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障害保健福祉研究情報システム(DINF)・メールマガジン バックナンバー

第10号(2007年6月29日配信)

□…… DINF: 障害保健福祉研究情報システム・メールマガジン ……………□
                第10号(2007年6月29日配信) 刊行:不定期
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 DINF(Disability INFormation Resources)は、
 財団法人日本障害者リハビリテーション協会が
 障害者の保健と福祉に関わる研究を支援するために、
 国内外から広く関連する情報を収集し障害者関連の情報を
 提供しているサイトです。
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 つきましては細心の注意を払っています。
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■   目次
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【1】 注目記事
【2】 コンテンツ紹介
【3】 新着情報 
【4】 セミナーのご案内 
【5】 ウェブ担当者コラム
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【1】   注目記事
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●ソーシャル・インクルージョンとソーシャル・ファーム
(財)日本障害者リハビリテーション協会は、
日英高齢者・障害者ケア開発協力機構との共催で、
ソーシャル・インクルージョンやソーシャル・ファームをテーマとした
講演会を開催してきました。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20070128/shiryou04.html
DINFでは、最新の国際セミナー「各国のソーシャル・ファームに対する支援」の報告書
(http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20070128/index.html)
のほか、過去の講演会までさかのぼって記録を読むことができます。
ソーシャル・インクルージョン(social inclusion)は、
「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、
健康で文化的な生活の実現につなげるよう、
社会の構成員として包み支え合う」という理念です。
EUやその加盟国では、近年の社会福祉の再編にあたって、
社会的排除(social exclusion)(失業、技術および所得の低さ、粗末な住宅、
犯罪率の高さ、健康状態の悪さおよび家庭崩壊などの、
互いに関連する複数の問題を抱えた個人、あるいは地域への排除)に対処する
戦略として、その中心的政策課題のひとつとされています。
近年の日本の福祉や労働施策の改革とその連携にもかかわりの深いテーマで、
2000年12月にまとめられた「社会的な援護を要する人々に対する
社会福祉のあり方に関する検討会報告書」は
社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として包み支え合う、
ソーシャル・インクルージョンの理念を進めることを提言しています。
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s0012/s1208-2_16.html
欧州の国々で、ソーシャル・インクルージョンの実現のために推進されているのが、
ソーシャル・エンタープライズ(social enterprise)です。
ソーシャル・エンタープライズは、社会的な目的をビジネス手法で行うものです。
通常の賃金、労働条件で生産活動を行い、製品・サービスを市場で販売し、
利益を事業に再投資する形で、社会的目的を実現させます。
ソーシャル・エンタープライズの一種で、障害者あるいは労働市場で
不利な立場にある人々のために仕事を生み出したり、
支援付き雇用の機会を提供したりすることに焦点をおいたビジネスが
ソーシャル・ファーム(Social Firm)です。
ソーシャル・ファーム
(*イタリアでは「ソーシャル・コーポラティブ(social cooperative)」)は
1970年頃に北イタリアの精神病院ではじまりました。
入院治療が必要でなくなった人が地域に住み、仕事に就こうとしたのですが、
偏見差別意識から雇用する企業が現れなかったため、
病院職員と患者が一緒になって仕事をする企業を自ら作っていったのが、
はじまりです。
この手法は、1980年代に、ドイツ、オランダ、フィンランド、イギリスなど、
ヨーロッパ各地に広がっていきました。
日本でも、障害のある人の仕事と雇用の創出活動が各地で行われ始めています。
今後は、そういった取り組みを法的・経済的に
どのように支援していくのかが課題となります。
今後の動向にも注目していきます。
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【2】  コンテンツの紹介
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●International Directory of Libraries for the Blind -4th Edition-
(IFLA(国際図書館連盟)の世界の録音点字図書館の要覧)
(財)日本障害者リハビリテーション協会は、IFLAの会員として、
「図書館利用において不利な立場にある人々へのサ-ビスに関する分科会
(Library Serving Disadvantaged Persons:LSDP)」
(http://www.ifla.org/VII/s9/index.htm)や
「視覚障害者図書館分科会(Library for the Blind Section:LBS)」
(http://www.ifla.org/VII/s31/index.htm)の活動に参加してきました。
