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2012年度CBRセミナー CBR vs三方よし 報告書

◆ 午前中の講演者の皆さんとの対話集会

進行:林 かぐみ
(アジア保健研修所事務局長)
尻無浜 博幸
(松本大学総合経営学部観光ホスピタリティ学科准教授)

尻無浜 これからの時間少し進めていきます。私、尻無浜と申します。所属は松本大学です。どうぞよろしくお願いします。

 アジア保健研修所というNGOで職員をしている林と申します。

では、それぞれのグループでお話いただきたいのは次のことです。時間は1時間ほど見ています。

一つ目は、午前の2組の方たちの話を「消化」しましょう、ということです。初めて気がついたこと、あらためて重要だと思ったことを出し合ってください。やっぱりこれが難しさや課題だと思われたこともあったかもしれません。

二つ目は、今日のテーマであります「CBRと三方よし」、あるいは途上国での障害者のプログラムやプロジェクト、CBRのプロジェクトと日本の地域でのいろいろな福祉の取り組み、あるいは地域づくり、この2つの交流から得られるものを考えてみてください。共通の課題を意識的に出していただければと思います。さらにもうひとつ。それぞれにとって前に進めていくためには何が必要かも触れていただければと思います。

講師の方たちにはこの1時間もいろいろ回って、皆さんのお話の様子を聞いていただこうと思いますので、途中また加わっていただくことも可能かと思います。はい、それではよろしくお願いします。

各グループの話し合いの内容を発表していただきたいので、どなたかメモをとってくださるようお願いします。

(グループ討議中)

尻無浜 それでは、いつも時間のことばかり言って恐縮ですが、これから50分間、3時50分までの時間の中で、各グループで話し合っていただいたものを発表していただいて、最後まとめに持っていくという形で進めたいと思います。

それぞれのグループで重複しているようであれば、後のグループのほうがちょっと割愛しながらそれぞれグループの成果を発表していただきたいと思います。

それではAグループからお願いします。

A・Bグループの発表

人数の関係でA、B合体のグループです。我々の話はいろいろなところに広範囲に及びまして、参加者も海外経験のある方も多いし、日本の状況を仕事などで知っているなど、バラエティに富んだメンバーでしたので話も非常にいろいろなところに飛びました。

キーワードを挙げさせていただきますと、午前中の話は、共通のこととして、個々の利益ではなく社会の利益を大切にするという考え方であるということが挙げられていました。それと共通しますけども、利するという話がありましたけども、共通することだと挙げられていました。それから、CBRはつなぐことである、ということが挙げられました。それに関連して我々のグループとしては質問が上がっていたんですけども、そのつなげる基盤があるからできるのではないかと思っているんですが、その基盤をどのような仕組みで作っていくのか、という質問がありました。

それからもう2点、ピーターさんのお話でウブントゥの話が出ていたと思いますけど、もう少しこれについて突っ込んでお聞きしたい。伝統的な価値と東近江の事例とを考えた時に、このウブントゥの話と東近江の例に共通点を見出すには、ちょっと若干我々としてはいろいろ考えてみるとなかなか見い出しにくいということもあったので、ウブントゥのことをもう少し深く知りたいなというのがありました。

それからCBRのいい点というか、キーワードとしては、エンパワーされたということが挙げられるのではないかと。その中で障害者の人達が参加できるようになると。また大きな成果がインプットされて、そして生活できるようにして、かつ成り立っていくというところが非常に共通していたのではないか、ということが挙げられていました。

それから、マーケティング、マッチング、フォローアップが持続可能にする視点であると我々は考えました。またそのための人がいるという話も午前中の話で出てきていましたけども、それが必要な点じゃないかということが出ていました。

懸念としては、一方で引っ張っていく人がいないとなかなかそれは難しいんじゃないか。逆に言うと先ほどと同じですね。人がいることと、引っ張っていくという人がいないと、どうやって進めていくのかということが懸念であると挙げられていました。

我々のグループとしては、ちょっとまとまりがないですけど、いろんな意見の中で共通の意見とか質問としてはこのようなのがありました。以上です。

尻無浜 ありがとうございました。今の質問に1つ1つ答えていただくほうがいいかな。よろしいですかね。

つなげる基盤をどう作るか、方法論みたいなところをアドバイスいただきたいということと、ウブントゥと三方よしとの関連性をもう少し聴きたいというコメントだったと思いまが、いかがでしょうか。

 つなげる基盤は東近江の方にも言っていただくといいですね。

尻無浜 では、東近江の方からお願いします。

つなげる基盤の仕組み

山口 一番わかりやすいのがA3の図(折り込み図)をどう作るかという話だと思うんですけど、最初からあの図ができたわけではもちろんありません。さっきもしゃべってたんですけども、3つ、4つ会社の人がいて、それを10個にした人がいて、それを50個にした人がいて、そういう何人かの手を集めてくることで、町の中でこんな風に、こんな人いるんや、あ、この人知らんかったとかいうようなことが見える化されていったということで、せっかくならこの人達をいっぱい集めてみたら面白いのと違うかという発想が生まれて、じゃあ、最初はキーマンの20人ぐらいを飲み会で皆で集まってみよう。そこから自分達だけじゃもったいないからもっと声をかけて、ということでそれが100人集まる飲み会に発展するという、こういうインフォーマルな基盤。それをフォーマルな部分でもできる範囲で支えているというのが東近江の状況かなと思います。

