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ディスレクシアに優しい学校を実現する 第2版 情報集

ディスレクシアに優しい学校を作る

 ここに述べた戦略は立証済みで、ディスレクシアに重点を置くことが、全ての子供の教育と学習の改善にどのようにつながるのかが示されている。

効果的な学校作りと、ディスレクシアに優しいことは、表裏一体の関係である。効果的な学校は、リーダーシップに恵まれ、職員の育成を大切にし、教育や学習の質に細心の注意を払っている。これらの学校では、能力や障害に関係なく、全ての子供を大切にしている。

学校がこのようにならないと、かなりの割合の生徒や親が疎外されてしまう危険がある。この問題は、約10%いるディスレクシアの割合よりも大きい。なぜなら、これらの対策は、読み書きのスキルが年齢に見合っていない他の生徒のためにもなるからである。極めて重要なことであるが、ディスレクシアに優しい教育を受けたときには成功する生徒が多くなり、ディスレクシアに優しい教育手法は、ディスレクシアでない子供に応用することができるが、その反対はうまくいかない。

従って、この原則を受入れたら、重要なのは、どうやってそこまでやるかである。時間、お金はあまりなく、プレッシャーは高まっている。どんどん少なくなっていく資源でより大きな成果が求められている。

第一段階

 ディスレクシアに優しい学校を作るには、学校内でディスレクシアの問題の地位を確保することが必要である。これは、学校理事や上級管理者が教育課程全体でディスレクシアの生徒を非常に熱心に支援することによって達成できる。変化をもたらし、物事を起こすのに最も効果的な方法は、学校開発計画(SDP)を通して行うことである。

私は学校で、何をやってもビリのグループにいた。 キース、57歳

重要性が増しているこの文書は、教育水準監査委員会(OFSTED)が学校の経営評価を行うときに使用する主な要素の1つである。多くの地方教育当局(LEA)は、各学校にディスレクシア専門の教師を配置することを目標に掲げていて、全ての教師がそのような専門知識を利用できることが大切である。

様々な学校や理事の委員会で方針が合意され、学校の指導部がディスレクシアに優しい学校を作る決意を固めたら、机上の計画を具体的な行動に変える学校全体の取り組みが必要である。これは、初期の懐疑的な態度の克服、包括的訓練の提供、共通の取り組み方法の策定、目標の設定、監視および評価システムの実施を意味する。例えば、新しく職員を採用する面接で選考の要素にするなど、ディスレクシアに優しいことが、学校の基本的考え方を支えているということを校長は保証する必要がある。最後に、絶対に落伍者を出さない、という学校の態度を全ての人は認識しなければならない。ディスレクシアの生徒や、成績が上がらない生徒に大いに期待をしなければならない。校長は、全ての生徒が良い成績を上げることが期待され、そうなる能力が与えられるという明確なメッセージを出し、これを理解させなければならない。

職員の懐疑的な態度に打ち勝つ

 全ての生徒の成績が全員の責任であると考えられない限り、どんな学校でもほとんど進歩はないだろう。生徒が成功することで全ての職員の評判が上がるように、生徒が失敗すれば職員の評判は下がる。ディスレクシアに優しい環境では、生徒が学習できないのはその子供のせいではなくて、教育方法の失敗、教材が悪いなどと認識される。つまり、ディスレクシアに優しい校長は、教育がうまくいかない場合、教え方を変える責任が教師にある、という取り組み方法を奨励する必要がある。言い換えると、プロの教師ならば、「あの子たちは覚えられないのだ」と言うのではなく、「別の方法でできる」と言うようにさせる。

しかし、別の方法を試すように教師を説得するのは非常に難しい場合がある。特に、教師が自分の遂行能力にストレスを感じていたり、懐疑的だったり、確信が持てない場合は難しい。ディスレクシアの子供の能力を明らかにする1つのやり方は、ディスレクシアの生徒の作文を取り上げ、ワープロで打ち直し、綴りを直すことである。うまく行けば、こうすることで、見た目の乱雑さや綴りの悪さに邪魔されずに、作品の真価を見るための助けとなるだろう。

