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京都府障害者基本計画

「ひとりだち~京都から~」21プラン

ノーマライゼーションの社会をめざしてNo.1

平成8年3月

京都府

項目 内容
立案時期 平成8年3月
計画期間 平成7年度~平成16年(10か年)

ごあいさつ

 京都府におきましては、昭和57年に「京都府国際障害者年長期事業計画」を策定し、国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」を目指し、積極的に障害者施策を進めてまいりました。その結果、重度障害者施策の充実や障害者施設の整備、障害者スポーツの振興など、各分野において大きな成果を示すことができたと考えております。
 しかし、この間、社会生活環境の変化、障害の重度化・重複化の一層の進行や、障害者の高齢化の進展など、障害者を巡る状況やニーズも大きく変わり、今後新たに取り組むべき課題も少なくないと認識しております。
 一方、国においても、「障害者基本法」や「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の施行、「障害者対策に関する新長期計画」とその重点実施計画としての「障害者プラン」の策定など、障害者施策の新たな展開が図られようとしています。
 こうした状況に対応するため、京都府におきましては、「国連・障害者の10年」の最終年を契機に、21世紀の京都府の新たな障害者福祉施策のあり方について幅広く御意見をいただくため、「21世紀の障害者福祉を考える懇談会」を設置し、福祉のまちづくりの推進や在宅重度障害者施策などについて、基本的な方向付けをしていただきました。さらに、総合的、計画的な障害者施策の推進を図るため、各界各層の有識者はもとより、幅広い障害者関係団体の代表等からなる「京都府地方障害者施策推進協議会」の御意見をお聴きし、この度、障害者基本法に基づく「京都府障害者基本計画」を策定いたしました。
 この計画の基本理念は、ノーマライゼーションの実現を目指すことであり、障害者の「自立」と「社会参加」の一層の促進を図ることを中心課題としているところであります。とりわけ、今回の計画の主な特色としましては、1.誰もが住みやすいまちづくりを目指した「京都府福祉のまちづくり条例」に基づく施策の展開、2.精神障害者の福祉施策の推進、3.京都の伝統を生かした芸術の振興などがあげられます。
 この計画は「ひとりだち~京都から~」21プランと名付けました。地域社会や行政等が一体となって障害者の自立を支援し、障害者自身も意欲をもって取り組むという進取の精神とともに、21世紀を見据え、「京都から始める・京都から始まる」との気概を示す意を込めたものであります。
 今後、京都府といたしましては、国、市町村、関係団体等と連携を図りながら、この計画を総合的に推進してまいりたいと存じますので、府民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 最後になりましたが、この計画策定に当たりまして、熱心に御審議を賜りました「21世紀の障害者福祉を考える懇談会」や「京都府地方障害者施策推進協議会」の委員の皆様をはじめ、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
平成8年3月
京都府知事   荒巻禎一

目次

第1章 計画の基本的な考え方

1 計画の趣旨
2 計画の性格
3 計画の基本理念
4 計画の期間
5 計画の推進体制
※「京都府障害者基本計画」策定に至る経過について

第2章 各分野別施策展開の基本方向

第3章 施策の体系

第1章
計画の基本的な考え方

1 計画の趣旨

  1.  京都府においては、障害者の「完全参加と平等」の実現という昭和56年の国際障害者年の目標に向けて、昭和57年に「京都府国際障害者年長期事業計画」(以下「前事業計画」という。)を策定し、計画に沿って障害者施策の推進を図ってきました。
     その結果、障害者に関する理解もより深まり、また障害者施設の整備も進み、就労やスポーツなど障害者自身の自立的な社会参加活動も活発になるなど、その施策は着実な成果を示しています。

  2.  しかしながら、この間、生活の多様化や医療水準の向上など社会生活環境は大きく変化しています。また、少子・高齢社会の到来を見据えた的確な対応が求められています。
     こうした中で、京都府域においても、障害者の社会参加・社会貢献への意欲はますます高まる一方で、障害者とその介護者の高齢化が進み、また障害の程度もより重度化し、重複化も顕著になっています。

  3.  他方、国においては、平成5年3月に「障害者対策に関する新長期計画」(以下「新長期計画」という。)が策定され、同年12月には、身体障害者、精神薄弱者に加え、精神障害者を明確に「障害者」と位置付け、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図る「障害者基本法」が公布・施行され、その中で都道府県においても障害者基本計画を策定するよううたわれています。また、この基本法を受け、従前の身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法に加え、新たに平成7年7月からは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下「精神保健福祉法」という。)が施行され、ここに障害者福祉に関する3つの個別法も整いました。更に平成7年12月には、新長期計画の重点施策の実施計画としての「障害者プラン」(ノーマライゼーション7か年戦略)が策定されました。

  4.  この計画は、こうした社会経済環境の変化や国の動向、更には平成5年度に京都府が実施した心身障害児・者実態調査(以下「実態調査」という。)の結果を踏まえ、前事業計画を見直して、今後10年間にわたる障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図る基本的指針として新たに策定するものです。その内容は、平成7年2月の「21世紀の障害者福祉を考える懇談会」からの知事への提言「障害者基本法に基づく障害者基本計画の策定に係る提言について」を受け、また京都府地方障害者施策推進協議会の意見を踏まえ、8分野にわたり今後の障害者施策の基本方向と具体的取組を示しています。

2 計画の性格

  1.  この計画は、障害者基本法第7条の2に基づく京都府の「障害者計画」、即ち京都府における障害者のための施策に関する基本的な計画として位置付けます。

  2.  この計画は、障害者基本法第2条に定義される障害者即ち身体障害者、精神薄弱者、精神障害者を対象とする総合的なものです。また、てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって、長期にわたり生活上の支障があるものも対象として含まれるものです。

  3.  この計画は、「第4次京都府総合開発計画」(以下「4府総」という。)やその他の関連計画との整合性を図りながら、21世紀を見据えた長期的展望の下に、今後の障害者施策を進めて行く基本方向を示したものです。

3 計画の基本理念

  1.  この計画は、障害者がライフステージのすべての段階において、障害のない人と同等に生活し、社会、経済、文化等各分野にわたって平等に参加、活動することができる社会の実現を図るため、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念に基づき、障害者の「完全参加と平等」を目指すものです。