小梶 今、山口さんの言われたように我々もキーワード(折り込み図-A3の表にある)を立てています。行政と喧嘩にならないのは、要求型でなく提案型にする。行政と喧嘩するんじゃなしに、一緒にやるんだけども、要求していくんじゃなしに、提案をしていこうと。それとプラス思考。求められることの面白さ。そういう人達を、何人かを本当に集めてみただけなんですよね。共同で何をやろうという発想で、じゃ宴会でもやろうという話で、この方々が、なんというかキーワードで自分達の知っているグループをとりあえず会わせたんですね。それが大体20人ぐらいだったんです。じゃあそこで一旦宴会をやって、もっとこんな面白い人いるよと、結構つながりが出てきて、やっとこの形になった。

この中でもあやしいものがいっぱいあると思うんですけど、それも含めて発展していけると思っているんです。

尻無浜 ありがとうございます。私なんかは常々、長野県松本市に住んでいるものですから、田舎が見えるんですね。人口24万人ぐらいです。ここに書いてあるようなNPO法人であるとか等々はどこでもあるかと思いますが、私、個人的に思ったことは、ひとつは行政でこうやって(折り込み図)ひとつの基盤と言いましょうか、一つの姿としてビチッとまとめてあることが東近江はすごいなと思うんです。このようにまとめられる誰かがいるということです。

で、今日最後にピーターさんが、知り合う、知り合いは心的関係のネットワークを構築する戦略であるとおっしゃいました。これが戦略なんですね。そういうメッセージからすると、これをまとめていったものを東近江はこの先、戦略としてやっていこうというようなビジョンをお持ちですか?

山口 それは市役所に聞いて下さい。

あのう、おそらく私が知らないところでいろんな戦略を皆さん勝手に立てておられると思います。行政という立場からすると、行政は行政でこれを戦略的に利用していこうとは思っています。もちろん成功への課題はいろいろ、私自身も見えていますので、それを解決するのに、こういうつながりが、この人ならこんなことできるんじゃないか、じゃあこの人にちょっとこういう調査を一緒にやってみませんかと声をかけていくということが、私達は立場上できるので、そういうことを逆にこれをどうやって利用していこうかなというのを私は私で考えていますし、おそらく小梶さんは小梶さんで、野々村さんは野々村さんで、きっと戦略をそれぞれお持ちじゃないかな。それが知らないところで、見えないところでいつの間にかつながっているというのが東近江の最大の強みじゃないかなと思います。

尻無浜 はい、ありがとうございました。次へ進みます。今の2つ目の質問としてウブントゥですね。ピーターさん。

ウブントゥとは

ピーター 今朝ちょっとわかりにくかったら申し訳ありませんでした。私が一番最初にこれを始めたとっかかりというのは、世界は危機的状況にあるという考えからでした。つまり環境的にも社会的にも経済的にも政治的にも本当に混乱している状態です。これは先進国、途上国双方に当てはまります。ですから、私達は自分達の生活、暮らしをどのように良くするかということに関していい方法を見つけなければなりません。そして大規模な社会的変化というのはとても時間がかかります。けれども私達は何かポジティブなものの上にいろんなものを積み重ねていかなければなりません。私が今回ウブントゥを取り上げたのは、そうしたポジティブな例の一つだからです。

ウブントゥ以外にもいい例は数多くあります。例えばバングラデシュですが、女性が市場をコントロールしているという例があります。女性が野菜を育てて売り、そして男性ができない方法で経済をコントロールしています。

もう一つの良い点は、大きな企業へ頼んでやってもらったり、そこのコントロールを受けながらやらなくてもいいという点です。コミュニティが自分達で自分達の方向を導いて行かなければなりません。ウブントゥと三方よしの共通性というのは、まさにそれです。コミュニティが自分達で自分達のやり方を見つけてやっているという点です。

ウブントゥというのは単に経済活動だけではありません。ただ単に近隣の店よりも高くバナナが売れる、そういう状況のことではありません。それよりももっと大きなことで、個人をもっと大きな枠組の中で捉えるということです。つまり大きな人間性の中の一部にこの個人が位置づけられている、そういう見方をするということです。

三方よしもまた同じようなモラルの位置づけだと思います。例えば良い商品、誠実さ、そしてお客様を公正に扱うということ、それがすべての人に良しとなる考え方です。

これでウブントゥと三方よしの関係について、もっと明らかになりましたでしょうか。

尻無浜 はい、ありがとうございました。では、次に進みましょう。

Cグループの発表

では、Cグループで話していたことをまとめます。

まず1番目の午前に話されていたことで重要な、大切に思うことですね。その中で相互支援関係、片方だけが何かをするという関係ではなくて、両方にとってメリットになるこうした関係を常に意識していることが大事なんだと思いました。

そしてプラスの価値観ですね。よそ者だからというのは、こちらの話なんですけど、その土地土地にいい伝統的な価値観があるけれども、それはそこに住んでいる人はなかなか気づかない。よそ者だからこそわかるプラスの価値、そういう価値観をどうやって伸ばしていくのか、そうした視点はとても大事だと話しました。

