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2007年IBBY障害児図書推薦リスト

障害児者を描いた図書

32.『Shab bekhayr farmandeh(おやすみなさい、司令官)』
文:Akbarpour, Ahmad
絵:Zahedi, Morteza
出版社:Unicef Publications Unit(テヘラン、イラン)
出版年:2004年
ISBN 964-6513-94-8 22ページ
「おやすみなさい、司令官」の写真
「おやすみなさい、司令官」の写真
これは、戦争が原因で生じた障害とその影響についての話です。少年は爆撃で母親を亡くし、また自分の片足も失いました。復讐心に満ちた少年は、自分の部屋の中に、自分を司令官にして戦争の場面を再現します。進軍するに従い、少年は敵の司令官と一対一で対決することになりますが、敵もまた、母親と片足を失い、復讐のために戦争に参加した少年だったと知るのでした。少年は停戦を命じ、敵の司令官と友だちになります。


33.『Palabras de pan(パンとことば)』
作:Álvarez, Blanca
出版社:Edelvives(ザラゴーザ、スペイン)
出版年:2005年 
ISBN 84-263-5919-1 161ページ

スペイン市民戦争の後、軍は政府に反抗する反乱軍を追跡しました。反乱軍の一人は、ある小さな村の近くの森を抜けて逃亡しようとします。戦争で自分が失ったすべてのものを思い嘆き悲しんでいるとき、反乱軍の男は、一人の少女が牛を連れて歩いているのを見つけ、彼女の目が見えないことに気づきます。

ゆっくりと、そして慎重に、男は少女に近づき、話をする代わりにパンをくれないかと頼みます。少しずつ、二人の関係は深まっていきます。用心のために、少女のおじいさんが遠くから後をついてきていました。おじいさんは、孫と逃亡者が、お互いが本当は何者なのかに気づく場面を目の当たりにします。二人は、父と娘だったのです。これは愛と家族、そして何を理想として戦うかについての美しい物語です。


34.『Wish(祈り)』
作:Arena, Felice
出版社: Penguin Group (キャンバーウェル、ビクトリア州 オーストラリア)
出版年:2005年 
ISBN 0-14-330212-4 121ページ

セブのお母さんはがんを患っています。セブは、お母さんを治すにはたった一つしか方法がないと信じています。それは、頭上を飛行機が飛んでいるとき、それに向かって手をたたいてお祈りすることです。ただし、全部で百の飛行機に向かってお祈りをしなければなりません。問題は、セブが田舎の農場に住んでいて、飛行機が頭上を飛ぶことはあまりないということです。セブは家を出て飛行場へ行く決心をします。そこでセブは新しい友だちを見つけ、一生に一度の冒険をします。けれどもセブは、手遅れにならないうちにすべてのお祈りをすることができるのでしょうか?


35.『Funny business :Can’t you take a joke?(お笑いの世界:冗談を笑ってくれませんか?)』
作:Barlow, Steve/Skidmore, Steve
出版社:Barrington Stoke(エジンバラ、スコットランド)
出版年: 2006年 
ISBN 1-842993-74-7 53ページ

ベンはコメディアンとして舞台に立ちたいと考えています。ただし、ベンは車椅子にすわらなければなりません。ベンはこれまでずっとからかわれてきたので、誰かを傷つけるような冗談は言いたくありません。そこで、ほかにみんなを笑わせる方法があるかどうか考えました。そして、自分自身のことをネタにして、周りの人を笑わせることにしたのです!「コメディは苦しみから生まれるっていうでしょ。それが本当なら、ぼくのネタは絶対尽きることはないさ!」


36.『Finding Grace(グレースを見つけに)』
作:Brugman, Alyssa
出版社:Allen & Unwin(ニューサウスウェールズ州 クロウズネスト オーストラリア)
出版年:2006年 
ISBN 1-74114-932-0 204ページ

