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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
1.「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」等において、移動 や建物を含む諸設備の利用に関する権利について明文化することの是非につい て、どのように考えるか。
回 答

【結論】
1.移動の権利については、昨年度より進めている交通基本法の制定と関連施策の 充実に関する検討の中で、交通基本法における明文化の可能性について検討を行 っているところであり、今後、5~6月頃を目途に交通基本法についての考え方 と関連施策のあり方に関する検討結果を取りまとめる予定である。
なお、当該施策に係る支援の充実についても検討をしているが、財政状況が非 常に厳しい中で、どのように財源を確保し、支援策を充実させていくことができ るか苦慮しているところ。

2.バリアフリー法においては、旅客施設・車両などのバリアフリー化の義務付け のほか、不特定多数の者が利用する建築物又は主として高齢者、障害者等が利用 する建築物(特別特定建築物)で2,000㎡以上のものについては、バリアフリー 化を義務付けるとともに、さらに条例により用途の追加・対象規模の引き下げ・ 基準の強化を可能としている。
このような取組により、高齢者・障害者等が必要とする諸設備の利用は確保さ れるものと考えており、今後ともその促進を図って参りたい。

【根拠、理由】

<移動の権利について>
1.平成18年の第165回国会(臨時会)に民主党及び社民党で共同提出した「交通 基本法案」では、第2条に、「移動に関する権利」が含まれていた。

2.交通基本法の制定と関連施策の充実について、本年3月末に中間整理をとりま とめたところであり、この中では、「移動権の保障と支援措置の充実」について 言及しており、今後検討を深める予定。

3.交通基本法の制定と関連施策の充実について、公共交通を巡る環境が厳しさを 増す中、支援措置の拡充や地方公共団体の負担軽減などが求められており、財政 状況が非常に厳しい中で、どのように財源を確保し、支援策を充実させていくこ とができるか苦慮しているところ。

【参考】
○交通基本法案(平成18年年第165回国会(臨時会)民主党及び社民党共同提出)
(移動に関する権利)
第二条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動を保障される権利を有する。

2 何人も、公共の福祉に反しない限り、移動の自由を有する。

※ 第165回国会(臨時会)(平成18年)民主党・社民党共同提出、第171国会(常会)(平成21年)で衆議院解散となったため廃案

【参考】
2000 ㎡以上の特別特定建築物の総ストックのバリアフリー化率
30%(平成14 年度末)→ 46%(平成20 年度末)

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
2.「交通基本法」の検討に当たっては、バリアフリー整備の観点からどのような 検討がなされているのか。
回 答

【結論】
1.来年の通常国会提出に向け準備を進めている「交通基本法」の検討に当たって も、バリアフリー整備は重要なテーマと認識しており、今後、5~6月頃を目途 に交通基本法についての考え方とバリアフリーを含む関連施策のあり方に関す る検討結果を取りまとめる予定である。
なお、当該施策に係る支援の充実についても検討をしているが、財政状況が非 常に厳しい中で、どのように財源を確保し、支援策を充実させていくことができ るか苦慮しているところ。

2.ただし、バリアフリーに関する具体的な制度については、バリアフリー法にお いて規定されており、引き続き同法において規定すべきものと考えている。

【根拠、理由】
1.平成18年の第165回国会に民主党及び社民党で共同提出した「交通基本法案」 では、第18条に「移動制約者に配慮された交通施設の整備の促進等」が含まれて いた。

2.来年の通常国会提出に向け準備を進めている「交通基本法」の検討に当たって も、バリアフリー整備は重要なテーマと認識し、本年3月1日、8日に開催した 第7回、第8回の交通基本法検討会では、福祉輸送、バリアフリーをテーマに、 障害者、交通事業者から意見を聞いたところ。

3.交通基本法の制定と関連施策の充実について、本年3月末に中間整理をとりま とめたところであり、この中では、「交通施設を誰もが利用しやすいものにして 行くことも重要」として「ユニバーサル・デザイン」の重要性についても言及し ており、今後検討を深める予定。