次に、何か懸念すること、課題だと思うことなんですが、この裏返しで相互支援関係にしても一方向の関係ではなくて、両方共にメリットになるようなものがないといけないんですけど、メリットってなんなんだ、どうやって発見するんだろうか、そしてそれをどう感じてもらうのか、ということがなかなか難しいと思いました。

もう一つ課題に思うことは、特に日本で、他の国の都市でもそうでしょうけど、地縁、地域の縁というのが嫌で都市に来ている人も多いと言われていますが、現代社会に合う共同社会というのをどう作っていくかというのが課題だと話しました。

2番目がCBRと三方よしですけど、今日午前に話されたことを受けて、どう活かしていこうかということを話してみました。付加価値というのが大事だなと思いました。その付加価値というのは何かというと、ピーターさんのお話で職業訓練校では単に技術だけではなくて、技術プラスアルファの付加価値をつけて送り出した、だからこそ成功したと感じております。その付加価値の中で、特に大事なのは、自信をつけさせるということだと思いました。あとは成功例に触れさせる仕組みづくりをしたということが大事で、成功を再生産していく仕組みを作っていけたらと思います。

そういったことは我々がそれぞれの立場で取り組んでいける、非常に重要なメッセージと思っています。

儲ける手段にこだわるのも大事ではないか、という話も出ました。福祉の関係者だと結局マーケットニーズを見たりしない人が多いと思う中で、ピーターさんの話の3番目で、三方よしの職業訓練について単に障害者だから働ける場所を作ってあげるのではなくて、社会の中で必要とされることを探して、そこに労働を提供してお金を儲ける、そして働いてお金を儲けるということはそのまま自信にも繋がるし、家庭内での地位にもつながるし、とても重要だということが確認されました。私達はそうしたことを活用して今後の活動につなげていきたいと思います。以上です。

尻無浜 ありがとうございました。では、次、Dグループ、お願いします。

Dグループの発表

皆さん、こんにちは。Dグループは6名の方で話し合いをしました。まず前半のことについて、皆さん一様に、日本人としても、途上国の事例ですとか、東近江の事例にいろいろ学ぶことが多いという感想でした。その中で一つピーターさんにお伺いしたいことがあります。バナナを売っている方ですとか何人かの事例が出てくるんですが、皆さんとてもパワフルで、多分最初からその地点に到達していたのではないんじゃないかと想像できるんですね。それで私達は途上国に外部から係わるわけですけど、そういった彼女達のエンパワメントの部分が私たちが係わる場面の一つではないかと思うんです。実際お二人、オファさんとデイビッドさんがどのような形でエンパワーされていたのかを伺ってみたいなあという話になりました。

次は、私達の中でよく話に出てきたのは、キーワードとして「もっとゆるく生きたい」ということです。それはなぜかというと、日本ってとかくカチコチに固められた作業形態が中心で、それ以外はなかなか適用できなかったりするんですけど、本当はもっと多様なそしてもっと柔軟な、例えばインフォーマルな活動や情報交換ですとか、それこそ仕事の仕方ですとか、活動の仕方ですとか、生きていく方法ですとか、もっとあっていいんじゃないか。あんまり規則にがんじがらめにしないで、ゆるい感じでいかしてもらったら、もっといろんな人達のいろんな活躍の場が増えるんじゃないかなという話になりました。最終的にはもしかしたらいろんな国レベルのシステムまで変えなければいけないんじゃないかという、ちょっと大きな話にまでなりました。

それから、少し前もお話あったかもしれないんですけど、こういった地域のつながり作りというのは小さい単位でやるのが効率的で、逆に大きな単位でやるのはいろいろ難しいことがあるんじゃないかという話になりました。特に先ほど都市部に出てきている人達の考え方とかお話があったんですけど、やはりあまり大きなところでやろうとすると日本人ですから、施設とかもできてしまうかもしれませんし、こういったネットワーク作りは大きくない単位がいいだろうと思いました。

それから最後にいろんなセクター間の連携ということで、例えば先程職業訓練の中で生きていく力も一緒に訓練生に身に着けてもらおうという話があったんですけど、これはおそらくいろんな場面の人づくりで言えることでしょうし、またそれが例えば日本でいう福祉の分野と連携をするとか、そういったさまざまな連携を築いていくことが、これからますます必要になっていくのではないかということになりました。

以上です。ありがとうございました。

尻無浜 ありがとうございました。

今、Dグループから出た中で一つピーターさんに質問がありました。オファさんとデイビッドさんのことで、エンパワーされたもう少し詳しいストーリーを聴きたいということでしたので、お話いただけますでしょうか。

エンパワメント

コールリッジ はい、とてもいいご質問をありがとうございます。

まずデイビッドのことからお話します。デイビッドは小さい時にポリオになり、その途端に父親は彼を拒否しました。農業もできないし、お前なんか大した人間にはならないと拒否しました。けれども母親のほうが彼を信じまして、彼を学校に行かせ、中等教育を終えさせ、高等教育にも進ませようとしました。

