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私たちが目指す世界
子どものための「持続可能な開発目標」
~2030年までの17のグローバル目標~

2015年10月

原作著作権:
The Global Movement for Children of Latin America and Caribbean (MMI-LAC)
"The World We Want - A Young Person's Guide to the Global Goals for Sustainable Development"
2014年10月初版発行、2015年8月改定

グローバル版編集:
SOS Children's Villages International
Save the Children
UNICEF
World's Largest Lesson

日本語版制作:
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4階
Tel: 03-6859-0070 Fax: 03-6859-0069
http://www.savechildren.or.jp
※グローバル版を日本語版に翻訳するにあたり、一部の事例を日本の状況に合わせて変更しています

イラスト・デザイン:
たかはしなな

製本・印刷:
(有)トータル マーケティング プリンティング

はじめに

 2016年からの15年間ですべての人々にとってより良い世界をつくるため、世界の国々の政府は、すべての人や私(わたし)たちの地球にとって最も重要な目標について話し合いました。
 そして、17の「持続可能な開発のためのグローバル目標」が決められました。
 目標を決めるまでには、政府だけでなく、世界中で子どもや若者(わかもの)も参加して、多くの人びとや組織が協力しました。

持続可能って?

今、自分のまわりのことだけではなく、未来のみんなや地球も今みたいに暮(く)らせるということ。

開発って?

十分に食べられなかったり、学校に行けなかったり、病気でも病院に行けなかったり、住んでいるところがとても危険(きけん)だったり、暴力をふるわれたり、自由に意見が言えなかったりすることをなくして、みんなが安心して、自分の能力を十分に発揮(はっき)しながら満足して暮(く)らせるようにすること。

このハンドブックは、みなさんにこの「グローバル目標」について知ってもらうために作られました。この目標がみなさんの生活にどう関わっているのか、政府が目標を達成するために、みなさんが日々できることは何かを考えるためのものです。

「グローバル目標」は、今、私(わたし)たちの世界が直面している様々な問題を解決(かいけつ)することを目指しています。しかし、そのためには世界中の人びとの協力が必要です。みなさんやみなさんの家族、先生、友達、みなさんの地域(ちいき)に暮(く)らす人、みなさんの兄弟や姉妹の協力が必要なのです。目標を達成するために何ができるかを、私(わたし)たち一人一人が考えることがとても大切です。一人の力は小さくても、世界中の多くの人びとが力を合わせれば、とても大きな力になるでしょう!

みなさんのような子どもや若者(わかもの)は、この目標についてどう思いますか?みなさんにとって一番大切なことは何か、みんなの生活をより良くするためには何が必要なのか、どのようにすればこの目標を達成でき、現在そして未来の世界をより良くできるのか、ということをぜひこのハンドブックを通して考えてみて下さい。このハンドブックを楽しみながら使っていただけるとうれしいです。

まず、知っておいてほしいこと

国際連合(国連):国際連合は、1945年に作られた、世界で最も大きな国際機関(多数の国が集まって作る国際的な組織)です。世界のほとんどすべての国が国連に参加しています。国連の仕事は、世界の平和と安全を守ること、世界の様々な問題を解決(かいけつ)すること、子どもや若者(わかもの)を含(ふく)むすべての人の人権(じんけん)(すべての人間が生まれながらに与(あた)えられている権利(けんり))を大切にすること、そしてこれらの仕事のために国々が協力するのを助けることです。

国連加盟(かめい)国:国連に参加している国々のことです(このハンドブックでは、「世界の国々」や「国連の参加国」としています)。2015年の国連加盟(かめい)国は193か国です。

ミレニアムサミット:2000年は、ちょうど千年の区切りで「ミレニアム」と呼(よ)ばれます。そのミレニアムの年に開かれたサミット(国の一番の責任者である大統領や総理大臣たちの集まる会議)で、国連に参加している189の国の代表は「国連ミレニアム宣言(せんげん)」を採択(さいたく)(みんなで合意して選ぶこと)しました。この宣言(せんげん)が出されてから、世界は団結して貧困(ひんこん)と闘(たたか)ってきました。この宣言(せんげん)が、次にある「ミレニアム開発目標」の土台となりました。

ミレニアム開発目標(MDGs(エムディージーズ)):ミレニアム開発目標は、国際機関や政府が、世界の様々な問題に協力して取り組むために作られた8つの目標です。その問題には、貧困(ひんこん)や飢餓(きが)(長い間食べられず、栄養が足りなくなること)と闘(たたか)うこと、HIV(エイチアイブイ)/エイズのような病気をなくすこと、男女間での差別をなくすこと、より多くの子どもたちが学校に行けるようにすること、などがあります。この8つの目標を達成するための期限は、2015年と決められました。2015年までに色々なことが良い方向に変わりましたが、まだやらなくてはいけないことが残っています。世界の国々は、この目標を達成するためにどのような努力をしたのかを、決められた時期に国連に報告します。国連は、それぞれの国がどれくらい目標を達成できたかを調べます。

「持続可能な開発のためのグローバル目標」:MDGs(エムディージーズ)の期限は2015年ですが、世界や私(わたし)たちの政府は、MDGs(エムディージーズ)がすべての人びとにとって達成されるよう努力を続ける必要があります。そして、新たに出てきた課題や問題にも取り組むことが必要です。たとえば、世界中でいまだに10億人以上の人々が貧困(ひんこん)の中で暮(く)らしており、また多くの人びとが格差(豊かな人と貧しい人との間など、色々なことに違(ちが)いや差があること)や不公平、差別を経験しているのです。

ここ数年、国連は2016年から2030年までの次の15年間の目標を決めるために話し合いをしてきました。そして、「持続可能な開発のためのグローバル目標」、あるいは短く「グローバル目標」として、17の目標が決められました。極度(きょくど)の貧困(ひんこん)(生きていくために必要な食べ物すら手に入れられないほどの貧困(ひんこん))をなくすこと、すべての子どもが良い教育を受けられるようにすること、すべての人に平等な機会が与(あた)えられること、私(わたし)たちの地球が汚されず健全であるように消費や生産の方法を変えていくことなど、世界にとって大変重要なことが目標に含(ふく)まれたのです。

MDGs(エムディージーズ)によってどのようなことが達成されたのか、そして「グローバル目標」とどのように関係するのかを知りたい場合は、このハンドブックの最後の「付録」を見てください。

「持続可能な開発のためのグローバル目標」って?

