ふじのくに
障害者プラン ~ふれあいの21世紀をめざして~
静岡県障害者対策行動計画
№3
4 働く喜びの確保(雇用・就業)
1 職業能力の開発
<現状と課題>
- 就業は、障害者にとっても生活の経済的基盤になるとともに、働く喜びや社会参加の機会を提供する大きな役割を果たしています。
しかしながら、障害者が就労自立をする場合には、健常者に比べ身体的、心理的、社会的な障害を数多く有しているため、職業能力の開発や就労の場の提供、職場や社会の理解啓発の推進等総合的な職業リハビリテーションの措置を講じていく必要があります。 - 心身障害者の就業による社会的自立を目的として、県立あしたか職業訓練校において職業に必要な能力を付与するための訓練を実施していますが、訓練生のうち精神薄弱者の割合が高まっており、訓練内容や訓練職種等の検討が必要となってきています。
また、重度障害者の受入れについての研究と検討が必要になっています。 - 沼津、清水、浜松の県立3専門校では、障害者を対象とする職業訓練を実施していませんが、今後は、就職を希望する軽度障害者を対象とした職業訓練及び就職後の技術革新や職務内容の変化等に対応するための、在職の軽度障害者に対する技能向上訓練の推進が必要となっています。
<施策の方向>
- 職業訓練の充実
- 県立あしたか職業訓練校において、職業能力の開発による障害者の就業の促進を図るため、障害者の状況や地域の雇用ニーズなどを踏まえ、訓練職種及び定員等の見直しを行うとともに、訓練施設・訓練体制の整備を推進します。
- 福祉、教育、職業安定に関する機関及び地域の企業や関係団体との連携による、障害者に対する職業能力開発及び就業促進施策等を推進します。
- 重度障害者を対象とした職業訓練の実施について、訓練のための施設、機器、指導方法等の研究と検討を行います。
- 在職障害者の技能向上訓練の推進
県立3専門校と雇用促進事業団立職業能力開発センター及び民間認定職業能力開発施設において、就職を希望する軽度障害者を対象とした訓練及び企業等に在職している障害者に対する訓練を推進します。
(1)職業訓練の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
新規学卒者職業訓練事業 | 身体障害及び精神薄弱の新規学卒者を対象に、あしたか職業訓練校において、職業に必要な基礎的な知識や技能を付与するための訓練を実施し、就業による自立を促進する。 | 県 | 障害者各人の障害の部位、能力等を考慮した訓練職種や訓練内容の検討を行うとともに、訓練技法の研究、訓練機器・施設・指導体制の整備充実を図る。 | 職業能力開発課 |
離転職者訓練事業(新規) | 県立3専門校及び事業団立職業能力開発センターにおいて、就職を希望する軽度障害者に対し、職業に必要な技能・知識を付与するための訓練を実施することについて検討を行う。 | 県 雇用促進事業団 |
関係機関の協力を得て、早期の実施を図る。 | 職業能力開発課 |
精神薄弱者職親委託制度 | 精神薄弱者の更生援護に熱意のある事業経営者等の職親が、一定の期間一緒に生活して、日常の生活指導や職業技能の修得のため訓練を行い、雇用の促進と職場における定着性を高める。 | 県 市 |
就労実態にあった制度の見直しについて国に要望する。 | 障害福祉課 |
(2)在職障害者の技能向上訓練の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
在職者訓練事業(新規) | 公共及び民間の職業能力開発施設において、企業等に在職している障害者に対し、新しい技術や技能を付与し、現在持っている技能を更にレベルアップさせ職業能力の向上を図るための訓練を実施することについて検討する。 | 県 雇用促進事業団 |
関係機関の協力を得て、早期の実施を図る。 | 職業能力開発課 |
2 雇用対策の推進
<現状と課題>
県内民間企業の障害者雇用は、平成4年6月1日現在の調査によると、実雇用率1.55%と全国平均の1.36%を上回っており、法定雇用率である1.6%達成までに今一歩のところまで近づいています。
法定雇用率未達成の主な原因については、大企業や第3次産業等で雇用改善が進まないこと、また、障害者の高齢化、重度化、障害の多様化等により、職域の開発・拡大が進まないことがあげられます。
このため、法定雇用率の早期達成の実現に向けて、今後も企業や雇用主に対し障害者雇用の促進について、なお一層の理解、協力を求めるとともに、働く意思と能力のある障害者に可能な限り一般雇用の場を確保することを目的として障害の種類、特性に応じたきめ細かな雇用対策を講じていく必要があります。
また、障害者の職業的自立を支えるために、住宅や通勤のための交通手段の確保等、福祉、教育、生活環境面での諸条件を整えていくことが重要です。
〈施策の方向〉
- 総合的な雇用対策の推進
- 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、身体障害者雇用率制度の厳正な運用等施策の充実を図ります。
- 障害の特性に応じた雇用の場の開拓・拡大を図り雇用を促進します。
- 重度化に対応した障害者雇用対策の推進
- 重度障害者の雇用促進を図るため、第3セクター方式による重度障害者雇用企業の育成等を推進します。
- 短時間勤務、在宅勤務、フレックス制度等多様な勤務形態による雇用促進を図ります。
- 精神薄弱者、精神障害者の雇用対策の推進
- 各種助成金等の活用を図り、雇用の場を拡大します。
- 生活寮の整備や生活相談の充実等福祉対策の推進を図ります。
- 就労定着化への支援
障害者の就労定着化を支援するために、企業の職場定着推進チームを育成します。
(1)総合的な雇用対策の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法定雇用率達成指導 |
|
県 |
|
職業安定課 | ||||
職業紹介の充実 | 障害の種類、特性に応じた職業紹介の実施 | 県 |
|
職業安定課 | ||||
職場適応指導 |
|
県 障害者雇用促進協会 |
- | 職業安定課 | ||||
関係機関との連携強化 |
|
県 |
|
職業安定課 | ||||
職場実習制度 |
|
県 |
実習人員の拡大
|
職業安定課 |
(2)重度化に対応した障害者雇用対策の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
重度化に対応した雇用対策の推進 |
障害の重度化が進み、雇用の場の確保が困難な状況にあるため、障害部位に合った求人の開拓や職務開発を行い、職業紹介を充実するとともに、各種助成金を活用した施設・設備の改善等を推進する。
|
県 |
|
職業安定課 |
心身障害者自立促進対策(新規) |
県立浜松学園の整備事業において心身障害者の社会自立・社会参加支援とアフターケアを目的とした各種事業の展開について検討する。
|
県 | - | 障害福祉課 |
(3)精神薄弱者、精神障害者の雇用対策の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
精神薄弱者 精神障害回復者の雇用対策の推進 |
精神薄弱者や精神障害回復者についての雇用対策を推進する。
|
県 |
|
職業安定課 障害福祉課 |
(4)就労定着化への支援
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
精神薄弱者社会自立促進事業 | 精神薄弱者更生援護施設等を退所して、企業就職等をしたが、対人関係等の理由で離職した後、再就職する意欲と希望がある者を、指定した精神薄弱者更生援護施設等に入所させ、再就労に必要な指導や訓練を行う。 (平成4年度末6施設を指定) |
県 | 指定施設の増加と内容の充実 | 障害福祉課 |
精神薄弱者ふれあい交歓会開催事業 | (1-1-1 参照) | - | - | - |
心身障害者就労促進事業 | (1-1-1 参照) | - | - | - |
職場適応指導 | (5-2-1 参照) | - | - | - |
3 福祉的就労の支援
<現状と課題>
- 障害者の雇用状況は逐次改善されてきていますが、重度障害者における雇用は依然として厳しい状況にあります。
このような中で、障害の種類、程度を問わず、障害者が福祉的援助を受けながら、就労する(=「福祉的就労」)場が、心身障害者小規模授産所であり、現在、県内89か所、1,100人余の障害者が授産指導や生活指導を受けながら自立を目指して通所しています。
しかし、これらの施設の多くは、障害者の親の会など任意団体が運営しているため、経営基盤が弱く、職員の確保、通所者の処遇格差などの問題が生じています。