十八歳のレイチェルは、学校を卒業したばかりですが、自分は何でも知っていると思っています。レイチェルは、脳に損傷を受けたグレースという女性を、住み込みで世話する仕事を始めます。最初はグレースのことを物か人形のように冷淡に扱っていたレイチェルでしたが、次第にグレースを受け入れ、思いやるようになり、そしてグレースについてできるだけ多くのことを知りたいという気持ちがわいてきます。グレースを友人のように扱うことによって、レイチェルは自分自身のアイデンティティをも見つけるのです。


37.『Listos, cámara, acción(位置について、よーい、ドン)』
文:Burr, Claudia/Piñó, Ana 
写真:Saavedra, Maite
出版社:Ediciones Tecolote(メキシコシティ、メキシコ)
出版年:2005年 
ISBN 970-9718-00-2 43ページ
「位置について、よーい、ドン」の写真
この本は、幼稚園に通う子どもが、違うことや知らないことに直面する際の恐怖を減らすために使うことができます。簡単な言葉と短い文章で書かれており、また、はっきりとした、わかりやすい白黒写真が使われています。この本は、特別なニーズのある子どもの統合は、すべての人のニーズに合わせて調整することができる、優しい、柔軟な環境において可能であるということを示しています。


38.『The hangashore(ハンガショア)』
文・絵:Butler, Geoff
出版社:Tundra Books(トロント、カナダ) 
出版年:1998年 
ISBN 0-88776-444-4 30ページ
「ハンガショア」の写真
「ハンガショア」とは、ニューファンドランド語で、役に立たない人とも同情される人ともいえるような人をいいます。戦争が終わる頃、小さな漁村に横柄な判事がやってきます。判事の思いあがった行動は、すぐにダウン症の青年ジョンの行動と衝突します。ジョンは、肩書きを理解せず、また、気にかけることもせず、周りの人をその行動で判断するからです。海での悲劇に近い出来事を通じ、判事は、ハンガショアはどんな形をとることもあると知るのでした。


39.『Igor(イゴール)』
作:Ciwoniuk, Barbara
出版社:TELBIT(ワルシャワ、ポーランド)
出版年:2005年 
ISBN 83-88109-56-1 143ページ

これはイゴールの日記です。読者はこれから中学に入学するイゴールに出会います。この本で一番重要なのは、イゴールがディスレクシアに苦しんでいることです。けれども、それはこの本のメインテーマではありません。この本の中心となっているメッセージは、人は障害と闘いながらも、豊かで面白い人生を送ることができるということです。ディスレクシアについて、作者は温かく、楽観的な態度で語っており、このごく一般的な学習障害についての考え方を、前向きに変えていく上で役に立っています。


40.『Rainbows in the dark(暗闇の中の虹)』
文:Coates, Jan
絵:Priestley, Alice
出版社:Second Story Press (トロント、カナダ)
出版年:2006年 
ISBN 1-896764-95-9 24ページ
「暗闇の中の虹」の写真
アビーは洋服のリサイクルショップでお母さんを待っている間、退屈してしまいます。そこに、犬を連れた若い女の人が入ってきます。アビーはその女性に、この店には犬を連れて入ってはいけないのだと説明しますが、女性は、その犬は仕事をしているのだと答えます。そして、犬は女性が安全に動き回るのを助けてはくれるけれども、色は全然わからないので、とても特別な日のための服を何枚か選ぶのを、アビーに手伝ってもらえないかと頼みます。アビーのおかげで、ジョアンナのためのすばらしくカラフルな服がすぐに見つかりました。ジョアンナは、助けてくれた感謝の気持ちをこめて、新しい友だちアビーとお母さんに、コンサートのチケットを二枚プレゼントします。リサイタルでジョアンナを見たとき、アビーはなんて驚いたでしょう!アビーが選ぶのを手伝ってあげた服を、ジョアンナが着ていたのです!ジョアンナの音楽と魔法のプレゼントによって、物語は完璧な結末を迎え、そして虹の夢を追い求めても何も悪いことはないのだということが証明されます。


