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ADA改正法成立へ

2008年9月25日

9月17日に下院で最終的な承認を得たADA改正法が、9月25日成立した。同法は、障害のあるアメリカ人法の当初の目的に立ち返り、障害者の保護を形骸化する結果となった誤った連邦最高裁判所判決を覆すことにより、障害者に対する差別を禁止する。

2008年ADA改正法(2008年9月25日成立)は、

  • アメリカ議会の当初の意図に立ち返り、ADAに基づく障害者の保護を形骸化する結果となった誤った連邦最高裁判所判決を覆す。
  • 障害の定義の厳格な解釈を否定し、障害に基づく差別に直面するすべての人々を広く保護することがADAの目的であることを明白にする。
  • 雇用者と被雇用者の利益のバランスをとる。
  • 個人の障害の有無を決定するに当たり、投薬、人工装具および支援技術などの緩和手段の考慮を禁止する。
  • 実際の障害の有無にかかわらず、障害があるとの認識に基づく差別を受けている人々も対象とする。
  • 主要な生活活動を著しく制限する障害を有するか、あるいはそのような障害の経歴を有することを証明できる者に対してのみ、合理的配慮が必要とされると規定する。障害を持つと「見なされている」だけの者には、合理的配慮を提供する必要はない。
  • 広範囲にわたる人権擁護団体、障害者擁護団体および業界団体連合により支持されている。

背景

1990年に制定された障害のあるアメリカ人法は、「障害者に対する差別の撤廃のための明確かつ包括的な国家指令を提供する」ことを目的としていた。他の人権法で、人種や性別などの特性を判断基準とすることを禁止しているように、議会はADAにより、雇用者が障害に基づき判断することをやめさせたいと考えたのである。残念ながら、アメリカ連邦最高裁判所が4度にわたり障害の定義を大幅に狭める判決を下したため、てんかん、筋ジストロフィー、癌、糖尿病、および脳性まひなどの重い疾病にかかっている人々が、ADAに基づく障害の定義には該当しないとの決定がなされた。その結果2004年には、ADAに基づき雇用差別を主張した訴訟の97%が、原告側の敗訴に終わった。その多くは、障害の定義の解釈が理由であった。仕事をこなすことができないものと、雇用者が誤った考えを持っているために、もしくは、「そのような人々」を職場に置くことを雇用者が望まないために、雇用されなかったり、あるいは解雇されたりした人々は、このような判決に従い、雇用差別からの保護を受けられなくなってしまったのである。これはADAが意図していたことではなかった。

2008年1月、委員会はADAおよび2008年ADA改正法オリジナル下院案(H.R.3195)に関する公聴会を開催した。2008年6月25日、下院はH.R.3195を、402票対17票で可決した。

掲載者注:
このテキストは、"Committee on Education and Labor, U.S. House of Representatives"のウェブサイト(http://edlabor.house.gov/)に、2008年9月26日現在、トップニュースとして取り上げられていた"ADA Amendments Act Signed Into Law"と詳細記事の"ADA Amendments Act of 2008"の一部を翻訳したものです。現在は、もとになった記事は、削除されています。

下院案(H.R.3195)の全文は、"H.R. 3195: ADA Amendments Act of 2008"(http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=h110-3195)にあります。

また、ADA改正法の全文は"PUBLIC LAW 110?325"(http://www.access-board.gov/about/laws/ada-amendments.htm)にあります。