なお、主に精神障害者が通所して福祉的就労を行う場として、精神障害者共同作業所がありますが、事業の目的や助成制度の内容等については、心身障害者小規模授産所と同じです。 - 重度身体障害者授産施設や精神薄弱者授産施設は、本来、障害者の就労自立に向けて指導訓練を行う場として整備されました。しかしながら、入通所者の障害の重度化等により、就労の目途の立たない障害者が増加し、施設に滞留する傾向にありますので、こうした障害者に対する処遇の在り方について、適切な対応が求められています。
<施策の方向>
- 小規模授産所・精神障害者共同作業所等の整備・充実
- 通所者の処遇の向上と自立の促進を図るため、職員の増員と資質の向上、授産活動の充実、地域との交流の促進等により、小規模授産所等の機能の強化に努めていくとともに、地域の実情に配慮しながら、施設の整備、普及を図っていきます。
- これらを実現するため、運営費、施設整備費等の助成制度を充実するとともに、市町村と連携を図りながら、小規模授産所等の運営について、適切な指導をしていきます。
- 授産施設における福祉的就労の充実
授産施設においても、福祉的就労の場としての機能の充実を図ります。
(1)小規模授産所等の整備・充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
心身障害者小規模授産所の整備 | 施設整備費及び授産振興設備整備費の助成を行い、心身障害者小規模授産所の設置の促進と、授産設備の整備を図る。 | 市町村 |
設置の促進
|
障害福祉課 | ||||
心身障害者小規模授産所の機能の充実 |
|
市町村 |
|
障害福祉課 | ||||
|
県 (県小規模授産所連合会に委託) |
|
||||||
精神障害者共同作業所の整備 | (2-4-3 参照) | - | - | - |
(2)授産施設における福祉的就労の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
授産施設の機能の充実 | 法律に定める授産施設においても、就労が困難な障害者が増加してきていることから、これらの者についての福祉的就労の場としての機能の充実を図る。 | 市町村 社会福祉法人 |
|
障害福祉課 |
5 生活の向上(福祉)
1 生活向上施策の推進
<現状と課題>
- 障害者が住み慣れた地域社会で安心して生活を送るためには、何よりも障害者自身の自立への意欲と生活そのものの質的向上を図ることが基本です。
障害者の生活の向上のためには、年金や手当及び医療制度の充実等による経済的な基盤の安定とともに、在宅で生活するために必要なホームヘルプサービスなどの人的サービスの提供が必要になります。
また、毎日の生活をより快適なものにするためには、障害者も地域住民として積極的に社会参加をしていくことが重要であり、それを可能にする生活環境の整備が必要です。
いずれにしても、障害者の生活向上を図るための施策の基本は、障害者本人の立場に立って、障害者の特性・ニーズに応じたきめ細かな施策を展開していくことです。
例えば、障害が重度であっても一定の介護が確保されれば十分地域で自立した生活が可能である人については、その意思に基づき地域での自立した生活を可能としていく体制を確立していくことが必要です。 - 国や県においては、これまで様々な施策を講じてきましたが、障害の重度化や高齢化等の状況の変化に伴い、障害者のニーズも多様化してきており、今後はよりきめ細かな質の高いサービスの提供が求められています。
- 障害者対策を進める上で、身体障害者手帳及び療育手帳の交付制度は重要な役割を果たしていますが、障害者のための施策が増加して行くのに伴い行政サービスの向上及び公平性の観点から、より正確で迅速な交付体制を整備していく必要が生じています。
- これからの障害者福祉は、障害者の権利確保という観点から、施策の推進が図られなければなりません。特に人権の尊重や公民権、財産権の行使については十分な配慮が必要です。
<施策の方向>
- 生活の安定
障害者の生活の経済的基盤である年金・手当及び医療保険制度の充実を国に要望していきます。 - 住宅の整備
障害者が家庭で快適な生活を送れるように、住宅改造への支援を行うとともに、住宅確保に困っている人に対して公営住宅の供給に努めていきます。 - 在宅福祉サービスの充実
- 平成5年度に策定される高齢者保健福祉計画を踏まえながら、デイ・ショートステイ・ホームヘルプの在宅福祉三本柱の一層の充実を図るとともに、入浴サービスなど障害者のニーズに合ったサービスの提供に努めていきます。
- 重度の障害者が地域で自立した生活を送れるように、体制の整備を図っていきます。
- 暮らしの支援
- 障害者の社会参加を一層促進するため、障害者のニーズに適応したきめ細かな事業を積極的に展開していきます。
- 毎日の生活をより快適なものにするために、日常生活用具の給付の拡大や福祉機器の研究・開発に努めていきます。
- 相談指導の充実
- 障害者の日常生活上の悩みに的確に応じていけるように、相談指導体制の充実を図っていきます。
- 民生事務所等におけるコンピューターオンラインシステムの導入等により、身体障害者手帳及び療育手帳の迅速かつ適正な交付に努めていきます。
- 権利擁護の推進
障害者が施設や地域社会の中で、1人の人間として各々の有する権利の行使が確保されるよう、国と連携しながら施策の充実に努力していきます。
(1)生活の安定
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
特別児扶養手当支給事業 | 心身に重度又は中度の障害を有する20歳未満の児童を扶養する者に、手当を支給する。 | 県 | 手当の充実を国に要望 | 障害福祉課 |
特別障害者手当等支給事業 | 心身に重度の障害があり常時の介護を必要とする者に、特別障害者手当、障害児福祉手当及び福祉手当(経過措置)を支給する。 | 県 市 |
手当の充実を国に要望 | 障害福祉課 |
心身障害者扶養共済年金支給事業 | 心身障害者を扶養している保護者が死亡又は重度の障害等によって扶養できなくなった場合に、終身年金を支給する。 | 県 | 事業の円滑な実施 | 障害福祉課 |
重度心身障害児者医療費助成事業 | 重度心身障害児(者)に係る医療費の助成事業を実施している市町村に助成し、障害者の医療費の自己負担を軽減する。 | 市町村 | 自己負担分の支給申請手続きの簡素化について検討する。 | 障害福祉課 |
(2)住宅の整備
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
住宅相談事業 |
障害者や高齢者に配慮した住宅の普及を図るため、建築士等による住宅相談を実施する。
|
県 (県身体障害者福祉会に委託) |
事業の充実 | 障害福祉課 住宅課 |
重度身体障害者住宅改造費助成事業 | 重度身体障害者の住宅改造に対して助成する市町村に補助し、身体障害者の住宅環境を整備して自立生活の促進を図る。 | 市町村 | 住宅改造費の負担を軽減するため、助成基準額の引上げや所得制限の緩和について検討する。 | 障害福祉課 |
住宅建設のための資金貸付 |
障害者世帯、高齢者世帯に対し、住宅の増築、改築、補修等に要する経費について、資金の貸付を行う。
|
県 県社会福祉協議会 市町村 住宅金融公庫 他 |
必要戸数の確保と制度の充実について、国に要望する。 | 住宅課 高齢者対策課 障害福祉課 他 |
公営住宅建設事業 | 公営住宅法に基づき、住宅に困窮する障害者や高齢者等に対し、段差の解消等住みやすさに配慮した公営住宅(賃貸)を供給する。 | 県 市町村 |
公営住宅の整備を促進する。 平成3年度~平成7年度
4,900戸整備
|
住宅課 |
車いす利用者対応の公営住宅の建設 | 車いすを利用する障害者や高齢者に対応した公営住宅を供給する。 | 県 市町村 |
障害者や高齢者の需要に応じた整備の促進 | 住宅課 |
身体障害者福祉ホームの設置(新規) | 在宅において日常生活に支障のある身体障害者に対し、自立生活を促進するため共同生活用の福祉ホームの設置について検討する。 | 市町村 | - | 障害福祉課 |
(3)在宅福祉サービスの充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
デイサービス事業 | 障害児(者)や高齢者の自立の促進、身体の機能の維持向上等を図るため、通所により創作的活動や機能訓練等の各種サービスを提供し、障害児(者)や高齢者の自立と社会参加を促進する。 | 市町村 |
|
高齢者対策課 障害福祉課 |
||||
