこと
  • 出版社との連携
  • 情報提供施設の役割

≪「HyMe」デモ≫

HyMeのデモ