2015年9月、ニューヨークの国連総会で、世界の国々は「グローバル目標」について合意しました。この合意により、貧困(ひんこん)を終わらせ、すべての人が平等な機会を与(あた)えられ、地球環境(かんきょう)を壊(こわ)さずに、より良い生活を送ることができる世界を目指して、世界中が努力することが約束されたのです。2016年から2030年までの15年間、世界中の国々はこの「グローバル目標」の達成に向けて取り組んでいくことになります。

「持続可能な開発のためのグローバル目標」はどうやって選ばれたの?

国連は、2013年にオープン・ワーキング・グループという世界中の国々の代表が参加するグループを作り、何度も会議が行われました。このグループには教育や保健などの専門(せんもん)家も参加し、地球やすべての人のより良い生活のさまたげになっている、世界で最も緊急(きんきゅう)の問題が話し合われました。同時に世界中で、国の代表だけではなく、普通(ふつう)の人びとがこの問題を話し合い、「グローバル目標」に何を入れるべきかについて意見を出す機会が持たれました。これらの話し合いをもとに、オープン・ワーキング・グループは様々な問題に対して、「目標」と、目標をさらに詳(くわ)しくした「ターゲット」の案を作りました。この目標とターゲットには、例えば、貧困(ひんこん)や飢餓(きが)(長い間食べられず、栄養が足りなくなること)を終わらせること、人権(じんけん)や平和、ジェンダーの平等(すべての人が性を理由に差別されないこと)がきちんと守られること、また、環境(かんきょう)や天然資源(しげん)(自然の中から得られる資源(しげん)。石油や水、森林、魚などの生物など)を持続可能な方法で管理することなどが含(ふく)まれています。

オープン・ワーキング・グループの案が提出された後、今度は世界の国々がその案について話し合いました。そして、この案が意欲的な良い目標であるとして、この17の目標に政府として合意しようということが決まりました。政府はこの目標を世界中に紹介(しょうかい)するために「宣言(せんげん)」の文をつくり、目標を達成するための具体的な行動や、目標が達成されているかどうかを確かめる方法などについても話し合いました。そして、2015年8月、世界の国々は、「宣言(せんげん)」、「持続可能な開発のためのグローバル目標」、そのための行動などの文書全体に合意しました。こうして、2015年9月のニューヨークの国連本部での正式な採択(みんなで合意して選ぶこと)の準備が整ったのです。

このハンドブックでは、「グローバル目標」の17の目標と主なターゲットについて説明します。

ミレニアム開発目標(MDGs(エムディージーズ)):2000年から2015年まで

持続可能な開発のためのグローバル目標:2016年から2030年まで

「持続可能な開発」って何?どうしてそれが大事なの?

持続可能な開発とは、将来(しょうらい)の世代のための環境(かんきょう)や資源(しげん)を壊(こわ)さずに、今の生活をよりよい状態にすることです。

今ある資源(しげん)をすべて使ってしまい、未来の人々に何も残さない開発は、持続可能ではありません。持続可能な開発とは、共に成長し、他者を思いやり、環境(かんきょう)を大切にする取り組みです。

持続可能な開発を行っていくためには、より公正(かたよらず、正義があること)で公平な社会に向けてみんなが協力し、大きな変化をもたらしていく必要があります。そのためには、国のリーダーが協力を約束しなければなりませんが、私(わたし)たちにもやらなければならないことがあります。それは、例えば、子どもや若者(わかもの)に影響(えいきょう)を与(あた)える問題について意見を言ったり、私(わたし)たちや未来の世代にとっての理想の世界とはどんな世界なのかを調べたり、話し合ったりすることです。また、自分以外の人や地球を大事にするなど、私(わたし)たちが毎日の生活の中でできることを、積極的に行っていくことも大事です。

ファトマの話

私(わたし)の友達のファトマは、いつも自分の物をとても大切に使います。彼女(かのじょ)はそれがいくらか知っていて、それを買ってくれた両親にとても感謝しているからです。ファトマのお父さんは農家で、環境(かんきょう)に良くない農薬を使わない農業をしています。お父さんは、今、土地を悪くしてしまえば、将来(しょうらい)、その土地から何も得られないということを知っているからです。ファトマのお母さんは、とてもおいしいチーズを作り、公平な値段(ねだん)で売っています。ファトマの一家は大金持ちではありませんが、みんなで暮(く)らすのに十分なお金があります。私(わたし)はファトマが最新型の携帯電話やゲームを欲しいというのを聞いたことがありません。そのかわり、ファトマは自分の将来(しょうらい)のことや、これから何を勉強したいかを考えています。ファトマはいま、農業か教育の勉強がしたいと思っているそうです。

あなたはどんな世界に住みたいですか?

子どもや若者(わかもの)の意見や考えは、大事です!

ちょっと休憩(きゅうけい)…

次に進む前に次のことばを探(さが)してみよう!

  • こども
  • もくひょう
  • こうへい
  • せいさく
  • じぇんだー
  • ひんこん
  • さんか
  • じんけん
  • くに

こどもじきよいな
うこくえたこうも
へこひんこむたこ
いせよだかわじき
るいうーなこんさ
すさわやひんけん
あくにひんこんか
なみーざろくつお

こども:「国連子どもの権利(けんり)条約」によると、子どもとは、18歳(さい)未満の人のことをさします。

もくひょう:目標とは、努力の結果として得ようとするものです。この結果を達成しているかどうか知るために、より詳しい(くわしい)ターゲットを決めます。

こうへい:衡平(こうへい)さは、世界がより発展(はってん)し、平和で公正(かたよらず、正義があること)な場所になるために大事な考え方です。衡平(こうへい)さとは、違(ちが)いを大切にしながら、みんながそれぞれの権利(けんり)を平等に得られるようにすることです。