デイビッド自身がやはり母親が彼の人生にとって一番大きな影響を与えたと言っています。彼女がいなかったら全てはおこらなかっただろうと言っています。

これを見てもおわかりのように、やはり家族が信じること、サポートすること、障害者が何かを達成することができると信じる、それがとても重要であるということがわかっていただけると思います。

オファのことですけど、先ほど言いましたように、まず彼女を見て最初に驚くのは、とても楽しそうにしていることです。皆さんご経験があると思いますけど、ネガティブ思考な人と一緒にいると自分のエネルギーも吸い取られるような気分になるということがおわかりいただけると思います。けれども、ポジティブなエネルギーの人のそばに行くと、私達はそのポジティブなエネルギーを分け与えてもらえるのです。そこでオファは、自分の性格のポジティブなエネルギーの部分から始めたのです。

インドの職業訓練校もまさにそういうことをしようとしました。つまり人々に彼らのポジティブなエネルギーを見て欲しいということから始めたわけです。私達は自分達の考え方によって現実というものを創りだしています。そして私達もそこから学ぶことができます。インドの職業訓練校ではまさにそうしたことを教えています。

それがお答えになっていますでしょうか。

尻無浜 ありがとうございました。自分達の考え方によって作り出している、ということしょうかね。ピーターさんの講演の最後のまとめで、市民と政府と共同作業とが大事であって、それを自分達でやっていくことだと。東近江の取り組みを見ましても、自分達で汗してやってらっしゃるという姿があらわに発表の中で出てきたような感じがして、どこか全部ここにつながっていくようなそんな感じがいたしました。

それでは、次にEグループお願いします。

Eグループの発表

私達のグループでは、やはり地域性が大事だということ、先程のピーターさんのおっしゃったように自分達の仲間を見つけていく、それが大事だと感じました。地域のニーズを把握してから、文化なども考慮しながら対応していくという点が重要だと思います。

懸念点としては、ウブントゥという助け合う精神がもともとあるのだったらいいと思うんですが、地域によっては違いがあると思いますので、先ほど出たように都市部と田舎の違いであったり、途上国とか先進国の違いであったりとか、そういう差があると思いますので、どう取り組んでいくのか確かに課題だと思います。

あとは一点、我々のグループで出たのは、災害などが起こった時には、障害者を守るという視点になると思うのですが、そうではなく、障害をもっていても自分で動けるような社会づくり、基盤を作っていくというのがこれからの課題になると思います。それに伴って政府とかNGOとか民間企業とか、それぞれどのように役割を果たしていくのか、補っていくのか、課題になると思います。

ピーターさんのお話と東近江の事例が、やはりDグループ同様出たんですけど、大きな規模でやっていくのは難しいだろうという懸念点があります。国とか県単位ではまだちょっと難しいのではないかという考えが出ました。

まとめとして、今あるものの価値をちゃんと理解するという取り組みが挙げられました。以上です。

尻無浜 ありがとうございました。今の発表で何かコメントありますでしょうか。はい、ありがとうございました。それではF、お願いします。

Fグループの発表

Fグループの報告をさせていただきます。Fグループは全部で8名で、イランの障害のある方の支援をしていらっしゃる団体の方4名とあと大阪からの方3名、わりと似た職業の方が集まりました。

午前中の話の中で、他のグループとも共通していましたけども、こちらのグループで出たのはウブントゥの部分ですね。三方よしもそうですけど、ウブントゥという考え方は決してアフリカに固有のものではなくてアジア圏にも同じような考え方もあるし、イランでも同じような考え方がある。共通な視点がある考え方が見られたと捉えています。その部分を生かしていけるともっといろいろ制度ができるのではないのかという話が出ました。

ウブントゥでポイントになるのは、個々のつながりのところではないか、個々のつながりが大事でつながることに意味がある、ネットワークを足していくことが大事だということが話として出ました。

つながりというところで言いますと、障害のある当事者の方なんかが、例えば自分がどういう将来の生活を考えていこうかという時に、あんまり遠くの偉大なロールモデルみたいなものは参考になりにくいので、もうちょっと身近なロールモデルとどうやってつながっていくかということをお話の中で出していただけると、障害をもっている人達も将来を考える時に参考になるのではないかという話も出てきました。

一方で人と人とのつながりの話で言うと、若い人、都市に住んでいる人、現代の我々は結局自分のプライベートな時間が大事なので、人とのつながりは求めているけれど、でも人に干渉されるのは鬱陶しいというところがあって、その辺の両立をどうやっていけばいいんだろうかということが、これは他のグループさんと共通していますが、そのような話が出ました。

一つのこのグループの中で出た解決策としては、啓発のようなものが重要であるということです。障害のことで言うと、障害に関するリスクというのは万人に共通なものであるので、こういうことを一般の人達に啓発していくことが大事なのではなかろうかということが出てきました。多分CBRとか三方よしを考えた時に、つながりつつも、だけどやっぱりそっとしておいて欲しい、というところが我々の勝手な話なんですけど、この勝手なことをどういうふうに実現していくかということが大事なのかなと思いました。

