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2012年度CBRセミナー CBR vs三方よし 報告書

◆講演
東近江市の地域作りと地域福祉の取り組み

◆ 10年後の彼を見つめた就労支援-野々村 光子
(働き・暮らし応援センター“Tekito-”センター長)

野々村 皆さん、こんにちは。東近江の働き・暮らし応援センターTekito-の野々村と申します。よろしくお願いします。座ってお話をさせていただきます。

隣にいるお二人は、昨日の夜から前乗りをして東京を満喫して、ゆとりたっぷりで、今座ってはるんですけど。私は昨夜は46歳の精神障害の方が、今、お父さんと二人でゴミ屋敷に住んでおられて、そのゴミ屋敷の中で調子が悪いだの、入院したいだの延々そんな話を聞かされた上、先程東京駅に着き、なんか時差ぼけ的な感じというか、東京駅と昨日の夜の家の状態のギャップに、なんかちょっとボーッとしている状態でお話をさせていただきます。よろしくお願いします。

障害のある方の就職、生活の応援

お二人からは、東近江の地域での取り組みというお話がありました。先程紹介いただいた、その中で障害のある方の生活はとあったんですけれども、東近江の取り組みとは別ということではなく、あくまで東近江の地域の中に、これからお話しする障害のある方が働く、暮らすということがあるという視点で考えています。

今日、お二人の話を聞いて、改めて私のとてもありがたいメリットだなと思ったことがあります。私は資料のほうにもありますが、障害のある方の就職、生活の応援をするという立場で、分野で言うと福祉です。でも東近江の行政に行く時に、まず福祉課に足を運ぶよりも、違う課に足を運ぶほうが数倍多いということです。また地域の中では、地域の何か福祉のセンターに行くというよりは、どちらかというと商工会の会長の家に行ったりとか、企業さんの労働組合に行ったりとか、企業さんの飲み会に行ったりとか、何か福祉と言われない所に行かせてもらうことが、たぶん仕事の8割か9割を占めているのではないかなと。たぶん今日も、そういう関係で私は呼んでいただいたような感じが・・・。なぜ呼ばれているのか、もうひとつわかっていないところがあります。それは当たり前に今まできたんですが、改めて今のお二人の話を聞いて、ありがたいことだなと思いました。ちょっとここで株を上げておきたいと思います。

10年後

資料のほうには、「10年後の彼を見つめた就労支援」と書きました。これは私がすごく大事にしているテーマです。先程、コールリッジ先生のお話の中で、持続性とありました。うちも「働くということ」(図1)を看板に掲げていますので、障害のある方やご家族の方がうちに働きたいんですということで相談に来られることがほとんどです。

図1 働くということ図1の内容
(図1)

その時に、来週働いていることを目標にするのではなくて、10年後、この地域でぼちぼち自分ががんばってるなあ、自分らしい暮らしができてるなあ、というような人生を送ることを応援させてくださいねと、よく言います。なので、明日ではなく10年後のあなたと一緒に働くことについて考えたいと言っています。

「働くということ」(図1)と書いているんですけれども、まあいろんな人が、うちのドアをノックしはります。本当に「働く」という一文字、「暮らす」という「応援」というところで、いろんな方が来られるんですが。いろんな方の働きを応援してきて、本当に本人さんへの工夫とか、解決すべき課題、家族背景とか、いろんな課題、障害の重い方とか、支援のボリュームが大きい人ほど、働くというアイテムはとても有効だと、本当に毎日感じています。

働き・暮らし応援センター

うちのセンターの紹介なんですけれども、滋賀県では働き・暮らし応援センターと言います。ここ東京や、滋賀県以外、全国では、就業生活支援センターになります。滋賀県がなぜ働き・暮らし応援センターかといいますと、就業生活支援センターという国の事業より先に、滋賀県単独事業として、支援内容、業務内容は一緒なんですけど、働き・暮らし応援センターという事業が始まりました。なので、滋賀県だけは、国の就業生活支援センターと、滋賀県単独の働き・暮らし応援センターという事業、二本立ての展開になっています。

ここで就業生活支援センターって、ご存じの方、いらっしゃいますか? ああ、知名度が低い。どういうことかといいますと、また豊田さんとか、あのへんにまた聞いてもらったらいいと思うんですけれど。私もわかってないんですが。

