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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料1―6

第三十二回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
災害と障害者

6、被災障害者に対する支援を行う上での基本的課題

①安否や被災状況の確認及び必要なニーズの把握を行う体制整備

被災を受けた障がい者の状態は被害全体の陰に隠れて顕在化しにくい特徴があると思われるが、どうすれば早期に現状の把握ができるのか、市町村による災害時要援護者に対する避難支援の取り組みなど、現状の問題点を摘示したうえで、ご意見を伺いたい。

【尾上委員】

●被災時における突発的・緊急的対応は困難である。被災時や緊急時等を想定した日常的な体制づくりこそが必要である。

●行政による被災障害者の安否確認や支援を責務として明確化することが必要である(すでに述べた通り、阪神淡路大震災の時には、震災から半月後には行政だけでの安否確認は難しいと判断してNPO団体に自治体から要請があった。自治体からNPO団体等への要請の前提は、行政自らがそのことを把握する責務を自覚していることである)。

●その上で、そのことを実施していく体制は、行政のみではなく、民間機能(自立支援協議会、町内会及び障害者団体や事業所等)も活用・連携した地域のネットワークによることが様々な状況を想定した場合に有効である。

●そして、このネットワークづくりの基本的な考え方としては、障害者や高齢者が地域で孤立しない仕組みをつくることとする。

●体制づくりを進めるための具体的な対応としては、障害者手帳の交付や各種福祉サービス等の利用及び更新時に当該障害者やその家族等に対して、関係団体、各種福祉サービス制度等(相談支援を含む)の紹介、緊急時の対応(個人情報の公開に関する承諾確認等)の確認等が考えられる。

●なお、具体的な対応については、個人のプライバシーと本人の意向等に配慮することも必要であることから、今後、議論を深めることが必要である。

【川﨑委員】

市町村による災害時要援護者の対象は、地域によっては身体障がい者、知的障がい者にかぎられており、精神障がい者は対象となっていない。

今後は精神障がい者、発達障がい者、難病も含め対象とすべき。

また、民生委員、町会に個人情報が出てしまうため、対象者になることをためらうとも聞く。援護するものの守秘義務について、日頃から教育し徹底する必要がある。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

安否確認の障害になっているのは、障害種別を越えられない縦割り行政であり、個人情報保護の機械的な理解と運用、(難病でいえば)障害の多様性に対する行政の大雑把な認識と対応です。

「命を救う」基本観点にたって、これらの障害を打破することが求められています。

今回、当事者が難病・慢性疾患の患者救済に重要な役割を果たしています。この力量を高め、その社会資源としての役割を見直す必要があります。

難病への支援は、日常的な行政・医療機関・患者会との連携・ネットワーク構築が不可欠です。その連携・提携について、各地域に見合った「マニュアル」をつくり、年に少なくとも一回は訓練を行うことが必要です。

保健所体制の弱体化(人数と予算の軽減)

特に稀少難病患者が使っている専門薬の情報を提供する全国センターの設置が重要です。

【新谷委員】

災害時要援護者名簿に登録されているメインは高齢者であり、これに障害者、病人、妊婦、乳幼児などを含んだ「災害弱者」が要援護者となっている。事実、行政窓口での名簿作成は、それぞれの「災害弱者」が危機管理課などに自主申告して登録するシステムとなっているところが多いのではないか?個別の担当課(高齢者サービス課、子育てサービス課、障害福祉課など)での処理を考えた場合、高齢者は介護保険など、乳幼児は母子手帳などで対象となる人の大半は把握できるとしても、障害者については現行の手帳制度で果たしてどの程度の障害者を捉える事が出来るのか非常に疑問である。今後、行政などの啓発活動で生活上困難を抱える人という括りで、障害を持った人の要援護者名簿への登録を促進することが考えられるが、事前に行政に申告することをためらう人も多いと考える。

【関口委員】

一義的には行政が責任を持つべきである。ただ人手が足りない。

現状では、例えばある自治体は災害時要援護の登録をしていた者については安否確認を済ませていたが、その他については手つかずで在った。

精神障害者、入院、外来、県別概数
(厚生労働省平成19年度6月30日調査より)

宮城県:入院: 3802 外来: 13584
岩手県:入院: 4710 外来: 17047
福島県:入院: 7680 外来: 21989

手帳

  1級 2級 3級
宮城: 1015 1940 861
岩手: 1931 2445 820
福島: 1191 3522 899

上記を見れば分かるとおり、手帳保持者の安否確認を行うだけではどうしようもない。最低限自立支援医療を利用している者については行政は把握しているはずなので、安否確認をするべきである。その後支援が求められる者について本人の了解を取った上でNGOなどに繋ぐことが望ましい。

【中西委員】

●通常時の福祉サービス理念や積み重ねてきた地域生活システムが総崩れになることを是非とも食い止めねばなりません。多分大量の支援物資や義援金の前に地域生活の後方支援に当たる人的なコーディネートがもっと早く立ち上がることが大切だったと思います。危機管理が不足していたようです。訓練も形式的であったのかもしれません「何か支援したい」と考えていた人たちはたくさんいても、初動一歩踏み出す道筋(情報)が肝心です。既成組織においては指揮系統の脆弱さが行動決定に多くの時間を費やしました。さらに原発事故の特殊な被災の現実を生み出してしまい、これまでに経験のない状況が今も現在進行形なのです。

