千葉県障害者施策新長期計画
No.1
―全員参加の社会づくりをめざして―
平成7年4月 千葉県
項目 | 内容 |
---|---|
立案時期 | 平成7年4月 |
計画期間 | 平成7年度~平成16年度(10年間) |
国においては、昭和56年の「国際障害者年」を契機として、昭和57年に「障害者対策に関する長期計画」を、昭和62年に『「障害者対策に関する長期計画」後期重点施策』を策定するとともに、平成5年3月には「国連・障害者の10年」の終了後における新たな視点に立った長期計画として「障害者対策に関する新長期計画」を策定したところであります。
また、同年12月には心身障害者対策基本法が障害者基本法に改定され、精神障害者が障害者として新たに同法の対象として明記されるとともに、障害者の「完全参加と平等」の理念が法文上明らかにされ、更には、障害者対策の基本である障害者基本計画について、国においてはその策定が義務化されるとともに、地方公共団体においては策定に努める旨の規定がなされたところであります。
一方、県におきましても、昭和57年6月に「千葉県障害者施策長期推進計画」を策定し、各種の障害者施策を総合的、かつ積極的に推進し、障害を持つ方々の福祉の向上に努めてきたところであります。
しかしながら、近年における障害者の現況を見ると、障害者の増加や高齢化、障害の重度化や重複化が見られるとともに、少子化等に伴う急速な高齢化の進展や核家族化による家庭における介護機能の低下等の様々な問題が生じ、障害者のニーズも多様化かつ高度化しており、長期的視点に立った障害者施策の一層の充実が求められています。
県では、このような状況を踏まえ、障害を持つ人も持たない人もともに暮らせる地域社会、すなわち“全員参加の社会づくり”の実現を目指し、障害者施策推進の指針として「千葉県障害者施策新長期計画」をここに策定いたしました。
この計画は、来たるべき21世紀を展望し、平成7年度から概ね10年間を目標とした障害者施策の基本的方向を明らかにしたものであります。本計画の策定に当たっては、県内の一般県民及び障害者、障害者団体及び関係行政機関等への調査により障害者の現状とニーズの把握に努めるとともに、「千葉県障害者施策推進協議会」に諮り、各界各層の御意見等を踏まえて策定したものであります。
今後とも、本計画を基本とし、障害者の福祉向上のために各種施策の一層の充実を図ってまいる所存でありますが、計画の実現には、市町村はもとより、関係機関・団体及び県民の方々をはじめとする各方面の御協力が必要でありますので、一層の御理解を賜りますようお願い申し上げます。
平成7年4月
千葉県知事 沼田武
目次
- (1) 千葉県障害者施策新長期計画策定基礎調査の概要
- (2) 障害者・関係者団体調査(対象一覧)
- (3) 千葉県障害者福祉推進協議会運営要綱及び委員名簿
- (4) 千葉県障害者福祉に関する新長期計画策定に係る調査検討委員会委員名簿
- (5) 千葉県障害者施策新長期計画の策定について(諮問)
- (6) 千葉県障害者施策新長期計画について(答申)
第I部 総論
第1章 計画の概要
1) 国内外の動向
国際連合は、昭和56年(1981年)の国際障害者年の目標テーマである「完全参加と平等」の趣旨をより具体的なものとするため、昭和57年(1982年)に「障害者に関する世界行動計画」を採択し、昭和58年(1983年)からの10年間を「国連・障害者の十年」として、各国において、行動計画を策定し、障害者の福祉を増進するよう提唱しました。
こうした国際的動向を背景として、我が国では、国際障害者年推進本部(昭和55年設置)において、「障害者対策に関する長期計画」を昭和57年3月策定しました。これをもとに、障害者対策の総合的・効果的な推進が図られてきましたが、「国連・障害者の十年」の最終年を迎えるにあたって、平成3年8月に障害者対策推進本部は、「『障害者対策に関する長期計画』及びその後期重点施策の推進について」を決定しました。
一方、障害者団体などからの意見や、わが国も共同提案国になっている「アジア太平洋障害者の10年」(1993年~2002年)の決議が採択されるなどの動きに対応し、中央心身障害者対策協議会では、これまでの取り組みの成果を踏まえた将来にわたる長期的な障害者施策のあり方についての検討が行われ、平成5年1月には「『国連・障害者の十年』以降の障害者対策の在り方について」の意見具申が行われました。これを受けて、平成5年3月には、障害者対策推進本部において、「『障害者対策に関する新長期計画』-全員参加の社会づくり」が策定され、今後の障害者施策の一層の推進が図られるようになりました。
また、平成5年12月には、心身障害者対策基本法の一部を改正する法律が公布されました。この改正は、法制定から23年を経過し、この間の国内外の動向に対応して、障害者の自立と社会参加を促進するために行われたものです。この法律改正において、法律の題名が「心身障害者対策基本法」から「障害者基本法」に改められました。また、法律の目的として、障害者の「完全参加と平等」を目指すことを明らかにしたことや、法律の対象となる障害を、身体障害、精神薄弱及び精神障害としたことが主な改正点ですが、政府は障害者の福祉等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者基本計画を策定しなければならないとし、地方公共団体においても、これに準じた計画の策定に努めることが求められています。
2) 千葉県における計画策定の背景と趣旨
千葉県では、県における障害者福祉の基本目標と障害者福祉施策の基本的方向を示すものとして、昭和57年に「千葉県障害者施策長期推進計画」を策定し、さらに、昭和61年には、障害者施策を一層充実させるため「千葉県障害者施策長期推進計画」についての見直しを行いました。次いで、平成3年度からはじまる「さわやかハートちば5か年計画」との整合性を図り、障害者施策を一層充実させるために、平成3年3月に「千葉県障害者施策長期推進計画」の見直し・改定を行いました。
こうした施策の推進に伴い、障害者施策への関心は高まり、県民の障害者への理解も進んできましたが、まだ十分とはいえない状況もみられます。また、急速な高齢化や、都市化・情報化など社会環境は大きく変化しているため、障害者福祉においても、新たな課題がでてきています。本県においても、高齢化や疾病構造の変化等に伴う障害者の増加や、障害者の重度化・重複化、障害者の高齢化等への対応が、重要な課題となってきているとともに、核家族化や介護者の高齢化などに伴う家族の介護機能が低下する一方で、障害者が地域社会で自立した生活を望む傾向も強くなってきています。障害者福祉も、こうした環境の変化やニーズの変化等を踏まえながら、21世紀を展望し、新たな視点からその一層の充実を図る必要があります。
そこで、千葉県では、障害者を取り巻く環境の変化やニーズの変化等に対応しつつ、障害者の一層の「完全参加と平等」を目指すとともに障害者施策の一層の充実を図るために、新たに「千葉県障害者施策新長期計画」を策定しました。
- この計画は、障害者基本法第7条の2第2項に基づく計画として、国の「障害者対策に関する新長期計画」、また、障害者基本法の考え方・方向性に沿って策定したものです。
- この計画は、障害者対策に関する県行政の指針であり、市町村はもとより関係団体及び県民に広く理解と協力を求めていく基本計画です。 なお、この計画は、県行政の長期的な指針を示すものであり、この計画に沿った具体的な事業展開は、計画期間中における県の総合5か年計画において示す予定です。
- 計画の期間は、平成7年度からの概ね10年間としますが、社会環境等の変化に合わせ必要な見直しを行います。