ショートステイ事業 | 在宅障害児(者)の介護を行う者が、社会的理由などにより居宅介護ができない場合に一時的に更生援護施設等に保護する。 | 県 市町村 |
障害者関係施設で実施を推進 | 障害福祉課 | ||||
ホームヘルプサービス事業 | 日常生活に支障がある障害児(者)や高齢者に対し、ホームヘルパーを派遣して各種のサービスを提供する。 | 市町村 |
ホームヘルパーの増員と資質の向上
|
高齢者対策課 障害福祉課 |
||||
民間在宅福祉サービス事業の育成(新規) | 緊急時や夜間、休日における派遣など公的ホームヘルプサービスを補完するため、有償制の会員システムで運営される民間の有料ヘルパー派遣事業の育成について検討する。 | 県 | - | 高齢者対策課 障害福祉課 |
||||
住宅改良ヘルパーの導入(新規) | 高齢者の在宅生活を支援するため、住宅改造についての指導・助言を行う住宅改良ヘルパーを導入する。 | 市町村 | 平成5年度実施予定 | 高齢者対策課 | ||||
入浴サービス事業 | 在宅の重度障害児(者)や寝たきり老人等に対し、訪問又は社会福祉施設を利用した入浴サービスを提供する。 | 市町村 | 入浴回数の増加やサービス実施施設の拡大 | 高齢者対策課 障害福祉課 |
||||
重度障害者地域生活支援事業 | 重度の障害のため日常生活に支障がある身体障害者に対して、身体障害者療護施設等をバックアップ施設とした専任のケアグループを派遣し、自立生活を支援する。 (平成4年度 1か所) | 市町村 |
|
障害福祉課 |
(4)暮らしの支援
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
心身障害者生活寮の整備 | 就労可能な心身障害者で、自宅からの通勤や住込就職が困難な者又は心身障害者小規模授産所等に通所している者について、食事の提供・日常生活指導・金銭管理等を行う職員を配置したケア付き共同住宅を整備する。 心身障害者生活寮 (平成4年度 31か所) |
市町村 社会福祉法人等 |
生活寮(グループホームを含む。)の整備の促進と内容の充実 | 障害福祉課 |
身体障害者福祉センターの整備 |
身体障害者に対する各種の相談
(平成4年度 3か所) |
県 市町村 |
職員の増員・研修の充実強化及びセンターの増設 | 障害福祉課 |
視覚障害者の社会参加の促進 |
視覚障害者の在宅福祉の向上と社会参加を促進するため、点訳奉仕員の養成や生活訓練等の事業を行う。
(平成4年度 73人) 朗読奉仕員 (平成4年度 106人) |
県 (県身体障害者福祉会に委託) |
|
障害福祉課 |
聴覚・音声機能障害者の社会参加の促進 |
聴覚・音声機能障害者の在宅福祉の向上と社会参加を促進するため、手話奉仕員の養成・派遣や音声機能障害者発声訓練等の事業を行う。
(平成4年度 158人) 要約筆記奉仕員 (平成4年度 83人) |
県 (県身体障害者福祉会に委託) |
|
障害福祉課 |
内部障害者の社会参加の促進 |
内部障害者の在宅福祉の向上と社会参加を促進するため、日常生活訓練や移動支援などの事業を行う。
|
県 (県身体障害者福祉会に委託) |
内部障害者のニーズに応じた事業の創設・拡充について検討する。 | 障害福祉課 |
補装具交付事業 | 日常生活を容易にするため、身体障害児(者)に対し、義肢・車いす・補聴器などの補装具を交付又は修理する。 | 県 市町村 |
事業の適正実施 | 障害福祉課 |
日常生活用具給付事業 | 日常生活を容易にするため、浴槽・特殊寝台・点字タイプライターなどの日常生活用具を給付又は貸与する。 | 県 市町村 |
障害者のニーズに応じた給付対象品目の拡大 | 高齢者対策課 障害福祉課 |
福祉機器の開発・普及 |
障害者の日常生活を支援するため、福祉機器の研究・開発を行うとともに、展示場の設置やビデオの作成等により周知・普及を図る。
|
県 市町村 |
|
福祉企画課 高齢者対策課 障害福祉課 |
(5)相談指導の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
身体障害者相談員設置事業 | 身体障害者の更生援護の相談・指導を行い、身体障害者の生活を援護する。 (平成4年度 438人) | 県 (県身体障害者福祉会に委託) |
相談員の増員と資質の向上 | 障害福祉課 |
身体障害者更生相談所 | 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定等の業務を実施するとともに、専門的な知識及び技術を必要とする相談・指導を行う。 | 県 | 地域リハビリテーションの強枢機関として機能強化を図る。 特に、中央身体障害者更生相談所については、体制の整備を図る。 |
障害福祉課 |
精神薄弱者相談員設置事業 | 精神薄弱者の更生援護の相談・指導を行い、精神薄弱者の生活を援護する。 (平成4年度 150人) | 県 (県手をつなぐ親の会に委託) |
相談員の増員と資質の向上 | 障害福祉課 |
精神薄弱者更生相談所 | 精神薄弱者の医学的、心理学的及び職能的判定等の業務を実施するとともに、専門的な知識及び技術を必要とする相談、指導を行う。 | 県 | 更生相談所の機能強化 | 障害福祉課 |
心身障害児(者)地域療育拠点施設事業 | 精神薄弱者関係の福祉施設の専門職員が、精神薄弱児(者)の家庭や職場における養育・生活相談に応じ、必要な指導・助言を行う。 (平成4年度 3か所) | 県 (県社会福祉法人に委託) |
センター活動の充実強化と増設 | 障害福祉課 |
心身障害者相談センター | (2-2-3 参照) | - | - | - |
福祉事務所等における相談指導 | 県・市の福祉事務所及び町村役場において、一般的な相談・指導を行う。 | 県 市町村 |
相談・指導体制の充実及び職員の資質向上 | 障害福祉課 |
高齢者総合相談センター | 高齢者及びその家族等が抱える各種の相談に応じるとともに、市町村の相談体制を支援する。 | 県 ((財)しずおか健康長寿財団に委託) |
相談体制の充実と相談事業の一層の周知 | 高齢者対策課 |
手帳発行の迅速化・適正化(新規) | 民生事務所や福祉事務所等における身体障害者手帳及び療育手帳の発行について、コンピューター等高度情報処理機器を活用することにより、迅速化及び適正化を図ることを検討する。 | 県 市町村 |
- | 障害福祉課 |
(6)権利擁護の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
相談体制の充実 | 精神薄弱者をはじめとする障害者の人権や法律上の権利の行使が確保されるよう、心身障害者総合相談センター等における相談指導体制の充実を図る。 | 県 市町村 |
医療・教育・福祉・雇用などの各分野を統合した相談体制の充実 | 児童課 障害福祉課 他 |
施設入所者の財産の取扱の検討 | 施設入所者の年金等の財産を、障害者本人の福祉の向上のために活用できるように検討する。 | 県 | 年金の取扱制度の見直しについて、国に要望する。 | 障害福祉課 他 |
選挙権行使のため条件整備 | 重度の肢体不自由者や視覚・聴覚の障害者が選挙権を円滑に行使できるよう、点字による選挙公報の発行等その条件整備に努めるとともに、国に対して制度の改善を働きかける。 | 県 市町村 |
制度改正について、国に要望する。 | 市町村課 |
点字による陳情権行使の確保 | 視覚障害者における点字の果たす役割に鑑み、行政や議会における点字による陳情文書の受理について、その普及を図る。 | 県 市町村 |
点字文書、点字試験など国の動向を踏まえて検討する。 | 文書課 市町村課 他 |
2 施設福祉の推進
<現状と課題>
- 社会福祉施設の整備については、精神薄弱者更生援護関係施設を中心に充実・強化され、一定の成果が見られますが、障害の重度化や重複化に対応した弾力的な整備の促進が求められています。
また、重度者の入所待機状況と緊急性を検討し、必要なときに必要な施設が利用できるよう、地域の状況などを考慮しながら計画的に整備を進める必要があります。
さらに、障害者の社会参加と自立を促進するため施設の機能強化を図り、授産施設等通所型の適正な整備に努め、在宅の利用者の拡大を図る必要があります。
今後は、多様な施設を障害者のニーズに即して効果的に整備していくとともに、生活型施設や家庭復帰に向けた各種リハビリテーションを行う施設等の整備を進めることが重要です。 - こうした施設整備及び施設機能の発揮を推進していくためには、整備に対する助成制度の充実や、施設で働く職員の確保・資質の向上が必要ですが、近年における地価の高騰や労働時間の週40時間体制への移行等に伴う職員の確保等様々な課題が生じています。