復興と同時進行の新しい福祉制度は、大胆シンプルな制度設計を望みます。入所入院を強固な地域福祉型に転換するチャンスであるかもしれません。震災前よりも多くの障害者が地域生活を形作り、当事者、事業者、行政の一体的連携が本気で大切です。今回の災害時この連携の必要性をあまりにも大きな犠牲をもって教えられた気がしています。

通常時の福祉サービスの理念や積み重ねてきた地域生活システムが崩壊したことで、障害者は孤立し日常生活を営むことが不可能となった。大量の支援物資や義援金は瞬く間に集まった。しかし市町村がそれらを統括し、障害者の後方支援に当たるコーディネート機能を担う余裕のない状況がしばらく続いた。市町村との協力のもと、コーディネーション体制がもっと早く立ち上がることが大切だったと思う。行政の危機管理が不足し、そのための訓練も形式的であったのかもしれない。「何か支援したい」と考えていた人たちはたくさんいても、一歩踏み出すためには情報なしには何もなしえない。

行政を含む既成組織においては指揮系統の脆弱さが、行動決定に際して多くの時間を費やす結果となった。それがさらに原発事故の特殊な被災の現実を生み出してしまい、これまでの経験にない状況が今も現在進行形で続いている。

復興と同時進行の新しい障害者制度には、は障害者の権利に基づいたものであるべきである。入所入院中心の施設基盤の福祉制度を、強固な地域福祉に基づいた自立生活重視に転換するチャンスである。震災前よりも多くの障害者が地域での自立生活を営み、当事者、事業者、行政の一体的連携がそれを支援することが肝要である。今回の災害では、このようなネットワークの必要性をあまりにも大きな犠牲をもって教えられた気がしている。

ニーズの把握を可能とする体制作りのためには、

  • 災害時要支援者の救出計画の策定と、救援訓練の実施
  • 行政による緊急時人的確保のシュミレーションに基づいて、他の行政機関と連携の取り決めの締結(給水に関してはイメージがしやすく、比較的早くから各地の給水車が現地に駆けつけた)
  • 行政のみではなく、民間機能(自立生活センターなどの居宅支援事業、町内会及び障害者団体や事業所等)も活用・連携した地域のネットワークを活用した、被災時や緊急時等を想定した日常的な体制づくり
  • 体制づくりを目的とする、障害者手帳の交付時や各種福祉サービス等の利用時及び更新時での、当該障害者やその家族等への、関係団体、各種障害者サービスや制度等(相談支援を含む)の紹介、緊急時の対応方法(個人情報の公開に関する承諾確認等)の協議

【久松委員】

上記4と同)

※日頃から障害者の実態を行政として把握し、障害種別ごとにどのような支援が必要かを障害者団体と協議してマニュアルを作成し、緊急の場合に備える必要がある。

※災害が起きた場合、行政だけで障害者支援をすることは不可能である。
民間であっても、活動実績がある障害団体には障害者名簿を開示して協力を求めるべきである。

特に在宅の障害者の場合、情報がなく、手段もない場合、取り残され生命の危機に陥る危険がある。

すべての団体とは言わないので、日頃から障害者団体との連携を密にし、情報開示団体を決めておくことが必要である。

※障害者支援についてはそれを支える支援団体との連携が必要である。

社会福祉協議会が全国組織を持っているが、今回の震災で障害関係についてその機構が活かされているとは言い難い。日頃から障害者団体と地域社会福祉協議会との連携について、役割分担を文書で確認しておくべきである。

※支援に当たる民間団体は資金がない。本来は行政の役割であるところを民間が役割の一部をになっていることから、行政からの支援が困難な場合は共同募金会等寄付団体からの支援を行政または国が繋ぐべきである。

※避難所については、震災の規模等で一概には言えないが、障害別の避難所を検討してもよいのではないか。

【松井委員】

障害者も含め、災害時要援護者に対して避難支援が適切になされるには、行政的な対応もさることながら、地域の住民により日ごろからコミュニティ形成が行われていることが不可欠と思われる。今回の被災地でもコミュニティが形成され、日ごろから避難訓練などが実施されていたところでは、ほとんどの住民が安全な場所に避難しえている。

しかし、隣人関係がきわめて希薄な都市部においては、そうしたコミュニティ形成は困難であり、基本的には地方自治体が中心となって、障害者も含む、被災弱者のマッピングを行い、災害時には早期に避難支援が行えるような仕組みを整備し、避難訓練なども定期的に実施する必要がある。

マッピング作成にあたっては、プライバシー保護との関係から、事前に当事者本人の理解と了承をえる必要がある。当事者本人の理解と了承をえるために最大限の努力が求められるが、どうしてもその理解や了承が得られない場合の対応のあり方についても十分検討しておく必要があろう。現に福島原発事故では、避難指定区域で生活しながら避難を拒否している高齢者などがいることも考慮する必要がある。