- 障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用、生活環境等広範な分野にわたっています。そこで、この計画の推進にあたっては、千葉県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について調査審議するため、及び千葉県における障害者に関する施策の推進について必要な行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議することを目的として設置された千葉県障害者施策推進協議会の意見を聴きながら、関係行政機関相互間の緊密な連携のもとに進めていきます。
- 市町村は身近な地方公共団体として、福祉関係事務を進めるうえで、今後その役割がより一層重要になることから、各市町村が障害者対策に主体的かつ積極的に取り組むことが期待されます。
このため、千葉県内の市町村において、国の新長期計画及びこの計画を参考としながら、市町村独自の長期的な計画を、障害者自身の参加を得ることにより策定し、障害者の意見を反映した総合的かつ体系的な施策の推進を図っていくことが期待されます。 また、県では市町村における障害者計画策定への取組みを支援します。 - 障害者関係団体等民間諸団体、企業、マスメディア、及び全ての県民が、それぞれの分野で積極的に行動し、障害者福祉の向上に寄与することを期待します。
- この計画において「障害者」とは、障害者基本法で定められているとおり、身体障害者、精神薄弱者、及び精神障害者を総称しています。これには、てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって長期にわたり生活上の支障がある者も含まれます。
また、特に「障害児」と区分していない場合には、年齢のいかんを問いません。 - 「精神薄弱」という用語については、現在、さまざまな議論があり、この用語に代えて「知的障害」「精神発達遅滞」等の用語を用いようとする考え方があります。
この計画においては、「精神薄弱」に代わる新しい用語について、現段階で関係者間の一致をみていないこと、法律上の用語として「精神薄弱」を使わざるを得ない部分があることから、従来どおり「精神薄弱」を用いることとしました。 - この計画において「障害児」とは、前記の障害をもつ児童(満18歳未満)をいいます。
- この計画において引用している「千葉県障害者施策新長期計画策定基礎調査」の調査結果においては、身体障害と精神薄弱を対象とした調査に限り、満18歳未満の「障害児」と、満18歳以上の「障害者」に分けて記しています。
- この計画において、関係法令や通知等により、前記の障害を区別して使用する場合は、それぞれ関係法令や通知等の使用区分によります。
第2章 障害者の動向
- 障害者数は、図表I-1のように推移しています。
また、精神障害者については、平成6年3月31日現在、約50,000人と推計されます。
※)精神障害者数については、昭和38年の厚生省調査に基づく推計値
図表I-1 障害者数の推移
- | 平成2年 | 平成3年 | 平成4年 | 平成5年 | 平成6年 |
---|---|---|---|---|---|
身体障害者 |
86,784人
|
90,454人 |
94,636人 | 93,328人 | 96,497人 |
精神薄弱者 |
13,430人
|
14,499人 |
15,055人 | 15,436人 | 15,955人 |
精神障害者 |
- | - | - | - | 50,000人 |
資料)千葉県社会部、衛生部
注1)各年3月31日現在
注2)精神薄弱者数は各年4月1日、精神薄弱者台帳登載者による。
注3)精神障害者数は平成6年のみ記した。
- 身体障害者数は、平成6年3月31日現在、96,497 人で、そのうち18歳未満は3.6%(3,491人)、18 歳以上は96.4%(93,006人)となっています。ここ数年間、18歳未満の割合が減少し18歳以上の割合が増加する傾向にあります。
図表I-2 身体障害者の年齢構成の推移
- | 18歳未満 | 18歳以上 |
---|---|---|
平成2年 (実人数86,784人) |
4.9% |
95.1% |
平成6年 (実人数96,497人) |
3.6% | 96.4% |
資料)千葉県社会部
注1)カッコ内は、実人数
注2)各年3月31日現在
- 障害区分では、肢体不自由が全体の6割を占めています。ここ数年の推移では、内部障害者の割合が増加しています。
図表I-3 障害区分別割合の推移
- | 平成2年 (実人数86,784人) |
平成6年 (実人数96,497人) |
---|---|---|
視覚障害 | 10.5% | 9.3% |
聴覚・平衡機能障害 | 10.9% | 9.4% |
音声・言語・そしゃく機能障害 | 1.2% | 1.4% |
肢体不自由 | 61.8% | 59.6% |
内部障害 | 15.6% | 20.2% |
資料)千葉県社会部
注1)各年3月31日現在
注2)「内部障害」は、「心臓機能障害」「じん臓機能障害」「呼吸器機能障害」「ぼうこう・直腸機能障害」「小腸機能障害」を表す。
- 等級別では、1級と2級の重度が、全体の4割強を占めています。ここ数年の推移では、1級の割合が増加しています。
図表I-4 等級区分別割合
- | 1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 |
---|---|---|---|---|---|---|
平成2年 (実人数86,784人) |
22.1% | 20.5% | 18.3% | 19.6% | 11.0% | 8.5% |
平成6年 (実人数96,497人) |
25.2% | 19.9% | 17.9% | 20.2% | 9.4% | 7.4% |
資料)千葉県社会部
注)各年3月31日現在
- 精神薄弱者数は、平成6年4月1日現在、15,955 人で、そのうち18歳未満が29.0%、18歳以上が70.9 %となっています。ここ数年間では、18歳以上が増加しています。
図表I-5 精神薄弱者の年齢構成の推移
- | 18歳未満 | 18歳以上 |
---|---|---|
平成2年 (実人数13,430人) |
34.2% | 65.8% |
平成6年 (実人数15,955人) |
29.0% | 70.9% |
資料)千葉県社会部
注1)カッコ内は、実人数
注2)各年4月1日現在
- 程度別では、重度が全体の4割を占めています。ここ数年間では、程度別の割合は、横這い傾向となっています。
図表I-6 精神薄弱者の程度別の推移
- | 重度 | 中度 | 軽度 |
---|---|---|---|
平成2年 (実人数13,430人) |
40.9% | 34.4% | 24.7% |
平成6年 (実人数15,955人) |
41.6% | 32.3% | 26.1% |
資料)千葉県社会部
注1)カッコ内は、実人数
注2)各年4月1日現在
1) 入院患者の推移
- 平成6年6月30日現在の入院患者数は11,775人で、平成2年から平成6年にかけての入院患者数は漸増している状況です。
疾病別内訳でみると、精神分裂病が大部分を占める傾向がみられます。
図表I-7 入院患者の年齢構成の推移
- | 18歳未満 | 18歳以上 65歳未満 |
65歳以上 |
---|---|---|---|
平成2年度 (実人数11,575人) |
0.8% | 80.0% |
19.2%
|
平成6年度 (実人数11,797人) |
0.7% | 76.2% |
23.1%
|
資料)千葉県衛生部
注1)カッコ内は、実人数
注2)各年6月30日現在
図表I-8 入院患者の疾病内訳の推移
- | 平成2年 (実人数11,575人) |
平成6年 (実人数11,797人) |
---|---|---|
精神分裂病 | 67.3% | 67.5% |
そううつ病 | 4.9% | 5.4% |
器質性精神障害 | 11.6% | 12.9% |
中毒性精神障害 | 5.2% | 5.1% |
その他 | 11.0% | 9.1% |
資料)千葉県衛生部
注)各年6月30日現在