  2.  この理念と目標の下に、障害者施策を教育、福祉、保健・医療、生活環境、雇用など、社会のあらゆる分野において総合的に推進します。特に障害者の生活環境の質の向上に努め、地域で安心して暮らせる条件の整備を図って、4府総が21世紀の京都府社会として展望している、“豊かさを実感できる生活”“「ひと」を大切にする温かい地域社会”の実現を目指します。
     また、基本的人権を持つ一人の人間として、障害者自身が主体性、自立性を確保し、社会経済活動へ積極的に参加するとともに、その能力が十分発揮できるような施策の推進に努めます。

4 計画の期間

 平成7年度から平成16年度までの10か年とします。なお、将来における社会経済情勢の変動に対処するため、中間年に見直しを行うこととします。

5 計画の推進体制

  1.  この計画の推進に当たっては、京都府が主体となりますが、府民の協力を得て、国、京都府、市町村及び民間がそれぞれの役割の下に連携を図り、一体となって対応する必要があります。このため、国に対しては、新長期計画と障害者プラン等に基づく必要な行財政上の措置と支援を要請するとともに、特に住民に最も身近な自治体である市町村については、その果たす役割が大きく、適切な支援に努める必要があります。また、障害者の福祉施設の整備など民間関係者の役割も大切であり、その有機的な連携を図っていく必要があります。

  2.  この計画に掲げた方針や施策については、国の障害者プランの実施方針も踏まえつつ、「京都府障害者施策推進本部」を軸として全庁的に総合的な取組を行います。

  3.  計画の実施に当たっては、「京都府地方障害者施策推進協議会」の意見を聴きながら進捗状況の把握と点検を行い、計画的な推進を図ることとします。

  4.  この計画において具体化していない事項であっても、その必要性に応じ今後の施策を推進する中で十分に配慮することとします。

「京都府障害者基本計画」策定に至る経過について

京都府
昭56 国際障害者年
昭57.3
「障害者対策に関する長期計画」策定 昭57.5


昭57.6
「京都府国際障害者年長期事業計画」策定

「京都府障害者対策推進本部」設置
[平6.7に「京都府障害者施策推進本部」に名称変更]
昭62.6 「『障害者対策に関する長期計画』後期重点施策」の策定
平元.1 「京都府国際障害者年長期事業計画」の今後の重点施策について
-京都府社会福祉審議会提言-
平4.8 「京都府国際障害者年長期事業計画」10年のまとめ
平5.3


平5.12
「障害者対策に関する新長期計画」策定

「障害者基本法」公布・施行
平5.1 「21世紀の障害者福祉を考える懇談会」設置
平6.4


平6.9
精神保健法の一部改正施行


「障害者保健福祉施策推進本部」設置(厚生省)
平6.2


平6.7
福祉のまちづくりの推進に関する提言(21世紀障害者福祉懇談会)

「京都府地方障害者施策推進協議会条例」公布・施行
平7.7


平7.12
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」施行

「障害者プラン」策定
平7.2



平7.3
障害者基本法に基づく障害者基本計画の策定に係る提言(21世紀障害者福祉懇談会)

「京都府地方障害者施策推進協議会」設置
平8.3 「京都府障害者基本計画」策定

第2章
各分野別施策展開の基本方向

 障害者に関する施策はその内容や効果が多岐にわたり、しかもそれぞれが密接に関連している場合が多いのですが、計画の性質上、8つの主要分野別に施策の内容と目標をまとめています。

個別の施策については、継続・充実を図るべき既存施策のほか、今後10年間に実施が検討されるべきと考えられる新たな取組についても方向を示しています。([新規]の表示)

1 理解と交流の促進

  1.  4府総が21世紀の京都府社会の展望のひとつとして打ち出している“「ひと」を大切にする温かい地域社会”、それは障害者に即して言えば、ノーマライゼーションの理念が行き届いた、障害者を含むすべての人にとって住みやすい社会であるといえます。

  2.  そうした社会づくりを進めるためには、障害者施策の推進と合わせて、社会の構成員であるすべての人が、障害と障害者について正しく理解し認識を持つことが不可欠です。 つまり、障害者は社会の中で特別な存在ではなく、障害のない人と対等な社会の構成員であるということです。

  3.  昭和56年の国際障害者年以降、障害者への理解はかなり進んだといえます。しかし、平成5年の実態調査結果においても、「社会の障害者への理解関心」の推進を図る施策への要望がなお上位を占めていることに明らかなように、今日においても、「啓発」はなお第一義的に大きなテーマであることに変わりありません。特に精神障害者については誤解や偏見がなお根強くあり、精神保健福祉法においても地域住民に対する正しい知識の普及・啓発の促進を図るよう、うたわれているところです。

  4.  このため、今後市町村や障害者関係団体の主体的活動と連携しながら、啓発活動や交流活動などを工夫して、より実りあるものとする必要があり、学校や社会生活等あらゆる地域や場所において、機会あるごとに、積極的に、しかも地道に、根気よく取り組んでいくこととします。

  5.  障害者に係る個別の施策、例えば福祉のまちづくりの推進や障害者スポーツの振興を図ることなどは、それ自体、障害者への理解を促進する効果を持つものであることから、こうした視点に注意してその実施に当たることとします。

[施策の方向]

  1.  広報・啓発活動の推進
  2.  地域・家庭・学校・職場における福祉教育の推進
  3.  交流・ふれあいの場の充実
  4.  ボランティア活動の推進
  5.  国際交流の促進

1 広報・啓発活動の推進

1 マスメディアや行事の機会を利用した広報・啓発活動の充実

 障害者に関する理解と認識を深めるために、マスメディアを活用した日常的な広報・啓発活動や「障害者の日」(12月9日)などの行事の機会を利用した効果的な広報・啓発活動の推進を図ります。特に、これらの活動に当たっては、障害者を企画スタッフとするなど、その意見の反映に努めます。

