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知的障害者福祉法

(平成10年「精神薄弱者福祉法」を改称)

項目 内容
備考 昭和35年3月31日 法律第37号
*平成14年 法律167号まで反映

(昭和35年3月31日・法律第37号)
施行、昭35・4・1
改正、〔昭61まで省略〕平1-法22、平2-法58、平5-法89、平6-法49、平10-法110〔「精神薄弱者福祉法」を改称〕、平11-法87・法151・法160、平12-法111(平14-法1)、平14-法1・法167

第1章 総則

第1条(この法律の目的)

この法律は、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。

第1条の2(自立への努力及び機会の確保)

すべての知的障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない。

2 すべての知的障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。

第2条(国、地方公共団体及び国民の責務)

国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が実現されるように配慮して、知的障害者の福祉について国民の理解を深めるとともに、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)の実施に努めなければならない。

2 国民は、知的障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、知的障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

第3条(関係職員の協力義務)

この法律及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による更生援護の実施並びにその監督に当たる国及び地方公共団体の職員は、知的障害者に対する更生援護が児童から成人まで関連性をもつて行われるように相互に協力しなければならない。

第4条(定義)

この法律において、「知的障害者居宅支援」とは、知的障害者居宅介護、知的障害者デイサービス、知的障害者短期入所及び知的障害者地域生活援助をいう。

2 この法律において、「知的障害者居宅介護」とは、十八歳以上の知的障害者であつて日常生活を営むのに支障があるものにつき、居宅において行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものをいう。

3 この法律において、「知的障害者デイサービス」とは、十八歳以上の知的障害者又はその介護を行う者につき、知的障害者デイサービスセンターその他厚生労働省令で定める施設に通わせ、手芸、工作その他の創作的活動、社会生活への適応のために必要な訓練、介護方法の指導その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

4 この法律において、「知的障害者短期入所」とは、介護を行う者の疾病その他の理由により居宅において介護を受けることが一時的に困難となつた十八歳以上の知的障害者につき、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設その他の厚生労働省令で定める施設に短期間の入所をさせ、必要な保護を行うことをいう。

5 この法律において、「知的障害者地域生活援助」とは、地域において共同生活を営むのに支障のない知的障害者につき、これらの者が共同生活を営むべき住居において食事の提供、相談その他の日常生活上の援助を行うことをいう。

6 この法律において、「知的障害者居宅生活支援事業」とは、知的障害者居宅介護等事業、知的障害者デイサービス事業、知的障害者短期入所事業及び知的障害者地域生活援助事業をいう。

7 この法律において、「知的障害者居宅介護等事業」とは、知的障害者居宅介護に係る第十五条の五第一項の居宅生活支援費の支給若しくは第十五条の七第一項の特例居宅生活支援費の支給に係る者又は第十五条の三十二第一項の措置に係る者につき、知的障害者居宅介護を提供する事業をいう。

8 この法律において、「知的障害者デイサービス事業」とは、知的障害者デイサービスに係る第十五条の五第一項の居宅生活支援費の支給若しくは第十五条の七第一項の特例居宅生活支援費の支給に係る者又は第十五条の三十二第一項の措置に係る者(その者を現に介護する者を含む。)につき、第三項の厚生労働省令で定める施設に通わせ、知的障害者デイサービスを提供する事業をいう。

9 この法律において、「知的障害者短期入所事業」とは、知的障害者短期入所に係る第十五条の五第一項の居宅生活支援費の支給若しくは第十五条の七第一項の特例居宅生活支援費の支給に係る者又は第十五条の三十二第一項の措置に係る者につき、知的障害者短期入所を提供する事業をいう。

10 この法律において、「知的障害者地域生活援助事業」とは、知的障害者地域生活援助に係る第十五条の五第一項の居宅生活支援費の支給若しくは第十五条の七第一項の特例居宅生活支援費の支給に係る者又は第十五条の三十二第一項の措置に係る者につき、知的障害者地域生活援助を提供する事業をいう。

11 この法律において、「知的障害者相談支援事業」とは、地域の知的障害者の福祉に関する各般の問題につき、主として居宅において日常生活を営む十八歳以上の知的障害者又はその介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、第十一条第二項の規定による相談及び指導を行い、併せてこれらの者と市町村、知的障害者居宅生活支援事業を行う者、知的障害者援護施設、医療機関等との連絡及び調整その他の厚生労働省令で定める援助を総合的に行う事業をいう。

第5条

この法律において、「知的障害者援護施設」とは、知的障害者デイサービスセンター、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者通勤寮及び知的障害者福祉ホームをいう。

2 この法律において、「知的障害者施設支援」とは、知的障害者更生施設支援、知的障害者授産施設支援及び知的障害者通勤寮支援並びに独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設において提供される支援をいう。

3 この法律において、「知的障害者更生施設支援」とは、知的障害者更生施設に入所する知的障害者に対して行われる保護並びにその更生に必要な指導及び訓練をいう。

4 この法律において、「知的障害者授産施設支援」とは、特定知的障害者授産施設(知的障害者授産施設のうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)に入所する知的障害者に対して行われる必要な訓練及び職業の提供をいう。

5 この法律において、「知的障害者通勤寮支援」とは、知的障害者通勤寮に入所する知的障害者に対して行われる居室その他の設備の利用の提供並びに独立及び自活に必要な助言及び指導をいう。

第2章 削除〔平二法五八〕

第6条から第8条まで

削除

第3章 実施機関及び更生援護

第1節 実施機関等

第9条(更生援護の実施者)