2) 通院医療費公費負担制度利用者の推移
- 平成5年度末現在の通院医療費公費負担制度の利用者は11,782人で、平成2年から平成5年にかけて、およそ1,500人増加し、
18歳以上の比率が高くなる傾向がみられます。
疾病別内訳をみると、精神分裂病が約半数を占めており、精神分裂病、そううつ病ともに増加傾向がみられます。
図表I-9 通院医療費公費負担制度利用者の年齢構成の推移
- | 18歳未満 | 18歳以上 65歳未満 |
65歳以上 |
---|---|---|---|
平成2年度 (実人数10,295人) |
12.1% | 83.4% | 4.5% |
平成6年度 (実人数11,782人) |
9.1% | 86.1% | 4.8% |
資料)千葉県衛生部
注1)カッコ内は、実人数
注2)各年度末現在
図表I-10 通院医療費公費負担制度利用者の疾病別内訳
- | 平成2年 (実人数10,295人) |
平成6年 (実人数11,782人) |
---|---|---|
精神分裂病 | 45.7% | 47.6% |
そううつ病 | 15.7% | 17.7% |
器質性精神障害 | 23.5% | 20.2% |
中毒性精神障害 | 3.0% | 2.4% |
その他 | 12.1% | 12.1% |
資料)千葉県衛生部
注)各年度末現在
第3章 計画の策定の基本的考え方
1) 計画策定の理念
- 障害者は、社会のなかで障害を持たない人々と違った特別の存在ではありません。障害を持つ者も、持たない者も、誰もが社会に参加し、一人ひとりが自らの生き方を主体的に選択し決定できる社会の実現を目標とします。
このような社会をつくっていくためには、障害者を特別に対象とした措置を講ずるだけではなく、社会の様々な場面で、障害を持つ人の参加や利用を考えた配慮を行っていくことが必要です。
このためには、行政だけではなく、社会の全ての構成員、とりわけ県民の皆さんの主体的な参加を得ることが重要です。
そこで、この計画は、「全員参加の社会づくり」を基本理念として策定するものです。
2) 計画策定の基本的視点
この計画は、次のような基本的な視点にたって、施策の基本的方向と具体的方策を明らかにするものです。
1 障害者の可能性の尊重と、主体性・自立性の確立
- 尊厳ある一人の人間として、障害者一人ひとりが持つ可能性が尊重されることが必要です。障害者が主体性・自立性を確保し、あらゆる分野の活動に積極的に参加し、持てる能力を十分に発揮できるような施策の推進に努めます。
2 全ての人の参加による、全ての人に住みよい千葉県の創造
- 障害者を取り巻く社会環境から、物理的障壁、制度的障壁、文化・情報面の障壁、意識上等の障壁を取り除き、障害者が住みよい社会をつくることを目指します。
障害者が住みよい社会をつくっていくことは、全ての人が住みよい社会をつくっていくことにほかなりません。その観点からも、障害者を対象とした特別の施策を講ずるだけではなく、全ての施策が障害者の利用や参加を前提として検討する必要があります。
3 障害者を取り巻く環境の変化や、ニーズの多様化への対応
- 障害が重度である者や、重複している者の割合が増加する傾向にあり、また人口構造の高齢化に伴い、障害者の高齢化が進んでいます。また、障害者のニーズは、その障害の状況等により様々です。
障害者を取り巻く環境の変化や、障害者のニーズに柔軟に対応し、障害者が多様な選択が可能な充実した生活ができるよう、その生活の質の向上に努めます。
県内の各地域においても、障害者ニーズは一様ではありません。市町村において担われる障害者施策に対して、千葉県は、先進的な取り組みを支援しつつ、均衡ある推進に配慮します。
4 連携のとれた施策の推進
- 障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用、生活環境等幅広い分野にわたるため、関係施策の連携を図るように努める必要があります。
千葉県では、千葉県障害者施策推進協議会を軸として、関係行政機関相互の緊密な連携を図ります。
3) 分野別施策の基本的方向
1 啓発広報
- 「全員参加の社会づくり」を進めていくにあたり、社会の全ての構成員、とりわけ県民の皆さんの、障害及び障害者に対する十分な理解と配慮が不可欠です。行政の進める障害者施策も、こうした理解や配慮のもとに、その効果を十分に発揮することができます。このため、障害及び障害者に関して正しい理解と認識の定着を図る啓発広報は極めて重要であり、積極的に推進していく必要があります。
その際には、障害者は一人の人間として基本的人権を有しており、障害による差別・偏見を受ける理由がないことや、障害者も大きな可能性を有していること等に留意します。
2 保健・医療
- 保健・医療の分野においては、心身障害の予防、早期治療・根本的治療のための各種施策の一層の充実を図るとともに、早期療育体制を強化することが課題です。
また、医療ニーズに応じた施設整備等、医療体制の体系的整備を図る必要があり、特に、リハビリテーション医療体制を整備することが重要な課題です。
さらに、地域で生活する精神障害者に対して適切な援助を提供し、また県民の心の健康の保持・増進を図るために、精神保健対策の推進が重要です。
こうした保健・医療の施策の充実を図るためには、専門従事者の養成・確保と、保健、医療、福祉の各分野の施策について有機的連携体制を整備する必要があります。
3 教育・育成
- 障害児教育においては、障害児にとってよりよい教育環境を整備し、一人ひとりの個性を尊重し、障害の状態に応じた指導を通じ、その発達を助長し、自立性を高めることが大切です。
また、乳・幼児期において適切な対応を行うことは、成長発達上で著しい効果があり、早期対応の充実を図る必要があります。さらに、変化する社会とのつながりを持ちながら、自己の充実と生活の向上を図るために重要な生涯学習の推進を図ります。
上記のような教育・育成体制を整備するためには、心身障害児の育成に係る、教育、福祉、医療、雇用等の諸機関が、きめ細かく連携することが必要です。
4 雇用・就業
- 障害者が可能な限り一般雇用に就くことができるよう、障害の特性に応じたきめ細かな障害種類別対策を総合的に講じることが必要です。一般雇用に就くことが困難な者については、授産施設等の整備を進める等の福祉的な就労の促進を図ります。
また、障害者の職業能力を開発し向上させていくためには、職業リハビリテーションが重要であり、きめ細かな実施体制整備が必要です。
障害者の就労促進については、保健・医療・福祉の有機的な連携、及び雇用主や企業等との連携が図られることにより、円滑に就労に結びつけたり、就労後のフォローを行う等のバックアップ体制の確立を図ります。
5 福祉サービス
- 福祉サービス全般について、障害者の生活の質の向上という観点から、その質的・量的充実を図っていくことが必要です。
障害者の社会参加を障害者本人の立場に立って促進するとともに、在宅福祉サービスの一層の充実を図ることにより、障害者の地域での生活を支援します。
障害の特性や障害者のニーズに応じて、今後とも施設の充実は必要ですが、地域の在宅サービスの拠点としての機能も果たせるように努めるとともに、地域的にバランスのとれた整備を図ります。
障害者の生活の安定のための経済的保障の推進、福祉機器の開発と普及の推進、専門的な相談機能の充実等を図るとともに、障害者の権利擁護のあり方に関する調査研究を重点的に進める必要があります。
また、福祉サービスを担う福祉人材の確保充実と、障害者団体の育成・指導を充実します。
6 生活環境(全員参加の街づくり)
- 障害者が地域社会において、主体的にあらゆる社会・経済活動に参加することを可能とし、心豊かに自立性をもった生活を営むことができるよう、移動等に伴う物理的な障壁や情報収集、コミュニケーションにあたっての障壁を除去することは重要です。
そのためには、ノーマライゼーションやバリアフリーの考え方に基づいた、障害者のみならが、全ての人にとって住みよい街づくりを進めることが必要です。