せいさく:政策(せいさく)とは、国が様々な問題に取り組むため、また、国民の利益のために行う行動のことです。

じぇんだー:ジェンダーとは、社会で考えられている男性と女性の違(ちが)いのことです。人間も他の生物と同じように、「男性」と「女性」の二つに分けられますが、そうした生物としての「男女の違(ちが)い」とはことなり、社会から求められる「男ならこうあるべき」「女ならこうあるべき」といった違(ちが)いのことをいいます。

ひんこん:貧困(ひんこん)とは、食べ物や、健康な体、学校に行くことなど、生きていくのに必要なものが十分にない状態のことです。

さんか:参加とは、感じたり、聞いたり、自分の意見を表したりすること、そしてその意見を聞いてもらうことで、これは私(わたし)たちの権利(けんり)です。参加することは、「今」、「ここで」、何かをする、ということです。

じんけん:人権(じんけん)とは、すべての人間が生まれながらに与(あた)えられている権利(けんり)です。人権(じんけん)は、「平等」と「尊厳(そんげん)」(とても大切で、だれからも奪(うば)われないこと))という2つの主な考え方に基づいています。

くに:国とは、領土、国民、政府、法律(ほうりつ)などによって成り立ち、これらがもとになって政策(せいさく)や制度が作られます。

目標1:貧困(ひんこん)をなくすこと

~世界中の、あらゆる形の貧困(ひんこん)を終わらせる~

※あらゆる形の貧困(ひんこん)とは、お金がないだけではなく、教育や仕事や食料、水、病院、住むところなどの必要な物やサービスがない、あるいは受けられないことや、自分の意見を言えないなど、自分のもっている本当の力を十分に生かせないことも含(ふく)まれます。

目標1を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • すべての人が、失業(仕事を失うこと)のような状態から守られ、医者による診察(しんさつ)など、必要なサービスを受けられるようにします。これは「社会的保護」と呼(よ)ばれ、特に最も貧しく、弱い立場にある人たちを守り、支えるための仕組みです。
  • 貧しい人が、他の人と同じように、必要なサービスを受けられ、仕事や土地を得られ、新しい技術を使ったり、会社を作ったりすることが出来るようにするための政策(せいさく)に、お金や人材などを使います。
  • 災害など洪水(こうずい)や干(かん)ばつ(雨が降(ふ)らないなどの理由で、土が乾(かわ)ききってしまい、農作物が育たなくなってしまうこと)といった気候(きこう)に関係する災害やその他の経済(けいざい)や社会、環境(かんきょう)の突然(とつぜん)の変化などから、貧しい人が受ける被害(ひがい)や影響(えいきょう)を減らし、災害から立ち直る力を高めます。

「目標1で一番大事なことは、2030年までに「極度(きょくど)の貧困(ひんこん)」(生きていくために必要な食べ物すら手に入れられないほどの貧困(ひんこん))を終わらせることなんだよ。」

「それはとっても大きな目標ね。どうやったら達成できるのかな?」

「世界中の国々が貧困(ひんこん)と闘(たたか)うために協力して行動することが必要だよ。国連は、それぞれの国がきちんと努力しているかどうか、確認(かくにん)しなければならないんだ。」

「じゃあ、私(わたし)たちに何かできることはあるの?」

「僕(ぼく)たちは、例えば、世界でなぜ人々が貧しくなってしまうのか、貧しいとどうなってしまうのか、何がおこるのかについて、もっと調べてみることができるよ。そうすれば、地球全体のことをちゃんと知っている、地球市民になれると思うよ。」

「僕(ぼく)たちはみんな、国がみんなのためにより良い世界を作る努力をするように求める権利(けんり)があるんだ。」

「問題について友達と話し合ったり、子どもの声を聞いてくれるように政府に求めたりもできるよ。自分たちでグループをつくって、お互(たが)いに協力することもできるよ。」

なぜこの目標は子どもや若者(わかもの)にとって大事なのでしょうか?

目標2:飢餓(きが)をなくすこと

~飢餓(長い間食べられず、栄養が足りなくなること)をなくし、生きていくために必要な食料を安定して手に入れることのできる権利(けんり)を保障し、栄養状態を良くして、持続可能な農業を進める~

目標2を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 子どもやお母さん、お年寄りのためのより良い取り組みを行ったり、安全で栄養のある十分な食料が1年中手に入るようにしたりすることで、栄養不良(必要な栄養が取れない、または栄養のバランスがよくないことによって、不健康な状態になること)を無くします。
  • 農業の生産量を増やし、小さい農家(特に女性や少数民族)の収入(しゅうにゅう)を増やします。その際、環境(かんきょう)を壊(こわ)さないようにし、それぞれの地域(ちいき)の生物(せいぶつ)多様性(たようせい)(たくさんの種類の生き物が複雑に関わり合い、様々な環境(かんきょう)に合わせて生きていること)や資源(しげん)を守るよう気を付けます。
  • 干(かん)ばつ(雨が降(ふ)らないなどの理由で、土が乾(かわ)ききってしまい、農作物が育たなくなってしまうこと)や洪水(こうずい)、その他の災害を予防します。
  • 種や作物、家畜(かちく)の多様性(様々に異(こと)なる種類が幅広(はばひろ)く存在(そんざい)すること)を守ります。そして、これらの資源(しげん)から得られた恵(めぐ)みを公平に分け合います。

パウラとルイザの話

パウラは、2歳(さい)になる娘(むすめ)のルイザがふつうよりも背(せ)が低く、やせていることをいつも心配していました。2人はとても寒い山奥(やまおく)に住んでいたので、パウラはいつも温かいスープをパウラに作ってあげていました。ある日、パウラはテレビで、子どもにはスープの代わりに、野菜や卵(たまご)や肉を食べさせた方がいいということを知りました。この日から、パウラはルイザがより健康になるような食事を作るようになりました。

すべての子どもが、健康に成長していくのに十分な量の、栄養のある食事をするために、何ができるでしょうか?