この法律に定める知的障害者又はその介護を行う者に対する市町村による更生援護は、知的障害者が居住地を有するときは、その知的障害者の居住地の市町村が、知的障害者が居住地を有しないとき、又はその居住地が明らかでないときは、その知的障害者の現在地の市町村が行うものとする。

2 前項の規定にかかわらず、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している知的障害者については、その者が入所前に居住地を有した者であるときはその居住地の市町村が、その者が入所前に居住地を有しない者又は居住地が明らかでなかつた者であるときは入所前におけるその者の所在地の市町村が、この法律に定める更生援護を行うものとする。

3 市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

  • 一 知的障害者の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
  • 二 知的障害者の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。
  • 三 知的障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。

4 その設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)に知的障害者の福祉に関する事務をつかさどる職員(以下「知的障害者福祉司」という。)を置いていない市町村の長及び福祉事務所を設置していない町村の長は、前項第三号に掲げる業務のうち専門的な知識及び技術を必要とするもの(次条第二項及び第三項において「専門的相談指導」という。)であつて十八歳以上の知的障害者に係るものについては、知的障害者の更生援護に関する相談所(以下「知的障害者更生相談所」という。)の技術的援助及び助言を求めなければならない。

5 市町村長は、十八歳以上の知的障害者につき第三項第三号の業務を行うに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、知的障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

第10条(市町村の福祉事務所)

市町村の設置する福祉事務所又はその長は、この法律の施行に関し、主として前条第三項各号に掲げる業務又は同条第四項及び第五項の規定による市町村長の業務を行うものとする。

2 市の設置する福祉事務所に知的障害者福祉司を置いている福祉事務所があるときは、当該市の知的障害者福祉司を置いていない福祉事務所の長は、十八歳以上の知的障害者に係る専門的相談指導については、当該市の知的障害者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。

3 市町村の設置する福祉事務所のうち知的障害者福祉司を置いている福祉事務所の長は、十八歳以上の知的障害者に係る専門的相談指導を行うに当たつて、特に専門的な知識及び技術を必要とする場合には、知的障害者更生相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。

第11条(連絡調整等の実施者)

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡及び調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。
二 知的障害者の福祉に関し、次に掲げる業務を行うこと。
イ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
ロ 知的障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
ハ 十八歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。

第12条(知的障害者更生相談所)

都道府県は、知的障害者更生相談所を設けなければならない。

2 知的障害者更生相談所は、知的障害者の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務(第十六条第一項第二号の措置に係るものに限る。)並びに前条第一項第二号ロ及びハに掲げる業務を行うものとする。

3 知的障害者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項の業務を行うことができる。

4 前三項に定めるもののほか、知的障害者更生相談所に関し必要な事項は、政令で定める。

第13条(知的障害者福祉司)

都道府県は、その設置する知的障害者更生相談所に、知的障害者福祉司を置かなければならない。

2 市町村は、その設置する福祉事務所に、知的障害者福祉司を置くことができる。

3 都道府県の知的障害者福祉司は、知的障害者更生相談所の長の命を受けて、次に掲げる業務を行うものとする。

  • 一 第十一条第一項第一号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
  • 二 知的障害者の福祉に関し、第十一条第一項第二号ロに掲げる業務を行うこと。

4 市町村の知的障害者福祉司は、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の命を受けて、知的障害者の福祉に関し、主として、次の業務を行うものとする。

  • 一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行うこと。
  • 二 第九条第三項第三号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

5 市の知的障害者福祉司は、第十条第二項の規定により技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。この場合において、特に専門的な知識及び技術が必要であると認めるときは、知的障害者更生相談所に当該技術的援助及び助言を求めるよう助言しなければならない。

第14条

知的障害者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、任用しなければならない。

  • 一 社会福祉法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、知的障害者の福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの
  • 二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
  • 三 医師
  • 四 知的障害者の福祉に関する事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生労働大臣の指定するものを卒業した者
  • 五 前各号に準ずる者であつて、知的障害者福祉司として必要な学識経験を有するもの

第15条(民生委員の協力)

民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長、知的障害者福祉司又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

第15条の2(知的障害者相談員)

都道府県は、知的障害者の福祉の増進を図るため、知的障害者又はその保護者(配偶者、親権を行う者、後見人その他の者で、知的障害者を現に保護するものをいう。以下同じ。)の相談に応じ、及び知的障害者の更生のために必要な援助を行うことを、社会的信望があり、かつ、知的障害者に対する更生援護に熱意と識見を持つている者に委託することができる。

2 前項の規定により委託を受けた者は、知的障害者相談員と称する。

3 知的障害者相談員は、その委託を受けた業務を行うに当たつては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。

第15条の3(支援体制の整備等)

市町村は、この章に規定する更生援護その他地域の実情に応じたきめ細かな福祉サービスが積極的に提供され、知的障害者が、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、自立した日常生活及び社会生活を営むために最も適切な支援が総合的に受けられるように、福祉サービスを提供する者又はこれらに参画する者の活動の連携及び調整を図る等地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。

2 市町村は、前項の体制の整備及びこの章に規定する更生援護の実施に当たつては、知的障害者が引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう配慮しなければならない。

第15条の4(利用の調整等)

市町村は、十八歳以上の知的障害者から求めがあつたときは、知的障害者居宅生活支援事業その他の事業又は知的障害者援護施設の利用についてあつせん又は調整を行うとともに、必要に応じて、知的障害者居宅生活支援事業その他の事業を行う者又は知的障害者援護施設の設置者に対し、当該知的障害者の利用の要請を行うものとする。