あともう一つは、Dグループのデイビッドさんはどんなふうにエンパワーされていったのか、というのと似ていると思うんですけど、デイビッドさんみたいな人をどんどん地域の中で生み出していくには、そうした人が生まれていくには、例えば外部者としてそこに入っていく時に外部者はどういうことができるんだろう、外部者がどういうことをしたらデイビッドさんみたいな人が生まれるような状況になるのかという議論が出ました。それについて具体的にこれだという一つの答えというか、解決のアイディアとして出たものは、現地のニーズにあった商売、ビジネス、現地の状況にあった商売、ビジネス、活動というものを、その国に合った、社会に合った解決策を考えていくことが大事なのだろうということが、アイディアとして出てきましたけど、これだという、外部者はこうすればいいんだということの結論までは出ませんでした。その辺も何かコメントいただければありがたいなあと思います。

まとまらないのですが、このようなところがFグループからです。

尻無浜 はい、ありがとうございました。このようなグループのディスカッションをそれぞれのグループでご協力いただきました。ありがとうございました。

準備をした者としては、皆さんが自分の取り組みと受けた概念と消化して帰っていただけたらと思いまして,ディスカッションする中で参考になればと思ってこのような形で進めさせていただきました。

貴重な報告を今全体で共有したわけですが、最後の時間になります。そんなことも踏まえて、もう一言、せっかく東近江の方も来ていらっしゃいますし、ちょっと午前中少し足りなかった部分を含めて補足してもらい、小梶さん、山口さん、野々村さん、今回のセッションの最後のまとめいうことで、コメントをいただけたらと思っています。

東近江のつながり

小梶 伺っていて、懸念されている部分は我々も共通項が多いのかなあと思いました。東近江は1市6町が合併しました。この中に1市6町の人たちがまんべんなく入っているのかというとそうじゃないですね。ほとんど入っていない町もありますし、そんな中で魅知普請(折り込み図)を出していこうと。この中に個人の名前が入っていますよね。個人の名前を挙げていただくと、僕らみたいにそれこそ65年ここに住んでいる人もいれば、京都、大阪あたりから会社がこちらに来てそのまま通勤で来られている方もいらっしゃいますし、山口さんのように隣の市から東近江に通われている方もいて、結構バラバラで、頭で考えるほど難しくないんじゃないかなということなんで、それだけ関わってくるのは結構望ましいという話もあるんですけど、この中の活動をすることでどんどんと数を広げていかれた方も結構おられます。

人と係わることの面白みをご存知なく、なんとなく好ましく思っておられる方もいらっしゃるかな、そんなことも感じていますね。

それからさっきのように、やっぱりフォーマルなことだけでつながっていては、なんとなく固いものになってしまう。行政と協働ということが流行っていますけども、双方が自立してなければならない、みたいな言い方をされるんですけど、そうではなしにもう少しお互いが支え合うことで互いが自立するという、そういうところが見えてくると、このようなつながりができやすいかなと思っています。

最後に、大阪で薬物依存からの回復支援をされている大阪ダルクの方の言葉なのですが「グッドアドバイスなど聞きたくない、私達が聞きたいのはあなたのグッド・ニュースだ」ということを言われたんで、我々はグッド・ニュースを皆さんに投げかけ、そのことによってみんな前向きになれる、ポジティブになれる、そのことを合言葉に地域福祉をやっています。

尻無浜 ありがとうございました。山口さん、よろしくお願いします。

山口 そうですね。私、東近江からしたら完全によそ者なんですよね。違う地域から来て、実はもともと県の職員でしたので、派遣で市役所にいって、この人何年いるんやろう、という雰囲気の中で仕事をし始めたんですけど、その時は私はずっと関わりたいと思ったから県を辞めて東近江市役所の職員に入らせていただいたんですけど、そうですねえ、なんかここのすごさというのは、カチッとこんなもの(折り込み図)が出来上がって「すごい」と言っていただきましたけども、全然カチッともしてなくてですね、カチッとしてしもうたら絶対うっとうしいと思いますよ。こんな人数を集めようとする行政マンは絶対いませんし、こんなもんを年に2回運営せえって言われたら、多分誰もやるものはいないと思います。

だからネットワークという言葉が似合わないですねと、明治大学の小田切先生にも言われたんですけども、神経細胞のようにフッとつながるときもあれば、そのつながりがフッと切れるときもあるんです。それでいいんじゃないのというような関係性をドンドンドンドン作っていくようなイメージ。ある程度の大きさを超えるともうあとは勝手に、いつの間にかつながったり、フッと関係が切れたり。でも思い出したようにまたつながったり。だからそういうことを見てると、市長がいつも言うんですけども、とにかく行政がコントロールできない地域にして欲しいと言うんですね。

なので、私も全てを把握していて、じゃあ小梶さんとか私とかが引っ張っているのかと言ったら、全然そんなこともありませんし、市長がリーダーシップを持って引っ張っているのかと言ったら、全くそんなこともない地域になっています。