4.また、交通基本法の制定と関連施策の充実について、公共交通を巡る環境が厳 しさを増す中、支援措置の拡充や地方公共団体の負担軽減などが求められてお り、財政状況が非常に厳しい中で、どのように財源を確保し、支援策を充実させ ていくことができるか苦慮しているところ。

【参考】
○交通基本法案(平成18年年第165回国会(臨時会)民主党及び社民党共同提出) (移動制約者に配慮された交通施設の整備の促進等)
第十八条 国は、高齢者、障害者等移動に関し制約を受ける者(以下「移動制約者」という。)
が日常生活及び社会生活を営むに当たり安全で円滑で快適に移動することができるようにするため、移動制約者の移動に係る身体の負担の軽減に配慮された交通施設の整備及び輸送サービスの提供(既存の公共交通機関による移動が著しく困難な移動制約者に対する輸送サービスの提供を含む。)の促進その他必要な措置を講ずるものとする。
※ 第165回国会(臨時会)(平成18年)民主党・社民党共同提出、第171国会(常会)(平成21年)で衆議院解散となったため廃案

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
3.地方におけるバリアフリー整備の遅れを改善する観点から、新たな「バリアフ リー法」の基本方針において、移動円滑化の目標の対象となる施設につき、一定 の猶予期間を設ける等、段階的にバリアフリー化を図る方策と支援策についてど う考えるか。
回 答

【結論】
1.現行の平成22年末までの目標は、平成12年に「交通バリアフリー法」に基づき 初めて設定した目標を継承・充実させ、平成18年の「バリアフリー法」に基づく 目標として設定したものである。
この目標については、平成22年までの段階においては、まず、利用者数の多い 施設等のバリアフリー化を目標として掲げてきたところであり、その結果とし て、地方部に比べて大都市部におけるバリアフリー化が相対的に優先されてきた 面があることは否めない事実である。
しかしながら、地方部におけるバリアフリー化も重要な課題であり、次期10年 間の段階においては、整備目標の設定に当たり、地方の施設についても整備が進 むよう対象施設を拡大する方向で検討していく予定である。

2.また、各施設のバリアフリー化促進のため、これまでも補助等の支援を行って きたところであるが、さらなる促進のために一層の支援策の充実が必要な状況で ある。しかしながら財政状況が非常に厳しい中で、どのように財源を確保し、支 援策を充実させていくことができるか苦慮しているところである。

【根拠、理由】
1.
(1) 各施設等のバリアフリー化については、平成12年制定のいわゆる「交通バリ アフリー法」において初めて旅客施設等の整備の目標を設定し、平成18年に制 定されたバリアフリー法においても、この目標を継承・充実させて平成22年末 までの目標を設定し、鉄道駅をはじめ、施設等のバリアフリー化の促進に努め てきたところである。

(2) バリアフリー法に基づく現行の基本方針においては、例えば旅客施設につい ては、その整備の目標として、1日当たり利用者数5,000人以上のものについて は原則としてすべて移動等円滑化を実施し(例:対象となる鉄道駅約2,800駅)、 それ以外のものについても地域の実情にかんがみ可能な限り移動等円滑化を実 施すると定めている。
これは、1日当たり利用者数5,000人以上の旅客施設をすべてバリアフリー化 すれば、交通機関の全利用者数の9割をカバーすることができるため、限りあ る財源等の中で施設整備が最大限の効果を発揮することができるようにするこ とを理由にしている。

(3) 1日当たり利用者数5,000人以上の施設は大都市部に存在するものが多いこ とから、結果として、既存施設を含むストック全体をみれば、大都市部におけ るバリアフリー化が地方部に比べ優先されてきた面があることは否めない状況 となっている。(ただし、新設の旅客施設については、利用者数にかかわらず、 すべてが移動等円滑化義務の対象。)