2 知的障害者居宅生活支援事業その他の事業を行う者及び知的障害者援護施設の設置者は、前項のあつせん、調整及び要請に対し、できる限り協力しなければならない。

第2節 居宅生活支援費及び施設訓練等支援費

第1款 支援費の支給

第15条の5(居宅生活支援費の支給)

市町村は、次条第五項に規定する居宅支給決定知的障害者が、同条第三項の規定により定められた同項第一号の期間(以下「居宅支給決定期間」という。)内において、都道府県知事が指定する者(以下「指定居宅支援事業者」という。)に知的障害者居宅支援の利用の申込みを行い、当該指定居宅支援事業者から当該指定に係る知的障害者居宅支援(以下「指定居宅支援」という。)を受けたときは、当該居宅支給決定知的障害者に対し、当該指定居宅支援(同項の規定により定められた同項第二号に規定する量の範囲内のものに限る。以下この条及び次条において同じ。)に要した費用(知的障害者デイサービスに要した費用における日常生活又は創作的活動に要する費用のうち厚生労働省令で定める費用及び知的障害者短期入所に要した費用における日常生活に要する費用のうち厚生労働省令で定める費用(以下「特定費用」という。)並びに知的障害者地域生活援助に要した費用における日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用(第三項及び次条において「特定日常生活費」という。)を除く。)について、居宅生活支援費を支給する。

2 知的障害者地域生活援助以外の知的障害者居宅支援に係る居宅生活支援費の額は、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額とする。

  • 一 知的障害者居宅支援の種類ごとに指定居宅支援に通常要する費用(特定費用を除く。)につき、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内において市町村長が定める基準により算定した額(その額が現に当該指定居宅支援に要した費用(特定費用を除く。)の額を超えるときは、当該現に指定居宅支援に要した費用の額)
  • 二 十八歳以上の知的障害者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)の負担能力に応じ、厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内において市町村長が定める基準により算定した額

3 知的障害者地域生活援助に係る居宅生活支援費の額は、知的障害者地域生活援助に係る指定居宅支援に通常要する費用(特定日常生活費を除く。)につき、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内において市町村長が定める基準により算定した額(その額が当該指定居宅支援に要した費用(特定日常生活費を除く。)の額を超えるときは、当該現に指定居宅支援に要した費用の額)とする。

第15条の6(居宅生活支援費の受給の手続)

十八歳以上の知的障害者(知的障害者地域生活援助にあつては、十八歳未満の知的障害者を含む。第五項において同じ。)は、前条第一項の規定により居宅生活支援費の支給を受けようとするときは、知的障害者居宅支援の種類ごとに、厚生労働省令の定めるところにより、市町村に申請しなければならない。

2 市町村は、前項の申請が行われたときは、当該申請を行つた知的障害者の障害の程度、当該知的障害者の介護を行う者の状況、当該知的障害者の居宅生活支援費の受給の状況その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、居宅生活支援費の支給の要否を決定するものとする。

3 前項の規定による支給の決定(以下「居宅支給決定」という。)を行う場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

  • 一 居宅生活支援費を支給する期間
  • 二 知的障害者居宅支援の種類ごとに月を単位として厚生労働省令で定める期間において居宅生活支援費(次条第一項に規定する特例居宅生活支援費を含む。)を支給する指定居宅支援(同項に規定する基準該当居宅支援を含む。)の量(次条第一項及び第十五条の八において「支給量」という。)

4 前項第一号の期間は、知的障害者居宅支援の種類ごとに厚生労働省令で定める期間を超えることができないものとする。

6 前項に定めるもののほか、居宅受給者証に関し必要な事項は、政令で定める。

7 指定居宅支援を受けようとする居宅支給決定知的障害者は、厚生労働省令の定めるところにより、指定居宅支援事業者に居宅受給者証を提示して当該指定居宅支援を受けるものとする。ただし、緊急の場合その他やむを得ない事由のある場合については、この限りでない。

8 居宅支給決定知的障害者が指定居宅支援事業者から指定居宅支援を受けたとき(当該居宅支給決定知的障害者が当該指定居宅支援事業者に居宅受給者証を提示したときに限る。)は、市町村は、当該居宅支給決定知的障害者が当該指定居宅支援事業者に支払うべき当該指定居宅支援に要した費用(特定費用及び特定日常生活費を除く。)について、居宅生活支援費として当該居宅支給決定知的障害者に支給すべき額の限度において、当該居宅支給決定知的障害者に代わり、当該指定居宅支援事業者に支払うことができる。

9 前項の規定による支払があつたときは、居宅支給決定知的障害者に対し居宅生活支援費の支給があつたものとみなす。

10 市町村は、指定居宅支援事業者から居宅生活支援費の請求があつたときは、前条第二項各号及び第三項の市町村長が定める基準並びに第十五条の十九第二項に規定する指定居宅支援の事業の設備及び運営に関する基準(指定居宅支援の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。

11 市町村は、前項の規定による支払に関する事務を社会福祉法第百十条に規定する都道府県社会福祉協議会その他営利を目的としない法人であつて厚生労働省令で定めるものに委託することができる。

第15条の7(特例居宅生活支援費の支給)