作業の分担など、引っ張る方が必要だとおっしゃる方がいますけども、本当にそうなのかなと私ちょっと疑問です。ちょっとだけ周りのお手伝いをしてもいいかなと思う人が寄っているだけなんですよ。だから障害者の方の働きを支援するような野々村さんのような人がいるように、こういうつながりができたらいいなぁと思う人がそれをちょっとお手伝いしてるだけで、誰かがそれ以上すべてを把握しているかと言ったら、いつもね、全くそんなことはなくて、私もわからないことばかりで小梶さんに相談する。小梶さんも皆に聞きながら、そうか、やっぱりそうやなあと開催する場所だったり、こうだったりするのを議論していく、そんな関係で今やっているので、そんなに高いハードルをどうぞ皆さん超えて下さいと言っているつもりは全くありません。こんなに誰かのためにと思って活動されている皆さんだったら、いとも簡単にそんなことは地域でできると私は思います。はい。

尻無浜 ありがとうございました。野々村さん、お願いします。

双方のメリット

野々村 ありがとうございました。Cグループの方がお互いに支援関係があるのはメリットがないと、という話をされたと思うんです。まさにそうだなと思ったんです。本当にそうですよね。メリットをどう感じてもらうかって考えた時に、今いくつかの会社の社長の顔が浮かんでたんですけど、先ほどお話をさせてもらった時に、障害のある方の働きとか引きこもっていた人の働きとか、地域貢献というのがその人にとってもプラスで、企業にとっても地域にとってもプラスじゃないと意味が無いと言ったと思うんです。でも考えてみたら、ほんまやなと思った。自分で言っておいて、本人だけにメリットがあるんちゃうかなって、今ちょっと思ったんですけど。

私、企業さんにとってのメリットはなんですかと言って企業に決めてもらっているんです。あのう、矛盾するんですけど、本人さんが、この前いはった高次脳機能障害の方なんですけど、脳梗塞によって記憶障害と失語症と感情コントロールが全くできない、今41歳の男性なんですけど、どうしようもない状態なんですけど、でも彼は働かないと生活ができないので、じゃあ一緒にやろうかということで企業さんに行ったんですが、企業の社長にはくってかかるし、仕事はどんだけ覚えても毎日が初めてなので、「こんなことは聞いていない」というのが朝から夕方までずっとなんです。で、その彼の働きって「企業のメリットって社長、なんなん?」て言うたら「お前が連れてきたんじゃないか」って話をするんですけど…。

彼は、ようよう考えたら、1時間以上の記憶がもたへんということがすごくよくわかってきて、じゃあ工程の細分化と時間単位で、今1時間たってどうかという、自分の状況がわかる環境設定をしていったらどうやろうという話になったんです。そうすると彼は1時間手前の50分になると自分で自ら自分の表に書き出すんですね。自分が1時間前にやった仕事を。そうするとなんとなく繰り返しの中で彼が仕事から自分のやるべきことがわかってくるようになったんです。そんな時、会社のメリットが何かと社長に聞いたら、もう一回会社の全部の詳細にわたる作業分析ができた。彼を中心に変なチームワークができてきた。あいつもうじき怒りよるぞという時には、若い女の子を横に行かせようとかね、なんかよくわからないですけど、企業にとってのメリットって何かってやっぱり外からは計られないんですね。その企業でずっとその会社を作って来た方とか、その地域を作ってきた方にとってのメリットなので、なかなかこれが描けないので、この人がこの地域でこういう働き方や暮らしをした時に、この地域のメリット、この企業のメリットは何だと思う、と相手の人に聞くことがとても多いから、そのメリットは何かと一緒に考えてくれはるような関係が大事なのかなというふうに思っています。

それとFグループの方が現代人の理想とする生活のつながり方とは、という話があったんですが、本当にうちも、それを今、福祉という業界の中で直面していました。関わり合いとかつながり合いというのが、どういう距離感が一番いいのかっていうのが、本当に人によって違うので。その時にある一人の障害者の方が教えてくれたんですけど、「さみしくない程度に自由でありたい」。天才やなあと思ったんですけど、寂しくない程度に自由であるっていうのってすごく大事だと思うんです。でもそれって私と山口さんでちがうと思うんです。彼は社交的なのが全然ダメなので、休みの日はひたすらじっとしてる感じなんですけど、多分アクティブに動かはる人もいるし、人によって違うので、それもやはり選べる、選択ができるつながりもすごく大事だなと思っています。

魅知普請の裏側にあるもの

あとは東近江の評価なんですけど、お二人がしゃべってくれはった後でこんなん言うの申し訳ないんですけど、あの私はこれ(折り込み図)が紙1枚のペラペラで、作らはったのはすごいですよ、すごいと思うんですけど、うちの現場としては、これの裏側のほうがすごく大事で、これによっていろんなものが作られているというのが、チームとかではなくて、これはネットワークとかでもないんですよ。なんかいっぱいあるんです。

例えば、うち言ったことなかったかもしれないですけど、これによってね、障害者の人もそうなんですけど、私らも田舎って全然建物がないとトイレに行けないんですよ、トイレに。トイレが全然ないでしょ。そうするとこの中に載ってるところは、全部トイレに行っていいんですね。本当にそういうことなんですよ。いつでもトイレが借りられる地域づくりをしたいと思ったんです。