41.『Óyeme con los ojos (あなたの目でぼくの言うことを聞いてください)』
文:Díaz, Gloria Cecilia
絵:Lucini, Chata
出版社: Anaya (マドリッド、スペイン) 
出版年2000年 
ISBN 84-207-4403-4 83ページ
ブックスープシリーズ

ホレイショーはとても幼いころに事故にあって以来、音のない世界で暮らしています。毎日、通りの向かいにある、正面に石の彫刻が施された、楕円形の窓があるマンションを見ながら、ホレイショーはそこに住んでいる、決して外出しない女の人のことを不思議に思っていました。ある日、好奇心に負けて、ホレイショーは開いているドアから忍び込みます。


42.『Brothers and sisters(兄弟姉妹)』
文・写真:Dwight, Laura 
出版社: Star Bright Books (ニューヨーク ロングアイランドシティ、アメリカ)
出版年:2005年 
ISBN 1-887734-80-5 40ページ
「兄弟姉妹」の写真
この本は、兄弟姉妹の一人または何人かに障害がある、六家族の肖像写真です。多くの兄弟姉妹のように、この子どもたちも一緒に遊び、お互いに競い合い、ほんの少し口げんかをし、そしてお互いに助け合います。写真は本物で、感傷的ではありません。作者/写真家は、それぞれの肖像写真に多くを語らせ、感性を刺激することに成功しました。用語解説と参考資料が巻末についています。


43.『Looking for X( Xをさがして)』
作:Ellis, Deborah
出版社:Allen & Unwin(ニューサウスウェールズ州 クロウズネスト オーストラリア)
出版年:2003年 
ISBN 1-74114-127-3 122ページ

幼いカイバー(自分の本当の名前は口に出せないほどひどいと考えている女の子)は、お母さんと自閉症の双子の弟たちと一緒にトロントで暮らしており、大人になったら探検家になりたいと思っています。カイバーが住む家の近所は危険なので、カイバーは冒険についてはすでにたくさんのことを知っています。ソーシャルワーカーが双子をトロントから遠く離れたグループホームに入れることを決めたとき、カイバーの小さな家庭に危機が迫ります。そのとき、傷つきやすい、けれども、強い女の子、カイバーは、本当の探検家にならざるを得なくなるのです。


44.『Al Sondok(箱)』
文:Farah, Amal 
絵:Camps, Gustavo
出版社:Nahdet Misr(ギザ、エジプト)
出版年:2004年 
ISBN 977-14-2961-2 20ページ

この世界は、いろいろな楽しいことがいっぱい詰まった箱です。幼いマーラムは、闇の世界で暮らしていますが、その闇が自分の想像力や笑い、遊びや考えを妨げることはないとわかっています。けれどもマーラムの弟はこのことを知りません。そして暗闇を恐れています。もし光が消えてしまって闇に取り囲まれてしまったらどうなるのだろうか、と。この本にはテキストの音声CDがついています。


45.『Butterflies(蝶)』
作:Gervay, Susanne
出版社:Angus & Robertson(ニューサウスウェールズ州 シドニー、オーストラリア)
出版年:2001年 
ISBN 0-207-19850-0 247ページ

よちよち歩きの子どもの頃、キャサリンはつまずいて暖炉の中に入ってしまい、ひどいやけどを負いました。15年間、手術とつらい皮膚移植を繰り返してきましたが、キャサリンは、今、母親の愛に満ちた、けれどもほとんど息の詰まるような保護から逃れようとしています。キャサリンは、キャサリンとして生きられるようになりたい、そして自分自身で道を選び始めたいのです。周りの人に自分を、単なるやけどの犠牲者とか、病院の患者ではなく、キャサリンとして見てほしいのです。キャサリンは、献身、愛、そして信頼という基本的な価値観が、自分の肌の手触りよりも重要であることを理解するようになります。キャサリンのメッセージは、「自分が変えられることは変える。でも、ありのままの自分を受け入れる」ということです。