施策 内容・目標
マスメディアによる広報・啓発  新聞、テレビ、ラジオなど報道機関に対して効果的な情報提供を行います。
京都府製作の広報紙・テレビ・ラジオ番組による広報・啓発  京都府が製作する広報紙・テレビ・ラジオ番組を広報・啓発の趣旨に応じた工夫をしながら積極的に活用します。
「障害者の日」(12月9日)などを中心とした広報・啓発  「障害者の日」など「週間」「月間」を契機に、市町村、関係団体と協力して、冊子・授産製品等啓発物の配布、市街パレードなどの街頭活動や記念集会など、それぞれの行事の趣旨に応じた広報・啓発を行います。
 *「障害者週間」(12月3日~12月9日)
 *「人権週間」(12月4日~12月10日)
 *「精神保健普及運動」(10月下旬1週間)
 *「障害者雇用促進月間」(9月1日~9月30日)
 「障害者の日」啓発ポスター及び体験作文コンクールの実施  「障害者の日」や障害者福祉の啓発を題材としたポスターや体験作文を府民から募集し、表彰を行うとともに、最優秀作品を「障害者の日」啓発ポスターとして活用、優秀作品を公共的場所に展示するなど、障害者福祉の理解促進に役立てます。
身体障害者福祉大会の開催  福祉大会を開催し、身体障害者の福祉について周知普及を図るとともに、自立と社会参加の促進を目指した交流を進め、また自立更生者と援護功労者の知事表彰を行うなど、身体障害者の活動の充実を図ります。
精神薄弱者創作活動発表会等の開催
[新規]
 関係団体と協力し、精神薄弱者の創作活動等の発表や精神薄弱者の福祉について周知普及を図る場を設け、精神薄弱者に関する理解の促進に努めます。
精神障害者「地域交流のつどい」等の開催
[新規]
 精神障害者や家族、地域住民等が一体となって参加する地域交流のつどいなどを開催し、精神障害者の社会復帰や自立と社会参加に対する地域住民の関心と理解を深めることに努めます。
障害者スポーツ大会の開催や障害者文化芸術活動への支援等  障害者のスポーツ大会や芸術祭の開催等を通じ、効果的な啓発に努めます。

2 市町村、各種団体による啓発活動の推進

 市町村や身体障害者・精神薄弱者・精神障害者に係る関係団体が、それぞれの地域や団体の状況を踏まえて行う啓発活動を支援します。

施策 内容・目標
身体障害者社会参加促進センターによる啓発活動の推進  「障害者の明るいくらし促進事業」の一環として障害者福祉推進員を配置している京都府身体障害者社会参加促進センターを中心に、啓発・普及活動を推進します。
市町村が実施する啓発事業への支援  「ふるさとの障害者福祉推進事業」の一環として、市町村が実施する障害者福祉に関する啓発事業に助成を行います。
障害者関係団体の啓発活動への支援  「こころの健康づくり大会」など障害者関係団体が行うシンポジウム、集会、講演会、機関誌発行など、福祉・保健・医療・教育・地域関係者等をはじめ広く府民が障害者への理解を深め、支援の輪を広げるような啓発活動に対して支援します。

3 福祉のまちづくりの普及・啓発の推進

 平成7年10月1日から施行の「京都府福祉のまちづくり条例」や「建築基準法施行条例」に基づき、障害者をはじめ、すべての人々が安心して快適に暮らし、自由に移動し、社会参加できるまちづくりを進める中で、広く府民や事業者への普及・啓発を行います。

施策 内容・目標
福祉のまちづくり普及・啓発事業の推進
[新規]
 「京都府福祉のまちづくり条例」の啓発を積極的に行い、障害者への理解を深めます。
盲導犬に対する啓発の促進  視覚障害者の社会参加を支える重要な役目を果たす盲導犬について啓発に努め、交通機関やレストラン、ホテルなど各施設等における受入れ等の促進を図ります。

2 地域・家庭・学校・職場における福祉教育の推進

1 地域・家庭における福祉教育の推進

 社会一般の理解を深めるため、地域・家庭の身近な暮らしの中に、福祉教育の場の充実を図ります。

施策 内容・目標
身近な場での学習機会の充実  障害者施設や福祉事務所、保健所等の福祉・保健サービス実施機関との連携により、地域や家庭を対象として、塾や生涯学習講座のように気軽に身近で障害者福祉を学べる場づくりを進めます。

2 学校・職場における福祉教育・研修の推進

 小・中学校などの学校において障害者に対する理解を深める教育を推進するとともに、自治体をはじめ各職場における福祉教育・研修の機会の充実を図ります。

施策 内容・目標
理解啓発のための冊子の発行  心身障害児に対する理解と認識を深めるための啓発冊子「京都府の障害児教育」-たくましく成長する子どもたち-を発行します。
教育活動への位置付けによる理解の促進  児童生徒の発達段階や特性等を十分考慮して、障害者に関する正しい理解と認識を深めるための教育を推進します。
 なお、府立高等学校では、普通科に福祉コースなどを導入し、福祉の心を持った人間の育成を推進します。
手話研修の実施  手話に関する基礎知識・技法を修得する研修会等を実施し、聴覚障害者に関する認識を深めます。
啓発映画の貸出し  障害者に対する理解と認識を深めるため、啓発用映画フィルム・ビデオを学校や職場等に貸出しを行います。
勤労者を対象とした研修等の実施  勤労者を対象とした公開講座などにより、福祉ボランティア活動等についての教育・研修の機会の充実に努めます。

3 交流・ふれあいの場の充実

1 交流・ふれあいの場づくりの推進

 市町村や各種団体、障害者施設と協力し、障害者と障害のない人が交流する場づくりを各地域の特性にも配慮しながら進めていきます。特に、日常生活の中で互いに気軽に声を掛け合い、助け合う親しみ運動のような取組を広げて行くことも大切です。

施策 内容・目標
障害者ふれあい広場「スポーツ・レクリエーションフェスティバル」の開催  障害者をはじめ多くの府民が参加し、ともに楽しむ「スポーツ・レクリエーションフェスティバル」を開催し、障害者スポーツの充実を図るとともに、障害者に関する理解と認識を深めます。
障害者施設の「社会化」の促進  障害者施設の機能を地域社会に開放し、住民との交流、ふれあいを深め、その理解の促進を図ります。
地域交流等への参加支援  障害者が地域の行事や集会等に参加しやすくするため、手話通訳者の配置や文書の点字化の促進など条件や環境の整備に努めます。

2 交流教育の推進

 障害者に関する理解の促進のためには早期からの啓発が重要であり、小・中学校等の学校教育において、盲・聾・養護学校等との継続的な交流教育の充実を図ります。

施策 内容・目標
交流教育の推進  盲・聾・養護学校の幼児・児童・生徒と小・中学校、高校の児童・生徒との交流を深めるため、教育課程に位置付けて交流教育の推進を図ります。
(例)小・中学校…文化的行事や教育的行事
   高校…府立高校展、養護学校高等部スポーツ交流会等

