音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

京都府障害者基本計画

「ひとりだち~京都から~」21プラン

ノーマライゼーションの社会をめざしてNo.4

平成8年3月

京都府

3 障害者関係施設の数及び定員

平成8年1月1日現在

- 京都府(京都市除く) 京都市 合計
カ所 定員 カ所 定員 カ所 定員
身体障害者 更生 入所 2 115 3 90 5 205
通所部門 1 32 3 40 4 72
授産 入所 3 150 2 80 5 230
通所 3 70 5 115 8 185
通所部門 2 25 1 15 3 40
療護 入所 3 180 1 50 4 230
入所 8 445 6 220 14 665
通所 6 127 9 170 15 297
精神薄弱者 更生 入所 15 1,180 2 110 17 1,290
通所 1 30 1 55 2 85
授産 入所 5 215 0 0 5 215
通所 19 675 11 446 30 1,121
入所 20 1,395 2 110 22 1,505
通所 20 705 12 501 32 1,206
精神障害者 精神障害者援護療(入所) 1 20 0 0 1 20
認可施設計 55 2,692 29 1,001 84 3,693
共同作業所 心身障害 22 265 25 433 47 698
精神障害 4(13) 203 10 222 14(13) 425
26(13) 468 35 655 61(13) 1,123
総計 93 3,160 64 1,656 158 4,816

※1 更生と授産、通所と入所等の併設の場合、カ所数は各々に計上した。
2 共同作業所の定員欄は、現員を計上した。
3 心身障害者との混合型の共同作業所のカ所数は、( )内に計上した(外書き)。
4 以下の施設を除く

  • 身体障害者福祉工場 1カ所〔京都市1〕
  • 精神薄弱者福祉工場 1カ所〔京都市1〕
  • 精神薄弱者通勤寮 3カ所〔府(京都市除く、以下同じ)1・京都市2〕
  • 精神薄弱者グループホーム 19カ所〔府14・京都市5〕
  • 精神障害者グループホーム 2カ所〔府1・京都市1〕
  • 心身障害者地域生活ホーム 3カ所〔府3〕
  • 重症心身障害者通所援護事業施設 11カ所〔府11〕

4 障害児教育の状況

1 盲・聾・養護学校幼児・児童生徒数(平成7年5月1日学校基本調査より)

(単位 人)

学校名 幼稚部 小学部 中学部 高等部 訪問教育
国立 京都教育大学附属養護学校 - 18 25 34 - 77
府立 盲学校 - 8 7 58 - 73
(舞鶴分校) 1 2 - - - 3
聾学校 34 18 21 36 - 109
(舞鶴分校) 6 11 - - - 17
桃山養護学校 - 40 24 95 - 159
向日が丘養護学校 - 56 45 67 (1) 168
城陽養護学校 - 8 12 57 - 77
南山城養護学校 - 58 40 61 (1) 159
丹波養護学校 - 47 28 59 (1) 134
(亀岡分校) - 2 - - - 2
中丹養護学校 - 53 32 43 (3) 128
舞鶴養護学校 - 21 16 - - 37
(北吸分校) - 26 10 - - 36
与謝の海養護学校 - 64 53 104 (2) 221
市立 呉竹養護学校 - 73 41 51 (7) 165
桃陽養護学校 - 38 34 - (20) 72
鳴滝養護学校 - 7 15 12 - 34
東養護学校 - 40 39 81 - 160
西養護学校 - 55 44 84 - 183
白河養護学校 - - - 156 - 156
私立 聖マリア養護学校 - 53 16 - - 69
合計 41 698 502 998 (35) 2,239

( )内は内数

2 障害児学級児童生徒数

(単位:学級 人)

障害種別 小・中別 小学校 中学校 合計
学級数・児童生徒数 学級数 児童数 学級数 生徒数 学級数 児童生徒数
精神薄弱 (京都市) 149 535 94 433 243 968
(60) (248) (35) (173) (95) (421)
209 783 129 606 338 1,389
病虚弱 (京都市) 1 1 - - 1 1
- - - - - -
1 1 - - 1 1
聴覚障害 (京都市) 4 8 - - 4 8
(8) (24) (3) (19) (11) (43)
12 32 3 19 15 51
言語障害 (京都市) 28 146 - - 28 146
(10) (24) - - (10) (24)
38 170 - - 38 170
情緒障害 (京都市) 22 70 13 37 35 107
(25) (78) (9) (30) (34) (108)
47 148 22 67 69 215
合計 307 1,134 154 692 461 1,826