目標3:健康であること

~何歳(さい)であっても、健康で、安心して満足に暮(く)らせるようにする~

目標3を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 出産時(赤ちゃんを産むとき)に亡(な)くなってしまうお母さんの数を減らします。
  • 赤ちゃんや5歳(さい)未満の子どもが、防ぐことのできる理由で亡(な)くなることがないようにします。
  • HIV(エイチアイブイ)/エイズなどの感染症(かんせんしょう)や、肝炎(かんえん)、水によって感染(かんせん)する病気などの流行を終わらせます。
  • 麻薬(まやく)・アルコールの危険(きけん)性や、心の病気の予防についての知識を広めます。
  • 家族計画・性教育・リプロダクティブヘルス(人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ、子どもをつくる能力を持ち、子どもを持つか持たないか、いつ持つか、何人持つかを決める自由を持つこと)といった妊娠(にんしん)と出産に関する知識を広めます。
  • すべての人が、質の高い医療(いりょう)を受け、薬やワクチンを得られるようにします。
  • 世界中で、交通事故による死(し)亡者(ぼうしゃ)や負傷者(ふしょうしゃ)(ケガをした人)の数を半分に減らします。
  • 害のある化学物質(自然に存在(そんざい)せず、人の手で化学的につくられたもの)や、大気(たいき)汚染(おせん)(空気がよごれること)や、水質(すいしつ)汚染(おせん)(水がよごれること)、土壌(どじょう)汚染(おせん)(土がよごれること)が原因で、命を落としたり病気になったりする人の数を大きく減らします。

―2030年までにすべての人が病気や事故から守られるようにする

「健康第一って言葉を聞いたことある?」

「うん!その通りだと思うよ!病気だと、あまり働いたり、勉強したりできないからね。」

「それが健康についての目標がある理由なのね。」

「じゃあ、健康についての目標の下にあるターゲットを見てみよう。子どもや若者(わかもの)のためのターゲットがたくさんあるよ」

すべての子どもや若者(わかもの)が健康でいられるためには、何が必要でしょうか?

目標4:質の高い教育

~だれもが平等に質の高い教育を受けられるようにし、だれもが生涯(しょうがい)にわたってあらゆる機会に学習できるようにする~

目標4を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • すべての人が基礎(きそ)教育(幼稚園(ようちえん)・保育園、小学校や中学校などで、生きていくために必要な知識や能力を身に着けるために受ける教育のこと)を受けられるようにします。
  • 若者(わかもの)や大人がより良い仕事を得られるように、様々な職業訓練を受けられるようにします。
  • 男の子も女の子も、障害(しょうがい)のある子どもや少数民族出身の人、紛争(ふんそう)にまきこまれた人も、みんな平等に教育を受けられるようにします。
  • みんなが安全で通いやすく、過ごしやすい場所で勉強できるように学校設備(せつび)を整えます。
  • 自分の国でも海外でも、職業訓練を受ける人たちへの奨学(しょうがく)金(きん)(貧困(ひんこん)などの理由で勉強するための必要な資金がない人を助けるために与(あた)えられる資金)を増やします。
  • きちんと訓練を受けた、資格のある先生の数を増やします。
  • 「持続可能な開発のための教育」(1人ひとりが、自分のまわりのことだけでなく、世界の人々や未来のこと、また環境(かんきょう)を考えながら生活や行動をしていけるようになることを目指した教育)を広めます。

スジャータの話

スジャータと2人の弟は学校に行っていませんでした。家族の農業を手伝わなければならず、学校に行くためのお金もなかったからです。ですが、政府が無料の学校を開いてからはスジャータたちをはじめ、地域(ちいき)のすべての子どもが学校に行けるようになりました。学校では、農業のための知識や技術も教えてもらえます。学校では、女の子でも男の子でも、またお金があってもなくても、同じように学びます。だれもが学ぶ権利(けんり)を持っているのです。

すべての子どもや若者(わかもの)が良い教育を受けられるようにするために、ほかにどのようなことが必要でしょうか?

目標5:ジェンダーの平等

~ジェンダーが平等である(すべての人が性を理由に差別されない)ようにし、すべての女性や女の子に力を与(あた)える~

目標5を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 女性や女の子に対するあらゆる種類の差別を、世界のどの場所においてもなくします。
  • 女性や女の子に対するあらゆる種類の暴力や、性的人身取引を含む搾取(さくしゅ)(きちんとお金などを払(はら)わず働かせるなどして利用すること)をなくします。
  • 女性や女の子を身体的・精神的・性的に傷(きず)つけるような行為(こうい)や慣習は行われないようにします。
  • 女性の家事労働が価値(かち)あるものとして認(みと)められるようにします。
  • 女性や女の子がその意見を聞いてもらい、政治や経済(けいざい)などの公の活動に参加する機会を男性と同じように得られるようにします。
  • 性と生殖(せいしょく)の健康(妊娠(にんしん)と出産)に関する女性の権利(けんり)を守ります。
  • 男女が平等になるような、政策(せいさく)や法律(ほうりつ)をつくるようにします。それには、女性に男性と同じように、土地や財産(ざいさん)、金融(きんゆう)サービス(銀行などがお金を預かったり、お金を貸したりするサービス)、相続(そうぞく)財産(ざいさん)(家族がなくなって、その財産を受けつぐこと)、天然資源(しげん)(自然の中から得られる資源(しげん)。石油や水、森林、魚などの生物など)などを、自分で自由に使用・利用したり、処分(しょぶん)したり、管理したりできるように、法律(ほうりつ)やルールをつくりかえていくことも含(ふく)まれます。

とある友達同士の会話

めぐみ:聞いて聞いて!
とおる:何?どうしたの?
めぐみ:大学に受かったの!
とおる:うわー、すごい!おめでとう!何を勉強するの?
めぐみ:自動車工学!
とおる:え?冗談(じょうだん)だよね?
めぐみ:ほんとだってば!
とおる:なんでそんな男っぽい分野を選んだの?
めぐみ:私(わたし)、子どもの時からお父さんの自動車修理工場でお手伝いをしていたの。男っぽいなんてことないってば!
とおる:ごめんごめん。そうだ、ぼくの父さんの車が昨日壊(こわ)れちゃったんだ。助けてくれる?
めぐみ:もちろん!じゃあまたあとでね。

なぜ女の子と男の子が同じことをできるようにすることが大事なのでしょうか?