そうすると先ほど少しお話したんですけど、ある自閉症の人とかも一般の企業で働いてはるんですけど、そこ3時間に1本しか通らない田舎なので、バスがね、来ないんですよ。その間に帰りは必ず1時間あくんです。普通会社って1時間あくと会社はその時間で終わるので、どうしていいかわからないんですけど、そこで考えたのが、地域にあるバス停の近くの企業を休憩時間の場所に使ってしまうんです。だからバスが来るまでの1時間は、その企業で茶を飲む。それも企業さん同士のつながりはないのに、地域という建物があるだけでつながってしまう。それも実は、これ(折り込み図)で出会った企業さんなんですけど。そういうチームとか仕組みとかだけではない、現場や社会に使わせてもらっていて、うちはうちで活用させてもらっていると思っています。それが、私ら支援者というのを応援団と呼んでいるんですけど、そういうものが企業全部、団体全部が応援団になれば、多分地域が障害のある方の働くことの応援団になれば一番、支援者が楽かなあと思っています。以上です。

尻無浜 はい、ありがとうございました。次にピーターさんに、午後のセッションを聞いてコメントをいただきたいんですが、いかがでしょうか。

コールリッジ ありがとうございます。

まず一番言いたいのは、今日この場にいて、皆さんとディスカッションを共有できたこと、本当にとても楽しかったです。こういう状況の時には私が話す以上に、教える以上に、教わることがとても多いです。特に私の右手に座っている東近江の皆さまからのお話を聞くと本当に勇気づけられます。

皆さまの話を聞いてアインシュタインが言ったことを思い出しました。アルバート・アインシュタインのことはご存知ですか? 彼は、私達は問題を起こした人達と同じ考え方、精神構造ではその問題を解決することはできない、と言ったのです。

ですから、問題が作られた方法と同じように考えていたらその問題を解決することは絶対にできません。私達は違う考え方、行動の仕方をしなければいけないわけです。今日、東近江の方々の実例を聞いて、すでに一つのコミュニティではそれが実践されているということが分かりました。

崖っぷちにいるというのはとても危険ですが、エキサイティングでもあります。そして通常そこから新しい考えが生まれます。私はいつもルールを破るということを好んできました。ですからルールが壊されているという話を聞くととても元気づけられます。私達はそうしながら前に進むのです。ルールを壊す、つまり先人たちがやってきた方法を壊すことで前に進むのです。

およそ30年間CBRを見てきましたけど、その進化のプロセスは、古いルールを壊して新しいルールを導入する、その繰り返しでした。CBRは開発に関して多くのことを教えてくれます。つまりそれは支援関係のネットワークをつくるということなのです。

多くの人が言いましたけれど、このネットワークや支え合いというのは障害に限定されたことではありません。私達がやる全てのことに適用されます。そしてこの惑星の上で前に進むための唯一の方法だと思っています。

私が言いたいことは以上です。ここで皆さまと共に過ごすことが出来て、実に素晴らしい経験をさせていただきました。日本には初めて来ましたが、本当に素晴らしい経験をしています。ありがとうございました。

尻無浜 ありがとうございました。僕は、実はこのCBRの概念を初めて聞いたのは、25年ぐらい前、この日本障害者リハビリテーション協会に来て聞いたんですね。その時に聞いたことは、よく覚えていますが、CBRは開発途上国で障害者の政策を進めるのに有効だと聞きました。

では日本では?、障害者以外では?、CBRは使えないのかというふうに疑問を感じたんです。

15年ぐらい前から長野県の松本市に住むようになって感じたのは、地方に住んでいて、ずっと日本に住んでいて、ふと日本の地域福祉でもCBRは有効ではないかというふうにずっと思っていました。そんなことに基づいて今日もCBRをやってきたピーターさんのCBRの捉え方と、日本の地域福祉で実践してらっしゃる三方よしですね、できればその日本の地域にCBRのいろんな要素が有効的に発揮できるのではないかなと思っているんですね。それは地域福祉が、日本の福祉政策と共にそのあり方がどんどん変化しているということと、今日も出てきましたが、CBRの捉え方そのものが進化しているというような状況の中でできているのではないかと思います。

今まで開発だとか国際援助だとか支援だとかという視点で取り組んできたことを今度は、日本国内においても諸外国での取り組みが同じような視点で活かすことができるんではないかと感じています。CBRはCBRだけの対象国だけではなく、先進国の日本にも使えるとか、それぞれの支援国でも使えるとか、両方の視点でCBRの概念をきちんと理解して進んでいくことが有効ではないかとつくづくと思いまして、今回は、イギリスからピーターさんのお話、滋賀から三方よしの東近江の方々のお話、そしてご参加の皆さんとの意見を集約したかったのです。

午後のセッションはこれで終わりにしたいと思います。ご協力に感謝いたします。

◆ まとめ

尻無浜 最後に午後のセッションと午前中のセッションを受けて、琉球大学の高嶺さんに総括をお願いしたいと思います。

高嶺 皆さん、お疲れ様でした。総括をということですけど、今日一日のお話、ディスカッションを短い時間で総括することは、それこそ至難の業ですので、今回ピーターさんのお話の中で感じたこと、午後のセッションや、質問の回答で印象に残ったことを話して総括としたいと思います。

ピーターさんは、最初になぜCBRに関心を持ったかというお話の中で、世界が今いろんな面で危機的状態にあるということ、それがCBRに取組むきっかけになったと話されていました。