3 京都府立盲・聾・養護学校高等部(本科)

卒業生の進路状況の推移 (毎年5.1現在)

年 進路区分/盲聾養別 2 3 4 5 6 7
進学者 (就職進学者を含む) 大学学部 - - - - - - - - - 1 - - - - - - - -
短期大学本科 - - - - - - 1 1 - - - - 1 - - 1 1 -
大学・短期大学の別科 - - - - - - - - - - - - - - - - - -
高等部専攻科 7 - - 3 - - 9 - - 3 3 - 5 - - 1 - -
その他 - - - - - - - - - - - - - - - - - -
教育訓練機関入学者 (就職して入学した者を含む) 専修学校 - - - - - - - - - 1 - - - 2 - - - 1
各種学校 - - - - - - - - - - - - - - - - - -
公共職業訓練施設等 - - 6 - - 2 - - 7 - 2 14 1 - 17 1 3 9
就職者 - 13 61 1 10 89 2 16 85 - 11 73 - 7 65 - 9 66
福祉施設医療機関入所者 - - 29 2 2 114 3 - 78 2 - 72 2 2 71 2 1 57
無業者 9 1 56 1 - 27 1 - 30 - - 21 1 2 32 - - 32
死亡・不詳 - - - - - - - - - - - - - - - - - -
合計 16 14 152 7 12 232 16 17 200 7 16 180 10 13 185 5 14 165

※ 無業者には共同作業所入所者も含む。

5 障害者雇用の状況

(1) 障害者の雇用状況

- 全国 京都府
企業数 実雇用率(%) 未達成企業の割合(%) 企業数 実雇用率(%) 未達成企業の割合(%)
平成7年 54,537 1.45 49.4 1,100 1.52 49.6
平成6年 54,414 1.44 49.6 1,080 1.48 50.6
平成5年 53,689 1.41 48.6 1,062 1.48 49.2
平成4年 52,884 1.36 48.1 1,053 1.41 49.2
平成3年 50,784 1.32 48.2 999 1.39 49.2

(2) 産業別実雇用率

(%)

- 全国 京都府
平成5年 平成6年 平成7年 平成5年 平成6年 平成7年
農業・林業・漁業 1.46 1.54 1.46 0.96 - -
鉱業 1.84 1.74 1.73 - - -
建設業 1.23 1.25 1.26 0.78 1.23 1.60
製造業 1.67 1.70 1.71 1.63 1.62 1.63
電気・ガス・水道業 1.46 1.51 1.57 3.37 - -
運輸・通信業 1.50 1.53 1.55 2.25 2.49 2.56
卸・小売・飲食店業 0.93 0.95 0.98 0.90 0.85 0.85
金融・保険・不動産業 1.18 1.22 1.26 1.08 1.25 1.23
サービス業 1.44 1.48 1.48 1.72 1.65 1.77
合計 1.41 1.44 1.45 1.48 1.48 1.52

(3) 企業規模別の実雇用率

(%)

- 全国 京都府
平成5年 平成6年 平成7年 平成5年 平成6年 平成7年
63~99人 2.11 2.07 1.99 1.68 1.37 1.41
100~299人 1.52 1.50 1.48 1.59 1.52 1.58
300~499人 1.32 1.33 1.36 1.57 1.73 1.81
500~999人 1.28 1.30 1.34 1.48 1.51 1.51
1,000人以上 1.30 1.36 1.41 1.33 1.39 1.42
合計 1.41 1.44 1.45 1.48 1.48 1.52