目標6:清潔な水と衛生

~水と衛生的な環境(かんきょう)をきちんと管理して、だれもが水と衛生的な環境(かんきょう)を得られるようにする~

目標6を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • すべての人が安全な水を使えるようにします。
  • すべての人が安全な方法での下水処理(しょり)やごみ処理(しょり)などの衛生設備(せつび)が整った環境(かんきょう)で暮(く)らせるようにします。また、すべての人が衛生についての知識を学べるようにします。
  • きれいな水を提供(ていきょう)するため、水質を管理します。化学物質(自然に存在(そんざい)せず、人の手で化学的につくられたもの)や汚染(おせん)物質(水や土などをよごしてしまうもの)が水に入らないようにします。
  • 水の使い方を改善(かいぜん)します。水の再利用にもっと力を入れて取り組みます。
  • 地域(ちいき)社会が水の管理や衛生環境(かんきょう)の改善(かいぜん)に積極的に関わるように、地域(ちいき)の意識を向上させます。
  • 水資源(しげん)に関するエコシステム(生態系(けい)。自然の生き物と、生き物が暮らす(くらす)環境(かんきょう)とが、バランス良くなりたっている仕組み)を守り、再生させます。水に関わるエコシステムには、山や森林、湿地(しっち)(しめりけが多い土地)、川、帯(たい)水層(すいそう)(地下水を含(ふく)んでいる地層(ちそう))、そして湖などが含(ふく)まれます。

ムルカンの話

ムルカンも近所の子どもたちもみんな病気にかかっています。大人も何かしらの健康問題を抱(かか)えています。みんなで病院に行ってみると、医師は「みんなの病気は同じ症状(しょうじょう)なので、原因はもしかしたら2日ごとにくんでくる水のせいかもしれない」と言いました。ほとんどの人が飲んだり、料理に使ったりする前に水を沸騰(ふっとう)してきれいにするためのコンロを持っていなかったので、多くの人がよごれた水をそのまま飲むしかなかったのです。

水を使う様々な生活の行動の中で、あなたにとって一番大切なことはなんでしょうか?もし、水がなかったらどうでしょう?すべての子どもと若者(わかもの)が安全な水を使えるようにするには、どうしたらよいでしょうか?

目標7:再生可能エネルギー

~価格が安くて、安定して発電でき、持続可能で近代的なエネルギー(薪(まき)や炭などを燃料とするエネルギーではなく、電気やガスなどのより新しいエネルギー)をすべての人が使えるようにする~

※再生可能エネルギー:太陽の光や風、川を流れる水の力、海の潮(しお)の力など、自然の力でつくるエネルギー。

目標7を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 新しい設備(せつび)や施設(しせつ)、より良い技術を使い、価格が安く、安定して発電でき、近代的なエネルギー(薪(まき)や炭などを燃料とするエネルギーではなく、電気やガスなどのより新しいエネルギー)をすべての人が使えるようにします。
  • エネルギーをもっと効率(こうりつ)よく使うようにします。エネルギーを節約できる技術を早く開発します。
  • 石油や石炭など、一度使ったらもう一度使うことはできないエネルギー源(げん)ではなく、再生可能エネルギーの使用を世界中で増やします。
  • みんなが協力して、再生可能エネルギーやその他の環境(かんきょう)にやさしいエネルギー源(げん)についてさらに調べて、それらをもっと利用できるようにします。

―世界のすべての人がエネルギーを使えるようにするための目標を見てみましょう!

「水についての目標はさっき勉強したけど、電気も大切じゃない?」

「そうだね!電気がなかったらできないことってたくさんあるよね。」

「世界では、家で電気を使えない人もたくさんいるのね。これは大きな問題だと思う。」

「僕(ぼく)たちみたいに電気を使える人が、無駄(むだ)づかいをしているってこともあるよね。僕(ぼく)たちがエネルギーを節約することは、そういう人を助けることにもつながるんだ」

家や学校で使うもので、電気がないと動かないものにはどんなものがありますか?なぜ、すべての子どもや若者(わかもの)が電気を使えるようにすることが大切なのでしょうか?

目標8:適切な良い仕事と経済(けいざい)成長

~自然資源が守られ、みんなが参加できる経済(けいざい)成長を進め、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする~

目標8を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 仕事を通じて人として成長できるような、安全でやりがいのある仕事を提供(ていきょう)します。
  • 経済(けいざい)活動(モノをつくったり、お金を払(はら)って商品やサービスを買ったり使ったりすること)において、天然資源(しげん)(自然の中から得られる資源(しげん)。石油や水、森林、魚などの生物など)を大切にし、守ります。
  • 男性、女性、若者(わかもの)、障害(しょうがい)者、移民労働者(自分の国を離(はな)れて働く人)など、すべての人にとって働きがいのある人間らしい仕事と、安全に働ける場所や環境(かんきょう)を提供(ていきょう)します。
  • 訓練を受けられる機会を増やすことで、仕事がない若者(わかもの)の数を減らします。
  • すべての種類の児童労働(18歳(さい)未満の子どもによる労働で、その仕事をすることで心や体が傷(きず)ついてしまうような、子どもにとって害のある労働)や自分の意思に反して強制される仕事、子ども兵士の問題を解決(かいけつ)します。
  • 若者(わかもの)にもっと多くの仕事の機会を与(あた)えるため、世界全体で取り組みます。

「仕事についてどう思う?」

「安全で働きがいのある仕事をすることは私(わたし)たちの権利(けんり)だから、すべての人がその権利(けんり)を満たされるようにしなきゃいけないわね。それにお給料だって、自分や自分の家族が生活していけるよう、十分な金額を払(はら)ってもらわないとね。」

なぜ、すべての人が適切で良い仕事につくことが大切なのでしょうか?人々が良い仕事を見つけるさまたげになっているのはどんなことでしょうか?みんなが良い仕事につきやすくするために、私(わたし)たちにできることはどんなことでしょうか?