障害のある方の就労というと、ハローワークの専門相談が窓口であるかと思うんですが。なかなかそこのハローワークの専門相談だけで紹介をされて就職をして、継続的にがんばっていくということが、スムーズに行く方ばかりではないということがわかってきました。それは仕事のマッチングもそうですし、あと生活ですね。生活がうまくいかないと、当然仕事がうまくいかないので、就業を柱にした生活の応援もトータル的にやっていきましょうという事業が、この就業生活支援センター、働き・暮らし応援センターと言われています。

うちはまだ、平成18年からスタートしたばかりのセンターです。うちの地域のことは、先程山口さんのほうからも提示がありました。利用状況について、少し書いています(図2)。6月末の段階で659名の利用が、うちのセンターにあります。かなり田舎な地域での、この利用者の量というのは、たぶんかなり多いと国からも言われています。

【働き・暮らし応援センター“Tekito-”利用状況】

利用者/659人(H24.6月末現在)

障害別 年齢階層別 生活形態
身体 56人 15~19才 149人 グループホーム 20人
知的 321人 20~39才 308人 社員寮など 2人
精神 173人 40~59才 186人 自宅 621人
その他 109人 60才以上 16人 その他 16人

(図2)

先程、お二人からは、いい地域だ、いい地域だという話がありましたが、この数を見ると、どういうことかといいますと、生活困ってんねんという相談はしにくい、かっこ悪い。けども、働きたいねんという相談はしやすい、かっこいい。これや、とすごく思ってます。だからいろんな仕組みがある中でも、まだまだ障害のある方が、こんなことしたいねん、あんな働きしたいねん、こんな生活困ってるねんというニーズをどんどん出せる地域には、まだまだなっていないのかなというのが現状です。

働きたいの現実に向けて

そんな地域の中で、うちのセンターがしていることは、6つ書きました(図3)。まあ相談はそうなんですけれども、あと企業さんの関わりです。普通、厚生労働省のほうからは、就職件数を上げなさいと、就職させなさいというのが目的なんです。求人開拓からハローワークの紹介後のアフターケア、生活相談、全てトータル的にうちのセンターでやるんですけれども、就職するまでの応援を、絶対必要やというふうに思ってきました。だから企業さんには、「見学だけさしてぇな企業」というのを作りました。雇用ではなく、企業の門が開いていれば、「見学いつでもOK社長さん」を集めました。働いたことのない障害のある方とか、25年引きこもっている人とか、いろんな方が、企業の仕事を、まず見る。家と何が違うというところからスタートする。学校と何が違うっていうことからスタートする。けっこう見学をしていると、何回か行くと企業さん言わはるんですね。「今日の人も障害者か?」って言わはるんです。「なんでですか?」と言ったら、「あの人、スーツ着とんのに、お前、いつものジーパンやないか」っていうね。「見た目も全然違うし、挨拶も、野々村が『おお、社長、ごめん、ありがとう』って、さっきの人、めっちゃ深々頭下げてたぞ」っていうね。「社長、目が高い」というと、「なんや?」、「じゃあ社長、実習事業所に格上げです」っていう、企業さんも本当に障害のある方が働いている地域じゃなかったんです、7年前は。企業さんも、障害のある方が企業で働くっていうことが、どういうことかわからなかったんですね。だから見学からスタート。企業さんも体験事業所に格上げしてもらえるというて、ようわからん位置関係で。企業さんが実習OK、じゃあ雇用していこうという、企業さん側のステップも一緒に作ってきました。

図3 働きたいの実現に向けて図3の内容
(図3)

その中で、やはり企業さんのこういう応援を受けながらなんですけれども、障害のある方は、意欲がないとか、そういうことではなくて、すごく今も毎日実感するんですけれども、選択する力の乏しさというか、経験もないと思うんです。自分がどういう働きをしたいんかっていうことを、本当に就職前の力の構築に絶対入れなあかんな、というのも思っているものの一つです。

薪プロジェクト

そんな中で先程の町の話に出てくるんですけれども、うちは障害というカテゴリーがあるんですが、最近は本当に知的障害の方が当然多いんですが、発達障害の方、精神障害がある方、高次脳機能障害の方、それと最も多いのが引きこもりの方です。平均引きこもり年数、うちの地域では25年です。25年間、家から出てこられない方が、うちに家族が来られて、うちの子、そろそろ働かせたいねん、もう60手前なんやけど、というような相談が入るというのが常です。