訓練へ投資する価値

 学校全体の取り組み方法を決めるための、できれば学校のディスレクシア専門の教師が運営する訓練日を設けることで、別の方法でやることについて教師の不安を無くし、そうする能力が与えられるだろう。これは、共通の問題に対処するための、共通の取り組み方法の開発に焦点を当てて行うべきである。教育課程全体に渡り、まとめ上げるスキルと勉強のスキルを教え、読み書きのスキルを強化することで、いつも1対1の支援をしなくても、全ての年齢の、全てのレベルの能力および障害を持つ個々の生徒への支援が可能になる。これにはメモ取りや、思考の流れ図作りのようなスキルも含むことが可能である。これらは、ディスレクシアの学習者にとって特に役立つ手法である。生徒が一度これらの手法に快適さを感じたら、より長く、より速く勉強し、認識度が高まるだろう、というのが教育スタッフへのメッセージである。つまり、全ての生徒、特にディスレクシアの生徒は、より効果的に勉強できるようになる。

私は、人員整理されたときに、2年間のカレッジ・コースに進むことを決めた。指導教官から、私はディスレクシアかもしれないと言われた。 キース

結果の評価

 ディスレクシアに優しい学校は、ナショナルカリキュラム<訳注: 日本の学習指導要領にあたるもの>記述に基づいて適切な目標を設定し、生徒の進捗状況を監視し、目標が達成できないときは対処に乗り出さなければならない。目標に達しない時は、すばやく気づいて、対処しなければならない。個々の目標は、その生徒がその時にいるべきレベルではなく、現在いるレベルに基づいたものでなければならない。基本的なスキルの支援は必要かもしれないが、ほとんどの科目で能力に合ったレベルで勉強することができる優秀なディスレクシアの生徒にとって、このことは特に重要である。つまり、実際問題として、中等学校の優秀なディスレクシアの生徒は、数学、科学、情報技術ではトップクラスでも、英語では専門家の支援を受けているかもしれないということである。

できるだけ親に参加させる

 効果的なディスレクシアに優しい学校は、信頼、お互いへの尊敬、誠実さに基づき、親たちにできるだけ参加するように勧める。校長は、最初から、学校の方針は日常の言葉で書き、教育の専門家以外の人が理解できそうもないような専門用語または略語を不必要に使用しないようにしなければならない。学校はまた、親たちが地元の支援グループに連絡できるようにし、生徒の学習上の必要について両親と情報を共有するシステムを準備しなければならない。

採点と評価

 うまくいく評価技術には、ディスレクシアに優しい学校のエンパワーメント精神がこめられている。つまり、基本的なスキルの壁を克服し、生徒たちが、わかっていることや、できることを示せるような評価技術がうまくいく。

ディスレクシアの生徒は、書く課題では、安全策をとって綴れる単語ばかり使うことにより、いつも自分を過小評価している。採点・評価の全校方針により、これらの困難の克服を助け、ディスレクシアの生徒の生活の質を即座に向上させることができる。これには、以下を含んでもよい。

綴りの間違いの採点

 採点する間違いの種類を前もって決め、生徒が課題にとりかかる前に話す。例えば、Jo Pupil<訳注: 意味不明>や彼らを教える全職員に対して次のように言う事ができる。「今週は、『発音されないe』のある単語について焦点を当て、採点する。」教室の周囲に重要な単語を張り出して、生徒が必要なときに目立たないように写すことができるようにするよう教師に求めること。

自由作文の採点

 文章を書いて、同時に綴りに気を配るのはディスレクシアの生徒にとって非常に大変である。つまり、課題の性質を考えて採点する必要がある。言い換えると、綴りを重視した文章を書く課題であれば、それに従って採点する。しかし、文章の組立てや、調査の証拠を示す課題であれば、綴りは問題ではなく、ディスレクシアの生徒は内容について採点されるべきである。

これが過去の生活の大きな部分を占めていたのに、わかったのが遅すぎたことをまだ腹立たしく思い、怒りを感じている。 キース

生徒の資料や関連した質問を読む能力を試験する場合、全ての生徒がこれらを読まなければならないが、目的が生徒の理解を見ることである場合は、別の方法で試験することができる。以下は、代わりの方法の例である。

  • 質問を声に出して読みあげ、生徒が答えを書き留める。または「勉強友達」か6年生がディスレクシアの子供の答えを書いてあげる。
  • 教師が生徒たちに質問を読んでやり、口頭で答えさせて、これを採点する。
  • 質問をテープに録音し、ディスレクシアの生徒はヘッドホンを使用してこれを聞き、自分で答えを書くか、口述録音機を使って録音する。

宿題

 親と教師は、宿題の指示の記録方法および特定の課題にどのくらいの時間をかけるかについて合意する必要がある。30分の集中で、答えが3、4行にしかならないならば、これで十分であると受入れ、認める。