目標9:新しい技術とインフラ

~災害に強いインフラをつくり、みんなが参加できる持続可能な経済(けいざい)発展(はってん)を進め、新しい技術を生み出しやすくする~

※インフラ(インフラストラクチャーの略):みんなが生活したり働く上で必要な、社会的な施設(しせつ)や設備(せつび)、サービスのこと。水道や鉄道、ガス・電気、インターネットなど。

目標9を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 持続可能で、災害に強いインフラをつくり、経済(けいざい)成長と人びとの健康で安全な暮(く)らしを支援(しえん)します。
  • 小さな規模(きぼ)のビジネスを行っている人々にお金を貸したり、技術の支援(しえん)を行います。
  • 企業(きぎょう)が環境(かんきょう)を壊(こわ)さず、持続可能な成長を目指すことを求めます。
  • それぞれの国に必要とされる技術や、新しい技術を使うための研究を支援(しえん)します。
  • 最も経済(けいざい)発展(はってん)や開発が遅(おく)れた国に住む人たちを含(ふく)む、すべての人がインターネットや新しい技術を使えるようにします。

「会社は環境(かんきょう)を守ったり、人びとや地球に害を与(あた)えない健全な製品を作ったりする責任があるのね。」

「会社は地域(ちいき)を支援(しえん)して、地域(ちいき)の声を聞く責任もあるよ。そうすれば、地域(ちいき)の人たちが、ちゃんと参加できて、大事にされているっていうことを実感できるからね。」

あなたは、政府や会社のリーダーが、環境(かんきょう)や働く人たちのためにもっと何かできることがあると思いますか?

目標10:不平等を減らすこと

~国と国の間にある不平等や、国の中での不平等を減らす~

目標10を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 貧しい人たちが、すぐに、とぎれることなく収入(しゅうにゅう)を増やせるよう、支援(しえん)します。
  • 特定のグループを差別するような法律(ほうりつ)や習慣をなくします。同時に、このような差別を受けてきた人々の声を聞き、必要な支援(しえん)を行います。
  • 不利な立場にある人を守るような法律(ほうりつ)や政策(せいさく)を取り入れます。例えば、ある政党(せいとう)には、わりあてられた人数の若者(わかもの)、女性、少数民族、障害(しょうがい)者が含(ふく)まれなければなりません。
  • ある国から他の国に移住する人が、法律(ほうりつ)により守られるようにします。

「どうやったら不平等がなくせるかな?」

「国は、すべての国民が差別されずに、政策(せいさく)によって守られるようにするべきだと思う。」

「僕(ぼく)もそう思う!自分たちが軽く扱われたり、無視されたように感じたら、だれだって悲しいよね。」

あなたは今まで、自分が「のけ者にされた」と感じたことがありますか?ある人たちにとって不公平だと思われるようなことに気づいたことがありますか?そうした不公平なことに対して、あなたはどのように感じましたか?そして、もっと公平になるようにするにはどうしたらいいと思いますか?

目標11:持続可能なまちと地域(ちいき)社会

~まちや人びとが住んでいるところを、だれもが受け入れられ、安全で、災害に強く、持続可能な場所にする~

目標11を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • すべての人が安全で住みやすい家や必要なサービスを得られるようにします。
  • 環境(かんきょう)を破壊(はかい)せず、特に子どもや女性、弱い立場にある人たちにとって、安全で使いやすい公共(こうきょう)交通(こうつう)機関(きかん)(電車やバスなど)をつくります。
  • 自分たちのまちをより良くするための話し合いや計画づくりに、地域(ちいき)の人々が参加できるようにします。
  • 世界の文化(ぶんか)遺産(いさん)(ある文化を共有する人々にとって大切で、自分の子どもや孫に伝え、守っていきたいもの。建物や遺跡(いせき)など)、自然(しぜん)遺産(いさん)(同じように守っていきたい、大切な自然、生き物や環境(かんきょう))を守り、保護するために、ますます努力します。
  • 災害に強いまちと地域(ちいき)をつくります。
  • 廃棄物(はいきぶつ)(不要になって捨(す)てられたもの)を管理し、また空気をよごさないように気を付けます。
  • すべての地域(ちいき)が資源(しげん)をうまく管理できるよう、また気候(きこう)変動(へんどう)(人間の活動によって、地球をあたためる二酸化炭素などのガスが空気中にたくさん出てしまい、地球の気温が上がることにより気候(きこう)が変化すること)に対応できるように支援(しえん)します。

「私(わたし)たちの暮(く)らすまちや村は、清潔で安全な場所じゃないとね。それに、ちゃんとした家や、水や電気などのサービスもいるわね。」

「遊ぶ場所もね!公園や、みんなが使う乗り物だってないとこまるよ。」

子どもや若者(わかもの)にとって、まちをより安全で、より良くしてくれるものは何でしょうか?

目標12:責任を持って消費すること

~持続可能な方法で生産し、消費する~

目標12を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 一人あたりの、捨(す)てられる食べ物の量を、世界全体で半分にするよう、人も企業(きぎょう)も取り組みます。
  • 国際的なルールにしたがって、空気や水、土をよごさずに、有害な化学物質(自然に存在(そんざい)せず、人の手で化学的につくられたもの)が管理されるようにします。
  • 3R(スリーアール)(リデュース:ごみを減らすこと、リユース:一度使って捨てるのではなく何回か使うこと、リサイクル:もう一度資源(しげん)に生まれ変わらせること)を通して、廃棄物(はいきぶつ)(不要になって捨(す)てられたもの)を減らします。
  • 大企業(きぎょう)が、責任を持ち、情報を公開し、環境(かんきょう)にやさしい活動を行うようにします。
  • 人々が自然と調和した暮(く)らしに関する知恵(ちえ)や知識を得られるようにし、持続可能な生活習慣に必要な情報や手段を提供(ていきょう)します。

「知ってた?新しい法律(ほうりつ)ができて、使わなくなったケイタイやスマホをリサイクルしなくちゃいけないことになったのよ。」

「ほんと?!どうして?」

「ケイタイやスマホには、世界でもとても貴重(きちょう)な金属が使われているんだって。もし捨(す)てられたケイタイからそうした金属をきちんと取り出して、もう一度使えるようにすれば、もともと少なかったり、掘(ほ)り出(だ)すのが大変だったりする金属を無駄(むだ)にせずにすむでしょ?自然から取り出すばっかりだと、いつか大事な金属だってなくなってしまうわ。私(わたし)たちの次の世代もきっとこまることになるし。」

「そんなに貴重(きちょう)な金属を使っているなんて知らなかったなぁ。リサイクルが大事なのはよくわかったけど、僕(ぼく)は、今使っているスマホ、長く大事に使おうっと!」

水や食べ物、木、エネルギーといった資源(しげん)を無駄(むだ)にしないよう、毎日の生活であなたがちょっと工夫すればできることは何がありますか?