市町村は、居宅支給決定知的障害者が、居宅支給決定期間内において、指定居宅支援以外の知的障害者居宅支援(指定居宅支援の事業に係る第十五条の十九第一項に規定する厚生労働省令で定める基準及び同条第二項に規定する指定居宅支援の事業の設備及び運営に関する基準に定める事項のうち厚生労働省令で定めるものを満たすと認められる事業を行う事業所により行われるものに限る。以下この条において「基準該当居宅支援」という。)を受けた場合において、必要があると認めるときは、厚生労働省令の定めるところにより、当該基準該当居宅支援(支給量の範囲内のものに限る。)に要した費用(特定費用及び知的障害者地域生活援助に要した費用における日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用を除く。)について、特例居宅生活支援費を支給することができる。

2 第十五条の五第二項及び第三項の規定は、特例居宅生活支援費について準用する。

第15条の8(支給量の変更)

居宅支給決定知的障害者は、支給量を変更する必要があると認めるときは、厚生労働省令の定めるところにより、市町村に対し、当該支給量の変更の申請をすることができる。

2 市町村は、前項の申請又は職権により、第十五条の六第二項の厚生労働省令で定める事項を勘案し、居宅支給決定知的障害者につき、必要があると認めるときは、支給量の変更の決定をすることができる。この場合において、市町村は、当該決定に係る居宅支給決定知的障害者に対し居宅受給者証の提出を求めるものとする。

3 市町村は、前項の決定を行つた場合には、居宅受給者証に当該決定に係る支給量を記載し、これを返還するものとする。

第15条の9(居宅支給決定の取消し)

居宅支給決定を行つた市町村は、次に掲げる場合には、当該居宅支給決定を取り消さなければならない。

  • 一 居宅支給決定知的障害者が、指定居宅支援を受ける必要がなくなつたと認めるとき。
  • 二 居宅支給決定知的障害者が、居宅支給決定期間内に、当該市町村以外の市町村の区域内に居住地を有するに至つたと認めるとき。

2 前項の規定により居宅支給決定の取消しを行つた市町村は、厚生労働省令の定めるところにより、当該取消しに係る居宅支給決定知的障害者に対し居宅受給者証の返還を求めるものとする。

3 前二項に定めるもののほか、居宅支給決定の取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

第15条の10(介護保険法による給付との調整)

居宅生活支援費及び特例居宅生活支援費の支給は、当該知的障害の状態につき、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定によりこれらの給付に相当する給付を受けることができるときは、その限度において、行わないものとする。

第15条の11(施設訓練等支援費の支給)

市町村は、次条第五項に規定する施設支給決定知的障害者が、同条第三項の規定により定められた同項第一号の期間内において、都道府県知事が指定する知的障害者更生施設、特定知的障害者授産施設若しくは知的障害者通勤寮又は独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の設置する施設(以下「指定知的障害者更生施設等」という。)に入所の申込みを行い、当該指定知的障害者更生施設等から知的障害者施設支援(以下「指定施設支援」という。)を受けたときは、当該施設支給決定知的障害者に対し、当該指定施設支援に要した費用(知的障害者通勤寮支援に要する費用における日常生活に要する費用のうち厚生労働省令で定める費用(以下「通勤寮支援日常生活費」という。)を除く。)について、施設訓練等支援費を支給する。

2 施設訓練等支援費の額は、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額とする。

一 知的障害者施設支援の種類ごとに指定施設支援に通常要する費用(通勤寮支援日常生活費を除く。)につき、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内において市町村長が定める基準により算定した額(その額が現に当該指定施設支援に要した費用(通勤寮支援日常生活費を除く。)の額を超えるときは、当該現に指定施設支援に要した費用の額)
二 知的障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じ、厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内において市町村長が定める基準により算定した額

3 厚生労働大臣は、前項第一号の厚生労働大臣が定める基準を定めるに当たつては、知的障害者の障害の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(次条及び第十五条の十三において「知的障害程度区分」という。)を考慮するものとする。

第15条の12(施設訓練等支援費の受給の手続)

十八歳以上の知的障害者は、前条第一項の規定により施設訓練等支援費の支給を受けようとするときは、知的障害者施設支援の種類ごとに、厚生労働省令の定めるところにより、市町村に申請しなければならない。

2 市町村は、前項の申請が行われたときは、当該申請を行つた知的障害者の障害の程度、当該知的障害者の介護を行う者の状況、当該知的障害者の施設訓練等支援費の受給の状況その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、施設訓練等支援費の支給の要否を決定するものとする。

3 前項の規定による支給の決定(以下「施設支給決定」という。)を行う場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

  • 一 施設訓練等支援費を支給する期間
  • 二 当該知的障害者の知的障害程度区分

4 前項第一号の期間は、知的障害者施設支援の種類ごとに厚生労働省令で定める期間を超えることができないものとする。

5 市町村は、施設支給決定をしたときは、当該施設支給決定を受けた十八歳以上の知的障害者(以下「施設支給決定知的障害者」という。)に対し、厚生労働省令の定めるところにより、第三項各号に掲げる事項を記載した受給者証(以下「施設受給者証」という。)を交付しなければならない。

6 前項に定めるもののほか、施設受給者証に関し必要な事項は、政令で定める。

7 指定施設支援を受けようとする施設支給決定知的障害者は、厚生労働省令の定めるところにより、指定知的障害者更生施設等に施設受給者証を提示して当該指定施設支援を受けるものとする。ただし、緊急の場合その他やむを得ない事由のある場合については、この限りでない。

8 施設支給決定知的障害者が指定知的障害者更生施設等から指定施設支援を受けたとき(当該施設支給決定知的障害者が当該指定知的障害者更生施設等に施設受給者証を提示したときに限る。)は、市町村は、当該施設支給決定知的障害者が当該指定知的障害者更生施設等に支払うべき当該指定施設支援に要した費用(通勤寮支援日常生活費を除く。)について、施設訓練等支援費として当該施設支給決定知的障害者に支給すべき額の限度において、当該施設支給決定知的障害者に代わり、当該指定知的障害者更生施設等に支払うことができる。