- さらに、施設入(通)所者の処遇に当たって、自閉的傾向や強度行動障害を有する処遇が難しい人を中心に、自立に向けたより専門的な指導が求められるとともに、入(通)所者の人権にも十分配慮していくことが必要です。
<施策の方向>
- 施設整備の促進
県が策定した中期発展プラン「基本計画」を踏まえ、地域や障害者のニーズに即した体系的、計画的な整備を推進します。 - 処遇の向上
- 施設入所者のプライバシー確保に配慮した施設環境を整備します。
- 施設職員の研修を充実して職員の資質の向上に努めるとともに、処遇困難な重度者の福祉の向上を図るための職員の増員等について検討していきます。
- 社会福祉施設の指導監査を通じ、施設の健全な経営と入所者の処遇向上が図られるように努めます。
- 措置権の移譲に伴い市町村における処遇の格差が生じないように身体障害者更生相談所の機能の充実・強化に努めます。
- 施設機能の強化と地域開放の促進
在宅の障害者へのサービス向上を図るため、施設の持つ専門的機能を充実・強化しながら地域に開放して活用します。
(1)施設整備の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
心身障害児福祉施設の整備 |
心身障害児の福祉の向上を図るための施設を整備する。 (( )は平成4年度末の施設数)
|
県 市町村 社会福祉法人 |
|
障害福祉課 | ||||||||
心身障害者福祉施設の整備 |
心身障害者の福祉の向上を図るための施設を整備する。 (( )は平成4年度末の施設数)
|
県 市町村 社会福祉法人 |
|
障害福祉課 | ||||||||
民間社会福祉施設整備費特別助成事業 | 社会福祉施設の整備における民間活力の導入を図るため、民間社会福祉施設の整備に対し、国・県の法定補助に加え、単独による特別助成を行う。 | 県 | 制度の充実 | 福祉企画課他 | ||||||||
心身障害児通園事業 | 精神薄弱者通園施設及び肢体不自由児通園施設を利用することが困難な地域の心身障害児に、日常生活における基本動作の指導・訓練を行う。 | 市町村 |
|
障害福祉課 | ||||||||
重度障害児(者)生活訓練ホーム事業 | 在宅の重度障害児(者)を通所させ、日常生活訓練を主体とした指導を行い、身辺自立と家庭介護の軽減を図る。 | 社会福祉法人 市町村 |
|
障害福祉課 |
(2)処遇の向上
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
施設環境の充実 |
|
社会福祉施設 |
|
障害福祉課 |
処遇困難者の福祉の向上(新規) | 処置が難しい自閉的傾向や強度行動障害を有する入(通)所者の福祉の向上を図るため、職員の増員や研修の充実等について検討する。 | 県 | - | 障害福祉課 |
職員の資質向上 | 施設職員等の研修を実施することにより、職員の資質の向上を図る。 (6-3-1 参照) |
県 社会福祉法人等 |
|
障害福祉課 |
適切な措置委託 | 個々の障害に援じた措置委託により、適切な訓練・指導等の実現を推進する。 | 県 市町村 |
身体障害者更生相談所及び精神薄弱者更生相談所の機能の充実・強化 | 障害福祉課 |
社会福祉施設入所者等処遇向上事業 | 非常勤職員を増員する経費を助成し、重度障害児者の処遇の向上を図る。 | 県 | 制度の充実 | 障害福祉課 |
社会福祉施設給食指導 | 給食業務の適正な実施を図るため、施設に出向き指導を行う。 | 県 | 栄養士等の専門職員の配置と全施設への指導 | 障害福祉課 |
心身障害児(者)歯科衛生診査事業 | 施設に入所している心身障害児(者)を対象に、施設訪問により歯科疾病の早期発見・早期治療を行う。 | 県 (県歯科医師会に委託) |
診療回数の増加 | 障害福祉課 |
(3)施設機能の強化と地域開放
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
施設機能の強化推進 | 心身障害児者の社会自立の促進を図るため、施設機能の高度化を推進する。 | 社会福祉施設 |
|
障害福祉課 |
施設機能の地域開放 |
地域の人々を対象とした家庭介護の相談・指導などにより、施設の持つ専門機能を地域に還元する。
|
社会福祉施設 | 地域の人々を対象とした介護相談等の実施や、施設と地域との交流を促進する。 | 障害福祉課 |
3 市町村における対策の推進
<現状と課題>
平成2年6月に福祉8法の改正が行われ、身体障害者や高齢者については、住民に最も身近な行政主体である市町村において在宅福祉サービスと施設福祉サービスをきめ細かく一元的に提供していく体制が整備されました。
ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者が住み慣れた地域社会において健常者と同様な生活を送っていくためには、障害者のニーズを踏まえ地域を単位として必要かつ十分な行政サービスを提供していく体制を確立していくことが必要です。
このような意味で、今後は市町村が地域における障害者福祉推進の中核となっていくことが期待されます。
<施策の方向>
市町村における対策の推進
- 障害者のニーズにきめ細かく対応した行政サービスを提供するため、市町村において積極的に障害者対策を推進していきます。
- 県は市町村が十分な役割を発揮できるように、国と連携しながら、財政的な支援や市町村職員の研修・事務指導、情報の提供などに努めていきます。
(1)市町村における対策の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
障害者対策の総合的推進 | 各市町村において、長期計画を策定するなどにより、県との役割分担のもと、地域の実情に応じた障害者対策を総合的に推進する。 | 市町村 | - | 障害福祉課他 |
障害者の明るいくらし支援事業 | 在宅の身体障害者が住み慣れた地域において、自立した生活を送ることができるようにするため、より身近な市町村で実施したほうが効果が上がる事業や先駆的な事業に対し助成を行う。 | 県 市町村 |
事業の充実 | 障害福祉課 |
町村措置事務等支援事業 | 身体障害者や高齢者の施設入所等の措置を円滑に実施するため、職員の研修や事務指導を行う。 | 県 | 事業の充実 | 福祉企画課 |
地域福祉情報システム推進事業 | 地域における住民の福祉ニーズを的確に把握し、効果的な福祉サービスを推進するため、国・県・市町村を結んだ福祉情報提供システムを構築する。 | 県 市町村 |
事業の計画的な実施 | 福祉企画課 |
4 防災対策の充実
<現状と課題>
- 平成2年度に県が実施した「心身障害児(者)対策基礎調査」によると、在宅の障害者のうち半数以上の人が「災害時の避難に介助が必要」との結果が出ました。
災害発生時に保護や配慮が必要と思われる障害者をはじめ、乳幼児、妊婦、寝たきり老人などいわゆる「災害弱者」については、災害時において自力避難が困難であるので特別な対策が必要です。
特に本県においては従来より東海地震という大規模災害の発生が心配されていることから、災害弱者に対する万全の対策を確立することが急務です。
このため県においては、「地域防災計画」においてこうした災害弱者の把握と災害時の対応を図るよう、市町村に対し指導してきているところです。
しかしながら、障害者のプライバシーの問題や民生委員・児童委員との連携不足等から実態把握が不十分であり(地域防災計画に定める要介護台帳の整備率58.6%)、また避難の具体的方法についても十分な対応が図られているとはいえない状況にあります。
このことから、県においては平成3年度から在宅自力避難困難者の避難対策等について検討を進めているところです。 - 社会福祉施設における防災対策については従来より耐震構造の施設整備やスプリンクラーの整備に努めるとともに、災害時に備えた避難訓練等を実施していますが、防災対策は平時における継続した努力、備えが重要であることから、なお一層の対策の推進を図っていく必要があります。
<施策の方向>
- 在宅障害者の安全確保
- 要介護者台帳の整備や要避難地区内の自力避難困難者の分布状況、屋内避難所の整備状況の調査などにより、プライバシーの確保に十分留意しながら、対策を進める上で大前提となる災害弱者の実態の把握に努めていきます。
- 避難マニュアルの作成や日常生活用具の給付の拡大、緊急通報システム・救護体制の整備などにより、在宅の自力避難困難者の安全確保に努めます。
- 障害者を地域ぐるみで救護する自主防災組織の強化や、市町村防災行政無線の設置など、市町村における防災体制を整備していきます。