4 ボランティア活動の推進

1 ボランティア活動の推進及びネットワーク化

 障害のない人が障害者を支援する各種のボランティア活動に積極的に参加できる方策とともに、障害者自身がいろいろな形で社会貢献できる方策の確立に努めます。

施策 内容・目標
ボランティア振興総合対策事業の推進
  • 福祉ボランティアの町づくり事業
  • ボランティアセンター活動事業
  • ボランティアコーディネーター設置事業
  • 福祉ボランティア体験事業
  • ボランティアルーム整備助成事業等
 地域における自主的なボランティア活動を支えていくための拠点整備、ボランティア登録・情報提供等による活動調整、学童・生徒ボランティア活動の普及、福祉ボランティア活動参加への環境整備など、障害者を支援するボランティア活動を推進するための幅広い取組を進めていきます。
手話奉仕員等の養成事業の促進  視覚・聴覚障害者の活動を支える人材の確保を図るため、点訳・朗読・手話・要約筆記奉仕員の養成講座や講習会を開催し、奉仕員の養成と資質向上に努めます。
地域福祉基金の活用  地域における福祉及び保健に関する事業の推進を図るため設立した基金を活用し、ボランティアリーダー養成などボランティア活動の活性化を支援します。
ボランティアバンク、京都ボランティアバンク基金の活用  ボランティアバンクへの登録促進、京都ボランティアバンク基金を活用したボランティア活動への活動助成・ボランティア保険助成など、ボランティアグループの活動等に対して支援します。
ボランティア休暇・休職制度など、企業等の行うボランティア活動への支援 ボランティア休暇・休職制度など、社員が地域社会の一員としてボランティア活動を行うことを積極的に援助する企業等に対して、ボランティアに関する情報提供、相談などの支援を行います。
生涯学習ボランティア活動総合推進事業の充実  青少年から高齢者に至る幅広い層の人々が、学習活動の成果を地域社会の諸活動の中で生かすことができる環境の整備を図るため、総合的なボランティア活動を推進します。
高校生ボランティア活動推進事業の充実  高校生の地域におけるボランティア活動を社会教育施設、団体等と連携して推進し、高校生を中心とした地域における生涯学習ボランティア活動の振興を図ります。

2 ボランティア活動支援体制の確立

 地域住民等が気軽にかつ積極的にボランティア活動に参加できるように支援していきます。

施策 内容・目標
京都府立総合社会福祉会館の総合的活用
[新規]
 民間社会福祉活動の振興拠点として多様な機能を備えた「京都府立総合社会福祉会館」を活用し、ボランティアセンターを中心にボランティアのネットワーク化を図るなど、広くボランティア活動の支援を進めます。
障害者福祉活動従事者保険制度の運用  身体障害者・精神薄弱者相談員及び登録奉仕員の福祉活動中の不測の事故に対応するため、ボランティア保険等に加入し、相談員等が安心して積極的に活動に取り組むことができる条件整備を進めます。

5 国際交流の促進

京都の特性を生かした幅広い国際交流の推進

 世界に誇る京都の歴史と伝統を生かし、障害者同士の、あるいは障害のない人との国際交流を進め、特に、アジアやヨーロッパ、アメリカなどの国々と障害者の文化・芸術、スポーツなどの分野での交流を推進します。

施策 内容・目標
国際的な交流活動の推進  諸外国の実情視察や障害者が主体となる世界会議、国際大会への参加などを通じて交流や親善を図る幅広い取組を進めます。
国際的な文化芸術活動・スポーツ大会への参加  障害者が日ごろ接することの少ない諸外国の文化、芸術作品・作家・知識人と身近にふれることができる機会を創出するなど、国際的な文化芸術活動の支援を進めるとともに、国際スポーツ大会への参加などスポーツを通じた障害者の国際交流と親善を推進します。

2 障害児・者教育の推進

  1.  昭和54年の養護学校義務制実施により、すべての障害児に教育の機会が保障されてきましたが、その後の社会の変化と障害の重度化・重複化等多様化に伴い、今後は、障害のある幼児、児童及び生徒の社会参加と自立を一層促進するため、一人ひとりの障害の種類・程度や能力・適性及び発達段階などに応じたきめの細かい教育を推進する必要があります。

  2.  このため、障害のある幼児、児童及び生徒が種々の困難を克服するために必要な教育環境を整備するとともに、特に社会参加と自立を促進する職業教育の充実を図ることが大切です。

  3.  また、障害の早期発見、早期対応の観点から、教育・福祉・保健・医療の各分野が連携を図りながら、就学前や学校教育の場において、教育相談の充実をはじめ一貫した取組が行われる必要があります。

  4.  さらに、「ノーマライゼーション」の理念の実現に向けて、障害のある幼児、児童及び生徒に対する理解を深める教育を進めるとともに、交流教育を進めることが大切です。

  5.  これらの施策を推進するためには、教職員の資質向上が不可欠であり、研修の一層の充実が必要となります。

  6.  また、障害者施策の推進と合わせ、障害者を対象とした学習機会の拡充を図るとともに、障害者と障害のない人がともに参加し、障害についての理解を一層深めるための学習機会の充実も重要です。

[施策の方向]

  1.  早期対応の充実
  2.  障害の重度化・重複化等多様化に対応した教育の充実
  3.  社会教育の充実

1 早期対応の充実

1 相談体制の充実

 障害種別や程度に応じた適正な就学を図るため、適正就学指導委員会の活動を推進し、教育相談の充実を図ります。
 また、関係機関との連携の中で、適切な教育相談の体制を整えます。

施策 内容・目標
適正就学の推進  障害児の適正な就学を図るため、京都府適正就学指導委員会において巡回教育相談や啓発活動を推進します。
教育相談の充実  京都府総合教育センター及び盲・聾・養護学校における教育相談の充実を図ります。

2 早期教育の充実

 福祉・保健・医療の各分野との連携を図りながら、就学前教育の支援充実を図ります。

施策 内容・目標
障害児保育助成事業の推進  障害児の保育を促し、健全な発達を促進するため、障害児の保育に対して助成します。
私立幼稚園心身障害園児対策事業の推進  心身に障害のある園児のため、教育上特別な配慮を必要とする私立幼稚園に対して助成します。

2 障害の重度化・重複化等多様化に対応した教育の充実

1 義務教育段階における教育の充実

 盲・聾・養護学校、障害児学級等では、専門的な教育機関として障害児一人ひとりの障害の状態、発達段階及び特性などに応じた教育を十分に行うために、教育内容の充実や指導方法の工夫を一層進めます。

