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平成19年度パソコンボランティア指導者養成事業

セミナー
障害者IT支援とパソコンボランティアの展望
報告書

資料2
サポートにおける定石(畠山@早稲田大,渡辺@日本福祉大)

A B 定石 解説 メモ


1.低コスト コストの考え方として初期コスト(イニシャルコスト)だけでなく運用コスト(ラン
ニングコスト)にも目を向ける必要がある.機器などの購入費用は,福祉制度の利
用ができれば,高い機器でも低コストにすることができる.



2.シンプル思考 技術好きなサポータは.より高い機能を求めるあまり,システムを複雑にしてしま
いがちである.ひいては,ユーザ不在のサポートに陥る.



3.入手が容易 特定の販売店しか入手できないものは極力避けよう.万が一,そこが店をたたんで
しまったら,供給が途絶えてしまう.常に代替入手先があるかどうかを確認しよ
う.理想的には日本全国どこででも入手できるようなものを考えよう.特注品はコ
スト高になりがちである.可能な限り一般の市場に流れているものを検討しよう.



4.誰もがサポータ 特殊技能を持った人だけがサポータになれると考えるのは間違いである.誰もが基
礎的な知識を学ぶことでサポートできるような仕組みを目指そう.時として,町の
電気屋さん,機械に不慣れな家族でもサポータになれるように.そのためには,知
識や技能の文書化が必要.



5.設置・設定・メンテが容易 特殊技能を要するサポートは極力避けよう.また,特定の技能者だけではなく,家族などもそのサポートに一部参加できるように工夫しよう.重大事故が起こる前
に,その前兆を見いだせる唯一の強力なサポータかも知れない.



6.習得が容易 機器操作などでは習得が容易になるように工夫しよう.必要に応じてステップに分
け,今日はここまでのように,時間と日にちをかけながらステップアップしていけ
るように配慮する.手順を記憶に頼るのではなく,見える形に明示することも必要



7.周辺環境への適応 支援している時間は一時だが,利用する人はその場所で生活している支援以外の環境(時間帯,周囲の人の入れ替わり,生活する部屋など)についても理解し,想像力
をもってあたること.



8.楽に使える 日々の生活はリハビリ訓練ではない.楽して無理せず楽しみながら使うことができ
ることを念頭に置いたサポートをしよう.ただし,反面で身体機能低下につながる
場合があるので,その点に注意を向け,必要に応じてポイントを押さえ伝えること
が大切である.



9.支援に見通し 問題解決までの期間をただいたずらに引き延ばすことは避けよう.あくまでも短期
勝負で対応できるよう配慮しよう.これにより,相談者に当面の見通しを持たすこ
とできる.希望が生まれ,それが動機付けへとつながる.ただし,その先,利用者
のニーズがどのように展開していくのかに対する仮説を立て,あるいはどうあるの
が望ましいかなど中長期的サポートまでをも視野に入れることを忘れない.



10.目に見える,わかる 抽象的な概念はなるべく具象化して示す.目に見える形に置き換えて示すことで,物事に対する共通理解・認識がもてるようにしよう.絵に書いて示す.操作箇所に
ラベルを貼る.ポラロイド写真などを活用し,理解を促す.不要な情報源は覆い隠
すなど工夫しよう.



11.適切なテクノロジー ローテク(シンプルテク)でもなく,利用者にちょうどあった
テクノロジー,利用環境に適したテクノロジーを見つけよう.そのためには,複数
の提案ができること,多様な選択肢を頭の中で描けること.



12.手離れが良いサービス 問題を抱え込まない,適切な人がいたら,その人につないでいこう.


13.百聞は一体験にしかず 何よりも体験することが大切である.可能な限り,実際の生活の場で試してみること.試用期間にゆとりをもとう.


14.納得の過程 支援者は先走ってやりすぎないことが大切.利用する人と共有しながら,少しづつ
すすめていくことが重要



15.変化に対応 新しい機器やテクノロジーを使うことで,利用する人の生活は変化する.支援が適
切であったかどうか,変化に目を向けること.つまり,初めに立てた計画どおりす
すめることが良い支援ではなく,変化に応じて柔軟な支援計画を立てる柔らかい思
考力を持つこと.時には一から見直す勇気も大切.