親と生徒の両方に、前もって試験についての通知を十分に与える必要がある。綴りの試験は妥当であるが、教師は、取捨選択によって種々の単語を集めるのではなく、パターンのある綴りの規則について1つか2つに焦点を当てる。

個別教育計画(IEP)

 学校全体の方針や教育方法で、軽度または中程度の特別な教育的ニーズのある子供への支援を増やせば、余分に助けの必要な子供の数は減るだろう。おそらく、ディスレクシア専門の教師またはSENコーディネーターと非公式の話し合いを頻繁に行うことで、小さい問題は解決するだろう。子供が練習して、技術を磨くことのできるコンピュータ・プログラムがたくさんある。少人数のグループによる教育を受ける子供が、必ずしもIEPを必要としているという意味にはならないだろう。

しかし、あまり進歩がない場合、または不満がつのっている場合、原因を調べる必要がある。生徒の4%、各教室に約1名がなんらかの形の専門的な教育を必要としている可能性がある。専門の教師または教育心理学者による特別な支援で、その子供の個別の必要に焦点を当てることができるだろう。

IEPの目的は2つある。すなわち、ディスレクシアの子供の学習障害に理解を示すこと、および、生徒が必要とする支援計画の基盤を作ることである。注意深く監視することで、ディスレクシアの子供が、与えられた支援に必ず反応を示すようにする。少し時間がたってから、選んだ戦略の効果があるかどうかが明らかになることが多い。効果が無ければ、その子供にはもっと集中的に支援を与える「速やかな対処」が必要である。

「ディスレクシアに優しい学校では、基礎的なスキルが弱くても、学力の障害にはならない」ニール・マッカイ 特別な教育コーディネーター(SENコーディネーター)、フリントシャー州ハワーデン高校

私は今、大学の最終学年で、人間性に関するテーマの本を読んでいる。
文学修士のコースに進むよう勧められている。 キース

ディスレクシアに優しい学校作りを奨励する

地方教育当局(LEA)の課題は、ディスレクシアに優しい学校を育てるために必要な資源を指導者に与え、これに焦点を当てることである。しかし実際問題として、LEAはどのようにしたら達成できるだろうか。スウォンジー市と郡では、1997年からディスレクシアに優しい教育に積極的に取り組んできた。

なぜ、ディスレクシアなのか。

 ディスレクシアは読み、綴り、書き、時には計算を学ぶ過程に影響を与える能力と障害の組み合わせたものである。ディスレクシアの人は、短期記憶、情報を順番に並べたり、処理したりすること(だれもが忙しい教室で効果的に学ばなければならない技術)が苦手な場合が多い。ディスレクシアが認識されず、教育が不適切な場合、最初は学習方法の違いだったかもしれないものが、あっという間に学習障害になってしまう。

軽度のディスレクシアが早期に明らかになり、各自に最も適した学習方法で学ぶ機会が与えられれば、特別な教育的ニーズはなくなるかもしれない。そうなれば、専門家の集中的な支援が必要な、頑固な問題を抱える生徒の数ははるかに少なくなるだろう。ディスレクシアの子供が学習するために必要な技術と戦略は教えることができる。そして、ディスレクシアの学習者にとって良いことは、全ての人に良いことである。

スウォンジーの話

 ウェールズの地方政府が再編されたときの状況は、生徒の約4%は特別な教育的ニーズ(SEN)記載書<訳注: LEAによる正式な専門家による評価と保護者の意見により作成される法的書類のこと。>を抱えていた。これは、イギリスのLEAの中でも最も高い割合だった。その中にはディスレクシアの生徒も含まれて、その数は増加していた。第3段階<参考>の支援要請は100件を超えていたが、当局のSEN支援サービスでは、ディスレクシア教育の資格を持つ教師は雇用していなかった。

<参考: “Stage 3”: 通常の学校に在籍する子どもに、特別な教育的ニーズがあるか否か、またその場合には、どのように教育的手だてを準備するかというガイドラインの実施規則には5つの段階があり、通常学校で行われる取り組みが最初の3段階で、その後の2段階が地方教育局を中心に行われる取り組み。>

ステージ1、2を経て、学校が子どもにさらなる手だてを必要と考えた場合に、学校外の専門家(地方教育局の教育心理学者やそれぞれのニーズに関する専門教師など)にこれまでの経過を示し、アドバイスを受けながら、新たな教育計画を作成し、実践する。多くの場合は、この段階で子どもの学習における困難さは軽減し、その手だての効果が確認されることが多い。しかし、もしこの段階で期待した成果が得られない場合には、次のステージ4、5と進む。ここまでの3つのステージが、通常の学校を中心とした取り組みになり、その後のステージは地方教育局を中心とした取り組みとなる。いわゆる法定評価(statutory assessment)の段階となる。