施策 内容・目標
盲・聾・養護学校教育の充実  児童生徒一人ひとりの障害の状態等に応じた教育内容の充実に努めます。
訪問教育の充実  身体的理由等により、養護学校への通学が困難な学齢児童生徒を訪問して教育指導の充実を図ります。
障害児学級の充実  障害の状態、発達段階及び特性等に応じた教育課程の編成や教育内容の充実、指導方法の改善を図るとともに、障害児学級の充実に努めます。
通級指導教室の充実  言語や聴覚障害等の比較的軽度な障害のある児童生徒について、通常の学級に在籍しながら、特別の指導が受けられる通級による指導の充実を図ります。

2 後期中等教育段階における教育の充実

 盲・聾・養護学校高等部において、一人ひとりの卒業後の進路を見通し、社会参加と自立を促進するため、関係機関と連携し進路指導の充実に努めるとともに、条件整備を図り、職業教育の充実に努めます。
 また、障害の状態、発達段階及び特性等に応じた教育内容の充実や指導方法の工夫に努めます。

施策 内容・目標
職業教育の充実  社会参加や自立を目指し、技術革新や情報化等に対応した職業教育の充実を図ります。
進路指導の充実  生徒の進路実現に向けて進路指導体制等の一層の充実を図ります。

3 教育環境の整備

 盲・聾・養護学校では、重度化・重複化等多様化に対応し、種々の困難を克服するために必要な教育環境の整備・充実に努めます。

施策 内容・目標
教材等の整備  幼児、児童及び生徒の障害の状態や特性等に応じた教材の充実を図ります。
施設の充実  障害の状態、発達段階及び特性等に応じた教育の充実を図るための施設の充実を図ります。
設備の充実  障害に応じた教育を実施する上で必要な設備(スクールバス等)の充実を図ります。
就学奨励  児童生徒等の学用品等についての援助を行い、保護者の経済的負担を軽減し、障害児教育の振興を図ります。
芸術鑑賞会の開催  児童生徒等が優れた芸術に直接触れることにより、社会参加と自立の意欲と態度を育て、かつ交流する場として充実を図ります。
スポーツ交流会の開催  養護学校の高等部生徒が一堂に会し、スポーツ等を通しての交流と相互理解を深め、社会性や協調性を養うことにより、社会参加と自立の意欲を育てます。
学校外活動の支援  学校週5日制の趣旨を踏まえ、養護学校等において家庭の状況により養育困難な児童生徒を対象にした学校外活動を支援します。

4 教職員の資質向上と研修の充実

 教職員が障害児教育に関する理解を深め、資質向上を図るため研修の一層の充実を図ります。

施策 内容・目標
教職員研修の充実  京都府総合教育センター等において、障害児教育に関する講座等の一層の充実を図り、教職員の指導力向上に努めます。

5 その他

施策 内容・目標
製作品発表展示会の開催
[新規]
 生徒の製作した窯業、木工、縫製等の製作品の展示発表会を行い、社会参加と自立を促進します。
学校公開
[新規]
 盲・聾・養護学校高等部職業教育における授業を広く府民、企業関係者等に公開し、理解の促進に努めるとともに、進路開拓を目指します。

3 社会教育の充実

学校卒業後の学習機会の提供

 障害者の学校卒業後の学習機会の提供のため、社会教育指導者の研修の実施など、豊かな暮らしを目指す学習活動の推進に努めます。

施策 内容・目標
聴覚障害者社会教育指導者研修会の開催  聴覚障害者の豊かな生活に向けての学習機会や社会参加の促進を図るため、府内各地での実践の状況や成果と課題について交流し、指導者としての資質の向上を図ります。
視覚障害者社会教育指導者研修会の開催  視覚障害者の学習活動や社会参加の推進を目指し、各教育局管内での実践の状況について交流するとともに、視覚障害者の社会教育活動の今後の方向及び方法について研究協議し、指導者としての資質の向上を図ります。
障害者教室の支援  障害者の学習活動及び仲間との連帯を図るため、市町村が実施する障害者教室を支援します。
府立図書館のサービスの充実  視覚障害者のための学習支援を行います。

3 福祉サービスの充実

  1.  福祉サービスの充実を図ることは、障害者の「完全参加と平等」を実現する重要な条件整備を進めることであるとともに、すべての府民が安心して暮らすことのできる “「ひと」を大切にする温かい地域社会”を支える大切な取組です。このため、行政の施策展開だけではなく、幅広い府民参加の下に、社会全体の理解と協力を得ながら進めていくことが必要です。

  2.  近年、障害者が自分の住み慣れた地域の中で、安心して快適な生活を送ろうというニーズが高まっており、また、ノーマライゼーションの実現という観点からも、今後は、「施設福祉」サービスの充実とともに、「在宅福祉」サービスの一層の充実を図ることが大切です。

  3.  在宅生活が困難な重度障害者のための入所施設や障害者のライフステージの各段階で障害の特性に応じた適切な訓練や介助を受けられる場として、特に親なき後の障害者の処遇を図るのにふさわしい入所施設の整備・充実も必要です。また、実態調査結果において「老後安心して生活できる施設」への要望が高いことにみられるように、障害者の高齢化の進行に対応するため、老人保健福祉計画と連携した、高齢障害者のための施策の展開を図ることが重要です。

  4.  地域の中で安心して生活していくための支援策や自立と社会参加を支える補装具・日常生活用具などの福祉機器の給付等の充実を図ることも大切です。

  5.  特に精神障害者の福祉については、これまで他の障害者に比べて不十分であったところから、平成7年7月から改正・施行された精神保健福祉法において精神障害者の自立と社会参加の促進のために必要な援助を行うという福祉施策の理念が新たに加えられたことを踏まえて、これまでの保健・医療施策に加え、福祉施策を一層積極的に推進していくことが求められています。

  6.  こうした福祉サービスの推進に当たっては、障害者とその家族のニーズを的確にとらえ、その立場に立った施策展開を行うとともに、障害者自らがそのサービスを選択、決定できるようにすることが大切であり、そのために幅のある取組を進める必要があります。また、その際には、特に福祉サービスの施策と保健・医療サービスの施策の連携を図って、進めていくことが重要です。

  7.  複雑・多様化の進む社会の中にあって、障害者が常に安心して社会生活を送れるよう権利を擁護する体制づくりを進めることが大切です。

[施策の方向]

  1.  在宅福祉施策の推進
  2.  施設福祉施策の推進
  3.  障害の重度化・障害者の高齢化への対応
  4.  生活安定のための施策の充実
  5.  精神障害者の福祉の充実
  6.  権利擁護の推進