(4) 産業別・規模別障害者雇用状況

- 企業数(うち未達成) 雇用率未達成企業の割合(%) 算定基礎常用労働者数 障害者数 実雇用率(前年値)(%)
[1]重度障害者 [2]重度障害者以外 [3]短時間重度障害者 合計([1]×2+[2]+[3])
産業別 農業・林業・漁業 0(-) - - - - - - -(-)
鉱業 0(-) - - - - - - -(-)
建設業 10(4) 40.0 1,249 2 16 0 20(1) 1.60(1.23)
製造業 423(174) 41.1 140,418 588 1,117 2 2,295(105) 1.63(1.62)
電気・ガス・水道業 0(-) - - - - - - -(-)
運輸・通信業 55(14) 25.5 14,842 68 243 1 380(76) 2.56(2.49)
卸・小売・飲食店業 306(211) 69.0 59,001 118 262 3 501(29) 0.85(0.85)
金融・保険・不動産業 31(20) 64.5 18,595 62 105 0 229(28) 1.23(1.25)
サービス業 275(123) 44.7 50,485 208 479 1 896(68) 1.77(1.65)
合計 1,100(546) 49.6 284,590 1,046 2,222 7 4,321(307) 1.52(1.48)
規模別 63~99人 348(187) 53.7 27,096 78 224 1 381(29) 1.41(1.37)
100~299人 550(258) 46.9 82,604 274 758 3 1,309(51) 1.58(1.52)
300~499人 95(42) 44.2 30,707 129 298 0 556(35) 1.81(1.73)
500~999人 62(31) 50.0 35,485 128 278 1 535(43) 1.51(1.51)
1,000人以上 45(28) 62.2 108,698 437 664 2 1,540(149) 1.42(1.39)

(注)

  1.  算定基礎常用労働者数とは常用労働者総数から除外率相当数を除いた法定雇用身体障害者数の算定の基礎となる労働者数である。(障害者の雇用の促進等に関する法律第14条第1項による)
  2.  重度障害者については法律上、1人を2人に相当するものとしており、ダブルカウントを行っている。(障害者の雇用の促進等に関する法律第11条第2項による)
  3.  ( )内は、平成6年6月2日から平成7年6月1日までの1年間に雇入れられ、平成7年6月1日現在在職している者で内数である。

(5) 特殊法人における障害者雇用状況(実雇用率)

(%)

- 全国 京都府
平成7年 1.95 2.44
平成6年 1.96 2.60

【その他資料】

1 京都府地方障害者施策推進協議会委員名簿

(平成8年2月1日現在〕

氏名 職名
井上 収 京都府精神障害者家族会連合会長
今井 民雄 京都府市長会副会長
岡本 民夫 同志社大学教授
岡本 田鶴子 京都ボランティア協会運営委員会副委員長
奥村 安夫 京都府社会福祉施設協議会長
桂 藪毘詁 京都府立高等学校校長会障害児教育諸学校部会長
蟹江 廣吉  (社)京都府肢体障害者協会長
加納 正雄 京都難病団体連絡協議会事務局長
木野村 峯一 京都市民生局福祉部長
久津間 保治 京都新聞論説委員
高木 徳子 京都女子大学助教授
竹内 康 NHK京都放送局長
谷 義夫 京都府市町村社会福祉協議会連合会長
谷口 幾夫 (社)京都府視覚障害者協会長
富永 順子 (社)京都精神薄弱者育成会理事
中嶋 照夫 京都府立医科大学教授
長橋 栄一 日本自立生活センター代表
西 祥太郎 (社)京都府医師会副会長
野中 一二三 京都府町村会長
長谷川 庸泰 (社)京都府障害者雇用促進協会事務局長
蜂須賀 弘久 神戸女子短期大学学長
増井 榮 (社)京都府看護協会長
吉田 正雄 (社)京都府聴覚障害者協会長
吉松 時義 オムロン京都太陽(株)取締役部長
渡辺 登志子 京都心身障害児(者)親の会協議会専門委員

2 障害者基本法に基づく障害者
基本計画の策定に係る提言
(21世紀の障害者福祉を考える懇談会)