46.『¿Cómo dicen mamá las jirafas? (キリンはママをなんとよぶの?)』
文:Stehr, Gérald 
絵:Glasauer, Willi
訳:Cristina Urrutia, María Luisa Valdivia Dounce 
出版社:Ediciones Tecolote (メキシコシティ、メキシコ)
出版年:2005年 
ISBN 968-7381-99-X 35ページ
「キリンはママをなんとよぶの?」の写真
「キリンはママをなんとよぶの?」の写真
サバンナの学校の先生が出欠をとると、声の出せない小さなキリン以外、動物たちは皆返事をします。動物たちはキリンのことを心配して、カエルやカナリア、そして最後にはライオンに、自分たちの友だちがせめて「ママ」といえるように、教えてやってほしいと頼みます。けれども、小さなキリンは、コミュニケーションにはほかの方法があるということを、動物たちに示してくれます。それはたとえば、親密なスキンシップです。


47.『Lily and the mixed-up letters(リリーとぐちゃぐちゃ文字)』
文:Hodge, Deborah
絵:Brassard, France
出版社: Tundra Books(トロント、カナダ)
出版年:2007年 
ISBN 978-0-88776-757-9 32ページ
「リリーとぐちゃぐちゃ文字」の写真
リリーは小学校2年生です。リリーはすばらしい絵を描くのですが、読むのが苦手です。リリーが読もうとするといつも、文字が上下に跳び跳ねだして、みんなぐちゃぐちゃになってしまうのです。理解のある教師に恵まれ、リリーは友だちに助けてもらい、そして一生懸命努力した結果、ついに自分が抱える困難を克服します。柔らかなタッチの写実的な絵で、恐れ、低い自尊心、そしてリリーが最終的に経験する幸福感を描いています。


48.『Nathan’s wish(ネイサンの願い)』
文:Lears, Laurie 
絵:Schuett, Stacey 
出版社:Albert Whitman(モートングローブ イリノイ州、アメリカ)
出版年:2005年 
ISBN 0-8075-7101-6 30ページ
「ネイサンの願い」の写真
ネイサンは、移動に車椅子か歩行器具が必要な、脳性まひの男の子です。ネイサンはほかの人たちを助けたいと考えていますが、自分がしてあげられることはほんの少ししかないような気持ちになることがよくあります。ネイサンの近所に住むサンディさんは、猛禽類のリハビリテーターです。サンディさんが羽を折ったアメリカオオコノハズクを保護したとき、ネイサンにはこの大きな鳥がどんな想いでいるのかがわかりました。この鳥は二度と再び飛ぶことはできません。でも、しばらくすれば、人生の別の目的を見つけるでしょう。このことに刺激されて、ネイサンは自分自身の状況を考え直し、ほかの人たちを助ける方法を見つけます。この本には、脳性まひに関する情報を載せた資料が一枚ついています。


49.『Kathrin spricht mit den Augen(目で話すキャサリン)』
文:Lemler, Kathrin/Gemmel, Stefan
出版社:Edition Zweihorn (ノイライヒェナウ、ドイツ)
出版年:2005年 
ISBN 3-935265-21-2 41ページ
「目で話すキャサリン」の写真
十歳のキャサリンが、脳性まひとともに過ごしてきた自分の人生について語ります。キャサリンは話をすることはできませんが、言いたいことはたくさんあるのです!キャサリンは、自分が伝えたい言葉をつづるために、文字のボードを使い、文字を指差さなければなりません。キャサリンのモットーは、「しゃべれないことよりも笑えないことの方が、つらい」ということです。そしてキャサリンの最大の望みは、自分を理解してくれる友だちを見つけることです。
作者のStefan Gemmelは、かつてキャサリンの学校で働いていました。そこで二人は友だちになり、一緒にこの本を書きました。八年後、読者はキャサリンと作者Stefanに再会します。キャサリンは今では車椅子に備え付けのランゲージコンピュータを使っています。そして国際AAC学会(International Society for Augmentative and Alternative Communication)に参加し、多くの友人を得て、大学を卒業しようとしています。この本は読みやすく、たくさんの私的な写真とともに、国際AAC学会に関する情報も載せています。