そう思うと、今ある福祉の雇用サービスにのらない方が、とてもたくさんいらっしゃるということが現状です。そんな中で、先程の薪プロジェクトの話が出てくると思うんですが。山口さんとの出会いであったんですけれども、彼女から話をもらった時に、乗る絶対のきっかけになったのが、こういう仕事を作るから、障害者の人がしないかっていう話ではなかった、っていうところです。薪のプロジェクトがあると。そういう環境の仕組み、システムがある。ただ、ここの薪割り作業という、なんともやっかいな仕事を請け負ってくれるとこ、知らんかいなというような話からスタートしたんです。

だから、障害のある方のために何か、ということではなくて、地域の仕組みの中に、ここ困っとんねんという話があった時に、実は15年家におるんやけど、体、めっちゃ丈夫やでっていう人がいるねんというところからつながって、その方が薪を割るという作業に展開したというのが始まりです。

だから直接ではない地域の仕組みの中に入るという、それがすごくうちの取り組みの中では、スムーズやったというところです。

薪作業で言いますと、工場で働いて失敗して、出られなくなったという障害の方なんかにとっても、とても有効やったのが、もう一度働くっていうアイテムをスタートさせるのに、失敗がないんです、薪割りは、絶対に。今日は薪屋さんの社長がいないので、好きなこと言えるんですけど、大きかっても、小さかってもいいんです。燃えてしまうんで。別にそんな基準がないので、大丈夫なんですね。こうすると本人さん達は、何をしても、絶対そこに、仕事というものに失敗がない、作業に失敗がないというのが、とても彼らにとっては大きな力になったなぁと。

それを配達してお客様のところまで届けるという、どういう仕組みの中で自分は仕事をしているのかということもよくわかっているというのが、とても大事やなと思いました。

その薪作業をきっかけに、現在はそういう引きこもりの方とか、たとえば最近は養護学校も行かなくなった不登校の子もうちにくるんですけれど、そういう子達がもう一回働くということの準備に、もう一回学校に、もう一度集団でがんばろうやということのための、働くというアイテムで、いろんな努力をすると思うんですけれど。その時に、たとえば今は東近江市の図書館全般のグリーン管理を受けています。緑化管理ですね。木を切ったりとか、草を抜いたりとか田舎の図書館はかなりすごいですよ。絶対草刈りのことを考えずに設計しはったなというぐらい、広いんですね。公園みたいになってるんです。それをうちのセンターで請け負ってるんです。

何がいいかというと、地域にその場所があるということ。今まで、地域にそんなに出なかった方も、図書館はだいたい行ったことが1回ぐらいあったりとかするんです。そうすると、あの皆が使っている図書館をきれいにしたのは、俺やでっていうような、何かそういう地域の中で生まれるつながりというのは、とても多くあると感じています。

ネットワーク支援

最後に「ネットワーク支援」と書いています(前々頁図3)。「人生のプロセスが宝箱になるほんまもんの履歴書」と書いています。これはどういうことかといいますと、就職するまでの、そういういろんな取り組みを、履歴書に書こうと言っています。先程の薪プロジェクトの話も、必ず履歴書に書いてもらっています。やはりその中で、薪を割ったことが大事なのではなくて、薪を割ることによって得たものというのは莫大なので、それが宝物やと話をしています。

そういう中では、何かそういう仕事を作ってもらうというよりは、自分の住んでいる地域の中で、地域の取り組みのことを仕事としているという実感というのが、とても大事かなと思っています。

ある社長から学んだこと

「ある社長から学んだこと」と書いたんですけれども(図4)、私は毎日、企業さんに、いろんな会社の社長さんに出会います。そのある社長さんに、うちに来ている人は、えらいいきぬくいわって言ったんです。いきぬくいってわかります? 生きづらい。生きづらいわぁって言ったんです。ほんなら、その社長から、その人が生きやすく力をつけるだけではなくて、生きにくいと感じない地域にしてしまうほうが早いんじゃないかという話をいただきました。

図4 ある社長から学んだこと図4の内容
(図4)

ああ、そうかと思って、今、うちを応援してくださるそういう企業さんの会社社長会を作ったりとか、部長会を作ったりとか、課長会を作ったりとか、うちがお付き合いさせていただいているいろんな企業さんに集まってもらって、雇用というものではなくて、この地域をどう作っていくかということをスタートしたりもしています。それは全て、先程の山口さんなんかの考え方を学ばせてもらって、それを行政さんともするし、企業ともやるというような形を今、少しずつ展開しています。