- 医療救護計画を再検討し、救護所等における医療救護体制の充実に努めていきます。
- 施設入所者の安全確保
- スプリンクラーの整備や耐震性を考慮した施設整備を行い、社会福祉施設における防災対策を進めていきます。
- 地域住民や団体の協力を得ながら、防災訓練の実施や、避難体制の整備に努めていきます。
(1)在宅障害者の安全確保
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
「要介護者台帳」の作成 | 地域の自主防災活動組織において、自力避難が困難な災害弱者に対して避難地まで搬送するため、要介護者台帳を作成する。 | 地域自主防災組織 | 台帳の整備 | 地震対策課 |
避難生活マニュアルの作成(新規) | 災害時における避難生活マニュアル等を作成する。 | 県 | - | 地震対策課 |
日常生活用具給付事業 | ファックスや聴覚障害者ガス漏れ警報器など、災害時において在宅障害者の安全確保のための機器を給付又は貸与する。 | 市町村 | 制度の周知及び給付内容の充実を検討 | 障害福祉課 |
在宅重度身体障害者緊急通報システムの整備(新規) | 在宅の重度身体障害者の安全を確保するため、緊急通報システムの設置について検討する。 | 県 市町村 |
- | 高齢者対策課 障害福祉課 |
医療救護計画の改定(新規) | 被害想定の見直しに合せ、医療救護計画の改定を検討する。 | 県 | - | 医務課 |
(2)施設入所者の安全確保
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
地震防災対策 |
大規模地震特別措置法に基づく指定強化地域であることを踏まえ、地震防災対策を配慮した施設整備・運営を図る。
|
県 市町村 社会福祉法人 |
対策の推進 | 障害福祉課他 |
防火対策 |
施設防火対策を考慮した施設の整備・運営を図る。
|
県 市町村 社会福祉法人 |
対策の推進 | 障害福祉課他 |
防災意識の高揚 |
防災意識の一層の普及・高揚を図る。
|
県 市町村 社会福祉法人 |
対策の推進 | 福祉企画課他 |
6 ひとづくり(人材の確保)
1 専門職員の養成・確保
<現状と課題>
- 障害者や高齢者福祉対策の一層の充実を図るため、社会福祉施設等の整備や、ホームヘルパーなどの在宅福祉サービスの充実など、福祉サービスの供給体制の整備に取り組んでいますが、福祉サービスの内容は介護や指導訓練等の人的サービスがほとんどであることから、これらの施設や事業に従事する職員が十分に確保され、質の高いサービスを提供する必要があります。
このため、県においては福祉サービスの供給体制の整備に併せてこれを支える福祉の人材確保・育成を図るため、平成3年4月に「静岡県社会福祉人材センター」を設置し、福祉人材バンク事業や社会福祉施設職員等研修事業などを実施しています。 - 福祉サービスに対するニーズの増大や多様化傾向に的確に対応した福祉サービス供給体制の整備を進めるためには、福祉の人材確保・養成が一層必要ですが、出生率の低下による若年労働力の減少等により、社会福祉事業従事者の確保は今後一層困難になると見込まれることから、福祉の人材確保・養成が極めて重要な課題となっています。
また、昭和62年5月に社会福祉士及び介護福祉士法が制定されましたが、社会福祉の分野においても、福祉ニーズの多様化等に伴って、専門的知識や技術を有する専門職に対する需要が増加しており、介護福祉士、理学療法士、作業療法士等の養成を進める必要があります。
さらに、人材の確保や提供するサービスの向上を図るためには、社会福祉事業従事者の勤務条件等を改善するなど魅力ある職場づくりが必要となっています。
<施策の方向>
- 人材の確保・養成
- 社会福祉施設等への就労の斡旋、広報・啓発などを行う「福祉人材バンク事業」や施設就労経験者等を対象とした実践的な研修を行う「潜在福祉マンパワー活用講習会事業」などの静岡県社会福祉人材センターの事業を充実することにより、福祉の人材確保・養成に努めます。
- 福祉サービスに対するニーズに的確に対応できるよう、ホームヘルパーや介護福祉士、理学療法士、作業療法士等の専門職員を養成するための施策の充実に努めます。
- 魅力ある職場づくり
職員の負担軽減を図るための設備の導入に加えて、退職手当共済事業や福利厚生事業等、施設職員等の勤務条件を改善するための施策の充実に努めます。
(1)人材の確保・育成
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
静岡県社会福祉人材センター事業 |
|
県 (県社会福祉協議会県社会福祉人材センターに委託) |
市町村等の関係機関・団体との連携を密にしながら、事業の一層の充実に努める。 | 福祉企画課 |
ホームヘルパーの養成 |
|
県 (県社会福祉協議会県社会福祉人材センター等に委託) |
必要なホームヘルパーを配置できるように、養成力の強化に努める。 | 高齢者対策課 |
医療福祉系大学等の整備(新規) | 豊かな人間性と幅広い知識・専門的技術を備えた保健医療・福祉の担い手を育成するため、医療福祉系大学等を創設する。 | 県 | 平成9年度開校を予定。 | 企画調整課大学室 |
専門職員の養成 |
|
県 (補助講習事業は県社会福祉協議会県社会福祉人材センターに委託) |
|
福祉企画課 医務課 |
教職員の養成事業 | 教職員の大学等における内地留学制度と認定講習による各種免許の取得等により、特殊教育に従事する教職員の確保と資質の向上を図る。 | 県 | 事業の充実 | 特殊教育課 |
(2)魅力のある職場づくり
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
社会福祉施設職員の処遇改善 | 社会福祉施設職員の勤務条件等の処遇については、措置費国庫負担金交付基準に定められているほか、職員の処遇を改善するため、次の事業を実施する。 | - |
|
- |
|
県 | 高齢者対策課 障害福祉課 |
||
|
国 県 |
児童課 | ||
|
社会福祉・医療事業団 静岡県社会福祉事業共済会 |
福祉企画課 | ||
|
国 県 |
福祉企画課 | ||
社会福祉施設職員の福利厚生事業(新規) | 国は、社会福祉事業法の規定に基づき、福利厚生センターを設立し、全国一律の福利厚生事業を行う共済制度を設けることとしている。 国の調査検討を踏まえて、制度の創設を検討する。 |
県 | - | 福祉企画課 |
2 ボランティア活動の促進
<現状と課題>
- ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者をはじめ誰もが住みよい地域社会を築いていくためには、住民相互が支え合い助け合っていくことが必要です。
このため、静岡県新総合計画「中期発展プラン」においても、「心ふれあう地域づくり」を進めていくことを重点事項として、ボランティア活動の育成を進めています。 - 社会参加への認識が深まり、社会福祉施設でのボランティアに加え、最近は、町内会や学校ぐるみで社会奉仕活動に取り組むなど、活動者・活動形態も多様となってきており、県内のボランティアは、総数116,226人(平成4年度調査)を数えるまでになりました。
現在、ボランティア活動の育成・指導は、県社会福祉協議会、県ボランティアセンター、市町村社会福祉協議会等が行っていますが、行政においても、ボランティアビューローの整備等活動基盤整備に努め、側面からボランティア活動の支援を進めています。 - 「ボランティア活動は特定の人がするもの」という固定観念を持つ人も多いことや、活動者は主婦、高齢者が主体となっているため、ボランティア活動に対する理解を深めるとともに勤労者を中心に活動者層を拡大する必要があります。
また、ボランティア活動の情報や助言が受けられる地域福祉センターやボランティアビューロー、地域交流室等活動の場を一層充実する必要があります。
<施策の方向>
- ボランティア活動の育成援助
- 身近なところで、誰でも気軽にボランティア活動に取り組めるように、情報の提供や活動への助言、活動基盤づくりなどの支援に努めます。
- 県レベルでは、県社会福祉協議会ボランティアセンターや県ボランティア協会、市町村レベルでは各市町村社会福祉協議会を通じて、ボランティアの育成援助に努めます。
- ボランティア活動拠点の整備
- ボランティアの打ち合わせや活動のための情報を提供するボランティアビューローの整備を図ります。
- 地域福祉センターや地域交流室等の整備と施設機能の利用を促進します。
- ボランティア研修の充実
- 県レベルでは、指導者への研修を充実します。