平成7年2月27日
京都府知事 荒巻 禎一様
21世紀の障害者福祉を考える懇談会
座長 蜂須賀 弘久

障害者基本法に基づく障害者基本計画の策定に係る提言について

京都府におかれては、障害者の「完全参加と平等」という昭和56年の国際障害者年の理念を受けて昭和57年に策定された「京都府国際障害者年長期事業計画」等に基づき、各種障害者施策の総合的な推進に努められた結果、府民の障害者に対する理解もより深まり、また、障害者自身の自立的な社会参加活動も活発になるなど、その施策は着実な成果をみせています。
しかしながら、障害者が基本的人権を有する一人の人間として安心して豊かな生活を送り、自らの能力を十分に発揮できる社会を実現するためには、なお解決すべき残された課題や新たな課題も少なくありません。
こうした中で、平成5年11月に成立した障害者基本法は「リハビリテーション」と「ノーマライゼーション」の理念に基づき、自治体に「障害者のための施策に関する基本的な計画」を策定し、障害者施策の一層の推進を図るよう求めているところであります。
本懇談会は、京都府がその障害者基本計画を策定されるに当たり、その参考に資するべく、関係団体からの意見や京都府が実施された心身障害児・者実態調査の結果等を踏まえ、その「基本的な考え方」の他、8分野にわたり特に留意すべき事項について検討を行い、その結果を重点的・骨子的な「提言」としてまとめましたので、ここに提出いたします。
本懇談会は既に平成6年1月に福祉のまちづくり条例に係る提言を行ったところでありますが、京都府におかれては、策定される障害者基本計画に今回の「提言」の趣旨を生かされるよう希望するものであります。

1 計画策定に当たっての基本的な考え方

京都府におかれては、昭和57年の「京都府国際障害者年長期事業計画」に6つの主要課題(1 啓発活動の推進、2 地域福祉の推進、3 保健・療育等の充実、4 障害児・者教育の推進、5 雇用・就労の推進、6 重度障害者の処遇対策の充実)を掲げ、市町村との連携の下、各種施策を積極的に推進され、その成果をあげられているところである。
しかしながら、障害者の社会への「完全参加と平等」という目標の達成のためには、今後さらに、障害者がライフステージのすべての段階において全人間的復権を目指す「リハビリテーション」の理念と、障害者の障害がない人と同等に生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害者施策の一層の充実が図られる必要がある。
今回策定される新しい計画はその礎となるべきものでなければならない。
計画の内容は、身体障害者、精神薄弱者に加え、障害者基本法に明確に位置付けされた精神障害者を対象とする総合的なものであるべきである。(なお、「障害者」には、てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって長期にわたり生活上の支障があるもの(以下「難病者等」という。)も含まれるものである。)
計画の期間は、10年間の長期を見通したもの(中間年で見直し)が望ましい。

◆特に留意すべき事項

  1. 障害者は特別な存在ではなく、基本的人権を有する一人の人間であることを計画の基調とすること。
  2. 障害者自身の主体性・自立性が発揮され、各種の社会活動に障害者が障害のない人と平等に参加できる社会づくりを目指したものであること。
  3. 障害の重度化・重複化の進展と障害者及び介護者の高齢化の進行という近時の特徴を踏まえたものであること。
  4. 身体障害者・精神薄弱者に加え、特に精神障害者に係る施策の取組みに配慮したものであること。

2 各分野別施策の基本的方向

障害者に関する施策は多岐にわたり、しかもそれぞれが密接に関連しているものであるが、計画の性格上、次の8つの主要分野別に施策の目標をまとめた。

(1)理解と交流の促進

障害者を含むすべての人にとって住みやすい社会づくりを進めるためには、行政機関が行う障害者施策と併せて、社会の構成員であるすべての人が障害者について、正しく理解し認識を持つことが不可欠である。
すなわち、それは障害者は社会の中で特別な存在ではなく、障害のない人と同じ社会の構成員であり、基本的人権を有する一人の人間であるということである。府民の障害者への理解はかなり進んだとはいえ、府の実態調査結果においても「社会の障害者への理解関心」に係る施策要望がなお上位を占めていることに明らかなように、今日の社会においても、なお第一義的な大きなテーマである。

したがって、啓発広報や交流活動など、より実のあるものとするため、学校や社会生活等あらゆる場所で、機会あるごとに積極的にしかも地道に根気よく取り組んでいく工夫が求められている。