あと大事にしていることとしては、就職ということがゴールにならない支援ということです。就職したことによって、自分の人生が太ってきたなぁと、いいなぁと思えるような支援がしたいと思っています。

大切にしている事

最後には、大切にしていることを3つ書きました(図5)。「いつからでも始められる就職活動」と書きました。うちの地域には精神障害の方がとても多かったり、引きこもりの方が多かったり、なかなか地域の中で見えにくいしんどさをもっておられる方もたくさんいらっしゃいます。その方達に、精神科に入院している時から就職活動はできるでと。引きこもっている時から就職活動はできるでと。いつからでも準備ができるんやでという話をしています。引きこもっていた間がムダにならないような応援をさせてくださいという話をしています。

大切にしている事図5の内容
(図5)

次に「「働きたい」の奥にあるモノを見つめた就労支援」と書いています。うちは、働きたいと言ってドアを叩かれる方が、だいたい100%ですので。働きたいから就職、ということではなくて、この本人さんが働きたいと言うてはる裏には何があるのかなと思いながら、一緒に応援させてほしいという話をしています。

あとは「障害のある方が地域の企業に出入りすることが当たり前の地域へ」と書きました。障害のある方が、役場の福祉課しか出入りすることが普通じゃなくて、コンビニとか企業に障害者の方が出入りすることが特別に見えるような地域ではダメだと思っています。ということは本人さんの働きが、ボランティアではなくて、当然本人にも企業にとっても必ずプラスでなければいけない。その人が納税者になっていくということは、地域全体が先程の話であったように、いろんなものが混ざっていくというようなことになっていくと思っています。

そういう意味では、作業所といわれる通所授産施設なんかを自分の働きの場やとがんばっておられる、障害が重いと言われる方達の働きもうちは応援します。その人達が作ったコップなど、いろんなものは、絶対にそこに眠らせない。そこを企業の市場に載せていく作業というのもうちがやります。そこを作業所の方と一緒にやっていきます。

うちはただ単に、仕事上、企業さんとの付き合いが多いので、それを作業所の方が利用していただくというようなネットワークで、障害のある方が生み出すものをきちんとお金にかえて、その方の暮らしが豊かになるように還元していく、ということをしています。

15分と言われて、ちょっとオーバーしました。申し訳ない。以上です。ありがとうございました。

河野 ありがとうございました。時間のほうは想定内です。お三方のお話をうかがって、すごくおもしろかったんじゃないかなと思います。魅力的なお話だと改めて思いました。

◆ 質疑応答とバズセッション

河野 先ほどのピーターさんのお話の時と同じように、前後のテーブルの方々で、少し今のお話を共有していただきたいと思います。何かわからなかった点とか、自分の思っていることをちょっと話し合ってもらって、その後、幾つかご質問をお受けして、ということをやろうと思います。3分ぐらいということで、すごく短いですが、ちょっと前後の方で話し合ってみてください。

(バズセッション)

コールリッジ 皆様のプレゼンテーション、とても興味深く聞かせていただきました。障害者と地域開発を結びつけるということは、とても大事だと思いますので、障害の問題だけでなく、たとえば環境とか行政とか、他のものと結びつけて、全体で発展していくということ、そして動員していくということ、これがとても大事だと思いますし、それを実行されているというのは、本当にすばらしいと思います。

まずそれぞれ1点ずつ申し上げたいと思います。小梶さんのお話の中に、近江商人のお話が出てきまして、近江商人は、無駄遣いしないとか、「律していた」という言葉は本当にとても重要で、私も好きな言葉で、世界的に求められているものではないかと思います。

つまり「律している」ということがどうして重要と思うかというと、自分が何をやっているかを考えているからということになります。単なる金儲けのためにやっているのではなく、さらに大きな、その奥の社会のことまで考えている、ということになるからです。

山口さんは、緑の分権化についてお話しくださいました。この分権というのは、本当にそうだと思います。それも環境、経済、障害、全ての分野におきまして、地域で自分達の解決策を見つけるということはとても大事だと思います。ただ一つわからなかったのは、フォーマルとインフォーマルという言葉をお使いになりましたけれども、どういったものがインフォーマルになるのかというのが、ちょっとわからなかったので、それについてお聞かせください。

