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8 SIDORの課題と特徴

8 SIDORは、ある一つの共通点を持つ、幅広いターゲットグループと読者を対象とした新聞です。その共通点とは、世界の出来事についての情報を得るために、従来の新聞に頼ることができないということです。このような人たちは、読みやすく、わかりやすい新聞を必要としています。

スウェーデン議会が定めた8 SIDORの定款では、この新聞は、知的な障害や課題を抱える人々に対する特別な配慮を持って編集されなければならないと明確に規定しています。
従って、8 SIDORで使用されている新聞用語は、特にこのターゲットグループに合わせて考案されたモデルとなっています。それがかえって良いとされているのです。
8 SIDORで使用されている言語の原則は数多くあげられますが、それらには重要な利点が一つあります。それは、一貫性を備えているということです。
読者は次に何が書かれているのかを予測できます。
もし読みやすい言葉のおかげで、読者が読む意欲を失わずにすむなら、それは他のターゲットグループにも有効であると思われます。

知的障害がある読者のために文章を書くのは難しいことです。
心に留めておかなければならないことがたくさんあります。

  • 読者は読むことすらできない可能性があります。執筆者は、テキストの流暢さとリズムを考慮し、朗読しやすくしなければなりません。
  • 複雑な言葉や文は、シンプルでわかりやすい言葉や文に置き換えなければなりません。(あるいは説明を加えなければなりません。)
  • 説明は、ほとんどそれとわからないようにしなければなりません。記者が教師であるかのような印象を読者が受けた場合、新聞らしさがすべて失われてしまいます。読者に劣等感を持たせないように気をつけなければなりません。
  • 目新しい言葉や表現は避けるか、説明を加えなければなりません。
  • 外来語は、正しく区別して使用しなければなりません。
  • 2つ以上の意味を持つ言葉や、同音異義語を使用するときは注意しなければなりません。
  • オーストラリアは大陸であるとか、リスボンは都市であるとか、アルジェリア人は民族であるなど、説明が必要な場合が多くあります。
  • 文章を書くときは、具体的に書くよう細心の注意を払う必要があります。「失業者」は抽象的な言葉です。「仕事がない人々」の方がわかりやすいです。
  • 難しい分類名は避けます。たとえば「家畜」という言葉は、「牛など」と書いた方がよいでしょう。
  • 記事の時間的な流れを考える必要があります。ジャーナリスト的な「ニュースを最初にもってくる」という方法が一番良いわけではありません。記事の後の方で、時間を逆戻らなければならない場合、読者が混乱する可能性があります。
  • 長く複雑な文は避けます。
  • 数字、量、年、パーセントなどは、読者にとって理解しにくい場合が多いです。
  • 受動態(その装置はXXによって発明された)は避けるべきです。能動態のフレーズ(XXがその装置を発明した)の方が良いでしょう。
  • 直喩、ことわざ、美辞麗句は避けるべきです。抽象的すぎます。
  • 否定表現の使用は慎重にし、二重否定は決して使用してはいけません。 (The government is nothing if not strong. 直訳:その政府はもし強力でないなら価値がない。意訳:その政府は非常に強力である。)
  • 業界用語、ジャーナリズム用語、政治用語、技術用語などは避けます。
  • 地域特有の表現や方言は避けます。
  • 俗語は避けます。
  • 型にはまった見出し用語は避けます。より事実に即した表現をし、スペースの節約や簡潔化に知恵を絞らない方がよいでしょう。
  • 最も緊急のテーマだけを扱うよう、記事を限定します。
  • 短い記事を書き、見出しと写真と本文とが、互いに一貫性を持つように十分注意を払います。
  • 駄じゃれ、象徴、修辞疑問文などは避けます。
  • 楽しませることを目的としているときは、慎重にします。面白くすることは、おそらくこの手の新聞では最も難しいことでしょう。
  • 戦争などの恐ろしい内容を書く場合は、それがすぐ隣で起こっているわけではないということを必ず指摘します。
  • 同時に、過保護にすることも避けます。難しいテーマや恐ろしいテーマを書くことは重要ですから。
  • 短い記事を書きます。
  • 読者を子ども扱いする失敗は犯してはなりません。その罠に陥りやすいのですが、読者に対する敬意をもって書いてください。