一方、ディスレクシアの子供を持つ親は、地方当局の方針と学校でのディスレクシアに対する扱いに不満を感じていた。地方の私立学校が運営するディスレクシア・ユニットへ子供を編入させるか、郡の学校の区分けからはずすように求める親までいた。個々の問題がSENの裁定委員会に続々と持ち込まれた。

明るい話としては、スウォンジーでは、改善に向けた基礎的要素となる積極的な措置もいくつかとられた。例えば、毎年行う読み書きの調査に基づいた、特別な教育的ニーズのある子供のために資金を提供するシステムが挙げられる。これは、少なくとも14%いるSEN記載書を持たない子供を対象として、追加の資金を提供するものだった。しかし、学校または親は、これでもディスレクシアの子供に対して十分だとは思っていなかった。さらに、ディスレクシアに関する実質的な現職者研修コースも行われ、多くの教師が訓練を受けたが、これは、主要な教育コースの提供機関からディスレクシアの教育専門家が集まるイギリス・ディスレクシア協会の認定委員会から認定されたものではなかった。

私は15歳の時、ほとんど読み書きができない状態で学校から去った。その後18年間、刑務所を出たり入ったりし、野宿と物乞いの生活をしていた。 ボブ・ターニー(作家で保護監察官)

新しいLEAには、全ての関係団体と協力して、スウォンジーを「学習都市・郡」として育てるという明確な決意があった。生涯学習と読み書き能力を取り巻く主要な方針は作成されつつあり、ディスレクシアに関連した問題に対処する戦略は、その両方を結びつける可能性を秘めていた。活動を軌道に載せるために、小規模の作業グループを組織して、将来の戦略を作成し、これがすぐに行動計画に繋がった。

行動計画

最初の行動計画の極めて重要な要素:

  • 「キムルー特別なニーズ行動計画(SNAP)」<訳注: “the Special Needs Action Project Cymru” 訳語不明>の地方支部を通して組織された公開会合を開催し、親の懸念に耳を傾け、ディスレクシアの子供への対応を改善するためのLEAの提案について話し合う。
  • 小学校および中等学校の校長と会合を開き、ディスレクシア問題への理解を深め、LEA戦略に対する共通の取り組み姿勢を育てる。その次に、校長との合意事項を説明し、理解を得るために、学校のSENコーディネーターとの会合を計画した。
  • 第3段階で支援サービスの専門の教師による介入後の教育支援ため、情報集を作成する。
  • BDAと協力して注目度の高い会議を開く。
  • SENサービスを再編して、学校や第3、4、5段階の生徒に支援を提供する資格のある専門家チームを作る。
  • SENの生徒のためのLEA資金を分析し、必要な場合はこれを調整して、ディスレクシアの子供に適切に提供できるようにする。
  • 現職者研修および学校を基盤とする意識高揚訓練を含む訓練構想を作成し、BDAの認定委員会にLEAのディスレクシア・コースの承認を求める。

次に何が起こったか。

 公開会合には70名を超える怒りと不満を抱えた親が出席した。LEAが本気だとは思われていなかった。校長たちも、戦略が改善に繋がるとは全然確信していなかったし、さらにSENの裁定委員会に持ち込まれるケースもあった。

最初に前向きな結果が出たのは、LEAとBDAが共同で主催した会議だった。これが、スウォンジーのディスレクシアに対する認識を高めるのに役立ち、LEAが実績を改善しようとしているという意思を公に伝えることになった。この会議はまた、改善の達成方法に関する案や指導を提供することにより、刺激の役割も果たした。特に、ディスレクシアに優しい学校という概念が定着した。

LEAのディスレクシア戦略は修正され、ディスレクシアに優しい学校の概念とはどんなことを意味するのかについて考察するため、公開討論会を行うことに決めた。「ディスレクシアに優しい学校フォーラム」には、初等および中等学校の上級管理者、特別のニーズ教育および普通学級の教師、継続教育の教師、教育心理学者、学校理事、地方のディスレクシア協会の会員が集まった。

それから、ある先生に、君はディスレクシアかもしれないと言われた。全く信じられなかった。自分はどうしようもない愚か者で、宇宙の無駄だという考えに固まっていた。 ボブ・ターネイ