1 在宅福祉施策の推進

1 相談・支援機能の充実

 在宅障害者の自立を支援するため、各相談所等関係機関の機能の充実を図るとともに、相談員制度等の活用により障害者の日常生活に関する援助や家族に対する支援を行うなど、相談機能の充実に努めます。

施策 内容・目標
障害者手帳の交付  身体障害者、精神薄弱者、精神障害者のうち、一定の要件を満たす者に対して、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を交付し、各種の福祉サービス等の提供に利便を図るとともに、その福祉の向上を図ります。
 なお、身体障害者に対しては、手帳交付申請診断書料の助成を行います。
各相談関係機関における機能の充実  身体障害者更生相談所、精神薄弱者更生相談所、精神保健福祉総合センター、児童相談所、保健所等の関係機関における相談機能の充実を図ります。
 また、府北部地域における障害者の相談機能の充実を検討します。
保健福祉情報システム及び情報ネットワークの整備
[新規]
 障害者の医療・保健・福祉に関する府民や関係機関の情報ニーズに対応していくため、各種の情報を総合化し、府民や関係者に提供するシステムを整備します。
 また、パソコン通信などを活用した双方向性のある情報ネットワークの形成を目指します。
「福祉の手引」の発行  障害者に対する各種の援護施策や相談窓口等を紹介する冊子を発行し、障害者とその家族が広く施策や相談機能を活用できるよう努めます。
身体障害者相談員、精神薄弱者相談員及び精神保健福祉相談員による相談の充実  地域において身体障害者、精神薄弱者の相談に応じ、必要な助言指導を行う相談員の制度を充実し、障害者の自立を支援します。
 また、精神障害者については精神保健福祉相談員により、福祉面も含めた相談・指導の充実を図ります。
保健所の相談・支援機能の充実
・精神障害者の福祉全般に関する相談
・精神障害者の社会復帰に関する相談
 精神障害者や家族の抱える諸問題に関する相談や家族教室の開催などの支援を推進するとともに、社会復帰に意欲的な精神障害者に対する相談・指導(グループワーク)事業を推進します。
各種団体を通じた相談・生活訓練等支援事業の充実
・身体障害者結婚相談事業
・盲婦人家庭生活訓練事業
・聴覚障害者社会生活教室
・難聴教室
・オストメイト社会適応訓練事業
・失明者巡回歩行訓練事業
・音声機能障害者発声訓練事業等
 障害者関係団体が実施する結婚相談、生活相談、医療相談、生活訓練事業、講習会の開催、レクリエーション活動など、障害者が家庭生活や社会生活を営む中で直面する問題等について相談に応じ、必要な助言指導や訓練を行う事業に対し、支援を行い、充実を図ります。

2 在宅福祉サービスの充実

 ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業、ショートステイ事業など在宅福祉サービスについては、障害者が住み慣れた地域で安心して快適な生活が送れるよう、保健・医療との連携の下に、介護者のニーズも踏まえ、量の確保のみならず、質の一層の充実を図ります。また、グループホームの整備や住宅改造への助成など、障害者が地域で生活できる場の整備の推進に努めます。

施策 内容・目標
ホームヘルプ・ガイドヘルプサービス事業の充実
・ホームヘルパー派遣事業
・ガイドヘルパー派遣事業
・視覚障害者ガイドヘルパーネットワーク事業
 高齢者施策との連携を図りながら、重度障害者に対して介護、家事援助、助言・指導や移動の介護などを行うホームヘルパー・ガイドヘルパー派遣事業の充実に努めるとともに、特に視覚障害者の移動支援を行うためのガイドヘルパーネットワーク事業の推進を図ります。
在宅身体障害者デイサービス事業の推進  在宅の身体障害者が通所して入浴サービスや機能訓練等の各種サービスを受けることのできるデイサービス事業の充実を図ります。
在宅精神薄弱者デイサービス事業の実施と推進
[新規]
 在宅の精神薄弱者が通所して入浴サービスや機能訓練等の各種サービスを受けることのできるデイサービス事業の実施を支援し、精神薄弱者に対するサービスの多様化と家族等の負担の軽減を図ります。
在宅障害児・者短期入所(ショートステイ)事業の推進
・在宅身体障害者短期入所事業
・老人及び身体障害者の短期入所相互利用モデル事業
・在宅心身障害児・者短期入所事業
 疾病等の理由により家庭での介護が困難な在宅の障害児・者について、障害者施設にショートステイ用のベッドを確保し、その充実を図ります。特に身体障害者と老人の短期入所の相互利用制度の活用に努めます。
心身障害者介護支援(レスパイトサービス)事業の実施と支援
[新規]
 在宅の障害児・者を介護する親・家族が日ごろの心身の疲れを回復できるように援助する心身障害者介護支援(レスパイトサービス)事業を実施し、必要な支援を行います。
重症心身障害者通所援護事業の推進  在宅の重症心身障害者にデイサービスの機会を設け、日常生活動作等に係る訓練など必要な療育を行う事業に対して助成を行い、運動機能の低下を防止するとともに、その発達を促し、併せて保護者の介護負担の軽減を図ります。
障害者の地域生活への支援
・精神薄弱者地域生活援助事業
 (グループホーム)
・精神障害者地域生活援助事業
 (グループホーム)
・障害者地域生活ホーム運営事業
・福祉ホーム、精神薄弱者通勤寮、精神障害者援護寮運営事業
・住宅改造助成事業
 障害者が地域で自立した生活を送れるよう、そのニーズに応じグループホーム制度や府独自の地域生活ホーム制度の積極的な活用を図るとともに、通勤寮や援護寮の充実を進め、また「ふるさとの障害者福祉推進事業」による住宅改造の支援などを通じて、生活の場の整備に努めます。

3 福祉機器等の開発・普及・啓発

 障害者の自立と社会参加を促進し、また介護の負担の軽減を図るため、京都の産業技術を活用し、優れた福祉機器・用具の研究開発・普及を進めます。

施策 内容・目標
中小企業の人材活用による福祉機器等の開発  障害者をはじめ、すべての人が「安全」「簡単」「快適」に使用できる機器(共用品)の商品開発手法等について研修や研究会を開催するなどして、中小企業の能力を生かしながら、福祉機器・用具の開発を促進する取組を進めます。
福祉機器等の研究・開発の推進
[新規]
 福祉機器・用具の研究・開発のため、産学官共同による工学・デザインの応用研究を進め、質と技術の向上を図ります。
京都府立総合社会福祉会館における介護機器展示・情報提供等の推進
・京都府介護実習・普及センター運営事業
[新規]
 京都府立総合社会福祉会館に設置された京都府介護実習・普及センターにおいて、介護機器の展示、情報提供、相談事業を行い介護機器に対する理解を深め、その普及促進に努めます。
「ヒューマンデザインコンペ」の実施  福祉機器のデザイン性・機能性を高めることを奨励し、障害者や高齢者の生活をより潤いのあるものとするため、全国公募の福祉機器のコンペを実施します。