50.『盲導犬アンドリューの一日』
文:松井進 
絵:鈴木びんこ
出版社:ポトス出版(東京、日本) 
出版社:2002年 
ISBN 4-901979-00-0 27ページ

マルチメディアDAISY版 ポトス出版
音訳版(朗読テープ)  ㈱音訳サービス・J
点訳版 ㈲オフィスリエゾン
大活字版 視覚障害者読書支援協会(現在は絶版)
FDブック版 ㈲グーテンベルク21
電子絵本(ドットブック版)ポトス出版
「盲導犬アンドリューの一日」の写真
アンドリューは視覚障害がある作者の盲導犬で、これはアンドリューの日記です。アンドリューは、自分の一日をとてもユーモラスに、わかりやすく、読者に語っています。この本は出版と同時に、他の七種類の媒体でも発行されました。この本についてのさらに詳しい情報は、このカタログの「特別なニーズのある子どものためのさまざまなアプローチをとり入れた十二冊の本」の最後の部分に書かれています。


51.『Martes bok(マルテの本)』
文:Mohlin, Mie/Medhus, Magne 
絵:Hodnefjeld, Hilde/Mohlin, Marie/Grytå, Sissel 
出版社:Omnipax(オスロ、ノルウェー)  
出版年:2005年 
ISBN 82-530-2845-8 108ページ

マルテは高機能自閉症の少女です。夏の間、マルテはいとこたちと別荘で一週間を過ごします。それは楽しいのですが、少し恐ろしくもあります。読者は、マルテが見知らぬ場所でどのようにさまざまな困難に対処していくかを知ります。幸運にもマルテは、ストレスを感じて一人で静かに過ごす時間が必要なときはいつも、自分の気持ちを表現することができます。この読みやすい本は、高機能自閉症とアスペルガー症候群に関する三冊のシリーズのうちの一冊です。このシリーズには他に、成人向けのノンフィクションと子供向けの読みやすいノンフィクションとがあります。


52.『Zoom! (ビューン!)』
文:Munsch, Robert 
絵:Martchenko, Michael
出版社:Scholastic Canada(トロント、カナダ) 
出版年:2006年 
ISBN 0-439-18774-5 28ページ
車椅子の本シリーズ
「ビューン!」の写真
ローレッタには新しい車椅子が必要です。そこで、お母さんがいろいろな型の車椅子を試すことができる車椅子の店に連れて行ってくれました。ローレッタは、本当に速く走る車椅子がほしいのです。そこでいくつか試してみますが、どれも気に入りません。けれどもついに自分が求めていた車椅子を見つけます。それは92段変速のオフロード車椅子です!道でその車椅子を試しているとき、ローレッタはスピード違反の切符を切られてしまい、車椅子を店に返さなければならなくなります。けれども、お兄さんを急いで病院に連れて行かなければならないという事件があってからは、この車椅子を使ってよいことになりました。この愉快な話は、実在するローレッタのために書かれました。


53.『Frida et Kahlo(フリーダとカーロ)』
作:Nicolas, Sylvie
出版社:Le Loup de Gouttiere(ケベック、カナダ) 
出版年:2000年 
ISBN 2-89529-013-X 58ページ
小さな狼シリーズ