彼らは「ディスレクシアに優しい教育 - 良い慣行の指針」という題の文書を作成した。これには、なぜディスレクシアに優しい学校が必要なのか、それらはどんなものか、どんな管理手順、専門家の育成、対策、習慣、資源が必要か、認定・評価・早期対応の重要性、親との協力体制の構築の概略が示されている。この指針に示された記述に合えば、その学校はディスレクシアに優しいと認められる可能性がある。

結局、LEAの新しい取り組みは、以下の重要な要素に集約される。

  • 親やボランティア組織と協力して、親や学校が受入れた明確な期待と良い慣行の指針を作る。
  • 職員の認識を高め、専門家の育成を継続する。
  • ほとんどの学校、もしかしたら全ての学校で少なくとも1人にBDA承認の訓練を行う。
  • 専門家の支援を学校に提供し、質の向上と適切な対応を確実にする。

「『特別な教育的ニーズに優しい学校』というのが理想的な表現であるが、このグループの子供を助けるための戦略の多くが、様々なニーズを抱える他の子供の学習も向上させるということを承知の上で、この文書はディスレクシアに焦点を当てている。」
「ディスレクシアに優しい教育 - 良い慣行の指針」スウォンジー市・郡

ディスレクシアに優しい学校憲章として知られるスウォンジー市・郡のLEAの良い慣行の指針には、ディスレクシアに優しい学校を奨励したい他のLEAに役立つかもしれない具体的な提案が記載されている。指針では、ディスレクシアの子供に協力する、適切な資格と経験を持つ先生が各学校にいて、全職員が全校の学校意識訓練に参加しなければならないとしている。

スウォンジー市・郡で提供しているSENのサービス

  • 小学校および中等学校の現職者向けの、意識を高めるための終日訓練、または同等の訓練を数回に分けて行う。
  • 教育学の上級研究の学位の一部として、ウェールズ大学公認のディスレクシアの子供を支援するコース。履修によりBDA認可教師の資格が認められる。受講者は、学校でのディスレクシアの生徒の教育方法を身につけ、教育課程全体における適切な戦略について助言を与えることができるようになる。LEAは、各校にそのような教師を置くよう主張している。
  • 公認の学習支援アシスタント(LSA)の訓練。
  • ディスレクシアの子供の教育を手伝う教材のデータバンク。
  • ディスレクシアの生徒に合った情報技術とソフトの助言と訓練。
  • 特定の学習障害についての学内評価の指導
  • SEN担当理事やディスレクシアに関係するグループ向けの、定評のある訓練プログラム。

今日、社会事業の学位を修了し、最初の本を発行し、2冊目に取り掛かっているところで、保護監察官の仕事を始めた。 ボブ・ターネイ

 LEAのコースで訓練を受けた教師には、自分たちの学校内で行う訓練について指導を与え、意識を高める訓練に理事も関わらせるように勧めている。

指針には、積極的な支援を行って、各教室で方針を実行しなければならない、と書かれている。LEAは、教師向けの明確に書かれた指針を支持している。ディスレクシアの生徒のニーズは、学校全体の方針に絶対に欠かせないものとして、ディスレクシアの子供が自分の弱点に対処すると同時に長所も育てられるものでなければならない。

顧問の教師は、特別な教育的ニーズのある子供や若者への対応の改善方法の評価、支援および助言を行うために学校を定期的に訪問する。これに関連して、LEAはディスレクシア憲章の実施状況を監視しようと考えている。さらに、LEAは、引き続き改善が行われるように、地方のディスレクシア協会、SNAPグループおよび学校と定期的に話をする計画もしている。親から、意識が欠けているという報告や、対応の適切性について懸念が出ている場合、LEAは調停に入ると確約している。フォーラムを作り、自由に活動させることにより採用された開放的で発達段階の取り組み方法から、ディスレクシア憲章を所有し、これに従う気持ちが生まれた。

具体的な結果の例

  • ディスレクシアの特別な教育的ニーズ記載書は1997年は40件あったが、2000年に新たに作成されたのはわずか3件だった。記載書に占めるディスレクシアの割合は14%から2%に減った。
  • ディスレクシアの子供のほとんどに、学校が対応している。スクール・アクション・プラス<参考>への要求に応じられるのは通常、学期の半分である。1997年には125件だったが、2000年にはわずか29件となった。
  • 2001年7月までに、スウォンジーの小学校と中等学校の3/4が、ディスレクシア専門の教師を雇用する。
  • 親からの苦情が大幅に減った。SENの子供の親に支持と支援を提供する地元のSNAPグループは、親の満足度が高いと報告している。
  • スウォンジーの教師の間で自信と協力レベルが高まった証拠がある。