◆特に留意すべき事項

  1. マス・メディアを活用した日常的な啓発活動や障害者を企画スタッフに含めた「障害者の日」「障害者雇用促進月間」などの行事の機会を利用した効果的な啓発・普及運動の推進を図ること。
  2. 小・中学校等の学校や家庭における体験学習などの福祉教育や養護学校との交流教育を充実させること。
  3. 地域住民を対象とした福祉教育の場の充実を図るとともに、福祉事務所や保健所等の福祉・保健サービス実施機関との連携による啓発広報を推進すること。
  4. 障害者が気楽に地域の行事に参加できる環境を一層整備し、逆に地域住民が障害者施設の行事に参加するなど、両者の交流・ふれあいの場の充実を進めること。
  5. 障害のない人が各種のボランティア活動に積極的に参加できる方策とともに、障害者自身がいろいろな形で社会貢献のできる方策を確立すること。
  6. 障害者も障害のない人も日々の日常生活の中で互いに声を掛け合い、助け合う親しみ運動のような取組みを広げること。
  7. 障害者に係る呼称問題について検討を行うこと。

(2)障害児・者教育の推進

障害児・者の教育については、その可能性を最大限に伸ばし、将来社会的に自立して生活していくことができる基礎を習得させることを目的として、障害児・者一人ひとりの障害の種類・程度や能力・適性等に応じた適切な教育が行われる必要がある。
このためには、障害が発見された後、できる限り早い時期から、福祉・保健医療等の各分野との連携を図りながら、就学前や学校教育の場において一貫した治療と教育が行われる必要がある。
特に、学校教育においては、養護学校教育の義務制が実施されてから15年が経過し、多くの重度障害児に就学の機会が保障され、教育施策は大きく進展しているところであるが、今後は障害者のニーズや障害の多様化に対応した教育内容・指導方法の一層の充実を図るとともに、「ノーマライゼーション」の理念の実現に向けて、早い時期からの障害のない児童生徒との交流教育などの充実をきめ細かく進めることが大切である。
もちろん、これらの教育施策を推進するための教員の資質向上及び指導者育成のための研修事業等の充実も引き続き進められるべきである。

◆特に留意すべき事項

  1. 就学前教育の施策の充実を図ること。
  2. 盲・聾・養護学校、障害児学級、普通学級といったそれぞれの教育形態に応じ、その教育内容・方法の一層の工夫をするとともに、併せて「ノーマライゼーション」の理念を尊重し、交流教育の促進を図ること。
  3. 後期中等教育の条件整備とその職業教育の充実を図るとともに、雇用促進のための条件整備を図ること。
  4. 障害の内容に応じた教育内容の充実を図ること。
  5. 学校卒業後の学習機会の確保のための条件整備を進めること。
  6. 教員の資質向上のための研修を充実すること。

(3)福祉サービスの充実

近時、障害者が自分の住み慣れた地域の中で、安心して快適な生活を送りたいとのニーズが強まっており、また、ノーマライゼーションの理念の実現という観点から、今後は「施設福祉」サービスの充実とともに、「在宅福祉」サービスの充実が一層図られる必要がある。
このため、障害者の特性や生活ニーズに対応した介護・処遇施策、家族や介助者に対する施策等を充実させることが必要である。
こうした福祉サービスは、特に障害者自らがそのサービスを選択、決定できるよう幅のある施策が展開されるのが望ましい。
一方、障害者の高齢化が一層進行することが予想されることから、高齢障害者のための施策の展開にも力が注がれるべきである。
さらに、地域の中で安心して生活していくための支援や自立と社会参加を促進するための補装具・日常生活用具などの福祉機器の給付等のニーズに応える施策も推進されねばならない。

◆特に留意すべき事項

  1. 地域・家庭・行政が連携して、介護を要する重度障害者に対するホームヘルプサービス事業、家族の介護負担を軽減するショートステイ事業、自立と社会参加を促進するためのデイ・サービス事業等の在宅福祉サービス、さらにガイドヘルパー事業やコミュニケーション確保のための事業の充実を図ること。 また、高齢障害者については、高齢者施策と連携した施策の充実を図ること。
  2. 障害者の地域生活を支援するグループホーム事業など生活支援事業の充実を図ること。
  3. 地域的なバランスを考慮した、特に重度障害者や高齢障害者のための入所・通所の施設の整備とともに、施設の持つ専門的機能を地域へ開放するなど社会還元を促進すること。
  4. 在宅福祉・施設福祉サービスを支える専門従事者・ボランティア等の養成を促進すること。
  5. 重度障害者が地域の中で自立生活をしていくための、地域の助け合いも含めた支援施策や介護者の休息のための施策などの充実を図ること。
  6. 補装具や日常生活用具の開発・普及・啓発を一層推進すること。
  7. 社会の複雑化に伴い、障害者の権利を擁護する施策を進めること。

