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第25回障がい者制度改革推進会議(H22.11.15) 関口明彦委員提出資料

心神喪失者等医療観察法における司法手続きについての意見書

平成22年11月11日 (木) 関口明彦

心神喪失者等医療観察法は行政処分を決定する法律である。対象6罪種は、刑法に触れるものであるから、心神喪失、心神耗弱、に当たるか否か、及び事実認定までは、刑事処分と考えられる。事実認定に於ける、司法手続き上の瑕疵は重大な問題であることは言うまでもない。検察段階から始まる鑑定は、事実上本人に拒否権が無い事も問題である。その後の心神喪失者等医療観察法37条に定めるいわゆる医療必要性鑑定は、行政処分を決定するための強制的な手続きと考えられる。問題は本来刑法三九条に基づいて、下される司法処分が免責され、いわゆるダイバージョンと称して、強制医療処分が下される可能性があると言うのが、憲法に基づいて考えるとき適法かと言うことである。ダイバージョンという概念は憲法上どこにもない。刑法上は三九条があるが、これがダイバージョンの根拠になるとは思えない。すなわち、法的根拠のないダイバージョンにより、刑事司法手続きは完結されないで終わる。なお、三九条は、罰しないか、減刑するかであり、司法処分を全面的に免責するものでは無く、減刑の場合は刑事司法処分を受けることが前提されている。処遇は、受刑者ではないことは、行政処分により、強制医療を課された身分であることにより確かだが、入り口が司法手続きなので、ダイバージョンが司法手続きを免責するなら、それは本人にとっての利益処分でなければならず(不利益処分ならば法の下の平等に反するし、実際には不利益処分のほうが多いと思われるが)、より厳密な人権確保がもとめられるのは言うまでもない。強制治療は、再び同様の行為を行わない、に主眼が置かれているとするならば、医療の名を騙った保安処分そのものといえる。

最高裁によれば、インフォームドコンセントも必要無い、という司法精神医療が医療と呼べるかどうかはおくとしても、法は池田小事件による応報感情に基づいて創られた。

従って、強制医療処分は、応報の代替として位置づけられるものである。入院処遇は高度拘禁施設での強制医療であり、言うまでもなく自由の剥奪をその内心からも貫徹するものである。応報であるとして考えると、例えば全治二週間の傷害事件で2年間の入院処遇、最高5年の強制通院処遇で、場合によっては再入院処遇あり、と言うのは犯した罪に比べてあまりにその制裁の側面が大きいと言わざるを得ない。刑法の制裁の域を遙かに超えるこの不利益処分は法の下の平等を定めた憲法に違反している。更に言えば、もし三九条2項の減刑の対象だったとすれば、適正な刑事処分をしないのは、刑法そのものにも反していると言わざるを得ない。ダイバージョンが考えられるとすれば、三九条1項の時のみであろうが、それは純粋に精神医療の問題であり、罰しないのであるから、強制医療や監禁という不利益処分は正当化されないはずである。三九条2項の場合に矯正施設での強制医療が正当化される余地はあるものの、本来医師と患者の治療関係には、強制性はなじまないと考えられる。刑法の改革なしに、その内実を改変させた心神喪失者等医療観察法は廃止すべきである。

なお、これとは別に未決処遇受刑者に適切な医療保障が無いことも問題である。沈静のための向精神薬の過剰投与により、弁護士が意思疎通できない状態になり、弁護士としての活動が出来ないとして民事訴訟に及んだ例もある。受刑者に対しても適切な医療が求められるのは言うまでもない。