2 施設福祉施策の推進

障害者施設の整備・充実

 入・通所を希望する障害者の状況や地域的なバランス等を考慮し、計画的に障害者施設の整備・拡充を図るとともに、施設が持つ専門的機能をより強化し、その機能を施設入・通所者のみならず、広く地域の福祉資源として在宅障害者にも利用できるよう施設の社会化を促進します。

施策 内容・目標
障害者施設の整備  入所待機者の状況や養護学校卒業生の動向を踏まえ、入・通所施設の計画的整備と拡充に努めます。
・身体障害者施設 ・重度障害者施設の充実を図るほか、南部地域に身体障害者療護施設を整備します。
・精神薄弱者施設 ・入所施設については、高齢化対策等障害者のニーズを踏まえ整備・拡充を図ります。
・通所施設については、養護学校卒業生の動向も踏まえ、整備・拡充を図るとともに、共同作業所からの認可通所施設への移行を促進します。
・障害児施設 ・重症心身障害児施設について整備・充実を図ります。
・精神障害者施設 ・精神障害者の社会復帰を促進するため、生活訓練施設、福祉ホーム、授産施設などの整備を促進します。
民間社会福祉法人による施設整備に対する支援  民間社会福祉法人による障害者施設の整備を促進するため、府独自の支援を行います。
・府独自加算措置 ・国補助制度への上積みとして、府独自の特別加算を行います。
・施設整備資金貸付金 ・民間社会福祉施設整備資金の貸付を行います。
・資金借入金利子補給 ・民間社会福祉施設整備資金借入金の利子補給を行います。
・施設振興補助金 ・民間社会福祉施設振興補助金として施設整備に伴う借入金返済等に充当する資金を交付します。
施設運営の円滑化による処遇の向上
  • 民間社会福祉施設職員給与対策費補助
  • 産休・病休代替職員制度
  • 民間社会福祉施設職員研修対策費補助
  • 民間社会福祉施設職員健康検診費補助
 障害者施設など民間社会福祉施設に対して施設運営の円滑化を図るための各種の助成を行い、職員の待遇の向上と施設入所者の処遇の向上を図ります。
障害者施設の専門的機能の地域への開放  施設機能強化推進事業や府独自の施設社会化促進助成制度などを活用し、障害者施設の専門的機能の地域への還元を図ります。
施設が実施する在宅障害者等相談事業への支援
[一部新規]
 施設が実施する在宅の障害児・者に対する巡回療育相談や精神薄弱者の生活支援センターの運営に助成を行うほか、地域療育支援事業(新)に取り組みます。
府立障害児・者施設の機能の充実
  • 府立心身障害者福祉センター
  • 府立視力障害者福祉センター
  • 府立桃山学園
  • 府立向日が丘療育園
  • 府立舞鶴こども療育センター
 府立の障害児・者施設については、それぞれ4府総等における位置付けや府民のニーズを踏まえ、機能の充実に努めます。

3 障害の重度化・障害者の高齢化への対応

1 障害の重度化対策の推進

 近年、顕著となっている障害の重度化・重複化に対応する施策の充実を図ることが重要な課題となっています。このため、地域の中で重度障害者が自立した生活を行うとともに、親なき後も安心して生活ができるよう在宅と施設福祉の両面にわたってきめ細かな支援策の充実を図ります。

施策 内容・目標
ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイ事業やレスパイトサービス事業の推進
 在宅福祉サービスの量及び質の確保を進め、ホームヘルプサービスの利用時間延長、重介護型デイサービスの実施、介護者の休息のための施策(レスパイトサービス事業)など、障害の重度化対策を充実します。
重度障害者施設の整備
-
・身体障害者療護施設 ・常時の介護を必要とする身体障害者の入所する療護施設を府南部に整備します。
・精神薄弱者重度棟 ・重度精神薄弱者の処遇の向上を図るため、入所更生施設について重度棟の整備を進めます。
・重症心身障害児・者施設 ・在宅生活が困難な重症心身障害児・者の入所施設の整備を図ります。
重度精神薄弱者・重症心身障害児に係る特別保護費の交付  精神薄弱者援護施設における入・通所者の重度化に対応するため、措置費の重度加算に準じて、府独自で重度・最重度加算特別保護費を交付するほか、重度精神薄弱児、重症心身障害児施設の円滑な運営を図るため、特別保護費を交付し、重度者の処遇向上を図ります。
強度行動障害児・者の処遇向上対策の実施
[新規]
 近年、施設において顕著となっている自閉的症状等を示す強度行動障害児・者について、特別加算措置を講じ、処遇の向上を図ります。

2 障害者の高齢化の進行対策の充実

 近年、障害者施設の入所者など障害者の高齢化が進んでおり、保護者の高齢化と併せてその対策が重要な課題となっています。このため、府独自の施策の展開に努めるとともに、寝たきり・老人性痴呆など高齢化に伴う障害に対する施策について、「京都府高齢者保健福祉計画」と連携して取組を進めます。

施策 内容・目標
精神薄弱者「高齢者棟」設置支援事業の推進
[新規]
 高齢精神薄弱者が施設内で安心して余生が送れるよう、精神薄弱者更生施設に入所している高齢精神薄弱者を対象にした高齢者棟の設置に対して助成を行い、施設における高齢者処遇の向上を図ります。
京都府高齢者保健福祉計画と連携した事業の推進
  • ホームヘルプサービス事業
  • デイサービス事業
  • 老人及び身体障害者の短期入所相互利用モデル事業
  • 訪問看護ステーションの利用
  • あんしん介護の窓口の利用
 「京都府高齢者保健福祉計画」に基づき、高齢の障害者が自分の住み慣れた地域で安心して快適な生活を送れるよう保健・福祉サービスの充実に努めます。
 また、障害者施策と高齢者施策の連携を強め、それぞれの施策における利用者ニーズに対する充足度や受入体制に十分配慮の上サービスの相互利用を進めます。
高齢化対応関連制度の充実  高齢化する障害者の生活条件を整えるものとして、府独自の掛金減免を行う扶養共済制度における年金給付やグループホーム、地域生活ホーム等の整備促進を図るなど、ニーズに応じた条件整備の取組を進めます。
老人性痴呆診断センターの整備  老人性痴呆疾患患者の専門医療相談、鑑別診断、治療方針の選定等を行うとともに、地域の保健医療・福祉関係者に技術援助等を行う老人性痴呆診断センターの整備を図ります。
老人性痴呆予防対策事業の推進  保健所において痴呆性老人及びその家族からの相談に応じるなど、痴呆疾患等に関する相談・指導等を充実し、その予防に努めます。