フリーダは長い間熱がありましたが、ゆっくりと回復しています。フリーダの足は弱っており、お父さんとお母さんはフリーダが時間をつぶすことができるよう、クレヨンと紙をくれます。フリーダのスケッチブックは日記になり、フリーダは奇妙な動物や魚、顔を描きます。そしてよく、「これがわたし」と書き込みます。ある日、フリーダは、素敵な色がいっぱいの、不思議な場所へと続く想像の世界の扉を開き、そこでカーロと呼ばれている別の少女に出会います。子どもの世界をめぐるこの旅は、メキシコの画家フリーダ・カーロの日記に触発されています。


54.『I can, can you? (ほら、できるよ。きみは?)』
文・写真:Pitzer, Marjorie W. 
出版社:Woodbine House Inc.(ベセスダ メリーランド州、アメリカ) 
出版年:2004年 
ISBN 1-890627-57-7 16ページ

この小さなボードブックの写真集では、ダウン症の赤ちゃんや子どもたちが、さまざまな活動に参加し、自分たちができることを見せてくれる様子が描かれています。簡単な文章が繰り返され、鮮明な写真に説明を加えており、また、大人の読者と子どもがコミュニケーションをとるのにも役立っています。


55.『The crazy man(クレイジーマン)』
作:Porter, Pamela
出版社:Groundwood Books(トロント、カナダ)  
出版年:2005年 
ISBN 0-88899-695-0 214ページ

11歳のエマラインは農作業中の事故で大怪我をしました。トラクターのディスクロータリーに足を轢かれたのです。エマラインのお父さんは、罪の意識に耐えられず、家族のもとを去ります。大草原に広がる農場に作物の種をまき、収穫するのを手伝ってもらうために、お母さんは近くの精神病院の患者、アンガスを雇います。1960年代、社会は、未知のものへの恐れからくる心の狭さから、このような人に対して不寛容であったり、残酷でさえあったりしました。にもかかわらず、エマラインとアンガスはゆっくりと、寛容と喜びへの道を見つけていきます。この子ども向けの希望と癒しの物語は、簡潔な、しかし、力強い自由詩によって語られています。


56.『Private and confidential(ないしょの手紙)』
文:Ripley, Marion
絵:Backhouse, Colin
出版社:Frances Lincoln (ロンドン、イギリス) 
出版年:2003年 
ISBN 0-7112-2097-2 22ページ

ローラは、オーストラリアの新しいペンフレンドから初めて手紙をもらって、とてもわくわくしています。しばらくしてローラは、この友だちの目が見えず、入院していることを知ります。さあどうしたら、二人はペンフレンドでいられるでしょう?ローラは点字を習う決心をします。そうすれば、友だちにお見舞いのカードを送れるからです。そして二人はすぐに、ほかの人には読めない、ないしょの手紙をやりとりするようになります。この本は、障害があることは友情の妨げにはならないということを子どもたちに教えてくれます。本には、点字のアルファベットについての情報と、点字の見本がついています。


57.『¿Lees un libro conmigo? (ぼくと一緒に本を読んで)』
文:Schimel, Lawrence
絵:Pérez, Sara Rojo
出版社:Panamericana Editorial(ボゴタ、コロンビア)
出版年:2005年 
ISBN 958-30-1913-5 31ページ
「ぼくと一緒に本を読んで」の写真
アントニオは本の読み方は知っているのですが、誰かと一緒にお気に入りの本を読みたいと思いました。そこでお母さんを誘いましたが、お母さんは忙しく、「今晩一緒に読みましょうね。」と約束してくれました。アントニオはパン屋さん、果物売りの女の人、郵便屋さん、そのほか道で出会うあらゆる人を誘いましたが、誰もアントニオのために時間を取ってくれる人はいませんでした。すると、道の向こうに住んでいる目が見えない男の人が、自分も一緒に過ごしてくれる人が誰もいないのだが、できたらアントニオが自分に話をしてはくれないか、と言いました。アントニオは喜んで本を開き、読み始めました。