目標13:気候(きこう)変動(へんどう)への対策(たいさく)

~気候(きこう)変動(へんどう)や、それによる影響(えいきょう)を止めるために、すぐに行動を起こす~

※気候(きこう)変動(へんどう):人間の活動によって、地球をあたためるガス(二酸化炭素(にさんかたんそ)など)が空気中にたくさん出てしまい、地球の気温が上がることにより気候(きこう)が変化すること。

目標13を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 気候(きこう)変動(へんどう)が原因の災害や、自然災害に対して、きちんと備えます。
  • 政府は気候(きこう)変動(へんどう)の問題に取り組み、そのために国の予算を使います。

―世界中の国々が協力して、2030年までに地球(ちきゅう)温暖化(おんだんか)の速度を下げて、その悪(あく)影響(えいきょう)を減らしていくことが必要です。

「ここから見えるあの山、前より雪が積もらなくなったと思わない?」

「うん、私(わたし)もそう思う。世界中の科学者たちが、それは地球の温度が高くなりすぎたせいだって言っているわ。それって私(わたし)たち人間だけじゃなくて、動物や環境(かんきょう)にも危険(きけん)なことだって。」

気候(きこう)が変わってしまうことが、どうして子どもや若者(わかもの)にとって重要なのでしょうか?どんなことが自分の身に起こると思いますか?

目標14:海のいのちを守ること

~持続可能な開発のために、海や海の資源(しげん)を守り、持続可能な方法で使用する~

目標14を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 海の汚染(おせん)(汚れること)を減らします。海の汚染(おせん)の多くは陸上の人間の活動が原因です。
  • 違法(いほう)(法律に反する)な漁業や魚のとりすぎなど、海の環境(かんきょう)を破壊(はかい)するような魚のとり方を禁止する法律(ほうりつ)を作ります。
  • 貧しい国や、小さな島々に対して、海の資源(しげん)をきちんと保護・管理できるように支援(しえん)を行います。

海にいるもの、海から私(わたし)たちがとるもので、大切なものは何でしょうか?どうしてそれらを守ることが重要なのでしょうか?

目標15:陸のいのちを守ること

~陸のエコシステム(生態系(けい)。自然の生き物と、生き物が暮らす(くらす)環境(かんきょう)とが、バランス良くなりたっている仕組み)を守り、再生し、持続可能な方法で利用する。森林をきちんと管理し、砂漠(さばく)がこれ以上増えないようにし、土地が悪くなることを止めて再生させ、生物(せいぶつ)多様性(たようせい)(たくさんの種類の生き物が複雑に関わり合い、様々な環境(かんきょう)に合わせて生きていること)が失われることを防ぐ~

目標15を達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 国際(こくさい)条約(じょうやく)(国と国との間の約束)にしたがって、砂漠(さばく)や熱帯(ねったい)雨林(うりん)(赤道の近く、主に気温が高くて雨がたくさん降(ふ)る地域(ちいき)にある森林。ジャングル)などのエコシステムを守ります。
  • 森林を再生させることを目指して、森林破壊(はかい)を減らし、木を植えます。
  • 絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)種(しゅ)を一刻(いっこく)も早く保護します。保護の対象となっている動物や植物を違法(いほう)(法律に反する)にとったり、売ったりすることを止めます。先住(せんじゅう)民族(みんぞく)(その土地や地域(ちいき)にもとから住んでいた人々)の人たちと協力します。

世界の植物や動物の種類がたくさんあることは大切だと思いますか?植物や動物の種類が減らないようにしたり、植物が育つ場所、動物たちが住む場所を守ったりするために、子どもができることは何でしょうか?

目標16:平和で公正な社会

~持続可能な開発のため、平和でみんなが参加できる社会をつくり、すべての人が司法(法律(ほうりつ)に基づいた裁判(さいばん)や手続き)を利用でき、地域(ちいき)・国・世界のどのレベルにおいても、きちんと実行され、必要な説明がなされ、だれもが対象となる制度をつくる~

目標16を達成するために世界の国々が合意したこと:

  • 暴力や、暴力による死をなくします。
  • 虐待(ぎゃくたい)(暴力をふるったり、必要な世話をしなかったり、ひどい言葉を浴びせ続けるなどをすること)・搾取(さくしゅ)(きちんとお金などを払(はら)わず働かせたりして利用すること)・人身(じんしん)取引(とりひき)(人間を売ったり買ったりすること)など、子どもに対するあらゆる形の暴力をなくします。
  • すべての人が国内でも海外でも、平等に司法を利用できるようにします。
  • あらゆる形の犯罪や汚職(おしょく)(仕事をする上で、わいろを受け取るなどして不正な行いをすること)を減らします。
  • 国民に対してきちんと責任を果たせる国の制度を整えます。
  • 政府は何かを決める時、国民の意見を聞き、子どもや大人のためになるような決定をします。例えば、子どもや若者(わかもの)に影響(えいきょう)を与(あた)えるような法律(ほうりつ)を作るときには、事前に子どもや若者(わかもの)の意見を聞かなければなりません。
  • すべての子どもに戸籍(こせき)(個人の氏名、生年月日、生まれた場所、家族など、人が生まれてから死ぬまでのことを公的に記した文書)を与(あた)え、すべての赤ちゃんが出生(しゅっせい)登録(とうろく)(生まれた日や場所などを公的な機関に届(とど)け出(で)ること)をすませ、必要な教育や医療(いりょう)サービスを受けられるようにします。
  • すべての人が無料で必要な情報を得られるようにします。
  • 暴力やテロ、犯罪を防止するような制度を強化します。