9 前項の規定による支払があつたときは、施設支給決定知的障害者に対し施設訓練等支援費の支給があつたものとみなす。

10 市町村は、指定知的障害者更生施設等から施設訓練等支援費の請求があつたときは、前条第二項各号の市町村長が定める基準及び第十五条の二十六に規定する指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(指定施設支援の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。

11 第十五条の六第十一項の規定は、前項の規定による支払に関する事務について準用する。

第15条の13(知的障害程度区分の変更)

施設支給決定知的障害者は、その知的障害程度区分を変更する必要があると認めるときは、厚生労働省令の定めるところにより、市町村に対し、当該知的障害程度区分の変更の申請をすることができる。

2 市町村は、前項の申請又は職権により、前条第二項の厚生労働省令で定める事項を勘案し、施設支給決定知的障害者につき、必要があると認めるときは、その知的障害程度区分の変更の決定をすることができる。この場合において、市町村は、当該決定に係る施設支給決定知的障害者に対し施設受給者証の提出を求めるものとする。

3 市町村は、前項の決定を行つた場合には、施設受給者証に当該決定に係る知的障害程度区分を記載し、これを返還するものとする。

第15条の14(施設支給決定の取消し)

施設支給決定を行つた市町村は、次に掲げる場合には、当該施設支給決定を取り消さなければならない。

  • 一 施設支給決定知的障害者が、指定施設支援を受ける必要がなくなつたと認めるとき。
  • 二 施設支給決定知的障害者が、施設支給決定期間内に、当該市町村以外の市町村の区域内に居住地を有するに至つたと認めるとき。

3 前二項に定めるもののほか、施設支給決定の取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

第15条の15(文書の提出等)

市町村は、居宅生活支援費若しくは特例居宅生活支援費又は施設訓練等支援費の支給に関して必要があると認めるときは、居宅支給決定知的障害者若しくは施設支給決定知的障害者又は知的障害者居宅支援若しくは知的障害者施設支援を担当する者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を求め、又は当該職員に質問若しくは照会をさせることができる。

第15条の16(厚生労働省令への委任)

この款に定めるもののほか、居宅生活支援費若しくは特例居宅生活支援費又は施設訓練等支援費の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第2款 指定居宅支援事業者及び指定知的障害者更生施設等

第15条の17(指定居宅支援事業者の指定)

第十五条の五第一項の指定は、厚生労働省令の定めるところにより、知的障害者居宅支援を行う事業(以下この条において「知的障害者居宅支援事業」という。)を行う者の申請により、知的障害者居宅支援の種類及び知的障害者居宅支援事業を行う事業所(以下この款において「事業所」という。)ごとに行う。

2 都道府県知事は、前項の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、指定居宅支援事業者の指定をしてはならない。

  • 一 申請者が法人でないとき。
  • 二 当該申請に係る事業所の従業者の知識及び技能並びに員数が、第十五条の十九第一項に規定する厚生労働省令で定める基準を満たしていないとき。
  • 三 申請者が、第十五条の十九第二項に規定する指定居宅支援の事業の設備及び運営に関する基準に従つて適正な知的障害者居宅支援事業の運営をすることができないと認められるとき。

第15条の18(指定居宅支援事業者の責務)

指定居宅支援事業者は、知的障害者の心身の状況等に応じて適切な指定居宅支援を提供するとともに、自らその提供する指定居宅支援の質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより常に指定居宅支援を受ける者の立場に立つてこれを提供するように努めなければならない。

第15条の19(指定居宅支援の事業の基準)

指定居宅支援事業者は、当該指定に係る事業所ごとに、厚生労働省令で定める基準に従い、当該指定居宅支援に従事する従業者を有しなければならない。

2 指定居宅支援事業者は、厚生労働省令で定める指定居宅支援の事業の設備及び運営に関する基準に従い、指定居宅支援を提供しなければならない。

第15条の20(変更の届出等)

指定居宅支援事業者は、当該指定に係る事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があつたとき、又は当該指定居宅支援の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令の定めるところにより、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

第15条の21(報告等)

都道府県知事は、居宅生活支援費の支給に関して必要があると認めるときは、指定居宅支援事業者若しくは指定居宅支援事業者であつた者若しくは当該指定に係る事業所の従業者であつた者(以下この項において「指定居宅支援事業者であつた者等」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、指定居宅支援事業者若しくは当該指定に係る事業所の従業者若しくは指定居宅支援事業者であつた者等に対し出頭を求め、又は当該職員に、関係者に対し質問させ、若しくは当該指定居宅支援事業者の当該指定に係る事業所について設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による質問又は検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第15条の22(指定の取消し)

都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定居宅支援事業者に係る第十五条の五第一項の指定を取り消すことができる。

  • 一 指定居宅支援事業者が、当該指定に係る事業所の従業者の知識若しくは技能又は員数について、第十五条の十九第一項に規定する厚生労働省令で定める基準を満たすことができなくなつたとき。
  • 二 指定居宅支援事業者が、第十五条の十九第二項に規定する指定居宅支援の事業の設備及び運営に関する基準に従つて適正な指定居宅支援の事業の運営をすることができなくなつたとき。
  • 三 居宅生活支援費の請求に関し不正があつたとき。
  • 四 指定居宅支援事業者が、前条第一項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
  • 五 指定居宅支援事業者又は当該指定に係る事業所の従業者が、前条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該指定に係る事業所の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定居宅支援事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
  • 六 指定居宅支援事業者が、不正の手段により指定居宅支援事業者の指定を受けたとき。