また、障害者が安心して暮らすためには、犯罪や災害などの緊急時に対応するための体制整備を図ることが必要であることから、防犯や防災意識の啓発を進めるとともに、地域における情報伝達・避難誘導を含めたバックアップ体制の整備を図ります。
7 スポーツ、レクリエーション、文化及び国際化
- スポーツ、レクリエーション及び文化活動への参加機会の確保を図ることは、障害者の社会参加を促し健康を増進するとともに、生活の質を向上させるために極めて重要です。また、啓発広報活動としても重要であり、積極的に振興を図ります。
そのために、身近な場や施設で、スポーツやレクリエーション、文化活動等の情報が入手でき、気軽に活動を楽しむことのできる環境整備を図り、また、指導等を行う人材の養成・確保や、団体等の育成・活動支援を行うことにより、活動の活性化を図ることが重要です。さらに、これらの活動を通じて、海外の障害者との交流を進めることも、国際化に対応していくために必要です。
基本的な視点に沿って、この計画における施策体系は、以下の通りとなります。
○全員参加の社会づくりをめざして
- 啓発広報
- 県における啓発広報の推進
- 市町村における啓発広報の促進
- 民間団体における啓発広報の促進
- 福祉教育の推進
- 保健・医療
- 心身障害の予防、早期発見の推進
- 早期療育体制の強化
- 医療の充実
- 医療の充実
- リハビリテーション医療の充実
- 障害者歯科医療対策の充実
- 精神保健対策の推進
- 専門従事者の養成・確保
- 保健・医療・福祉の連携
- 教育・育成
- 教育の充実
- 早期教育の充実
- 義務教育段階の教育の充実
- 後期中等教育段階の教育の充実
- 教育条件の整備等
- 教職員の資質の向上
- 育成施策の充実
- 生涯学習の推進
- 教育・育成施策の連携
- 教育の充実
- 雇用・就業
- 雇用の促進
- 福祉的就労の促進
- 職業リハビリテーション体制の充実
- 障害者の就労促進のための保健・医療・福祉と雇用主や企業等との連携
- 福祉サービス
- 社会参加の促進
- 社会参加の促進
- 生活行動圏の拡大(移動手段の充実)
- コミュニケーションの確保
- 各種訓練の充実
- 地域在宅サービスの推進
- 施設サービスの推進
- 各種施設の整備及びサービスの充実
- 県立施設の整備及びサービスの推進
- 地域ぐるみ福祉ネットワークの整備
- 生活安定のための施策の充実
- 福祉機器の開発・普及
- 相談機能の充実
- 権利擁護
- 人材の確保、団体の育成・指導
- 社会参加の促進
- 生活環境(全員参加の街づくり)
- 住みよい街づくりの推進
- 障害者に配慮した住まいの整備
- 交通施設等の整備改善
- 防犯・防災対策の充実
- スポーツ、レクリエーション、文化及び国際化
- スポーツ、レクリエーションの推進
- 文化活動の推進
- 国際化の推進
第II部 各論
障害者対策の現状と課題、施策の方向
第1章 啓発広報
第2章 保健・医療
第3章 教育・育成
第4章 雇用・就業
第5章 福祉サービス
第6章 生活環境(全員参加の街づくり)
第7章 スポーツ、レクリエーション、文化及び国際化
第1章 啓発広報
「全員参加の社会づくり」を進めていくにあたり、社会の全ての構成員、とりわけ県民の皆さんの、障害及び障害者に対する十分な理解と配慮が不可欠です。行政の進める障害者施策も、こうした理解や配慮のもとに、その効果を十分に発揮することができます。このため、障害及び障害者に関して正しい理解と認識の定着を図る啓発広報は極めて重要であり、積極的に推進していく必要があります。
啓発広報の推進にあたっては、法定化された「障害者の日」や各種週間などの機会を捉えるなどして、県における推進を図るとともに、県民に最も身近な行政である市町村や、民間の団体でも積極的に行われるよう、その促進を支援します。
また、ライフステージに応じた積極的な啓発広報を図るため、幼児の段階から生涯にわたって福祉教育を推進すると同時に、ボランティア活動の推進を図ります。
その際には、国の新長期計画でも示されている次の諸点に留意して、推進します。
- 障害者が社会の中で障害を持たない人々と違った特別な存在としてではなく、障害を持たない人々と同じ社会の構成員であること。
- 障害者は一人の人間として基本的人権を有しており、障害による差別・偏見を受ける理由がないこと。
- 障害者も大きな可能性を有していること。
- 障害者の問題は、全ての人々自身の問題であること。
以上の基本的な考え方から、次のような事項を目標として掲げます。
- 県における啓発広報の推進
- 市町村における啓発広報の促進
- 民間団体における啓発広報の促進
- 福祉教育の推進
(1)県における啓発広報の推進
現状と課題
- 社会における障害者に対する理解はまだ不十分であり、障害のある人もない人もともに暮らす地域づくりの実現のためには、地域社会等に対する啓発広報を積極的かつ継続的に行っていく必要があります。
- 市町村、民間団体も含め、地域に密着した啓発広報活動を展開する必要があります。
図表II-1-1 障害者問題への関心
(N=1,225人)
非常に関心がある | 12.8% |
---|---|
ある程度関心がある | 59.1% |
あまり関心が無い | 22.4% |
まったく関心が無い | 0.7% |
無回答 | 5.0% |
出典)「千葉県障害者施策新長期計画策定基礎調査(県民対象)」(平成6年8月 千葉県)
※以下においては、調査名を「基礎調査」と略す。
施策の方向
1 各種広報媒体の活用
- 「ちば県民だより」等各種広報媒体を活用し、啓発報活動を行います。
2 広聴活動の充実
- 身体障害者相談員等による広聴活動を充実します。
3 「障害者の日」を中心とする啓発活動の充実
- 法定された「障害者の日」を中心として、人権週間、身体障害者福祉週間、精神薄弱者福祉月間、障害者雇用促進月間、精神保健普及運動等の啓発活動を充実します。
4 交流の促進
- 障害者スポーツ大会、福祉フェスティバル、精神保健のつどい等の各種行事を通じて、交流の促進に努め、県民の理解を深めます。
- 障害を理由とする、公共施設等への入場制限について見直しを行うよう、啓発広報活動を行います。
(2)市町村における啓発広報の促進
現状と課題
- 住民が日常生活の中で、障害者とふれあう機会は多いとはいえません。
- そのため、住民にもっとも身近な市町村レベルにおいて、地域に密着した啓発広報活動を、展開する必要があります。
図表II-1-2 障害者とふれあう機会等の有無
(N=1,225人)
ある | 27.5% |
---|---|
ない | 70.3% |
無回答 | 2.2% |
出典)「基礎調査(県民対象)」(平成6年8月千葉県)
施策の方向
1 啓発広報活動の支援
- 市町村における啓発広報活動を支援します。
2 各種行事開催等の支援
- 市町村における各種行事の開催を支援します。
(3)民間団体における啓発広報の促進 現状と課題
- 障害や障害者に対する県民の理解を深めるためには、行政機関のみならず民間団体における啓発広報活動を促進する必要があります。
施策の方向
1 障害者団体等の行事開催等の支援
- 県民の理解を深めるため、障害者団体等による行事、大会の開催を支援します。
(4)福祉教育の推進
現状と課題
- 思いやりと助け合いの心を育てるために、保育所、幼稚園の時代から生涯にわたって福祉教育を推進する必要があります。
図表II-1-3 福祉教育推進校の指定状況
(単位:校)
- | 平成元年までの 累計 |
平成2年 | 平成3年 | 平成4年 | 平成5年 | 平成6年 | 累計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
小学校 | 63 | 12 | 11 | 12 | 11 | 11 | 120 |
中学校 | 120 | 8 | 9 | 9 | 11 | 11 | 168 |