私も幾つもの国々を回っていますけど、そういう危機感を感じられるんですね。今年の7月にスウェーデンで世界ソーシャルワーカー連盟の総会があって参加したんですけども、スウェーデン、ヨーロッパにおいても経済危機が広がっており、重たいムードが総会の中でも感じられました。その中で印象に残ったプレゼンテーションがありました。それは今途上国の若い夫婦で子供の数が頭打ちになっているという話なんですね。バングラデシュ、ネパール、インドなどの若い夫婦でも、子供の数は2人程度になっているという報告でした。先進国の我々は、途上国はまだ子沢山でこれが貧困問題の原因であるということをまだ信じていますけれども、実際今は途上国の人の意識がどんどん変わっていて、経済発展も進んでいます。そのためいろんな面で途上国と先進国の格差がなくなっているということが分かります。私は、実際にいろんな国を訪問しますけど、先進国と途上国の様々な差が縮んできていることを実感します。そういう現象を見ると世の中のグローバリゼーションがすごいスピードで進んでいることを感じます。今は、企業もどんどん統合化されて、そして、それらの大きな企業がどんどん世界中に進出していき、国を超えて世界をコントロールしていっています。そういう中で、途上国や先進国を問わず、「地域」が崩壊されているという印象があるんですね。

グローバリゼーションの中で、地域が崩壊していくという段階にあると思います。そこで、これからは、どのように地域を守っていくか、そういう課題があると思います。言い換えれば、グローバリゼーションの中で、我々はどのようにして自分達の地域での生活を守り、維持していくかということを真剣に考えなければならないというところに来ているのではないかと感じています。

現在、開発途上国を中心にして、CBRの手法を使って地域をきちんとサポートしながら、障害者を含めていろんな方の生活を支援しようという動きがありますが、同じように日本でも今日発表があった東近江の地域での取り組みがあります。今日のセミナーを聞いていて、地域を支援することに関しては、途上国と先進国の違いもそろそろなくってきていると思えます。そのことは、我々日本に住むものも、これまでCBRで培った支援の仕方、コミュニティづくりというのを学ばなければならない時期に来ている気がしました。

地域を支えるためには、人と人をつなぐ大切さ、そこをきちんとおさえること、いろんな議論が出ましたが、ポジティブな面からのアプローチから人間を支える、フォーマル、インフォーマルなつながりを構築することもやっていかないといけない。ということを考えていけばCBRの取り組みも日本の地域福祉の取り組みも共通な課題があり、今後、いろんな面で交流しながら相互理解と、共通な取り組みを進めていけるのではないか、という感想を持ちました。

これでセッションを終わりますが、この後の懇親会で、今日学んだことや、取り組みを話しあう機会があるとおもいますので、その中で交流していただきたいと思います。

ということで、私の感想を総括としたいと思います。ありがとうございました。

司会 それでは、午後のセッションまで、皆さんディスカッションの時間と最後の時間と本当にお疲れさまでした。今の高嶺さんのまとめてくださったこと、その前にスピーカーの皆さんから感想をいただいたことから、本当に多くのこと、それぞれがそれぞれの立場でしていただければよかったかなと思います。私達主催した者たちでずっと話してきたんですけども、海外の途上国でやってきたことと国内のこと、高嶺さんが話していましたけど、共通点があるのに、なかなか一緒に議論する場がかなったということから、ぜひこういう場を設けて議論してみることで、何かそれぞれ発見があったり、視野が広がったりすることがあれば、ずっと皆さまの活動に役立てていただけるのではないかな、という思いでおりました。今日の成果を今日だけで終わらせるのではなくて、何らかの形でぜひ続けていけたらなということも漠然とですが考えていました。それは今日ご参加の皆さまと一緒にお話しながら続けていけたらと思います。

一つはCBRについて出ていましたが、CBRのガイドラインの翻訳を私どもで進めております。それが出来上がった時点で、CBRガイドラインが7冊あって1冊が70ページぐらいのもので、読みでがあるものなんですね。WHOのサイトを見ると全部ダウンロードできるようになっています。それをもう少しわかりやすく1冊ごとに箇条書きにして簡潔にまとめる作業を、実は障害分野NGO連絡会(JANNET)で検討会をはじめております。1回目は8月で、半分終えて、あともう1回は12月8日にやりたいと思っています。その案内を皆さんにお送りしますので、どなたでも参加していただける会ですので、ぜひやりたいと思います。

その結果を解説書にできればいいと考えています。CBRガイドラインをやさしく読み解くものを作って、それを関係者の方々、それこそ地域福祉の方々にはたくさん読んでいただきたいようなことがいっぱい書いてあるので、皆さんと読みながらまた議論を重ねて、それぞれの地域ではCBRガイドラインはそれが欠けてるよ、これは日本にはあてはまらないよというのがいっぱい出てくると思うので、それをバンバン出して、次の段階では日本版のような感じですね。日本に合うような内容の項目のリストアップ、そんなこともできればと思っています。

今日は、本当にご参加いただきありがとうございました。アンケートの用紙を取っていただいたと思いますので、お書きいただいて、次の開催の時に役立てさせていただきたいと思います。

それではこれでセミナーを終了させていただきます。ありがとうございます。