現在行なっているIFLA-LBS関係の業務のひとつとして、
"International Directory of Libraries for the Blind -4th Edition-"
の更新・管理があります。
Directoryは、LBSが発行している世界の録音点字図書館の要覧で、
図書の国際的な相互貸借を円滑にすることを目的に製作されました。
各図書館の所在地等の基本情報や媒体別(録音、点字、DAISY、大活字、E-text)の
所蔵冊数などを見ることができます。
最初のデータベース版Directoryは、
1990年に出版された"3rd Edition"のデータを基にして製作され、
1998年に英国王立盲人援護協会(Royal National Institute for the Blind : RNIB)の
データベースを参照して更新したものでした。
LBSは、1999年2月に(財)日本障害者リハビリテーション協会がアンケート調査を
行なって更新したデータを"4th Edition"として2000年に出版しました。
当協会はLBSに代わり、このディレクトリーをネット上で更新・管理しています。
2007年6月1日現在、265機関のデータが収録されています。
書籍版は、新しい版を出版しない限りはデータを更新することができませんが、
データベース版は、各館の担当の方が更新を続けることにより、
全世界に向けて、より新しいデータを発信することができます。
データーベース版Directoryをより活用していただくためにも、
できるだけ新しい情報が見られるDirectoryにしていきます。
お近くに視覚障害者等図書館サービスの関係の方がいらっしゃいましたら、
このDirectoryのことをご紹介いただけましたら幸いです。
  International Directory of Libraries for the Blind -4th Edition-
  http://ifla.jsrpd.jp/
  Libraries for the Blind Section :
   International Directory of Libraries for the Blind 4th Edition
    http://www.ifla.org/III/misc/4edition.htm
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【3】 新着情報
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【国連世界情報社会サミット(WSIS)】(6月19日 新着)
障害者の津波への備えに関するプーケット宣言(仮訳)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prompt/ws_phuket.html
内容:
障害者の津波への備えに関する国際会議(2007年1月11日・12日)で
採択された宣言です。
【ノーマライゼーション 障害者の福祉】(6月19日 新着)
2007年6月号目次
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n311/n311_mokuji.html
内容:
『ノーマライゼーション 障害者の福祉』2007年6月号の目次です。
特集は、「第2次「アジア太平洋障害者の十年」中間年」です。
【研究と調査-DAISY関連】(6月14日 新着)
2003年から現在までのDAISY for All (DFA) 活動の要点
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/daisy/dfa.html
内容:
2007年5月3日のDAISYコンソーシアム総会で報告された、
DAISY for All (DFA) 活動についてのプレゼンテーションです。
【会議・セミナーの報告書】(6月7日 新着 6月14日 コンテンツ追加)
国際セミナー報告書「各国のソーシャル・ファームに対する支援」(2007.1.28)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20070128/index.html
内容:
2007年1月28日に日英高齢者・障害者ケア開発協力機構との共催で開催した
ソーシャル・ファームに関する国際セミナーの報告書です。
ゲーロルド・シュワルツ氏に聞く「ドイツにおけるソーシャルファームの発展」を
追加しました。
ドイツにおけるソーシャルファームの発展についてお話いただいています。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20070128/interview.html
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【4】 セミナーのご案内
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●JANNET主催ミニ研究会
「ウガンダの地雷生存者、マーガレット・アラック・オレクさん講演会」
趣旨:
JANNETは、アジア太平洋地域を中心に障害分野で交流・協力を行うNGOの活動や
障害の開発とのかかわりを紹介してきました。
今回は、JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)のイベントに参加するために来日する、
地雷生存者のマーガレットさんを講師に招いて、
ウガンダ国内および世界の地雷問題の現状や
「地雷生存者の声を発表しよう運動」でのご活躍をお話いただきます。
日本語逐次通訳(日本赤十字語学奉仕団)、手話通訳を用意しますので
関心のある方はどうぞお申し込みください。
日時:2007年7月19日(木) 午後6時~8時
場所:戸山サンライズ 2階大会議室(電話03-3204-3611)
http://www.normanet.ne.jp/~ww100006/
主催:JANNET(障害分野NGO連絡会)
http://www.normanet.ne.jp/~jannet/
参加費:JANNET会員 無料、一般 500円
定員:30名程度(先着順)