(4) 現行の目標の期限は今年末に設定しているが、次期の目標の設定に関する検 討の方向性としては、1日当たり利用者数5,000人未満の施設のバリアフリー化 が重要な課題であると認識しており、これを促進することにより地方における 施設整備も進展すると考えられることから、目標の対象とする施設について可 能な限りその範囲を拡大し、その結果、地方部における整備も実質的に進むよ う検討を進めて参りたい。

2.
(1) 施設整備への支援策については、これまでも、施設設置管理者の負担を軽減 するための改修費補助などの支援措置を講ずることにより、バリアフリー化を 促進してきているところである。

<バリアフリー化支援のための主な助成事業(予算は平成22年度の額)>

  • 鉄道:交通施設バリアフリー化設備等整備費補助金(約39億円の内数)
    費用負担:事業者1/3、地方公共団体1/3、国1/3
  • バス:公共交通移動円滑化設備整備費補助金(約8億円)
    費用負担:事業者1/2、地方公共団体1/4、国1/4 等
  • 道路、建築物等:社会資本整備総合交付金(2兆2千億円の内数)
    費用負担:道路 地方公共団体1/2、国1/2 等
    建築物 事業者1/3、地方公共団体1/3、国1/3(民間事業の場合)

(2) しかしながら厳しい経済情勢が続く中で、地方部等におけるより一層のバリ アフリー化の促進のためには、負担力の限界に直面している地方の施設設置管 理者に対する支援措置の拡充や地方公共団体の負担軽減などが求められている 状況である。一方で、国の財政状況も非常に厳しい中で、財源の確保を含め具 体的にどのような対応が可能か苦慮しているところである。

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
4.地方におけるバリアフリー整備の遅れを改善する観点から、新たな「バリアフ リー法」の基本方針における移動円滑化の目標の対象についてどう考えるか。 また、「合理的配慮」が確保されるような仕組みを構築するためにはどのよう な方策があるか、ご意見をいただきたい。
回 答

※ 本項目については基本方針の目標に関して項目3と共通する部分が多く、以下の回答にも共通部分が多々ある。

【結論】
1.現行の基本方針においては、まずは利用者数の多い施設等からバリアフリー化 を進めるという考え方で目標を設定して整備を促進してきたが、その結果とし て、地方部に比べて大都市部におけるバリアフリー化が相対的に優先されてきた 面があることは否めない。
しかしながら、地方部におけるバリアフリー化も重要な課題であり、次期の目 標については、地方の施設についても整備が進むよう対象施設を拡大する方向で 検討していく予定である。

2.また、「合理的配慮」の確保については、個々の施設の実情に応じて工夫が可 能な措置などについて、施設設置管理者に対する周知、普及啓発を行っていくこ となどが考えられると認識している。

【根拠、理由】
1.
(1) 各施設等のバリアフリー化については、平成12年制定のいわゆる「交通バリ アフリー法」において初めて旅客施設等の整備の目標を設定し、平成18年に制 定されたバリアフリー法においても、この目標を継承・充実させて平成22年末 までの目標を設定し、鉄道駅をはじめ、施設等のバリアフリー化の促進に努め てきたところである。

(2) バリアフリー法に基づく現行の基本方針においては、例えば旅客施設につい ては、その整備の目標として、1日当たり利用者数5,000人以上のものについて は原則としてすべて移動等円滑化を実施し(例:対象となる鉄道駅約2,800駅)、 それ以外のものについても地域の実情にかんがみ可能な限り移動等円滑化を実 施すると定めている。
これは、1日当たり利用者数5,000人以上の旅客施設をすべてバリアフリー化 すれば、交通機関の全利用者数の9割をカバーすることができるため、限りあ る財源等の中で施設整備が最大限の効果を発揮することができるようにするこ とを理由にしている。