(4)生活環境の整備

近年、障害者にとって住みやすいまちづくりが進み、生活環境はかなり整備されてきた。
こうした建築物、道路、交通機関等に存在する物理的障壁を改善し、障害者が安心して快適に生活でき、自らの意思で自由に移動でき、社会に参加し続けることのできる環境を整備することは、ノーマライゼーションの理念の実現のために重要なことである。
今後さらに、「京都府福祉のまちづくり条例」を中核として府・市町村及び事業者が府民の協力のもと、一体となって福祉のまちづくりを推進していかねばならない。すなわち、施設や交通機関などの整備とともに、相互理解と日常的交流のできる地域社会づくりというハード・ソフト両面からの生活環境を整えて行く必要がある。
また、地震や台風などの災害時における障害者に対するきめ細かな対応策が講じられなければならない。
さらに、高度情報化社会にあって障害者が生活に必要な情報を的確かつ十分に収集し、コミュニケーションを確保できるような対応を進めるべきである。

◆特に留意すべき事項

  1. 「京都府福祉のまちづくり条例」に基づく福祉のまちづくりの実現に向けての施策の総合的な推進を図ること。特に障害者が公共的な建築物、道路、公共交通機関などを安心して利用できるように整備の促進を図ること。
  2. バリアフリー住宅(障害者や高齢者の生活や活動に際して不便な障壁(段差等)を取り除いた住宅)の啓発普及及び改造や公営住宅入居など所要の援助策の充実を図ること。
  3. 事故や犯罪から障害者を守るための緊急時の通報システムの整備や地域での避難誘導体制の確立を図ること。
  4. 地震や台風などの災害発生時における障害者の安全対策・緊急救援体制について検討を深め、対応策を講じること。
  5. 障害者が日常生活に必要な各種情報を容易に収集・交換できるようなコミュニケーションシステムの確保を図ること。

(5)保健・療育等の充実

保健・医療施策は、障害者の自立生活と社会参加を促進するため、広範囲に実施されてきたところである。
今後においても、まず、障害の種別に応じた発生予防施策、早期発見・早期療育施策の充実が求められる。障害者が社会的に自立し、生活していくことのできる環境を作り上げるための医療・リハビリテーション体制の確立に引き続き努めて行く必要がある。
その際、障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化が進行している中で、保健・医療・福祉・労働などの各分野の施策が十分に連携を取りながら推進される体制づくりが重要となる。
この保健・療育の充実に当たっては、専門的知識・技術を有する各種専門従事者の養成・確保を計画的に行うことが不可欠である。

◆特に留意すべき事項

  1. 障害の発生予防、早期発見・療育のため、乳幼児に対する健康診査、妊産婦と成人に対する健康教育と健康診査等それぞれのライフステージに応じた各種健康・保健施策を一層充実させること。
  2. 医療・リハビリテーション体制の充実に努めること。
  3. 二次障害発生予防の研究、検診等の充実を図ること。
  4. 施設入所者・在宅障害者の看護・介護のための支援策を推進すること。
  5. 障害者やその家族を対象とした各種保健・医療相談機能を充実させること。
  6. 理学療法士・作業療法士等の各種専門従事者の養成・確保を図ること。

(6)雇用・就労の促進

 今日、障害者が自立と参加を目指し、社会に貢献するための働く場を確保することは切実な問題となっている。特に府の実態調査結果においては精神薄弱者の就労要望が強く出されている。こうした障害者の雇用については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく施策により全体として前進しているところであるが、なお、重度障害者の雇用をはじめ克服すべき課題がある。
今後も重度障害者・精神薄弱者の雇用対策に重点をおいて、障害者が可能な限り一般企業に就職できるよう、事業主の理解と協力を得ながら、障害の個別性に応じた雇用施策を一層充実させるとともに、とりわけ雇用後の定着を図るためのフォローを強化していく必要がある。さらには、障害者の職業的自立を促進するための職業能力の開発をはじめとする職業リハビリテーションの整備充実に努めるべきである。
一方、一般企業への就職が困難な障害者については、授産施設・共同作業所等におけるいわゆる福祉的就労のできる施設の充実が一層求められるところである。