「今日は特別な日よ。」

「どうして?何かあったの?」

「私(わたし)たち、学校で署名(しょめい)を集めて、政府に子どもに対する暴力や体罰(たいばつ)を禁止する法律(ほうりつ)をつくるように頼んだの!」

「すごいね!大人も署名(しょめい)したの?」

「大人も子ども、若(わか)い人たちも署名(しょめい)したわ。この法律(ほうりつ)は私(わたし)たちが暴力を受けずに暮(く)らせるよう、私(わたし)たちの権利(けんり)を守ってくれるものなの。」

なぜ子どもや若者(わかもの)にとって、家や学校が安全だと感じることが大切なのでしょうか?自分たちの住む地域(ちいき)で、子どもたちが安全であるようにするために、何ができるでしょうか?暴力をなくし、より安全な世界で暮(く)らすためには、どうすることが必要でしょうか?

目標17:目標のために協力すること

~実施(じっし)手段(しゅだん)(目標達成のために必要な行動や方法)を強化し、持続可能な開発に向けて世界の国々が協力する~

目標1から16までを達成するために、世界の国々が合意したこと:

  • 2030年までに、すべての国がこれらの目標を達成できるように助け合います。それぞれの国が国内の政策(せいさく)の中に「グローバル目標」を取り入れるようにし、何からどのように取り組むのかを考えます。
  • それぞれの国が目標を達成するために国の予算を使うようにします。さらに、先進国は発展(はってん)途上(とじょう)国(こく)(経済(けいざい)発展(はってん)や開発が遅(おく)れた国)が目標を達成できるように支援(しえん)を行わなければなりません。
  • すべての国々の政策(せいさく)を大切にし、政策(せいさく)がきちんと筋(すじ)が通ったものになるようにします。例えば、天然資源(しげん)を守る法律(ほうりつ)と、自然破壊(はかい)を許可する法律(ほうりつ)を同時に作ることは出来ません。
  • 「グローバル目標」に関連する分野の問題について取り組んできた組織や人と協力します。目標を達成するためには、こうした組織や人の経験や支援(しえん)が必要です。
  • 「グローバル目標」の達成に向けてどれくらい進歩したかを調べられるようにするため、国々はより詳(くわ)しいデータや統計(あるまとまったグループの傾向(けいこう)や性質を、数字で示して明らかにしたもの)を集めるようにします。

「グローバル目標とターゲットがどんなものか、わかったよ。」

「でも目標を達成するために、僕(ぼく)たちや僕(ぼく)たちの政府は何をするべきなのかな?」

それぞれの目標を、関係のあるイラストと線でむすんでみよう

目標1:貧困(ひんこん)をなくすこと

目標2:飢餓(きが)をなくすこと

目標3:健康であること

目標4:質の高い教育

目標5:ジェンダーの平等

目標6:清潔な水と衛生

目標7:再生可能エネルギー

目標8:適切な良い仕事と経済(けいざい)成長

目標9:新しい技術とインフラ

目標10:不平等を減らすこと

目標11:持続可能なまちと地域(ちいき)社会

目標12:責任を持って消費すること

目標13:気候(きこう)変動(へんどう)への対策(たいさく)

目標14:海のいのちを守ること

目標15:陸のいのちを守ること

目標16:平和で公正な社会

目標17:目標のために協力すること

グループで話し合ってみよう!

あなたはどの目標が子どもや若者(わかもの)にとって一番大事だと思いましたか?順番に5つ書き出してみましょう。

1

2

3

4

5

あなたはどの目標の達成に協力していきますか?また、どのように協力していきますか?

付録:ミレニアム開発目標(MDGs(エムディージーズ))とターゲット:

MDGs(エムディージーズ)は2000年から2015年までの目標です。どれぐらい達成されたのでしょうか?

どのMDGs(エムディージーズ)が「グローバル目標」につながっていると思いますか?線でむすんでみよう!

ゴール1:貧困(ひんこん)と飢餓(きが)をなくそう

→1日1.25ドル未満で生活する人の数が半分に減りました。

ゴール2:みんなが小学校に通えるようにしよう

→発展(はってん)途上(とじょう)国(こく)において、90%の子どもたちが小学校での教育を受けられるようになりました。

ゴール3:ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント(力を与えること)を推進(すいしん)しよう

→世界中で小学校教育における男の子と女の子の平等が達成されました。

ゴール4:子どもの死亡率(しぼうりつ)を減らそう

→1990年以降(いこう)、命をおとす子どもの数が一日当たり17,000人少なくなりました。

ゴール5:妊娠(にんしん)・出産する女性の健康状態を改善(かいぜん)させよう

→1990年から2013年の間に、妊娠(にんしん)している、あるいは赤ちゃんを産んでから間もない女性の死亡率(しぼうりつ)が45%減りました。

ゴール6:HIV(エイチアイブイ)/エイズ、マラリア(蚊(か)を介(かい)して感染(かんせん)する病気)、その他の病気が広がることを防止し、これらの病気を減らそう

→2000年から2010年の間に、マラリアで亡(な)くなる人の数が330万人減りました。

ゴール7:人々の生活の向上と地球環境(かんきょう)を守ることを両立させよう

→1990年から2012年の間に、23億人がより良い飲み水を手に入れることができるようになりました。

ゴール8:みんなで協力して世界から貧困(ひんこん)をなくそう

→2013年の政府開発援助(えんじょ)(政府が途上国の開発のために援助(えんじょ)する資金。ODA(オーディーエー)ともいいます)は、1340億ドルに達しました。

※データ出典:http://www.un.org/millenniumgoals/poverty.shtml


原典紹介サイト: Save the Children JAPAN.アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)『私たちが目指す世界 子どものための「持続可能な開発目標」』ができました!(公開日:2015.10.19)http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2090

本パンフレットに関するお問い合わせ:
advocacy@savechildren.or.jp
Tel:03-6859-6867

パンフレット全文PDF:
『私たちが目指す世界 子どものための「持続可能な開発目標」』
http://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/sdgs_child_friendly.pdf