2 市町村は、居宅生活支援費の支給に係る指定居宅支援を行つた指定居宅支援事業者について、前項第二号又は第三号に該当すると認めるときは、その旨を当該指定に係る事業所の所在地の都道府県知事に通知することができる。

第15条の23(公示)

都道府県知事は、次に掲げる場合には、その旨を公示しなければならない。

  • 一 指定居宅支援事業者の指定をしたとき。
  • 二 第十五条の二十の規定による届出(同条の厚生労働省令で定める事項の変更並びに同条に規定する事業の休止及び再開に係るものを除く。)があつたとき。
  • 三 前条第一項の規定により指定居宅支援事業者の指定を取り消したとき。

第15条の24(指定知的障害者更生施設等の指定)

第十五条の十一第一項の指定は、厚生労働省令の定めるところにより、知的障害者更生施設、特定知的障害者授産施設又は知的障害者通勤寮(以下「知的障害者更生施設等」という。)であつて、その設置者の申請があつたものについて行う。

2 都道府県知事は、前項の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、指定知的障害者更生施設等の指定をしてはならない。

  • 一 申請者が地方公共団体又は社会福祉法人でないとき。
  • 二 申請者が、第十五条の二十六に規定する指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準に従つて適正な知的障害者更生施設等の運営をすることができないと認められるとき。

第15条の25(指定知的障害者更生施設等の設置者の責務)

指定知的障害者更生施設等の設置者は、入所者の心身の状況等に応じて適切な知的障害者施設支援を提供するとともに、自らその提供する指定施設支援の質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより常に指定施設支援を受ける者の立場に立つてこれを提供するように努めなければならない。

第15条の26(指定知的障害者更生施設等の基準)

指定知的障害者更生施設等の設置者は、厚生労働省令で定める指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準に従い、指定施設支援を提供しなければならない。

第15条の27(変更の届出)

指定知的障害者更生施設等の設置者は、設置者の住所その他の厚生労働省令で定める事項に変更があつたときは、厚生労働省令の定めるところにより、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

第15条の28(報告等)

都道府県知事は、施設訓練等支援費の支給に関して必要があると認めるときは、指定知的障害者更生施設等の設置者若しくはその長その他の従業者(以下この項及び第十五条の三十において「指定施設設置者等」という。)である者若しくは指定施設設置者等であつた者に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、指定施設設置者等である者若しくは指定施設設置者等であつた者に対し出頭を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは指定知的障害者更生施設等について設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 第十五条の二十一第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。

第15条の29(指定の辞退)

指定知的障害者更生施設等は、三月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。

第15条の30(指定の取消し)

都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定知的障害者更生施設等に係る第十五条の十一第一項の指定を取り消すことができる。

  • 一 指定知的障害者更生施設等の設置者が、第十五条の二十六に規定する指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準に従つて当該施設の適正な運営をすることができなくなつたとき。
  • 二 施設訓練等支援費の請求に関し不正があつたとき。
  • 三 指定施設設置者等が、第十五条の二十八第一項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
  • 四 指定施設設置者等が、第十五条の二十八第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該指定知的障害者更生施設等の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定知的障害者更生施設等の設置者又はその長が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
  • 五 指定知的障害者更生施設等の設置者が、不正の手段により指定知的障害者更生施設等の指定を受けたとき。

2 市町村は、施設訓練等支援費の支給に係る指定施設支援を行つた指定知的障害者更生施設等について、前項第一号又は第二号に該当すると認めるときは、その旨を当該指定知的障害者更生施設等の所在地の都道府県知事に通知することができる。

第15条の31(公示)

都道府県知事は、次に掲げる場合には、その旨を公示しなければならない。

  • 一 指定知的障害者更生施設等の指定をしたとき。
  • 二 第十五条の二十九の規定による指定知的障害者更生施設等の指定の辞退があつたとき。
  • 三 前条第一項の規定により指定知的障害者更生施設等の指定を取り消したとき。

第3節 居宅介護、施設入所等の措置

第15条の32(居宅介護等)

市町村は、知的障害者居宅支援を必要とする者が、やむを得ない事由により第十五条の五又は第十五条の七の規定により居宅生活支援費又は特例居宅生活支援費の支給を受けることが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、知的障害者居宅支援を提供し、又は当該市町村以外の者に知的障害者居宅支援の提供を委託することができる。

2 市町村は、その福祉を図るため、必要に応じ、日常生活を営むのに支障がある十八歳以上の知的障害者につき、日常生活上の便宜を図るための用具であつて厚生労働大臣が定めるものを給付し、若しくは貸与し、又は当該市町村以外の者にこれを給付し、若しくは貸与することを委託することができる。

第16条(施設入所等の措置)

市町村は、十八歳以上の知的障害者につき、その福祉を図るため、必要に応じ、次の措置を採らなければならない。

  • 一 知的障害者又はその保護者を知的障害者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。
  • 二 やむを得ない事由により第十五条の十一の規定により施設訓練等支援費の支給を受けることが著しく困難であると認めるときは、当該市町村の設置する知的障害者更生施設等に入所させてその更生援護を行い、又は都道府県若しくは他の市町村若しくは社会福祉法人の設置する知的障害者更生施設等若しくは独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の設置する施設に入所させてその更生援護を行うことを委託すること。
  • 三 知的障害者の更生援護を職親(知的障害者を自己の下に預かり、その更生に必要な指導訓練を行うことを希望する者であつて、市町村長が適当と認めるものをいう。)に委託すること。