◆特に留意すべき事項

  1. 事業主に対する障害者の雇用促進助成制度の周知に引き続き努めるとともに、障害者の法定雇用率未達成企業に対する指導を強化すること。
  2. 障害者の雇用環境を整備するための施策を充実させること。
  3. 障害者の就労後にフォローのできる体制をより充実させるとともに、雇用・就労についての相談体制の充実を図ること。
  4. 障害者の就労機会や職域の拡大にむけた職業能力開発・職業紹介をはじめ、地域レベルでの職業リハビリテーションの充実と職業訓練等の専門的職員の養成・確保を図ること。
  5. 一般企業への就職が困難な障害者に対する就労の場を確保するため、授産施設・共同作業所等の福祉的就労の機会の拡充を図ること。
  6. 特に、近く発足する授産振興センター(仮称)の活用を図り、授産施設や共同作業所における作業技術充実を図ること。
  7. 障害者雇用に係る学校・事業所・施設・行政庁間の連携体制を強めること。

(7)スポーツ、文化・芸術、レクリエーション活動の振興

スポーツ、文化・芸術及びレクリエーション活動への障害者の参加機会を確保することは、障害者の自立を促進させるとともに、障害者に対する社会の理解を進めるための啓発広報の活動としての意味も大きい。
まず、障害者スポーツについては、特に、昭和63年の京都府における第24回全国身体障害者スポーツ大会の開催を契機として、府民の関心も高まり、一層活発化してきている。現在行われている競技スポーツの強化を図ることと併せて、これからは、日常生活の中で障害者が常にスポーツに親しむことができるような施策の充実や指導員の養成に力を入れるべきである。
また、障害者の文化・芸術活動については、従前必ずしも体系的・継続的に取り組まれておらず、今後開拓されるべき重要な分野である。特に、京都は文化・芸術の宝庫でもあり、府内全域にわたり障害者の文化・芸術活動の振興に取り組んでいくべきである。
さらに、障害者やその介護者の元気発揚の場あるいは地域の人々とのふれあいの場としてのレクリエーション活動の活性化を図ることも大切である。

◆特に留意すべき事項

  1. 地域における障害者スポーツ、文化・芸術、レクリエーション活動を振興させるための施策の充実と指導者等の人材の養成に努めること。
  2. 障害者と障害のない人がスポーツ、文化・芸術、レクリエーション活動を通じて交流ができるような条件整備を進めるとともに、特に重度障害者と高齢障害者の参加機会の拡大を図ること。
  3. 施設・在宅における障害者の文化・芸術活動を支援するための体制と方策づくりに取り組み、特に、京都の文化・芸術風土を生かしたものにすること。
  4. 余暇時代の到来に合わせ、障害者や介護者に多様なレクリエーション機会の参加を促進すること。

(8)推進体制の整備

今回策定される新計画に掲げられる施策の着実な実行に努めるとともに、社会経済環境の変化等に伴う計画の見直し作業を行うことが必要である。
また、これからの障害者施策の推進において、市町村の果たす役割は大であり、そのためにも、必要な範囲において市町村における障害者計画の策定に対する支援を行うことが求められる。
さらに、障害者施策の推進には、これまで述べてきたように、各分野の専門従事者や地域でのボランティアといったマン・パワーの養成が不可欠であり、そのための体制づくりが進められなければならない。

〈最後に〉

本懇談会がその制定を提言した「京都府福祉のまちづくり条例」は障害者や高齢者をはじめすべての人が安心して快適に暮らし、自由な移動と社会参加を行うことのできる環境の整備を目指していることは、実に意義深いことである。
本懇談会としては、今後策定される障害者基本計画において、福祉のまちづくり条例の精神が諸施策に生かされることを願うものである。