高等学校 | 50 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 55 |
合計 | 233 | 22 | 22 | 22 | 22 | 22 | 343 |
資料)千葉県社会部
注)小学校は、公立のみ。中学校、高等学校には私立を含む。
施策の方向
1 福祉教育、交流教育の推進
- 児童、生徒が障害者福祉に対する正しい理解を得られるよう、福祉教育、交流教育を推進します。
2 福祉教育推進校の指定の促進
- 福祉教育推進校の指定を促進し、福祉教育を推進します。
3 福祉教材の充実
- 福祉教育を効果的に推進するため、福祉読本等の教材を充実します。
第2章
保健・医療
保健・医療の分野においては、心身障害の予防、早期治療、根本的治療のための各種施策の一層の充実を図るとともに、障害を受けた初期の段階で、本人及び家族に対して、障害の軽減に係わる各種のサービスの紹介や、精神的な支援等を行う相談指導体制の充実を図るなど、早期療育体制を強化することが課題です。
また、医療ニーズに応じた施策整備等、医療体制の体系的整備を図る必要があります。特に、障害を軽減し自立を促進するためのリハビリテーション医療体制を整備することが重要な課題です。リハビリテーションは、単に運動機能の回復を目指すだけではなく、医学的、心理学的、及び社会的等の総合的な対応が図られることにより、障害者の自立をより一層促すものです。このような総合的な対応が、各ライフステージごとに適切に図られ、かつ地域に密着した実施体制の充実が必要です。
また、現在、県では巡回歯科診療車によって、障害者の口腔衛生や歯科診療等を行っていますが、今後も障害者に対する各専門機関での歯科診療や、地域における歯科保健サービスの充実を図ることにより、歯科医療対策を推進していく必要があります。
さらに、障害者基本法において、精神障害者が法律の対象であることが明記されましたが、地域で生活する精神障害者に対して、適切な援助を提供し、また県民の心の健康の保持・増進を図るために、精神保健対策の推進が重要です。
こうした保健・医療の施策の充実を図るためには、専門従事者の養成・確保と、保健・医療・福祉の各分野の施策の有機的連携体制を整備する必要があります。
以上の基本的な考え方から、次のような事項を目標として掲げます。
- 心身障害の予防、早期発見の推進
- 早期療育体制の強化
- 医療の充実
- 精神保健対策の推進
- 専門従事者の養成・確保
- 保健・医療・福祉の連携
(1)心身障害の予防、早期発見の推進
現状と課題
- 障害の予防は、先天性と後天性の両面から取り組む必要があり、先天性障害のうち胎生期における予防には、母子保健の知識の普及・啓発、相談指導活動等をする必要があります。
- 分娩時の異常等、周産期における予防には、医療体制の整備及びハイリスク妊婦に対し援助する必要があります。
- 後天性障害の予防は、成人病をはじめとする後天性疾患の予防と後遺症としての障害の予防及び事故防止対策の推進等を図る必要があります。
- 早期発見については、乳幼児健診の充実と受診率の向上を図るとともに、フォローアップ体制の整備を進める必要があります。
- 精神障害については、精神保健に関する正しい知識の普及と保健所、医療機関等の関係機関の連携による各地域におけるケア体制を充実する必要があります。
図表II-2-1 先天性代謝異常検査実施状況
- | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 |
---|---|---|---|---|
調査実施実人員数 | 47,932人 | 49,151人 | 48,813人 | 49,578人 |
発見患者数 | 19人 | 30人 | 21人 | 12人 |
資料)千葉県衛生部
図表II-2-2 医療機関委託による妊婦・乳児健康診査実施状況
- | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 |
---|---|---|---|---|
妊婦健康診査受診率 | 84.1% | 86.6% | 84.7% | 85.4% |
乳児健康診査受診率 | 76.3% | 75.7% | 77.9% | 79.3% |
資料)千葉県衛生部
図表II-2-3 健康診査状況(受診率)
- | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 | |
---|---|---|---|---|---|
1歳6か月児 健康診査受診率 |
一般健康診査 | 89.7% | 88.9% | 89.4% | 89.2% |
歯科健康診査 | 85.2% | 86.6% | 86.4% | 87.6% | |
3歳児 健康診査受診率 |
一般健康診査 | 83.4% | 84.5% | 83.7% | 84.8% |
歯科健康診査 | 82.3% | 83.5% | 83.4% | 83.5% |
資料)千葉県衛生部
図表II-2-4 精神保健相談数
- | 総数 | 社会復帰 | 老人精神保健 | アルコール |
---|---|---|---|---|
実人数 | 4,422人 | 768人 | 239人 | 398人 |
延人数 | 12,569人 | 3,878人 | 444人 | 709人 |
資料)千葉県衛生部
注)平成5年度実績
施策の方向
1 母子保健対策の充実
- 先天異常をはじめ、種々の障害の予防を図るため、妊娠の可能性のある女性や妊婦のみでなく思春期からライフサイクルを通じ、母子保健に関する知識の普及を図るとともに、安全な分娩と健康な子の出生を期すため、妊婦の健康診査を実施し、また、市町村が実施するこうした事業について、市町村の求めに応じて専門的な立場からの援助に努めます。
2 周産期保健医療対策の推進
- 心身障害の原因とされている分娩時の異常、低酸素症、未熟児等の周産期における諸問題に対処するため、周産期保健医療体制の整備の推進を図るとともに、ハイリスク妊婦に対する指導援助を強化します。
3 成人・老人保健事業の推進
- 脳血管疾患や心疾患等の成人病に起因する障害を予防するため、老人保健法に基づいた総合的な保健事業を推進するとともに、老人保健施設の整備、機能活用等の促進を図ります。
4 寝たきり防止対策の推進
- 脳卒中等情報システムの運用充実及び寝たきり予防思想の普及促進を図ります。
5 産業事故・交通事故防止対策の推進
- 産業事故・交通事故防止対策、火薬等危険物の取扱者に対する指導を実施します。
6 医療福祉関係施設との連携強化
- 先天性代謝異常等の早期検査をはじめ、乳幼児期の各種健康診査の実施体制を充実し、また、こうした健康診査で発見された乳幼児について適切な療育が受けられるように医療福祉関係施設との連携を強化します。
7 地域精神保健対策の推進
- 精神障害については、保健所における精神保健相談・訪問指導事業の充実、社会復帰相談指導事業の強化、心の健康づくりの推進、保健所・医療機関等の関係機関の連携強化などにより地域精神保健対策の一層の推進を図ります。
図表II-2-5 精神保健訪問指導被指導者数
- | 総数 | 社会復帰 | 老人精神保健 | アルコール |
---|---|---|---|---|
実人数 | 1,470人 | 412人 | 158人 | 50人 |
延人数 | 4,413人 | 1,621人 | 444人 | 103人 |
資料)千葉県衛生部
注)平成5年度実績
(2)早期療育体制の強化
現状と課題
- 早期療育については、千葉リハビリテーションセンター愛育園を中心に、療育相談、治療、指導訓練を行っていますが、乳・幼児期における適切な対応を行うことは、成長発達上著しい効果があることから、引き続き早期療育体制の充実を図るとともに、通園施設等の社会福祉関係施設や医療機関が有機的な連携のもとに進めていく必要があります。
施策の方向
1 療育体制の充実