<訳注: “School Action Plus”: 2001年6月に制定された新たな実施規則では、1994年の実施規則における学校での取り組みのステージ1から2の段階を「スクールアクション」とし、地方教育局の協力を得て、外部の専門家の支援を受ける段階を「スクール・アクション・プラス」としている。>

「学校が計画ベースでディスレクシアに優しい学校の憲章を実施した場合、教育課程全体での識字能力の向上、全生徒の識字教育の向上、個人の学習上のニーズへの認識の高まり、より多様な教育戦略の利用を含む、より広い利益があることがすぐに明らかになった。」クリフ・ウォリック SENアドバイザー スウォンジー市・郡

私は自分の障害を克服し、積極的に対処している。私は自分の可能性を実現することができるようになった。このおかげで、「あの愚かな男の子」のままではなく、幸福な人生を送っている。 ボブ・ターネイ

さらなる情報

 イギリス・ディスレクシア協会(BDA)は、特定の学習障害(ディスレクシア)のための全国的な慈善団体である。100を超える地方のディスレクシア協会が、親や専門家のための定期的な会合を主催している。BDAの法人メンバーの中には、普通の学校と協力して専門知識を共有したいと思っている専門家の学校や、教育センターが含まれている。メンバーのリストの入手、または参加を希望する場合は、BDAに連絡するか、BDAの案内書を参照のこと。

BDAの出版図書

「ディスレクシア・ハンドブック」The Dyslexia Handbook
ディスレクシアの人、その家族のための、小さい時から雇用までの情報の要約。毎年改訂。
「ディスレクシア・コンタクト」Dyslexia Contact
イギリス・ディスレクシア協会の公式雑誌。年3回発行。
「多言語を操ること、識字とディスレクシア」Multillingualism, Literacy and Dslexia
リンゼー・ピアとギャビン・リード
「ディスレクシア - 中等学校における包括教育の成功」Dyslexia - Successful Inclusion in the Secondary School
リンゼー・ピアとギャビン・リード

上記の詳細と他のBDAの出版物については、下記を参照のこと。

The British Dyslexia Association(イギリス・ディスレクシア協会)
98 London Road Reading, RG1 5AU
電話: 0118 966 2677
ウェッブサイト: www.bdadyslexia.org.uk

スコットランドの情報
Scottish Dyslexia Association(スコットランド・ディスレクシア協会)
Stirling Business Centre Wellgreen Place Stirling, FK8 2DZ
電話: 01786 446650
Eメール: Dyslexia.Scotland@Dial.Pipex.Com
ウェッブサイト: www.dyslexia.scotland.dial.pipex.com

ディスレクシア・センター
The Dyslexia Institute(ディスレクシア・インスティテュート)
133 Gresham Road, Staines, TW18 2AJ
電話: 01784 463851
Eメール:info@dyslexia-inst.org.uk
ウェッブサイト: www.dyslexiaaction.org.uk
(23の主なセンター網)

1972年設立のディスレクシア研究所は、ディスレクシアやその他の言語障害を持つ子供や成人を教育する機関の1つとして広く認められている。23の主要なセンター網と130の連絡した学習センターを通して、以下のサービスを提供している。

評価 - 公認の心理学者および資格のある教師評価者によるもの。学校、専門学校、その他の機関向けのディスレクシアの審査。

指導 - 非常にうまくいっている教育方法と教材を使った読み書き、数学、勉強のスキルの個人学習プログラム。

教師の訓練 - NLS<訳注: 国立スコットランド図書館??>など、ディスレクシアおよび読み書きの能力についての地域ベースの短期コース。ヨーク大学認定の大学院課程修了証書。1999年9月から通信教育。

The Helen Arkell Dyslexia Centre(ヘレン・アーケル・ディスレクシア・センター)
Fresham, Farnham, Surrey, GU10 3BW
電話: 01252 792400,
Eメール: generalenquiries@arkellcentre.org.uk