また野々村さんのお話にもありましたけれども、たとえば雇用主が何を求めているかということを聞いて、次に障害者に何ができるかということを考えるということ、それはとても大事だと思います。そうすることによって、ちゃんと強いものを提供しあえるということがあるのではないかと思います。

利用者数か659人とおっしゃいましたけれど、なぜ彼ら仕事をしたいと思ったかについての調査はされたんでしょうか。それについてお聞かせください。私からは以上です。

河野 ではピーターさんから質問が2つ、山口さんと野々村さんにあります。

山口 先程の説明の時にも、実はフォーマルとインフォーマルというのが、間がとても難しいと言ったような気がします。一つは地域のキーマンの飲み会、「魅知普請の創寄り」というのをやっており、インフォーマルな関係を作っていただくということが、一つの目的にもなっています。何か困った時に、携帯電話1本で相談できる関係をつないでいくと。顔の見える関係をつないでいくということになります。ですが、それをフォーマルでやろうとすると、どうしてこの人達を人選したのかというような話になりがちですね。行政は公平、公正を求められますので、その人選に、地域でがんばっておられる方々を集めたつもりですというような言い方をしても、なかなか難しい。

ですが、実はそのインフォーマルなつながりが、フォーマルな会、たとえば審議会を作るというような時にも、大変効力を発揮していきます。どういう方にお願いをしたら、行政が理想とするような、たとえばまちづくりにつながっていくのか、市民の方が本当に望むまちづくりというのが何なのかを理解した方が、公式な発言の場に出てきていただけるというような、私たちが仕事をする上でインフォーマルなつながりが、実はフォーマルな仕事に役立っていきます。

それを実はうちの課は微妙につないでいるというような状況です。

小梶 この図(折り込み図)なんですけれど、インフォーマルというのは、団体と団体がつながったりとか、企業が企業とつながるという時に、本来フォーマルだけでつながるというのが異業種交流かなと。異業種交流でないつながりということは、先程のピーターさんのお話の中で職業訓練校がありましたよね。その中では技術的な習得がフォーマルだと思うんですね。たぶん生活技術を身につけるというのがインフォーマルだと思う。そのことによって非常に幅ができて、なんというか、いろんな方々がつながりやすくなるというか。そのへんを我々は意識しながら活動しているんです。

河野 ありがとうございました。野々村さん、お願いします。

野々村 659名の方の働きたい状況ということなんですけれども。うちのセンターに来られる経路としましては、だいたい半分が地域の自治会の方とか、多いのは職業安定所、あと行政、病院、学校、そして企業から話があります。今、働いているけれども、うまくいかないという相談も含めての相談になります。あとの半分がだいたい2.5が本人さん自身から、2.5が家族からといわれるような相談状況になっています。

ただ、そこからですね、うちに相談があってからのニーズ、本当のニーズというところですね。先程言いました、「働きたい」の裏に何があるねんという。その中では働きたいって本人さんが来られても、よくよく話をすると、父親が30歳までに働かないと家を出なさいと言っているとか、そういう本人さん自身の本当のニーズではないニーズが背景にあるということがほとんどです。

本人さんが働ける状況の工夫もわからないので、働ける基準というのが、何かということは明確には言えないですけれども、今、自分が働きたいという思いと、働ける状況にある方、明日、じゃあ朝8時半から行けるかっていう方っていうのは、基本的に相談がある中の1割ぐらいです。

河野 野々村さん、ありがとうございました。ピーターさん、今の説明でよろしいですか。またこの後、いろいろ聞いていただければと思います。以上で一応、東近江の方々の報告は終わりにさせていただこうと思います。皆さん、もう一度拍手を。

司会 東近江の皆さん、誠にありがとうございました。これで午前中のセッションを終わりにいたします。お昼に入る前に、午後のセッションの持ち方について、簡単に午後のファシリテイターの林さんからご説明していただきます。もう少しお待ちください。

 とても密度の濃い、また情報量の多い午前の部でしたので、午後はそれを小グループの中で、他の方と共有しながらこなすところから始めたいと思います。先程来近くの方とバズセッションを持ってくださっていますので、それを生かしながら、6つのグループを作りたいと思います。

グループリーダーの方、立ってくださいますか。A今西さん、B宮前さん、C宮本さん、D田畑さんと金沢さん、E山本さん、最後F河野さん。では午後の部は、1時50分からです。よろしくお願いいたします。