2 市町村は、前項第二号又は第三号の措置を採るに当たつて、医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、あらかじめ、知的障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

第17条(措置の解除に係る説明等)

市町村長は、第十五条の三十二又は前条第一項の措置を解除する場合には、あらかじめ、当該措置に係る者又はその保護者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該措置に係る者又はその保護者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。

第17条の2(行政手続法の適用除外)

第十五条の三十二又は第十六条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第4章 事業及び施設

第18条(知的障害者居宅生活支援事業等の開始)

国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、知的障害者居宅生活支援事業又は知的障害者相談支援事業(以下「知的障害者居宅生活支援事業等」という。)を行うことができる。

第18条の2(秘密保持義務)

知的障害者相談支援事業に従事する職員は、その職務を遂行するに当たつては、個人の身上に関する秘密を守らなければならない。

第19条(施設の設置)

都道府県は、知的障害者援護施設を設置することができる。

2 市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉法の定めるところにより、知的障害者援護施設を設置することができる。

第20条(変更及び廃止又は休止)

国及び都道府県以外の者は、第十八条の規定により届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 国及び都道府県以外の者は、知的障害者居宅生活支援事業等を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

第21条(施設の基準)

厚生労働大臣は、知的障害者援護施設の設備及び運営について、基準を定めなければならない。

2 知的障害者援護施設については、前項の規定による基準を社会福祉法第六十五条第一項の規定による最低基準とみなして、同法第六十二条第四項、第六十五条第二項及び第七十一条の規定を適用する。

第21条の2(報告の徴収等)

都道府県知事は、知的障害者の福祉のために必要があると認めるときは、知的障害者居宅生活支援事業等を行う者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第21条の3(事業の停止等)

都道府県知事は、知的障害者居宅生活支援事業等を行う者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくはその事業に係る知的障害者の処遇につき不当な行為をしたときは、その事業を行う者に対し、その事業の制限又は停止を命ずることができる。

第21条の4(受託義務)

知的障害者居宅生活支援事業を行う者又は知的障害者援護施設の設置者は、第十五条の三十二第一項又は第十六条第一項第二号の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

第21条の5(知的障害者デイサービスセンター)

知的障害者デイサービスセンターは、知的障害者デイサービスを提供することを目的とする施設とする。

第21条の6(知的障害者更生施設)

知的障害者更生施設は、十八歳以上の知的障害者を入所させて、これを保護するとともに、その更生に必要な指導及び訓練を行うことを目的とする施設とする。

第21条の7(知的障害者授産施設)

知的障害者授産施設は、十八歳以上の知的障害者であつて雇用されることが困難なものを入所させて、自活に必要な訓練を行うとともに、職業を与えて自活させることを目的とする施設とする。

第21条の8(知的障害者通勤寮)

知的障害者通勤寮は、就労している知的障害者に対し、居室その他の設備を利用させるとともに、独立及び自活に必要な助言及び指導を行うことを目的とする施設とする。

第21条の9(知的障害者福祉ホーム)

知的障害者福祉ホームは、低額な料金で、現に住居を求めている知的障害者に対し、居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与することを目的とする施設とする。

第5章 費用

第22条(市町村の支弁)

次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。

一 第十三条第二項の規定により市町村が設置する知的障害者福祉司に要する費用
一の二 第十五条の五又は第十五条の七の規定により市町村が行う居宅生活支援費又は特例居宅生活支援費の支給に要する費用
一の三 第十五条の十一の規定により市町村が行う施設訓練等支援費の支給に要する費用
一の四 第十五条の三十二の規定により市町村が行う行政措置に要する費用
二 第十六条の規定により市町村が行う行政措置に要する費用
三 市町村が設置する知的障害者援護施設の設置及び運営に要する費用

第23条(都道府県の支弁)

次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。

  • 一 第十二条第一項の規定により都道府県が設置する知的障害者更生相談所に要する費用
  • 二 第十三条第一項の規定により都道府県が設置する知的障害者福祉司に要する費用
  • 三 都道府県が設置する知的障害者援護施設の設置及び運営に要する費用

第24条

削除〔平二法五八〕

第25条(都道府県の負担及び補助)

都道府県は、政令の定めるところにより、第二十二条の規定により市町村が支弁した費用について、次に掲げるものを負担する。

  • 一 第二十二条第一号の三の費用(知的障害者通勤寮支援に係る施設訓練等支援費の支給に要する費用及び次号に掲げる費用を除く。)及び同条第二号の費用(第十六条第一項第二号の規定による行政措置(知的障害者通勤寮に係るものを除く。)に要する費用に限り、次号に掲げる費用を除く。)のうち、福祉事務所を設置しない町村が行うものについては、その四分の一
  • 二 第二十二条第一号の三の費用(第九条第一項に規定する居住地を有せず、又は居住地が明らかでない知的障害者(以下この条において「居住地不明知的障害者」という。)についての施設訓練等支援費の支給(知的障害者通勤寮支援に係るものを除く。)に要する費用に限る。)及び第二十二条第二号の費用(第十六条第一項第二号の規定により居住地不明知的障害者について市町村が行う行政措置(知的障害者通勤寮に係るものを除く。)に要する費用に限る。)については、その十分の五
  • 三 第二十二条第三号の費用のうち、知的障害者更生施設又は特定知的障害者授産施設の設置に要する費用については、その四分の一