(3) 1日当たり利用者数5,000人以上の施設は大都市部に存在するものが多いこ とから、結果として、既存施設を含むストック全体をみれば、大都市部におけ るバリアフリー化が地方部に比べ優先されてきた面があることは否めない状況 となっている。(ただし、新設の旅客施設については、利用者数にかかわらず、 すべてが移動等円滑化義務の対象。)

(4) 現行の目標の期限は今年末に設定しているが、次期の目標の設定に関する検 討の方向性としては、1日当たり利用者数5,000人未満の施設のバリアフリー化 が重要な課題であると認識しており、これを促進することにより地方における 施設整備も進展すると考えられることから、目標の対象とする施設について可 能な限りその範囲を拡大し、その結果、地方部における整備も実質的に進むよ う検討を進めて参りたい。

2.「合理的配慮」の確保については、一般に個々の施設の実情に応じて求められ る措置は多様であると考えられるため、例えば、各施設の使用段階において工夫 が可能な措置等について事例集などを作成し、施設設置管理者に対する周知、普 及啓発を行っていくことなどが現実的な取組方策として考えられる。 <使用段階において工夫が可能な措置として考えられる例>

  • 既存建築物における簡易なスロープ等の設置
  • 鉄道駅における駅員による車両とプラットホームとの間の渡り板の配備など

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
5.「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」第25条に基づき策 定される「移動等円滑化基本構想」については、市町村に作成を義務付け、かつ その作成に当たっては障害者を参画させるべきとの考え方について、どう考える か。
回 答

【結論】
1.地域のニーズや実情に応じた総合的なバリアフリー化を進めるため、まちづく りとしてのバリアフリー計画である基本構想制度が一層活用されること及び基 本構想がしっかりとした当事者の参画のもとで作成されることが非常に重要と 認識している。

2.一方、基本構想の実現のためには相応の事業費負担を要するため、特に地方 部等で財政状況の厳しい中、すべての市町村に基本構想の作成等を義務化する ことについては、現実にコンセンサスを得ることが難しいものと考えられる。 また、地域主権戦略会議においては、地方公共団体に対する義務付け措置は原 則として廃止するよう、強く指摘されている。

3.とは言え、引き続き、地域のバリアフリーのまちづくりへの取組と当事者参画 を可能な限り拡げていくことは重要であり、そのために、基本構想に基づく事業 への国の支援をより充実させていくことが課題であると認識している。 こうした認識の下で、財政的支援の充実については、国の財政状況も非常に厳 しい中で、現実にどのように財源を確保し対応ができるか苦慮しているところで ある。

【根拠、理由】
1.障害のある方の日常生活等における円滑な移動等を効果的に実現していくため には、

  • 旅客施設や建築物等の各施設について、整備目標を掲げ、それぞれバリアフ リー化を推進することと併せて、
  • 各地域において、そのニーズや実情に応じて、各種施設を総合的・一体的に 面として整備する「まちづくり」としてのバリアフリー化を進めることが重要である。 このような地域の「まちづくり」としてのバリアフリー化を推進するため、 バリアフリー法において市町村が地域において重点的に整備を図るべき地区を 設定し、地域の障害者などの当事者や関係事業者等が参画した協議会を設置し て協議を行いながら基本構想を作成して、各種既存施設も含めた総合的なバリ アフリー化の事業を推進する制度が設けられているところである。

2.これまで、基本構想の作成数は着実に増加してきてはいるものの、構想を作成 した市町村数は平成22 年3月末時点で260市町村(構想の件数は345)に とどまっており、一層の作成促進が必要な状況である。

3.しかしながら、すべての市町村に基本構想の作成等を一律に義務化すること は、現実にはコンセンサスを得ることが難しいものと言わざるを得ない。

  • 基本構想の実現のためには相応の事業費負担を要するため、特に地方部等で 財政状況の厳しい中、十分な事業費を確保することが困難であることなどを 理由に、基本構想の作成に慎重な市町村もあるのが実情である。
  • また、地域主権戦略会議においては、地方公共団体に対する義務付け措置につ いては原則として廃止するよう、強く指摘されているところである。