- 市町村では、誰でも気軽に取り組める研修のメニューを充実します。
(1)ボランティア活動の育成援助
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
広域における育成援助 | ボランティア活動に関する情報提供や活動方向を総合的に調整するとともに、リーダー層の指導を行う。 | - | 誰もが気軽に、身近なところで活動に参加できるように、多様なボランティアグループの育成や市町村段階でのボランティア育成への取組みを支援するため、推進体制を充実するとともに、事業の拡充に努める。 | 福祉企画課 |
|
県社会福祉協議会 | |||
|
県ボランティア協会 | |||
|
ふれあい基金財団 | |||
市町村における育成援助 |
市町村社会福祉協議会が中心となって、障害者や高齢者を支援するボランティアの育成を行う。
|
市町村社会福祉協議会 | 住民相互が支え合う福祉のネットワークづくりを進めることが必要であるため、事業を積極的に支援する。 | 福祉企画課 |
(2)ボランティア活動拠点の整備
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
ふれあい福祉センター整備事業 (ボランティアビューロー整備事業) |
ボランティア活動等民間社会福祉活動の拠点となる「ふれあい福祉センター」やボランティアビューローを整備する。
|
市町村 市町村社会福祉協議会 |
ボランティアビューローを全市町村に設置するとともに、ビューロー機能の充実を図る。 | 福祉企画課 |
地域福祉センター整備事業 | 地域住民の福祉ニーズに応じた各種相談・入浴・給食サービス等の多機能を持つ地域福祉センターを整備する。 (平成4年度 2か所) | 市町村 | 設置箇所の拡大 | 福祉企画課 |
地域交流室整備事業 | 社会福祉施設入所者と地域住民の交流を促進するため、社会福祉施設に地域交流室を整備する。 (平成4年度 21か所) | 社会福祉施設 | ボランティア活動や福祉体験の場でもあるため、地域交流室の整備を積極的に推進する。 | 福祉企画課 |
(3) ボランティア研修の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
広域を対象とする研修 |
県社会福祉協議会ボランティアセンターや県ボランティア協会において、市町村等のボランティア指導者やボランティアリーダーに対する専門研修を実施する。
|
県社会福祉協議会 県ボランティア協会 |
事業の継続・充実 | 福祉企画課 |
市町村域を対象とする研修 |
地域福祉基金等の活用によってボランティア推進のための研究会を各市町村社会福祉協議会が実施する。 (事業例示)
|
市町村社会福祉協議会 | ボランティア参加層を拡大するため、研修メニューの充実を図っていく。 | 福祉企画課 |
3 研修体制の充実
<現状と課題>
- 平成2年6月の老人福祉法等福祉関係八法の改正により、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的、計画的、総合的に供給する地域福祉の体制づくりが求められており、こうした福祉サービスを担う社会福祉従事者等に対する研修体制を充実することが必要となっています。
このため、社会福祉事業従事者をはじめとして、社会福祉行政職員や民生委員・児童委員、各種相談員に対して、専門的、体系的な研修を毎年度計画的に実施しています。
また、これに加えて、障害児教育を質的に充実させるためには、その担い手である職員の資質を高めることが重要となっています。 - この他、家庭における基礎的な介護技術の普及が求められていることから、家庭における介護技術の研修など、一般県民を対象とした在宅介護の基礎知識等についての研修を推進していく必要があります。
<施策の方向>
- 専門職員の研修の充実
- 処遇技術の向上を図るため、社会福祉事業従事者に対する専門的、体系的な研修の実施に努めるほか、市町村社会福祉担当職員に対する研修の充実に努めます。
- その他、民生委員・児童委員、各種相談員、特殊教育専門職員及び医療関係職員に対する研修の充実に努めます。
- 家庭介護者等の介護技術研修
- 施設機能を積極的に活用するなど、在宅介護技術の普及体制の整備に努めます。
- 家庭における介護技術・知識を普及するため、地域での在宅介護技術の研修体制の充実に努めます。
(1) 専門職員の研修の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
社会福祉事業従事者に対する研修 |
社会福祉事業に従事する職員に対して、新任研修や事業に必要な基礎・技術研修などを実施する。
|
県 | 時代や社会の要請に即応した体系的な研修を実施する。 | 福祉企画課 高齢者対策課 障害福祉課 |
社会福祉行政職員研修 | 社会福祉行政職員に対し、社会福祉行政新任担当職員研修等の新任研修や町村社会福祉担当職員研修等の現任研修を実施する。 | 県 | 時代や社会の要請に即応した研修内容の充実を図るほか、社会福祉主事の資格取得を市町村に働き掛けていく。 | 福祉企画課他 |
保健衛生職員研修 | 保健所及び関係機関の精神保健の専門員の教育研修を実施する。 | 県 | 精神保健相談員の資格取得を推進する。 | 保健予防課 |
その他の研修 | 民生委員・児童委員、各種相談員、特殊教育諸学校教職員に対する研修のほか、心身障害児指導者講習会など民間団体の指導者等に対する研修会等に助成する。 | 県 社会福祉関係団体 |
時代や社会の要請に即応した研修内容の充実を図る。 | 福祉企画課他 |
(2) 家庭介護者等の介護技術研修
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
在宅介護者技術研修 | 家庭介護者の介護知識・技術の向上のため介護者研修等を実施する市町村等に対し、研修等に要する経費を助成する。 | 市町村 市町村社会福祉協議会 |
事業の拡大 | 高齢者対策課 |
福祉入門教室 | (6-1-1 参照) | 県 (県社会福祉協議会 県社会福祉センターに委託) |
身近なところで開催できるよう、事業の充実に努める。 | 福祉企画課 |
7 まちづくり(生活環境の整備)
1 まちづくりの総合的推進
<現状と課題>
障害者や高齢者の社会参加の促進を図るためには、障害者や高齢者が安心して快適にまちに出かけていける生活環境の整備が必要です。
平成2年度に県が実施した心身障害者対策基礎調査によると、回答のあった身体障害者の74.2%が、「ほとんど毎日」か「時々」外出しており、外出する際、不便を感じる点として「歩道橋や地下道に階段が多い」「段差が多い」「車に危険を感じる」「階段に手すりが少ない」「歩道に障害物が多い」ことをあげています。
県においては従来から、公共の建築物や道路、公園などの整備を行う場合の技術的指針を作成し、設計を行う建築主や市町村に対して情報の提供を行うとともに、市町村が公共施設を整備する場合に助成を行うなどの施策を講じてきました。
しかしながら、こうしたやり方では限界があり、民間の公共的施設を中心に、まち全体を面的に整備していくというところまでには至っていません。また、公共交通機関の改善をはじめとするまちの中での移動手段の確保といった課題も残されています。
さらに、まちづくりを進めるためには建築物等のハード面の整備とともに、まちの中でハンディを持った方のお手伝いが自然にできるような、健常者の心づくりというソフト面での対応が不可欠です。
<施策の方向>
- まちづくり推進のための基準・規程の制定
平成5年3月の「だれもが住みよい福祉のまちづくり」推進検討委員会の提言に基づき、「環境整備指導要綱」(仮称)等を策定することを検討して、総合的な福祉のまちづくりを推進していきます。 - 福祉の心づくり
福祉読本の作成などにより、まちの中で自然に障害者や高齢者のお手伝いができるような福祉の心づくりに努力していきます。 - 推進体制の整備
「環境整備指導要綱」(仮称)等の制定を機に、住みよい福祉のまちづくりの実現に向けて県民一丸となって協力していく体制を作っていきます。
(1) まちづくり推進のための基準・規程の制定
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
「環境整備指導要綱」(仮称)の制定(新規) | 障害者や高齢者にやさしいまちづくりを推進するため、公共的施設の整備基準等を定めた「環境整備指導要綱」(仮称)を制定し、民間事業者等に対して指導を行うことを検討する。 | 県 | 要綱の実施状況を踏まえ、将来的にはより実効性の高い「まちづくり条例」(仮称)等の制定について検討する。 | 障害福祉課 建築課他 |