- 千葉リハビリテーションセンター愛育園の機能を充実させるとともに、療育機能を有する医療機関と地域に設置されている通園施設等障害福祉関係施設などとの有機的な連携を推進します。
- 身体障害児について、早期に適切な指導を行い、その障害の軽減等を図るため保健所その他の関係機関による療育指導等の充実を図ります。
図表II-2-6 千葉リハビリテーションセンターの状況
施設種別 | 施設名 | 所在地 | 定員 |
---|---|---|---|
肢体不自由児施設 | 愛育園 | 千葉市緑区誉田町 | 175人 |
肢体不自由者更生施設 | 第一更生園 | 千葉市緑区誉田町 | 35人 |
重度身体障害者更生援護施設 | 第二更生園 | 千葉市緑区誉田町 | 75人 |
リハビリテーション医療施設 | - | 千葉市緑区誉田町 | 110人 |
資料)千葉県社会部
注1)平成6年4月1日現在
注2)千葉は(福)千葉県身体障害者福祉事業団に運営委託を行っている。
(3)医療の充実
現状と課題
- 障害者対策を進めるうえで、医療との関わり合いは不可欠であり、医療需要に応じた施設整備等、医療体制の体系的整備を図る必要があります。
- 増加傾向にある腎不全による透析患者に対応するとともに、原因が不明で治療方法が確立されていない難病等対策を推進する必要があります。
- 障害者の増加や重度化等により、リハビリテーション医療に対する需要は増加していますので、医療機関の整備を促進し、医療供給体制を拡充する必要があります。
- 障害者の口腔内の健康は、一般的にその身体的特徴から劣悪な状況にありますが、一般の歯科診療機関では対応が十分できないため、障害者の歯科診療の充実を図る必要があります。
また、在宅の心身障害児(者)に対する歯科保健サービスの充実を図る必要があります。
図表II-2-7 診療等を受けるときに困っていること(複数回答)
- | 身体障害児 | 身体障害者 | 精神薄弱児 | 精神薄弱者 |
---|---|---|---|---|
n= | 447人 | 693人 | 128人 | 143人 |
通院するときにつきそう人がいない | 6.5% | 6.2% | 6.3% | 1.4% |
専門的な治療を行う医療機関が身近に無い | 31.1% | 8.8% | 28.9% | 12.6% |
専門的な機能回復訓練ができる機関がない | 31.5% | 5.8% | - | - |
ちょっとした病気の時受け入れる機関がない | 7.2% | 4.2% | 5.5% | 0.7% |
気楽に往診を頼める医者がいない | 13.9% | 8.1% | 20.3% | 7.7% |
歯科診療を受けられない | 4.5% | 6.6% | 13.3% | 5.6% |
医療費の負担が大きい | 6.7% | 7.1% | 6.3% | 10.5% |
その他 | 6.7% | 5.5% | 6.3% | 4.2% |
とくに困っていることはない | 32.0% | 45.5% | 37.5% | 41.3% |
無回答 | 11.6% | 21.8% | 14.8% | 24.5% |
出典)「基礎調査(身体障害児者・精神薄弱児者対象)」(平成6年8月千葉県)
施策の方向
1 医療体制の整備
- 千葉県保健医療計画にもとづき、保健医療供給体制の計画的な整備を図ります。
- 県立の循環器病センター(仮称)を設置し、高度な医療を行います。
- 県立こども病院においては、一般医療機関において対応が困難な小児の疾病を取り扱います。
- 周産期医療の向上を図るため、地域毎に中核病院を設け、周産期の高度医療機能を整備します。
- 難病対策の強化を図るため、県内の医療機関から、(仮称)難病治療拠点病院を確保し、地域の医療機関等との連携網を確立し、難病医療体制を整備します。
2 精神科医療体制の整備
- 地域で生活する精神障害者に対して適切な医療を迅速に提供できるよう、精神科救急医療体制の充実を図るとともに、患者の療養環境に配慮しながら、身体合併症等にも対応できる精神科医療体制の整備促進を図ります。
3 各種バンク登録の推進
- 角膜移植術による視覚障害者の視力回復を図るため、アイバンク登録を推進します。
- 腎不全のため、人工透析を余儀なくされている患者の機能回復・社会復帰を促進するため、腎バンク登録を推進します。
4 医療費負担の軽減
- 身体障害児育成医療の給付、未熟児養育医療の給付、更生医療の給付、精神障害者通院医療費公費負担制度等の医療費の公費負担を行い、患者の医療費負担の軽減及び治療の促進を図ります。
- 千葉リハビリテーションセンターの機能の充実、リハビリテーション機能を有する地域の中核的な公的医療機関の運営費・施設費助成及び地域医療において重要な役割を果している民間医療機関の積極的な活用等により、地域で適切な医学的リハビリテーションを受けられるよう体制整備を図ります。
- 医学から社会的リハビリテーションに至るまでの総合的な体制整備の方策を調査・研究します。
- 心身障害児(者)に対し、巡回歯科診療車により口腔衛生思想の啓発普及、歯科保健指導及び歯科診療を行います。
- 佐原病院、千葉リハビリテーションセンター、袖ヶ浦福祉センター等県立病院、県立施設における心身障害児(者)歯科診療の充実を図ります。
- 在宅心身障害児(者)に対する歯科保健サービスの確保を図ります。
図表II-2-8 育成医療費給付人員の状況
- | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 |
---|---|---|---|---|
育成医療費給付人員 | 1,421人 | 1,463人 | 1,409人 | 1,428人 |
資料)千葉県衛生部
図表II-2-9 心身障害児者歯科保健巡回診療指導事業実績
- | 巡回施設等数 | 指導件数 | 診療件数 |
---|---|---|---|
平成2年 | 68件 | 2,113人 | 322人 |
平成3年 | 69件 | 2,265人 | 475人 |
平成4年 | 69件 | 2,417人 | 354人 |
平成5年 | 67件 | 2,251人 | 213人 |
資料)千葉県社会部
(4)精神保健対策の推進
現状と課題
- 地域で生活する精神障害者に対して適切な援助を提供し、また、地域住民の心の健康の保持・増進を図るため、保健所を核とした地域精神保健対策を充実させ、精神保健に関する正しい知識の普及と、地域における相談指導及び治療体制の整備充実を図るとともに、住民のライフステージに応じた適切な精神保健対策を推進する必要があります。
図表II-2-10 精神障害者(本人)の生活に役にたつこと(複数回答)
―本人の生活場所別―
- | 精神障害者家族 | 本人が在宅 | 本人が施設 | 本人が入院 |
---|---|---|---|---|
n= | 888人 | 502人 | 33人 | 282人 |
なんでも相談できる専門家 | 62.3% | 65.9% | 69.7% | 57.4% |
家族教室 | 17.2% | 20.1% | 9.1% | 12.4% |
同病の仲間の集まり | 34.9% | 42.2% | 45.5% | 21.3% |
公営住宅への優先入居 | 13.3% | 14.1% | 24.2% | 11.7% |
家族の急用時に預る施設 | 18.9% | 21.9% | 6.1% | 13.8% |
保健所職員の訪問指導 | 9.7% | 11.0% | 6.1% | 5.7% |
週1回程度訪問してくれる人の派遣 | 5.3% | 5.8% | 6.1% | 3.9% |
公立社会復帰施設 | 42.0% | 44.2% | 54.5% | 37.2% |
その他 | 3.0% | 2.6% | - | 5.0% |
無回答 | 13.9% | 8.0% | 3.0% | 24.5% |
出典)「基礎調査(精神障害者の家族対象)」(平成6年8月千葉県)
施策の方向