4 生活安定のための施策の充実

1 各種年金・手当等の充実

 障害者に対する所得保障の柱である障害基礎年金や在宅の障害者に対する各種福祉手当等の充実が図られるよう国へ要望するとともに、関連制度の充実に努めます。

施策 内容・目標
障害基礎年金、各種福祉手当の支給
  • 障害基礎年金
  • 特別障害者手当
  • 障害児福祉手当
  • 経過的福祉手当
  • 特別児童扶養手当
 障害基礎年金、特別障害者手当等の各種手当を支給し、障害者及びその家族の経済的・精神的負担の軽減を図ります。
 また、制度の充実について国へ要望します。
心身障害者扶養共済制度の運用  心身障害児・者の保護者が加入者となり掛金を納め、加入者の死亡・重度障害発生時に、残された障害児・者に終身年金を支給する扶養共済制度について、府独自の掛金減免措置の拡充を行うなど障害者と加入者に配慮した運営の充実に努めます。

2 補装具・日常生活用具の給付等の充実

 重度身体障害児・者等の日常生活や社会生活の向上を図り、社会参加を支援するため、補装具の給付や日常生活用具の給付・貸付の充実を図るとともに、国に対して制度の充実を要望します。

施策 内容・目標
身体障害児・者への補装具給付  障害を補い、日常生活や社会生活を容易にするために、車いすなどの補装具の交付や修理、対象品目の充実を行うことにより、障害児・者の社会参加の促進を図ります。
重度障害児・者への日常生活用具の給付  在宅の重度障害児・者に対し、日常生活の便宜を図るため、浴槽、便器、湯沸器等の日常生活用具の給付や貸付を行うとともに、給付・貸与品目の充実を図ります。
福祉機器等の給付  「日常生活用具給付事業」の対象とならない福祉機器等については、「ふるさとの障害者福祉推進事業」の活用により助成します。

5 精神障害者の福祉の充実

1 社会復帰・自立・社会参加の推進

 従前、福祉面における施策が不十分であった精神障害者については、精神保健福祉法の趣旨に従い、自立し、社会活動や経済活動に加わり、社会経済の担い手として貢献することができるよう支援強化を図ります。

施策 内容・目標
社会復帰施設の整備
・精神障害者授産施設
・精神障害者生活訓練施設
・精神障害者福祉ホーム 等
[新規]
 精神障害者の社会復帰を促進するため、生活訓練や働く場となる社会復帰施設の整備を推進します。
精神障害者共同作業所に対する支援  回復途上にある精神障害者を対象として、機能回復や生活適応の訓練等を行う共同作業所に運営助成を行い、地域における働く場としての充実に努めます。
精神障害者地域生活援助事業(グループホーム、地域生活ホーム)の推進  日常生活上の援助を行うグループホームや地域生活ホームの設置促進と活用を図り、精神障害者が地域で自立した生活ができるよう条件整備を図ります。
精神障害者社会適応訓練事業(通院患者リハビリテーション事業)の 推進  通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者について登録事業所に委託して、就労の機会を提供するとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う通院患者リハビリテーション事業の充実に努め、社会経済活動への参加の促進を図ります。
心の健康推進員(仮称)の養成
[新規]
 精神障害者の日常生活に必要な援助を行い、社会復帰施設などの活動に協力を行う「心の健康推進員(仮称)」の養成を図ります。
福祉に関する調査研究、相談等の推進  精神保健福祉総合センターを中心に、精神障害者の福祉に関し、知識の普及、調査研究、相談・指導の推進を図ります。

2 手帳制度等に基づく福祉的措置の充実

 精神障害者保健福祉手帳を所持する精神障害者が各種の福祉サービスを受けられるようにするなど、その福祉的措置の充実を図ります。

施策 内容・目標
精神障害者保健福祉手帳の交付とサービスの充実
[新規]
 精神障害者に対し各種援護措置等の利便に供するため精神障害者保健福祉手帳を交付するとともに、手帳交付に伴い、他の障害者と同様、府立施設の利用料金の減免などサービスの充実に努めます。
地域精神保健福祉情報提供事業の実施
[新規]
 精神障害者に身近な医療機関や社会復帰施設・公共施設等の利用に関する情報などを集めた手引書(メンタルヘルスマップ)を作成・配布し、福祉の向上と啓発の推進を図ります。
社会復帰施設・事業の利用に関する相談・指導  障害の状態や必要とする援助の内容を勘案し、適切な社会復帰施設や社会復帰促進事業の利用に関する相談などを保健所等において実施します。

6 権利擁護の推進

権利擁護・専門相談の充実

 精神薄弱者や痴呆性老人など自己の完全な意思表示の困難な障害者に係る権利擁護に関する施策の充実など、障害者が地域の中で安心して暮らせるように取組を進めるとともに、障害に係る呼称問題や障害による資格制限の見直しについて国に対して必要な働きかけを行います。

施策 内容・目標
権利擁護活動の推進及び障害者自身による社会的自立活動への支援
[新規]
 権利が侵害されやすい精神薄弱者や精神障害者、痴呆性老人など障害者について、法律関係者等の協力を得て財産管理をはじめとした諸権利の擁護に関する相談や障害者自身の社会的自立活動への支援を行う体制づくりに努めます。
精神薄弱者専門相談事業の充実  精神薄弱者に関する人権や各種の法的手続などの専門相談に応じ、法的助言を行う相談事業の充実を図ります。

主題:
-京都府障害者基本計画-
「ひとりだち~京都から~」21プラン
ノーマライゼーションの社会をめざして
 No.1
1頁~40頁

発行年月:
平成8年3月

文献に関する問い合わせ先:
京都府
〒620-70 京都市上京区下立売通新町西入
TEL 075-451-8111(代表)