(2) 福祉の心づくり
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
福祉読本(まちの中での手伝いの仕方)の作成(新規) | まちの中で困っている人に対して声を掛け援助の手を差し延べるなどの行為が自然にできるように、児童やサラリーマン・主婦などを対象とした福祉読本を作成し、まちづくりについての理解・啓発を進めることを検討する。 | 県 | - | 障害福祉課 |
(3) 推進体制の整備
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
まちづくり推進会議(新規) | 「環境整備指導要綱」(仮称)等の適正実施とまちづくりの総合的、効果的な推進を図るため、県・市町村に、行政及び民間事業者等からなる「まちづくり推進会議」の設置を検討する。 | 県 市町村 |
- | 障害福祉課 建築課他 |
2 生活環境整備の促進
<現状と課題>
- 公共建築物等の整備については、玄関アプローチへのスロープの設置、身障者用トイレの設置等「障害者や高齢者にやさしい街づくりのための施設整備マニュアル」(平成4年3月県民生部において改訂版を作成)に基づき整備されつつありますが、過去において建築された施設をはじめ十分な状況であるとは言えません。
また、民間建築物のうち、不特定多数の人が利用するデパート、スーパーマーケット、銀行をはじめ公共的性格の強い建築物についても同様の整備が望まれます。 - 道路における安全確保については、歩道の段差切下げ、誘導点字ブロックの敷設等の道路の整備及び信号機、標識等の交通安全施設の整備は進みつつありますが、まだ十分ではなく、また、歩道上等での不法放置物による通行の障害についてもしばしば見られます。
<施策の方向>
- 公共的建築物等の改善整備
- 県や市町村等が設置する公共建築物等については、今後とも「障害者や高齢者にやさしい街づくりのための施設整備マニュアル」に基づき整備していきます。
- 民間建築物についても、「環境整備指導要綱」(仮称)を制定し、障害者に利用しやすいものとなるよう指導していきます。
- 道路における安全確保対策の推進
道路における安全確保対策については、今後とも、障害者に安全な施設の整備を進めるとともに、歩道上等での不法放置物による通行の障害の除去に努めていきます。
(1) 公共的建築物等の改善整備
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
公共的建築物の建設・改善 | 県・市町村の行政目的のための公共的施設について、障害者や高齢者に十分配慮した建設・改善を行う。 | 県 市町村 |
計画的な実施 | 営繕課他 |
障害者の住みよいまちづくり推進事業 | 市町村が行う庁舎や公民館等の公共施設の構造設備の改善等に対して助成を行う。 | 県 | 事業の充実 | 障害福祉課 |
「住みよいまちづくり」のモデル整備(新規) | 「住みよいまちづくり」についての理解を広げるため、建設省の「福祉のまちづくりモデル事業」等により、特定の地区についてモデル的な整備を行うことについて検討する。 | 県 市町村 |
- | 都市住宅企画課 市街地整備課 建築課他 |
都市公園整備事業 | 環境を保全し、レクリェーションや憩いの場等、緑豊かな潤いのある都市環境の形成を図る。 | 国 県 市町村 |
都市公園等整備5か年計画に基づき整備 | 大規模公園建設課 |
(2) 道路における安全確保対策の推進
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
歩道等の整備 |
障害者の安全と利便を考慮した歩道等の整備に努める。
|
県 市町村 |
既設の歩道等の段差の切下げを、緊急度の高い箇所から実施していく。 歩道の延長 平成5年度~7年度 173キロメートル |
道路維持課 道路建設課 市街地整備課 |
視障害者用誘導ブロックの設置 | 視覚障害者の通行の安全と利便を図るため、歩道等に誘導ブロックを設置する。 | 県 市町村 |
利用度の高い主要交差点・歩道から設置していく。 | 道路路維持課 |
視覚障害者用信号機の整備 |
視覚障害者の安全確保を図るため、交差点の信号機に音響を発する付加装置を設置する。
|
県 | 交通安全施設等整備5か年計画に基づき整備 | 県警 |
放置自転車対策 |
|
県 市町村 |
|
交通対策課 |
|
県 | - | 道路維持課 |
3 移動対策の推進
<現状と課題>
障害者や高齢者の社会参加を進めるためには、建築物や道路の環境整備とともに、安全でいつでも利用できる交通アクセスの確保など、移動対策の推進を図っていくことが重要です。
障害者の移動の支援については、タクシー・バス・JR等の料金割引をはじめ、ガイドヘルパー派遣事業、盲導犬給付事業などを行ってきていますが、バスやタクシーなどの公共交通機関の改善や鉄道・バスの駅舎の整備等、課題も数多く残されています。
<施策の方向>
移動支援の充実
- リフト付き路線バスの運行等やさしい交通体系の整備とJRの駅舎等交通ターミナルの改善については、JRやバス協会をはじめ民間関係機関に積極的に理解と協力を求めていきます。
- 民間事業者と連携を図りながら、リフト付きタクシーやリフト付きバスの普及を図り、障害者の移動支援対策を推進します。
- ガイドヘルパー派遣事業や盲導犬給付事業など、障害者のニーズに応じた施策を推進していきます。
(1) 移動支援の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
福祉タクシー設置事業 | 通常の交通手段を利用して移動することが困難な電動車いす使用者等のために、リフト付きタクシー運行事業を実施する民間輸送業者に対して、車両購入経費を助成する。 (平成4年度 8台) | 市町村 | 県下全域への設置の促進 | 障害福祉課 |
福祉バス運行事業 | 在宅心身障害者の社会参加を促進するために、中型のリフト付きバスを導入して定期運行する (平成4年度末 1台) | 市町村 | 市町村の要望を踏まえ、事業の促進を図る。 | 障害福祉課 |
民間路線バスの改善(新規) | リフト付き路線バスの普及を促進するため、民間事業者等に働きかけるとともに、車両購入に要する費用の助成について検討する。 | 県 | - | 交通対策課 障害福祉課 |
鉄道・バスの駅舎の改善 | エレベーターやエスカレーター及びスロープの設置など、鉄道やバスの駅舎の整備、改善を行う。 | 民間事業者 | 民間事業者に協力を要請していく。 | 交通対策課 障害福祉課 |
視覚障害者の移動支援 | 視覚障害者の移動を支援するため、ガイドヘルパーを派遣するとともに、盲導犬の給付を行う。 | 県 市町村 |
障害者のニーズに応じ、事業の充実を図る。 | 障害福祉課 |
身体障害者の自動車利用の促進 | 自動車運転免許の取得費用及び自動車の改造費用について助成を行い、身体障害者の自動車利用を支援する。 | 県 (県身体障害者福祉会に委託) |
事業の周知と一層の充実 | 障害福祉課 |
8 余暇の充実(文化、スポーツ、レクリエーション)
1 文化・レクリエーション活動の充実
<現状と課題>
- 労働時間の短縮やライフスタイルの変化に伴い余暇時間が増大する中で、文化やレクリエーション活動の充実が重要な課題となっています。
最近では障害者団体や社会福祉施設などによる展覧会・芸術祭やレクリエーション行事が多数開催され、また国内や国外へ旅行に行く障害者もたくさん見かけるようになりました。
しかしながら、障害者の場合には、心理的あるいは物理的な障害により、内容的にも量的にも文化やレクリエーション活動が十分に行われていない状況にあります。 - 余暇時間の充実は、労働や生活自立への意欲を高めるとともに、障害者の生活に潤いとゆとりを与えるという重要な役割を果たしており、スポーツとともに文化・レクリエーション活動を推進していくことが必要です。
なお、今後は障害の種別や有無にこだわらず、県民誰もが気軽に参加できる全県的な文化・レクリエーション活動が展開されていくことが望まれます。
<施策の方向>
文化・レクリエーション活動の充実
- 障害者団体等による文化・レクリエーション活動に対して、支援を行っていきます。
- 身体障害者福祉センターなど、障害者が文化・レクリエーション活動を行える場の確保・充実を図っていきます。
- 社会福祉施設をはじめ既存の公共的施設の有する機能を活用しながら、身近な地域社会で文化・レクリエーション活動の機会を増やしていきます。