4.以上のような状況をふまえると、肝要なのは、バリアフリーのまちづくりと そのプロセスへの当事者参画を各地に拡げていくことであることから、基本構 想の作成促進方策は、必ずしも作成義務付けに限られるものではなく、構想に 基づく事業への国の支援を充実させていくことが求められていると考えられ る。
 国の支援としては、これまでも、協議会運営費を含む基本構想の作成費や、道 路等の公共施設・建築物等の整備、鉄道駅等の各種交通施設の整備など、基本構 想の実施に要する費用について、市町村や事業者に対する助成を行い、構想作成 のインセンティブを高めて関係事業の促進を図ってきたところである。
 しかしながら厳しい経済情勢が続く中で、財政状況の非常に厳しい市町村など においても基本構想の作成等をより一層促進していくためには、国の支援をさら に充実させていくことが重要な課題と考えられる。
 一方で、国の財政状況も非常に厳しい中で、財源の確保を含め具体的にどのよ うな対応が可能か苦慮しているところである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】
6.障害者権利条約第9条1項は、「施設及びサービス利用等の利用の容易さに対 する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃する」ための適切な措置をとることを規定 している。
一方で、乗車拒否、利用拒否があることを鑑み、実態調査を行った上で、その 改善を図る仕組みを構築すべきとの考え方について、どう考えるか。
回 答

【結論】
1.乗車拒否や利用拒否と言われる案件等については、当事者からの情報提供等に 基づき、これまでも、国土交通省において事情調査を行い、必要な場合には事業 者を指導する等の対応を行ってきたところ。

2.今後とも、障害当事者との連携をより一層強めること等により、情報収集に努 め、交通事業者・施設設置管理者への指導を強化するとともに、「バリアフリー 教室」の実施や交通事業者における職員研修の推進等を通じて、障害者に対する 不当な対応が発生しない社会の構築を図る。

○障害者の権利に関する条約(仮約)抄
第9条 施設及びサービスの利用可能性
1 締約国は,障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者と平等に、都市及び農村の双方において、自然環境、輸送機関、情報通信(情報通信技術及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサービスを利用することができることを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービスの利用可能性における障害及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。
(a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)
(b) 情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)

【根拠、理由】
1.乗車拒否や利用拒否と言われる案件等については、当事者からの情報提供や行 政相談等に基づき、情報提供された案件の実態については、各部局において事情 調査を行うとともに、司法手続きが取られたもの、法務局において人権問題とし て扱われたもの等と併せて、適宜これを収集整理し行政に反映させる資料として とりまとめているとともに、必要な場合には事業者を指導する等の対応を行って きたところ。

【参考】
○バリアフリーの紛争事例(平成元年度~19 年度:国土交通省調べ) 裁判事例:11件中利用拒否事例3件

  • 車いすでのバス利用拒否(停留所の狭隘によるスロープ利用不可)
  • 車いすでの航空機利用拒否(単独利用の事前連絡不備)
  • 半身まひ者(外国人)によるバス利用拒否(コミュニケーション不良)

※上記3件についてはいずれも原告敗訴となっている。

法務局事例:6件中利用拒否事例3件

  • ハンドル形電動車いすでの鉄道利用拒否
  • 視覚障害者の宿泊施設利用拒否(2件)

※上記3件については、いずれも法務局からの働きかけにより是正された

2.交通機関や施設利用における障害者等とのトラブルは、施設整備の不備による ものの他は、当該施設の管理・運営に携わる職員の無理解と認識不足に起因する ものが多く、研修等による理解の増進と「心のバリアフリー」推進による意識向 上が重要な課題と認識しており、「バリアフリー教室」の実施などを行ってきた ところ。

3.さらに、当事者との連携については、障害者団体等の協力を得て、国土交通省 に「バリアフリーネットワーク会議」を設置して意見交換・情報交換に努めてい るところであり、地方機関における地域のネットワーク構築を進めるなど、更に 連携強化を図る。