1 相談・指導体制の整備促進
- 地域精神保健活動の中心となる保健所の精神保健業務体制の強化及び専門相談指導事業の充実を図ります。
- 精神保健ボランティアの育成・活用を図ります。
2 心の健康づくりの推進
- 県民に精神保健の正しい知識の普及を図るための啓発活動の充実に加え、心の健康づくり事業の充実・強化を図ります。
3 社会復帰の促進
- 精神障害者の社会復帰の促進を図るため、県立社会復帰施設を含む社会復帰施設(援護寮、福祉ホーム、授産施設)、精神障害者グループホーム、共同作業所の整備促進を図ります。
- 社会復帰対策における精神保健センター及び精神科医療センターの機能強化を図ります。
- 社会復帰対策のうち、身近で頻度の高いサービスについて市町村が円滑に実施できるよう、保健所による指導支援体制の充実などの援助対策を講じるとともに、市町村、医療機関、社会復帰施設等各地域における関係機関相互の連携強化に努めます。
4 ライフステージに応じた精神保健対策の推進
- 思春期精神保健、老人精神保健等、ライフステージに応じた適切な精神保健対策を推進します。
(5)専門従事者の養成・確保
現状と課題
- 医療需要の増大にともない、施設の整備とともに、優秀な専門従事者の確保充実を図る必要があります。
- 看護職員の確保については、従前からの養成力の強化策に加え、今後は、現在就業している看護職員の離職防止及び未就業看護職員の再就業の促進に重点をおいた施策を推進する必要があります。
- 地域住民への保健サービスを充実強化するため、保健婦の確保と資質の向上を図る必要があります。
- 地域精神保健活動の充実を図るため、保健所等における精神保健業務従事者及び社会復帰関連施設職員の確保と資質向上を図る必要があります。
- 在宅心身障害児(者)に対する歯科保健サービスの推進を図るため、市町村歯科衛生士の確保と資質の向上を図る必要があります。
施策の方向
1 専門従事者養成体制の充実強化
- 高学歴志向に対応し、看護教育のあり方を検討します。
- 理学療法士、作業療法士、看護婦等の定着を図るため、将来県内において業務に従事しようとするものに修学資金の貸し付けを行います。
- 医療技術大学校、衛生短期大学等における理学療法士、作業療法士、看護婦等の養成を推進します。
2 専門従事者の確保・資質の向上
- 看護職員勤務環境改善設備整備事業等の離職防止対策を実施します。
- ナースセンター事業の拡充強化により、再就業の促進を図ります。
- 看護職員研修の体系化により、看護職員の資質の向上を図ります。
- 保健所保健婦と刊町村保健婦との連携を強化するとともに、精神保健等に係る保健婦研修を充実し、保健婦の確保と資質の向上を図ります。
- 保健所等における精神保健業務従事者及び精神障害者社会復帰施設等の職員の研修機会の拡大、研修内容の充実を図ります。
- 市町村歯科衛生士の確保と資質の向上を図るための研修を行います。
(6)保健・医療・福祉の連携
現状と課題
- 障害者やその介護者が、保健・医療・福祉のそれぞれの分野のどの窓口に相談しても必要なサービスを受けられるよう、連携のとれる体制を整備する必要があります。
施策の方向
1 総合的な障害者施策の推進
- 千葉県障害者施策推進協議会の協力を得ながら、総合的な障害者施策の推進に努めます。
- 千葉県老人保健福祉計画及び千葉県保健医療計画において実施が予定されている保健・医療・福祉の連携を推進します。
2 県内全市町村での保健センターの設置
- 各市町村において、地域住民の身近で利用頻度の高い保健・福祉サービスを一元的に提供できる体制を整備するため、保健活動の拠点施設となる保健センターの全市町村への設置促進を図ります。
第3章
教育・育成
障害児教育においては、障害児にとってよりよい教育環境を整備し、一人ひとりの個性を尊重し、障害の状態に応じた適切な指導を通じ、その発達を助長し、自立性を高めることが大切です。このため、今後の義務教育段階の心身障害児に対する教育については、心身障害児の特性等に応じた多様な教育の展開を図るという観点から、その充実を図ることが重要です。現在、心身障害児に対する教育は特殊教育諸学校、特殊学級、通級による指導、通常の学級の四形態で実施されていますが、それぞれの教育の形態に応じて、教育内容・方法の一層の改善等を今後も図るとともに、一人ひとりの障害の特性等の変化に応じた教育措置の柔軟な対応を図るため、相談体制等の整備を図る必要があります。中等・高等教育段階においては、障害児・者がその能力・適性等に応じて進学の機会が拡充されるよう、各学校のそれぞれにおいて、受け入れのための条件整備の一層の充実を図る必要があります。
また、乳・幼児期において適切な対応を行うことは、成長発達上で著しい効果があり、早期対応の充実を図る必要があります。さらに、変化する社会とのつながりを持ちながら、自己の充実と生活の向上を図るために、生涯学習が重要となってきていることから、生涯学習の推進を図ります。
上記のような教育・育成体制を整備するためには、心身障害児の育成に係る、教育、福祉、医療、雇用等の諸機関が、きめ細かく連携することが必要です。
以上の基本的な考え方から、次のような事項を目標として掲げます。
- 教育の充実
- 教育条件の整備等
- 教職員の資質の向上
- 育成施策の充実
- 生涯学習の推進
- 教育・育成施策の連携
(1)教育の充実
現状と課題
- 心身障害児の保護者に対し、早期から継続的な支援を行うため、教育相談体制を整える必要があります。
- 私立幼稚園に心身障害児を受け入れるには、教職員等の体制、施設・設備の整備等負担が大きく、経営規模の小さい幼稚園にとっては受入が困難な状況にあるので、特殊教育の充実とともに、保護者の負担軽減を図る必要があります。
- 障害の種類や程度に応じた就学指導を充実し、義務教育の円滑な推進を図る必要があります。
- 障害児の義務教育終了後の特殊教育については、いろいろな進路の中から選択できるよう、養護学校高等部等の整備・充実を図る必要があります。
また、心身障害児の社会的自立のため、養護学校高等部の職業教育の充実を図る必要があります。
施策の方向
- 早期教育の充実のため、特殊教育諸学校幼稚部の充実を図るとともに保護者への教育相談や指導が受けられるよう、専門の指導者による相談体制の充実を図ります。
- 私立幼稚園の心身障害児受け入れに対し、その経費を補助し、特殊教育の充実、振興及び保護者の教育費負担の軽減を図ります。
- 心身障害児に対する教育の形態に応じて、教育内容・方法の一層の質的充実を図ります。
- 心身障害児に対し適切な教育の場を提供するため、市町村、各学校の就学指導体制を確立し、心身障害児の特性に応じた適切な教育措置を行います。 また、小中学校や地域との心身障害児の交流教育を積極的に推進します。
- 高等学校等で教育を受けることが可能な生徒については、その能力・適性、障害の程度に応じて受け入れ条件の整備に努めます。
- 心身障害児の社会的自立を図るため、養護学校高等部の職業教育の充実を図るとともに、高等養護学校(高等部のみの養護学校)の整備を図ります。
(2)教育条件の整備等
現状と課題
- 養護学校の整備についてはほぼ終了しているものの、社会情勢の変化等もあり、人口の急増地域においては整備を要する地域もでてきており、適正配置について検討していく必要があります。
- 通園・通学に時間がかかる、公共交通機関が使えないなど、通園・通学のアクセスを検討していく必要があります。
- 小中学校や地域社会の人々との交流に取り組んできていますが、より一層、交流教育を推進する必要があります。
- 障害の重度化・重複化にともない、障害児教育において、多様なニーズに対応するため、より専門的な教育が求められています。
- 県内の大学の障害者の受け入れに対して、理解を求めていく必要があります。
図表II-3-1 通園・通学上の困っていること(複数回答)
n= | 369人(131人) |
---|---|
通うのが大変である | 33.6%(27.5%) |