お申し込み、お問い合わせは、JANNET事務局までお願いいたします。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 
(財)日本障害者リハビリテーション協会内
電話 03-5292-7628 FAX 03-5292-7630
email:bando.masako@dinf.ne.jp(担当:上野、坂東)
 
JANNETのウエブサイト:http://www.normanet.ne.jp/~jannet/
JCBLのウエブサイト:http://www.jcbl-ngo.org/
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【5】 ウェブ担当者コラム
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「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第8期生成果発表会」
に参加しました。
http://cgi.normanet.ne.jp/~duskin/postmail/postmail.html
ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業では、
(財)広げよう愛の輪運動基金の委託を受け、
アジア太平洋の各国で地域社会のリーダーを志す
障害のある若い世代を対象に約10ヶ月の研修を実施しています。
http://www.normanet.ne.jp/~duskin/about/index.html
第8期生(2006年9月~2007年6月)は男女3名ずつの6名で、
視覚障害者が2名、聴覚障害者が1名、肢体不自由者が3名でした。
http://www.normanet.ne.jp/~duskin/trainee/index.html
彼らの研修は、日本語研修(3ヶ月)、個別研修(5ヶ月)、
集団研修(2ヶ月)で構成されています。
各個人の興味に合わせて個別研修先を選んで学ぶことができるという点、
年末年始のホームステイ(研修生と同じ障害を持つ方の家が多いようです。)や
スキー研修を通して新しい経験に挑戦する点、
異なる身体障害をもつ研修生同士で助け合ってつながりができる点が特徴です。
ウェブ上で彼らの研修日記を読むことができるのですが、
最初の日本語研修で、かなり文章が書けるようになっていることがわかります。
発表会当日の15分間のスピーチもとてもわかりやすく、
彼らがどんな10ヶ月間を過ごし、国に帰ったら何をやりたいのかが
心に伝わってくる発表でした。
彼らは新しいことを吸収する能力や語学センスに優れた方たちなのですが、
研修を受けるまでは、自己肯定感が決して高くはなかったようなのです。
彼らの国では法律・制度が不十分であったり、
交通や建物がアクセシブルでなかったり、
障害のある人は教育や就労の機会がなかったりします。
ですから、家族や周りの人たちも、
障害のある人にはできないと言ってしまうのです。
できない理由は、「障害」よりも「環境」の方が
大きいといえるでしょう。
報告の中でもっとも印象に残ったのは、
チャイ・スー・ファン(愛称:まるこ)さんが語った
次の言葉でした。
「6年前に交通事故に遭って、車椅子になった。
健常者になりたかったから、何でも頑張ったけれど心が疲れていた。
ピアカウンセリングで、「頑張る障害者はやめるように」
と言われたけれど、最初は意味がわからなかった。
頑張って重いものも持ったし、一番上の子だったから
親に心配をかけたくなかったので、入院も検査も
ひとりで行っていた。本当はさびしかったけど。
日本に来たら、気持ちが楽になった。
サポートを受けてよいんだとわかった。
障害者になったら、親からも周りからも
何もできないと言われていて、
自分でも何もできないと思っていたけど、
できるんだと気づくことができた。」
研修での様々な経験を通して「自分はできるんだ」という気持ちになっていったこと。
それが、国に帰って、国の仲間たちのためにやりたいことを
語れる力になっているのだと感じました。
国によって事情は様々ですが、自分と周りの人々の力を信じて行う活動は
必ず芽が出るものだと思います。DINFやメーリングリストを通して、
彼らの活躍を報告できる日が楽しみです。
「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業」のページでは、
事業の詳細や現役研修生、帰国研修生の情報を見ることができます。
ぜひご覧ください。
http://www.normanet.ne.jp/~duskin/
□□■ 編集後記………………………………
DINF担当者の仕事は、元の文章の状態からウェブに掲載されるまでの
流れの中で分担されています。
筆者は、そのうちの「文章」に近い部分を担当しています。
最近の仕事は、DINFに書かれていることをわかりやすく説明することです。
短いもので100字から200字程、もう少し長いもので800字弱、
もっとも長いものはこのメールマガジンですね。
慣れ親しんできた分野の言葉のはずなのに、なかなか書けないものですね。
DINFの中、ウェブの中、頭の中(?)・・・いろいろと大捜索して、
文章を起こし、フィードバックを受けて、書き直し・・・。
大変ですが、いつも文章を磨いていく作業を楽しみながら、書いています。
「200字」や「800字」がどこに出てくることになるかは、
後日のお楽しみとさせていただくとして、
日々の仕事で再認識したのは、インプットしただけでは
十分に学んだことにはならないということでした。
セミナーに参加したり本を読んだりすると、とても勉強した気になります。
でも、そのままにしておくと、せっかく得た情報も知識も
時間とともにどんどん忘れていってしまいます。
情報や知識を本当に自分の栄養にしていくには、
話す、書く、行動を変える・・・など、
なんらかの形のアウトプットが必要なのですね。
 発行元:(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
 TEL:03-5273-0796 FAX:03-5273-0615
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