4.調停機関の設置という提案もあるが、法務省や弁護士会等による人権擁護活動 が既に実施されているところであり、交通機関や施設利用の分野に限らず、これ らの制度との関係も含め幅広く議論されるべきものであると考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:国土交通省】

ヒ ア リ ン グ 項 目

【ヒアリング項目】
7.「既存の交通施設その他の公共的施設について、障がい者が円滑に利用できる よう、その構造及び設備の整備等を支援するとともに、可能な限り、時限を付し て当該整備等を義務付ける措置を講ずる」(障がい者制度改革推進法案第10条 第第3項)ことについて、どう考えるか。

回 答

【結論】
1.既存施設については、現行のバリアフリー法においては、大規模改良等を行う 場合にはバリアフリー化を義務付けているが、それ以外の場合には施設設置管理 者の負担等にかんがみ、強制的な義務付けではなく、努力義務としている。

2.その上で、新設・既存の双方を含む各対象施設のストック全体について、期限 を付してバリアフリー化の目標を設定するとともに、その目標を実現するための 補助や税制等の支援を実施して、既存施設についても整備を促進しており、一定 の成果をあげている。

3.既存施設へのバリアフリー化の強制的な義務付けは、一部の施設においては相 当に整備が困難な実情があることも想定されることを考慮すると、現実的には困 難であり、現行制度に基づく次期の目標について対象施設の範囲を拡大するなど 施策内容を充実させて、既存施設の整備を促進していくこととしたい。

【根拠、理由】
1.現行のバリアフリー法においては、既存の旅客施設その他一定の施設について は、大規模改良等を行う場合以外は、同法の「移動等円滑化基準に適合させるた めに必要な措置を講ずるよう努めなければならない」こととされている。

2.同法においては、上記の努力義務に加え、この努力義務の対象となる施設等に ついて、移動等円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を定め、そ の中で既存施設を含む旅客施設や建築物などの各施設について、例えば、以下の ような平成22年までのバリアフリー化の目標を設定している。

  • 1日の平均利用者数が5,000人以上の旅客施設のすべてを、原則としてバリ アフリー化
  • 2,000㎡以上の特別特定建築物(病院、店舗、官公署、福祉施設その他不特 定多数の者等が利用するもの)の総ストックの約50%をバリアフリー化

3.既存のものも含めた各施設のバリアフリー化に係る進捗状況は、以下のとおり であり、基本方針において目標を定め、その目標を実現するための補助や税制等 の支援を実施することにより、着実にバリアフリー化が進展してきていると考え られる。

  • 旅客施設(利用者数5,000人/日以上)の段差解消率 平成12年 28.9% → 平成20年度末 71.6%
  • 2,000㎡以上の特別特定建築物のバリアフリー化率 平成14年 30% → 平成20年度末 45%

4.一方で、既存施設を改修してバリアフリー化を行う場合には、施設の一部の解 体撤去や使用者の一時移転など新設の場合に比べて付加的な費用が生じ、また、 通路の幅等、改修工事レベルでは円滑な移動に必要なスペースの確保が物理的に 困難な場合もあり、制約条件が多い。
未整備の既存施設の中には、このような物理的制約が大きいためバリアフリー 化には大幅な改修を伴い膨大な経費を必要とするものや、構造上バリアフリー化 の整備が困難なものも見受けられる。

5.また、既存施設に対してバリアフリー化を義務付けた場合、例えば、地方にお ける零細な施設設置管理者等に過度な負担を負わせることとなり、結果として運 行本数の削減や施設の廃止が行われるなど、かえって利便性が損なわれるような 事態も招きかねない。

6.以上のようなことから、既存施設のバリアフリー化については、一律的な義務 化は困難であり、現行制度に基づく次期の目標について対象施設の範囲を拡大す るなど施策の内容を充実させた上で、既存施設の整備を促進していくこととした い。