同センターは、初等および中等レベルの学校に対して、ディスレクシアやその他の特定の学習障害の分野で、生徒への支援および教師の育成のための幅広いサービスを提供している。教育心理学者と専門の教師による評価、話し方および言語、数学と運動神経の評価を行う。毎年の受け入れ者の選抜サービス。専門の教師を利用して、個人またはグループに対して、1対1の指導と勉強のスキルを提供。専門の教師の訓練プログラムは、利用できる中で最も柔軟なものの1つである。現在提供されているサービス・プログラムは、ディスレクシアのような学習障害を持つ生徒のニーズを認識し、理解することを目指している。学校は、様々なテーマから選び、プログラムを学校の特別なニーズに沿うように調整することができる。教師と教室の助手は専門のSpLD RSA/OCR資格<訳注: 「特定のOCRの資格」、“SpLD”=” Specific Learning Difficulties”, “RSA”=”Royal Science of Arts”, “OCR”=” Oxford, Cambridge and Royal Society of Arts”>の5段階から選ぶことができる。コースは全て、モジュール方式で、訓練は数年間におよぶ場合もある。

The Hornsby International Dyslexia Center(ホーンズビー・インターナショナル・ディスレクシア・センター)
Wye Street London SW11 2HB
電話: 020 7223 1144
Eメール:dyslexia@hornsby.co.uk
ウェブサイト: www.hornsby.co.uk

  • 教育心理学者による深い評価(そのうち1人は、言語療法士でもある)
  • 専門家の1対1の指導のための資格を持つ教官の広いネットワーク
  • 世界のどこででも短期コースを運営することもできる講師
  • 親、教師、教室の助手、言語療法士、巡回保健士などのための幅広い訓練コース

The Medway Dyslexia Centre(メドウェイ・ディスレクシア・センター)
電話: 01634 848232

Bebbington Dyslexia Centre(ベビントン・ディスレクシア・センター)
電話: 01539 433419

大学の学部は、次第に、BDAの認定委員会が承認した専門家コースを提供するようになってきている。詳細はBDAへ電話のこと。

多くの人が正しく綴れるが、良い文章を書ける人はそれほど多くないことを知った。 リンダ・ラ・プランテ(作家および劇作家)

教材
「読みの多感覚応用教授法」
A multi Sensory Teaching System for Reading
The Manchester Metropolitan University(マンチェスター・メトロポリタン大学)
Didsbury School of Education(ディズベリー教育学校)
799 Wilmslow Road,Manchester, M20 2RR
イギリス版
マイク・ジョンソン、シルビア・フィリップス、リンゼー・ビア

これは、読みの困難をかかえる生徒のいる小学校の普通クラスで使われている教材一式である。教師または教師の監視の下で学習補助の助手が渡すことができる。教育方法、目的、内容は、国家識字戦略のものと矛盾しない。特に、ディスレクシアなどの特定の学習障害を持つ生徒のために役立つ。

「積極的な読みのための道具一式」
The Active Literacy Kit
ディスレクシア研究所

入手先は
ディスレクシア研究所と
LDA
Abbeygate House, East Road, Cambridge CB1 1DB
電話: 01223 357 788

7-9歳のディスレクシアの子供を助けるためのものだが、全ての子供に仕える。「手にとってすぐに使える」教材。練習の多くには目標時間が設定されていて、子供たちがそれぞれの練習に十分に時間をかけて、読みや綴りへの自動的な反応を開発できるようになっている。これは、学習補助の助手によって使用できる。

「今日の教育: 小学校におけるディスレクシア(ビデオと小冊子)BBC(1997年)
Teaching Today Pack in the Primary School(Video and Booklet)
BBC Educational Developments(BBC教育開発)
PO Box 50, Wetherby, West Yorkshire LA23 7AZ

特定の学習障害をかかえる子供を明らかにし、理解し、実際的な支援を行うための小学校の教師向けビデオと添付された本。普通クラスの教師のための実際的な方法について説明しているビデオと、利用できる様々な技術と資料の本。BDAと協力して作成。

「タッチタイピング、読みと綴りのコンピュータ・コース」
Touch-type, Read and Spell, Computer Course
フィリップ・アレクサンドル
電話: 020 8464 1330
ウェッブサイト: www.ttrs.co.uk
綴り、読み書きの困難を持つ生徒のための、見る、聞く、話す、タッチタイピングのための多感覚応用したコンピュータを使った学習コース。教科書アルファ・トゥー・オメガに基づいたもの。

「特定の学習障害 / ディスレクシア: 授業の識字戦略」
Specific Learning Difficulties/ Dyslexia: Literacy Strategies for the Classroom
バージニア・ヴィヴィアン
クロイドン識字能力支援センター
SENSS
電話: 020 8656 6551
実際的な助言が書かれたA4サイズの用紙を集めたもの。それぞれ、ディスレクシアの1分野に焦点を当てている。