21世紀の障害者福祉を考える懇談会委員名簿

区分 氏名 職名
地方社会福祉審議会委員 池本 正夫 京都府市長会会長
岡本 田鶴子 京都ボランティア協会運営委員会副運営委員長
蟹江 廣吉 京都府身体障害者団体連合会副会長
川崎 隆 京都府老人クラブ連合会長
久津間 保治 京都新聞論説委員
栗田 澄子 京都府連合婦人会副会長
阪口 桂子 (社)京都府看護協会会長
武田 勝弘 NHK京都放送局長
西 祥太郎 (社)京都府医師会副会長
野中 一二三 京都府町村会長
◎蜂須賀 弘久 神戸女子短期大学学長
地方社会福祉審議会臨時委員 宇野 宏 京都商工会議所専務理事
江崎 美子 元京都府婦人交通指導員
岡本 民夫 同志社大学教授
小川 秀明 (社)京都青年会議所理事長
薦田 守弘 京都市助役
佐佐木 綱 近畿大学理工学部教授
長橋 栄一 車いすと仲間の会代表
本郷 大田子 (社)京都デザイン協会理事長(ヒューマンデザインコンペ審査員)
槙村 久子 奈良文化女子短期大学教授
望月 秀祐 (社)京都府建築士会会長
山本 九二男 京都地方個人タクシー団体協議会長
吉田 吉郎 京都府交通安全協会事務局次長
吉松 時義 オムロン京都太陽(株)取締役部長

(注)1 地方社会福祉審議会の専門分科会として位置付け。
2 あいうえお順に記載。
3 懇談会委員数24名(審議会委員11名、女性5名)
◎印は座長

障害者施策の基礎用語について

○ ノーマライゼーション (normalization)
 デンマークのバンク・ミケルセンが精神薄弱者の処遇に関して唱え、北欧から世界へ広まった障害者福祉の最も重要な理念。 障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるという考え。
○ リハビリテーション (rehabilitation)
 障害者の身体的、精神的、社会的な適応能力回復のための技術的訓練プログラムにとどまらず、障害者のライフステージのすべての段階において、社会経済的に普通の生活を営むことのできる状態を保障することが可能となるように援助する、障害者の自立と参加を目指す障害者施策の理念。
○ 完全参加と平等
 ノーマライゼーションの理念を踏まえた「国際障害者年」(1981年)の目標テーマ。障害者がそれぞれの住んでいる社会において、社会生活と社会の発展に完全に参加できるようにすると同時に、社会の他の市民と同じ生活条件の獲得と社会的、経済的発展によって生み出された成果の平等な配分を実現することを意味する。
○ ライフステージ
 幼児期、児童期、青年期、成年期、老年期など、人生の様々な過程における生活史上の各段階のこと。
○ デイサービス事業
 在宅の障害者が通所して文化的活動、機能訓練等を行うことにより、その自立を図るとともに、生きがいを高める事業。
○ ショートステイ事業
 障害者を介護する保護者が疾病等により、介護が困難となった場合に、施設において障害者を緊急に一時保護し、家族の介護負担の軽減を図る事業。
○ レスパイトサービス事業
 在宅の心身障害児・者を介護する親・家族が日ごろの心身の疲れを回復し、ほっと一息つけるように援助する事業。緊急避難的な視点があるショートステイに比べて、身近にあって気軽に利用できること、障害者にとって普段と変わらない生活の場が確保され、親・家族も納得のいくサービスを提供することを理念としている。
○ グループホーム
 地域社会の中にある住居において、数人の障害者が共同で生活する形態で、同居のあるいは近隣に居住する世話人により、食事の世話や生活面における相談・指導など日常的生活支援が行われ、障害者の自立生活を促進するもの。
○ 精神科デイケア事業
 回復途上にある精神障害者が、通所により楽しみながら様々なプログラムに参加するとともに、生活技能訓練などの治療訓練を行うことにより、リズムのある規則正しい生活の確立、対人関係の改善、体力・作業能力の向上などを図り、社会復帰・社会参加を促進する事業。
○ 理学療法士(PT)・作業療法土(OT)
 国家資格を得て、障害者を速やかに家庭・社会生活に復帰させるためのリハビリテーションを実施する専門家。
理学療法士(Phisical Therapist)は、基本的動作能力の回復を図るため、治療体操、電気刺激、マッサージ、温熱その他の療法を行い、作業療法士(Occupational Therapist)は、応用的動作能力又は社会適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業療法を行う。

主題:

-京都府障害者基本計画-
「ひとりだち~京都から~」21プラン
ノーマライゼーションの社会をめざして
No.4
参考資料 14頁~34頁

発行年月:

平成8年3月

文献に関する問い合わせ先:

京都府
〒620-70 京都市上京区下立売通新町西入
TEL 075-451-8111(代表)