2 都道府県は、政令の定めるところにより、第二十二条の規定により市町村が支弁した費用のうち、次に掲げるものについて補助することができる。

  • 一 第二十二条第一号の二の費用(知的障害者地域生活援助に係る居宅生活支援費又は特例居宅生活支援費の支給に要する費用及び次号に掲げる費用を除く。)及び同条第一号の四の費用(知的障害者地域生活援助及び第十五条の三十二第二項の行政措置に係る費用並びに次号に掲げる費用を除く。)については、その四分の一以内
  • 二 第二十二条第一号の二の費用(第十五条の五又は第十五条の七の規定により居住地不明知的障害者について市町村が行う居宅生活支援費又は特例居宅生活支援費の支給(知的障害者地域生活援助に係るものを除く。)に要する費用に限る。)及び第二十二条第一号の四の費用(居住地不明知的障害者についての知的障害者地域生活援助に係る費用を除く。)については、その十分の五以内

第26条(国の負担及び補助)

国は、政令の定めるところにより、第二十二条又は第二十三条の規定により市町村又は都道府県が支弁した費用について、次に掲げる費用の十分の五を負担する。

  • 一 第二十二条第一号の三の費用(知的障害者通勤寮支援に係るものを除く。)
  • 二 第二十二条第二号の費用のうち、第十六条第一項第二号の規定による行政措置(知的障害者通勤寮に係るものを除く。)に要する費用
  • 三 第二十二条第三号の費用のうち、知的障害者更生施設又は特定知的障害者授産施設の設置に要する費用
  • 四 第二十三条第三号の費用のうち、知的障害者更生施設又は特定知的障害者授産施設の設置に要する費用

2 国は、政令の定めるところにより、第二十二条の規定により市町村が支弁した費用のうち、同条第一号の二の費用(知的障害者地域生活援助に係るものを除く。)及び同条第一号の四の費用(第十五条の三十二第一項の行政措置のうち、知的障害者地域生活援助の提供若しくは提供の委託に要する費用又は同条第二項の行政措置に要する費用を除く。)については、その二分の一以内を補助することができる。

第27条(費用の徴収)

第十五条の三十二又は第十六条第一項第二号の規定による行政措置に要する費用を支弁すべき市町村の長は、当該知的障害者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて、当該行政措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。

第27条の2(準用規定)

社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第四号の規定又は同法第三条第一項第四号及び第二項の規定により普通財産の譲渡又は貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。

第6章 雑則

第27条の3(審判の請求)

市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十二条第二項、第十四条第一項、第十六条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

第27条の4(不正利得の徴収)

市町村は、偽りその他不正の手段により居宅生活支援費若しくは特例居宅生活支援費又は施設訓練等支援費(第二十八条において「居宅生活支援費等」という。)の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。

2 市町村は、指定居宅支援事業者及び指定知的障害者更生施設等(以下この項において「指定居宅支援事業者等」という。)が、偽りその他不正の行為により居宅生活支援費又は施設訓練等支援費の支払を受けたときは、当該指定居宅支援事業者等に対し、その支払つた額を返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。

3 前二項の規定による徴収金は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。

第27条の5(租税その他公課の非課税)

この法律により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。

第28条(受給権等の保護)

居宅生活支援費等を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

第29条(町村の一部事務組合等)

町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

第30条(大都市等の特例)

この法律の規定中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

第30条の2(緊急時における厚生労働大臣の事務執行)

知的障害者更生施設又は知的障害者授産施設について、第十九条第二項において適用することとされる社会福祉法第七十条から第七十二条までの規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務(同条第一項及び第二項の規定による許可の取消しを除く。)は、これらの施設に入所する者の利益を保護する緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うものとする。この場合においては、同法の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るものに限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。

2 前項の場合において、厚生労働大臣又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。

第30条の3(権限の委任)

この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

第31条(実施命令)

この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

第32条(条例による過料)

市町村は、条例で、第十五条の八第二項後段若しくは第十五条の九第二項の規定による居宅受給者証の提出若しくは返還又は第十五条の十三第二項後段若しくは第十五条の十四第二項の規定による施設受給者証の提出若しくは返還を求められてこれに応じない者に対し十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。

附 則

(施行期日)

1 この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(社会福祉法附則第七項に関する特例)

2 社会福祉法附則第七項の規定に基づき置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
(更生援護の特例)

3 児童福祉法第六十三条の五の規定による通知に係る児童は、第九条から第十一条まで、第十三条、第十五条の四、第十五条の十一から第十五条の十五まで、第十六条(第一項第二号に限る。)及び第二十二条から第二十七条までの規定の適用については、十八歳以上の知的障害者とみなす。

4 から10まで 〔省略〕

附 則〔抄〕(平成一四年一二月一三日・法律第一六七号)

(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則〔中略〕第八条から第十三条までの規定は、平成十五年十月一日から施行する。

(知的障害者福祉法の一部改正に伴う経過措置)

第11条 前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の知的障害者福祉法(以下「旧法」という。)第十五条の十二第二項の規定により協会の設置する福祉施設において提供される支援に係る施設訓練等支援費の支給の決定(以下「旧決定」という。)を受けている者は、前条の規定の施行の日に、同条の規定による改正後の知的障害者福祉法(以下「新法」という。)第十五条の十二第二項の規定によりのぞみの園の設置する施設において提供される支援に係る施設訓練等支援費の支給の決定(以下「新決定」という。)を受けたものとみなす。この場合において、新決定に係る新法第十五条の十二第三項第一号の期間は、同日における旧決定に係る旧法第十五条の十二第三項第一号の期間の残存期間と同一の期間とする。