「アルファ・トゥー・オメガ」(1999年、第5版)
Alpha to Omega(1995 5th edition)
ホーンズビー・Bとシア・F
ハイネマン教育ブックス

「教室でのディスレクシアの毎日」(新版、1997年)
Day to Day Dyslexia in the Classroom

ポラック・Jおよびウォラー・E
ラウトレッジ

「成績を上げる」(1995年)
(ティーンエージャー向けの勉強のスキル)」
Get Better Grades (1995)
Study Skills for teenagers
アグニュー・M、バーロウ・S、パスカル・L、スキッドモア・S
ピカデリー・プレス

「ディスレクシア、親のための生き残りのためのガイド、勉強のスキル - 生徒のための生き残りのためのガイド」
Dyslexia, A Parent Survival Guide Study Skills - A Pupil’s survival Guide
クリスティーン・オスラー
アンモナイト・ブックス

「特定の学習障害の解決策」(新版、2001年4月)
Solutions - for Specific Learning Difficulties(new edition April 2001)
ジャン・ポウスティー
ネクスト・ジェネレーション

「ディスレクシアの見つけ方、対処のしかた」(1997年)
How to Detect and Manage Dyslexia (1997)
フィラミーナ・オット
ハイネマン社

「ディスレクシアのための数学 - 教育の手引き」第2版(1998年)
Mathematics for Dyslexics - A Teaching Handbook, 2nd edition(1998)
チン・Sとアッシュクロフト・J・R
Whurr出版社

「足し算や引き算ができない時どうするか」(1999年)
What To Do When You Can’t Add Or Sbstracu(1999)
「掛け算の九九が覚えられない時どうするか」(1996年)
What To Do When You Can’t Learn Your Times Tables(1996)
(CD-ROMもあり)
スティーブ・チン
エゴン出版社

「ディスレクシアのための数学 - 実際的な指針」(1998年)
Maths for the Dyslexic - a practical guide(1998)
アン・ヘンダーソン
フルトン社

「進歩する」(第5版、2001年)
「成功への道を設計する」
Get ahead(5th edition 2001)
May your way to success
ヴァンダ・ノース
トニー・ブザン

「進歩する」(ビデオ、1992年)
Get Ahead(video 1992)
ラーナ・イスラエル
The Buzan Organisation(ブザン・オーガニゼーション)
54 Parkstone Road
Poole, Dorset, BH15 2PX

「コンピュータに期待する」(2000年)
Count on Your Computer(2000)
ダイ・ハイレッジ
BDA/SENマーケティング社

「情報通信技術を読むために書く」
“Write to Read ICT”
ビクトリア・クレベリ
BDA/SENマーケティング社

ディスレクシア専門の書籍販売業者

Better Books
電話: 01384 253276

SENMarketing
電話: 01924 871697

ディスレクシアは無くならない。大切なのは、自分が照準を合わせた目標の達成をディスレクシアという障害に邪魔させないようにすることである。 リンダ・ラ・プラント

出版情報

地方教育当局(LEA)アドバイザー
クリフ・ウォリック

助言する教師
エリザベス・ヘンダーソン
ニール・マッカイ
ウエンディ・メレディス
イアン・シンプソン
バージニア・ビビアン
ペアレント・パートナーシップ
クリスティン・エンジェル

本文
リン・ピアス

写真: イアン・スマイズおよびマシュー・ジャコブソン
マシューはディスレクシアである

挿絵: ケルヴィン・フィリップス
テクノロジーの教師 - 彼もディスレクシアである。

デザイン: マット・ウッドとトレバー・ジャクソン
彼らもディスレクシアである。

印刷管理: イアン・スマイズ
Ibis Creative consultants Ltd.
34 Collingwood Road
Sutton SM1 2RZ
電話: 0208 770 0888

イギリス・ディスレクシア協会
98 London Road
Reading
Berkshire
RG1 5AU
電話: 管理 0118 966 2677
電話: ヘルプライン 0118 966 8271
ファックス 0118 935 1927

一般的な問い合わせ
info@dyslexiahelp-bda.demon.co.uk

管理部宛て
admin@bda-dyslexia.demon.co.uk

ウェブサイト
http://www.bda-dyslexia.org.uk/

イギリス・ディスレクシア協会は、教育雇用省に対し、補助金をいただいたことに感謝の意を表す。このおかげで、この情報集の発行が可能となった。

BDAは有限責任保証会社である。
イングランドの登記番号1830587
公認慈善事業番号289243

第2版
2001年