58.『From Charlie’s point of view(チャーリーの推理)』
作:Scrimger, Richard
出版社:Tundra Books(トロント、カナダ)  
出版年:2005年 
ISBN 0-88776-679-X 278ページ

チャーリーのお父さんは銀行強盗の罪に問われています。チャーリーは、お父さんは無実だと知っていますが、警察はチャーリーのお父さんがストッキング強盗だと確信しているのです。チャーリーは、おもに聴覚、触覚、嗅覚、そして想像力に頼って推理します。友だちと一緒に、チャーリーは謎を解こうと決心し、そのために、墓地に隠れたり、古い金庫にもぐりこんだりします。


59.『Sam-geori Jeom-bang(三つ角の店)』
文:Seon, An-na 
絵:Goh, Gwang-sam
出版社:Nurimbo Publishing(キョンギド、韓国)
2005年 111ページ

ブッテウルには生まれつき障害があります。両足が普通の人のように発達しなかったので、両手と両ひざを使って歩かなければなりません。大人になるにつれて、自分の障害についてさらによくわかるようになりましたが、お母さんはブッテウルに、世の中の人は皆お互いに違っているのだと話して、自信を持たせ、励ましました。勉強は決してよくできませんでしたが、実生活で必要な能力はあったので、ブッテウルはお母さんを助けるために修理店を開きました。お母さんが亡くなってからは、ブッテウルはほかの人を助けることに人生を捧げました。この話のすばらしい点は、これが単なる障害の克服に関する話ではないというところです。ブッテウルは、自分の障害は自分の数多くの個性の中の一つに過ぎないと考えており、「普通の」人のように生活し、働きます。


60.『Ppibi eyagi(ピビの話)』
文・絵:Song, Jin-heon 
出版社:Changbi Publishers(キョンギド、韓国)  
出版年:2003年 
ISBN 89-364-5402-1 40ページ
ピビの話」の写真
この絵本は、作者の子ども時代の思い出を描いた本です。ピビは自閉症の男の子で、ほかの子どもたちから仲間はずれにされています。けれども作者は、ピビと友だちになり、二人は一緒に、楽しく、近所の遊び場となっている森を探検します。しかし、小学校に入ってからは、作者はピビを避け始めます。そのことが大人になってからもまだ作者を苦しめています。柔らかな鉛筆画が、この本の魅力を引き立たせています。


61.『Dad, Jackie and me(お父さんとジャッキーとぼく)』
文:Uhlberg, Myron
絵:Bootman, Colin
出版社:Peachtree Publishers(アトランタ ジョージア州、アメリカ)  
出版年:2005年 
ISBN 1-56145-329-3 30ページ

この作品は、作者が子どものころに経験した出来事を描いた、史実に基づく物語です。1947年、ニューヨークのブルックリンで、作者は差別と不寛容について学びました。そのころ、作者と耳の聞こえない父親はともに、野球とドジャースの一塁手、ジャッキー・ロビンソンに熱中していました。ジャッキーは、メジャーリーグでプレーした初めての黒人選手でした。


62.『Keep your hair on! (落ち着いて!髪の毛がなくなっちゃう!)』
作:Vercoe, Elizabeth
出版社:Black Dog Books(フィッツロイ ビクトリア州、オーストラリア)  
出版年:2003年 
ISBN 1-876372-18-4 134ページ

ジェスは16歳。リンパ腺癌の一回目の化学療法を受けたばかりです。ジェスにとっては、ボーイフレンドのダイランに、自分が病気だと絶対に知られないようにすることが大事なのです。ダイランは自分を違うように扱い、同情するだろうとジェスは考えているからです。けれども、ジェスはダイランに、どこも悪くないかのように接してほしいのです。 ジェスは髪の毛が抜け始めたとき、自分でわざと髪の毛を剃ったふりまでします。この本は、ジェスの視点から描かれており、悲しく、そして滑稽でもあります。