授業についていけない | 6.2%(2.3%) |
トイレなどの設備が障害児に配慮されていない | 9.5%(6.9%) |
学校内・園内での介助が十分でない | 8.9%(8.4%) |
友だちができない | 7.9%(3.1%) |
先生の配慮が足りない | 10.6%(8.4%) |
周囲の生徒たちの理解が得られない | 4.9%(3.1%) |
受け入れてくれる学校が少ない | 6.2%(7.6%) |
普通学級に入れてもらえない | 3.0%(0.8%) |
その他 | 10.6%(9.9%) |
とくにない | 35.0%(40.5%) |
無回答 | 6.5%(8.4%) |
出典)「基礎調査(身体障害児対象)」(平成6年8月 千葉県)
参考) カッコ内の値は「障害者福祉に関する意識・実態調査」(平成6年3月 千葉市)
施策の方向
1 教育条件の整備等
- 障害の重度化・重複化や地域的な人口急増などの、社会情勢の変化に伴い、養護学校整備計画の再検討を行います。
- 障害児の通園・通学環境の整備を行うために、リフトバス等のスクールバスの一層の推進を図ります。
- 小中学校や地域の人々と心身障害児との交流教育の一層の推進を図ります。
- 学習障害等障害児教育における多様な教育ニーズに対応するため、特殊教育センターの充実や、情報ネットワークの整備など情報教育の推進を図ります。
- 障害児者の受け入れについて、県内に設置されている大学への啓発を推進します。
図表II-3-2 私立幼稚園における障害児教育の状況
- | 補助対象者数 | 園数 |
---|---|---|
平成2年 | 167人 | 62園 |
平成3年 | 177人 | 61園 |
平成4年 | 193人 | 59園 |
平成5年 | 174人 | 66園 |
資料)千葉県総務部
注)1園1人以上の園を対象
(3)教職員の資質の向上
現状と課題
- 教職員の資質の向上のためにも、また、教職員の旺盛な研修意欲に対応するためにも、より専門的で充実した教職員の研修体制を充実する必要があります。
施策の方向
1 教職員の資質の向上
- 教職員の資質向上のため、特殊教育センターでの研修や校内研修等を充実し、より専門的な研修体制を整備します。
- 一般教員の研修においても、福祉を理解できる研修体制を整備します。
- 教員養成課程における福祉教育の充実について、大学への啓発を推進します。
(4)育成施策の充実
現状と課題
- 保育所の保母、指導員等の研修を充実し、障害児の入所受け入れの円滑化、保育内容の向上を図るとともに、通所可能な心身障害児を対象に、保育所への入所の円滑化を図る必要があります。
- 心身障害児に対する療育相談や福祉サービスの提供ができるよう、相談・援助の充実を図るとともに、施設の機能を強化し、その機能を広く地域社会で活用できるよう地域療育体制の整備を図る必要があります。
図表II-3-3 障害児保育の状況
- | 補助対象数 | か所数 |
---|---|---|
平成2年 | 329人 | 215か所 |
平成3年 | 346人 | 226か所 |
平成4年 | 243人 | 183か所 |
平成5年 | 226人 | 177か所 |
資料)千葉県社会部
注)各年度末現在
図表II-3-4 心身障害児通園事業
- | 施設数 | 数定員 | 利用児童数 |
---|---|---|---|
平成2年 | 11 | 360人 | 330人 |
平成3年 | 11 | 360人 | 347人 |
平成4年 | 11 | 360人 | 317人 |
平成5年 | 12 | 360人 | 324人 |
資料)千葉県社会部
施策の方向
1 障害児保育体制の充実
- 障害児の保育内容の向上のため、保母・指導員等を対象とした障害児保育専門講座の充実を図ります。
- 障害児の保育所への入所円滑化を図り、障害児保育に必要な知識、経験等を有する保母の雇用を推進するための経費及び保育を行うための設備・遊具の設置等の助成を行います。
2 相談・指導体制の充実
- 心身障害児及びその家族の相談に応じ、家庭療育に必要な助言、指導を充実するため、地域児童福祉の核となる児童相談所の活動の充実を図ります。
3 地域療育体制の整備
- 在宅の心身障害児が施設を利用する心身障害児短期療育事業や、心身障害児(者)短期入所事業など、在宅の心身障害児の生活を支援し、地域に開かれたものとする心身障害児(者)施設地域療育事業の拡充を図ります。
4 「心身障害児総合通園センター事業」の推進
- 障害の早期発見、早期療育を推進するため、関連する児童相談所や児童福祉施設などの関係機関との連係を強化するとともに、心身障害の相談、指導、診断、検査、判定等を総合的に行う「心身障害児総合通園センター事業」の推進を図ります。
- 精神薄弱児や肢体不自由児の通園施設を利用できない地域に、地域に密着した通園の場を設けて、心身障害児の特性に応じた指導を行う心身障害児通園事業や簡易マザーズホーム事業の推進を図ります。
5 療育方法の研究の推進
- 重複障害、強度行動障害等に対応できるよう、施設における療育機能の強化を推進し、療育方法の研究に努めます。
6 施設職員の資質向上
- 施設において適切な療育が行えるよう、施設職員の研修を充実し、研究活動を強化推進します。
図表II-3-5簡易マザーズホーム設置状況
- | 施設数 | 定員 | 利用児童数 |
---|---|---|---|
平成2年 | 3 | 73人 | 63人 |
平成3年 | 3 | 73人 | 50人 |
平成4年 | 3 | 73人 | 59人 |
平成5年 | 3 | 73人 | 52人 |
資料)千葉県社会部
注)各年度末現在
図表II-3-6施設地域療育事業の状況
施設種別 | 施設数 | 延利用人数 | 利用日数 |
---|---|---|---|
心身障害児短期療育 | 2 | 17人 | 51日 |
精神薄弱者生活能力訓練 | 11 | 68人 | 384日 |
心身障害児(者)巡回療育相談等 | 29 | 10,224人 | 2,650日 |
心身障害児(者)施設プール開放 | 1 | 150人 | 9日 |
合計 | 43 | 10,459人 | 3,094日 |
資料)千葉県社会部
注)平成5年度実績
(5)生涯学習の推進
現状と課題
- 変化する社会とのつながりを持ちながら、自己の充実と生活の向上を図り、自分の持つ多くの可能性を追求して自己実現を図ることが大切です。
- 今後、障害者の生涯にわたる学習について、家庭教育、就学前教育、学校教育、福祉施設等あらゆる場において、多面的に研究し、一層の推進を図る必要があります。
施策の方向
1 学習機会の整備・拡充
- 障害者が学習できる場や機会を持てるように、アクセスの確保・充実を図ります。
- 障害者の生活訓練や障害種別に応じて、日常生活上に必要な知識等を習得するための学習機会の整備・拡充を図ります。
(6)教育・育成施策の連携
現状と課題
- 障害児の教育・育成に関わる保母や教職員の研修を充実させる必要があります。
- 教育、福祉、医療、雇用等の諸機関がきめ細かく連携していく必要があります。
施策の方向
1 保母や教職員等のバックアップ体制の整備
- 障害児教育・育成に関わる保母や教職員などの相談等のバックアップ体制を整備するために、特殊教育センター、児童相談所等の相談体制の強化を図ります。
2 関係諸機関との連携の強化
- 特殊教育センター、特殊教育諸学校、特殊学級、医療機関、心身障害児関係施設、児童相談所、雇用関係諸機関等との連携を図ります。
主題:
千葉県障害者施策新長期計画 1頁~68頁
―全員参加の社会づくりをめざして―
発行者:
千葉県 社会部 障害福祉課
発行年月:
1995年04月
文献に関する問い合わせ先:
千葉県 社会部 障害福祉課
〒260-91 千葉県千葉市中央区市場町1番1号
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