(1)文化・レクリエーション活動の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
---|---|---|---|---|
障害者団体による活動への支援 |
|
県 障害者団体 |
障害者のニーズにあった事業の展開 | 障害福祉課 |
公共的施設の機能の開放 | 社会福祉団体や公共機関等が有する体育館・プール・会議室などの施設を日常的に障害者が利用できるよう便宜を供与する。 | 県 市町村 社会福祉法人 |
事業の推進 | 障害福祉課 |
文化関連施設における障害者への配慮(新規) | 文化・レクリエーション施設において、「手で見る美術館」など障害者の利用に配慮した施設の整備や演劇・音楽を楽しむ機会を確保するための方策などについて検討を行う。 | 県 市町村 |
- | 生活文化課 障害福祉課 |
2 スポーツの振興
<現状と課題>
スポーツ活動は障害者にとって、余暇活動であるとともに、体力の向上と機能回復訓練を図りながら、社会参加を行うという大きな意義を有しています。
県では、障害者スポーツ大会の開催をはじめ、スポーツ教室、スポーツ指導員の養成、全国スポーツ大会への選手の派遣などを行っていますが、さらに多くの障害者が地域の身近なところで数多くスポーツを楽しめるよう、環境の整備が必要です。
また、平成15年には、静岡県で全国身体障害者スポーツ大会の開催が予定されていることから、その開催に向けての体制づくりが必要となっています。
<施策の方向>
- スポーツ活動の充実
各種スポーツ大会の開催やスポーツ指導員の増員などにより、障害者のスポーツ活動の充実を図ります。 - スポーツ施設の整備
身体障害者福祉センターをはじめ障害者がスポーツ活動を行うための施設の整備を進めます。 - 全国身体障害者スポーツ大会開催への取り組み
平成15年の全国身体障害者スポーツ大会の開催(予定)に向け、関係市町村、関係団体と連携を図りながら、施設の整備やボランティアの育成等の準備を進めていきます。
(1)スポーツ活動の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
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スポーツの普及 |
各種スポーツ教室を開催し、基本的なスポーツ指導を行い、障害者の参加を促進する。
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県 (県身体障害者福祉会に委託) |
事業の充実 | 障害福祉課 |
スポーツ大会の開催 |
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県 県身体障害者福祉会 県精神薄弱者愛護協会 他 |
事業の充実 | 障害福祉課 |
スポーツ指導員の育成 |
スポーツ指導員の育成を図る。
(平成3年度 71名) |
県 県身体障害者福祉会 |
専任のスポーツ指導員の養成 | 障害福祉課 |
スポーツ振興の体制の整備(新規) | 平成5年度に「障害者スポーツ振興検討委員会」を設置して、スポーツ指導員の育成、新競技の普及、各種スポーツ大会の開催などを行う「障害者スポーツ協会」(仮称)の設置など、障害者のスポーツ振興を図るための体制の準備について、検討を行う。 | 県 | - | 障害福祉課 |
(2)スポーツ施設の整備
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
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身体障害者福祉センターの整備 |
社会との交流促進及びスポーツ
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県 市町村 |
スポーツ器材の更新・拡充を図る。 | 障害福祉課 |
専用施設の整備 |
障害者の利用に配慮したスポーツ施設の整備・充実を行い、スポーツへの参加機会の拡大を図る。
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県 市町村 |
小笠山大規模スポーツ公園整備事業などにおいて、障害者も十分利用できるよう配慮する。 | 障害福祉課 公園緑地室 他 |
障害者保養所の整備 | 「北狩野荘」など障害者が利用しやすい保養施設を整備・充実する。 | 県 | 保養施設の確保とサービスの充実 | 障害福祉課他 |
(3)全国身体障害者スポーツ大会開催への取り組み
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
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全国大会開催の準備(新規) | 平成15年(2003年)の第58回国民体育大会と同時に開催が予定される全国身体障害者スポーツ大会に向け、関係市町村や関係団体と連携を図りながら、選手の強化、関連施設の整備及びボランティアの育成等の準備を進める。 | 県 市町村 |
- | 障害福祉課 他 |
3 情報提供の充実
<現状と課題>
- 今日の情報社会にあって、障害者が住み慣れた地域社会の中で積極的に社会参加していくには情報の確保が不可欠ですが、障害の種類や程度によっては、通常の媒体や方法による情報利用に大きな制約があります。
特に、視覚障害者や聴覚障害者にとって情報の確保が重要な課題であり、手話や点字等によるコミュニケーション手段の充実とともに、快適で安全な生活を送るための情報提供の充実が求められています。 - 視覚障害者については、点字図書館の運営を中心として点訳・朗読奉仕員の養成・派遣により情報の提供を行っていますが、パソコン等によるハイテク機器による高度の情報利用やサービスの提供も必要となっています。
また、聴覚障害者については手話・要約筆記奉仕員の養成・派遣を一層推進するとともに、最近におけるテレビでの文字放送の普及等を踏まえた情報提供の充実を図っていく必要があります。 - さらに従来軽視されがちだった精神薄弱者に対する情報提供についても、基本的人権の保障という観点から、公民権行使に関わる情報や、災害・医療等生命に関わる情報については最低限保障されていく必要があります。
<施策の方向>
情報提供の充実
- 視覚障害者や聴覚障害者のニーズを踏まえ、点訳・朗読・要約筆記及び手話の各奉仕員の養成やハイテク機器を利用した情報の迅速かつ豊富な提供に努めます。
- 情報提供の中核的施設として、点字図書館の機能の充実を図るとともに、聴覚障害者に対する情報提供施設の設置について検討します。
- 聴覚障害者の情報の確保を図るため、テレビ放送機関に対して文字放送や手話通訳付きの放送の充実を働きかけていきます。
- 精神薄弱者に対する情報の提供については、今後十分配慮していきながら進めて行きます。
(1) 情報提供の充実
事業名 | 事業内容 | 事業主体 | 計画目標 | 所管課 |
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視覚障害者に対する情報提供 | 視覚障害者に対する情報の提供を充実するための施策を実施する。 | - | - | 障害福祉課 |
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県 (県身体障害者福祉会に委託) |
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市町村 | 点字出版物の充実 | ||
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県 | 内容の充実 | ||
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県 | - | ||
聴覚障害者に対する情報提供 | 聴覚障害者に対する情報の提供を充実するための施策を実施する。 | - | - | 障害福祉課 |
1 字幕入りライブラリー事業 字幕や手話入りビデオを作成し、貸出しを行う。 |
県 (県身体障害者福祉会に委託) |
事業の充実 | ||
2 聴覚障害者に対する情報提供施設設置の検討(新規) 字幕や手話入りビデオカセットの制作及び貸出し、手話通訳者の派遣、情報機器の管理などを行うため、「聴覚障害者情報提供施設」を設置することについて検討する。 | 県 | - |
主題:
ふじのくに障害者プラン No.3 55頁~104頁
発行者:
静岡県民生部障害福祉課
発行年月日:
平成5年5月
文献に関する問い合わせ先:
〒420 静岡市追手町9-6
TEL 054-221-2367