②福祉避難所や避難所の在り方

一般の避難所がなぜ利用しがたいのか、現状の問題点を摘示したうえで、ご意見を伺いたい。また、一般の避難所との関係で福祉避難所をどう位置付けるべきか、その在り方について、ご意見を伺いたい。

【尾上委員】

●公共避難所として多く指定されている地域の小中学校が、ふだんから障害のある通学を想定していないためかバリアフリーでない状況にあるところが多い。避難所の居住環境が障害者に必要なバリアフリー等の配慮が無ければ利用することは困難である。また、障害に対する社会的な偏見や障害に基づく行動への理解不足から、避難所に障害者が住めない要因もある。

福祉避難所は、こうした現状への対応と思われるが、一方ですべての障害者や高齢者等が福祉避難所で対応できるわけでもない。また、元々の居住していた地域と異なる場所での生活とならざるを得ない。

障害者権利条約の理念(アクセシビリティとインクルーシブ)と障害者に配慮された環境が、非障害者にとっても住みよい環境となっている現実から、平常時から避難所となる公共施設(学校等)の設備や構造等についての見直しが必要である。

一般の避難所のバリアフリー化など、障害者をはじめ誰もが使えるようにすることと、あわせて福祉避難所を設置し、自らの希望に基づいて選べるようにすることは矛盾することではなく、平行して進められる必要がある。

【佐藤委員】

■さまざまな原因により、さまざまな情報が遮断される(手話通訳や要約筆記などが配置されないことも含む)ことによる不安、恐怖がある。

まず、避難所に行けばそこに信頼できる情報がある。そして、信頼でき相談できる人がいる。となれば、まずそこに人はやって来る。そこから次の展望を考えるステップとなる。

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

専門医との連絡・特殊な薬が欲しい・行政や病院介護事業所のどこどことの連絡をして欲しいなどなど…難病患者は、普通と違ったしかも切迫したニーズがあり、周りの人たちも大変だ…ということを目の当たりにして、居づらくなり避難所を出て自宅で過ごしたい」として在宅避難を選んだ患者があったということは先に記しました。

難病・慢性疾患患者のなかには、免疫抑制剤など、感染症に特に留意しなければならない患者もおりますが、上記のように、そういう患者自身から避難所で積極的に申し出づらいケースがありますので、こうした現状をふまえて、疾患への理解と対応策をたてることが必要です。

福祉避難所には、保健所・医療関係者とともに、難病・障害者当事者が参画することが極めて重要です。周りに気兼ねなく避難所で過ごせる環境づくりのためです。このための国としての措置が必要です。

【新谷委員】

短期(一時)避難所と長期避難所では、利用者の心構え・ニーズは非常に異なっており、性格を異にしていると考える。一時避難所は、緊急避難の場であり、数日間で退出を予定しているので、利用者も多く、求めるニーズも緊急対応と考える。長期避難所は一定期間の生活の場の性格を持っており、日常生活レベルのニーズが出てくると理解される。訪問した避難所では、個人のプライバシー保持が大きな問題となっていた。長期避難所に代わる仮設住宅建設、公営住宅開放、民間住宅借り上げなど、家族単位の生活を確保する対応が現実的と考える。

福祉避難所については実例知識が乏しいが、独立した福祉避難所の設営は、福祉避難所での設備・要員の確保、一般避難所から福祉避難所などへの移動の問題も考えると課題は多く、一般避難所に併設するのが実際的ではないか?

【関口委員】

ある避難所では、区長さんが避難所の責任者で在ったが、精神障害者や障害者が来た場合、対応出来るのは長くて2~3日とのお話をいただいた。

その意味で2次避難所の存在は重要であり、当初より衆知し、計画的に配置すべきである。

【中西委員】

避難所の居住環境に障害者に必要なバリアフリー等の配慮が欠けていれば、利用することは困難である。また、障害に対する社会的な偏見や障害に基づく行動への理解不足は、避難所に障害者が住みつづけられない要因となる。福祉避難所は、こうした現状への対応と思われるが、障害者権利条約の理念(アクセシビリティとインクルーシブ)からはあるべき環境とはいえない。障害者に配慮された環境が、非障害者にとっても住みよい環境となっている現実から、福祉避難所の環境整備が一般の避難所でも行われるべきである。そのためには、平常時から避難所となる公共施設(学校等)の設備や構造等についての見直しが必要である。

避難所などでの障害がある人への基礎的な対応のために、DPI女性ネットワークの「あなたのまわりにこんな方がいたら」(添付資料1)を作成した。アメリカの国土安全保障省)の避難所でのガイダンス(添付資料2)とあわせて、日本でのインクルーシブな避難所に関する資料として役に立つはずである。

【久松委員】

  • 一般の避難所を障害者が利用しにくいのは、避難者全員が被災者であるなかで、障害者だけを特別に支援してほしいとの要望を出すことが憚れるからである。しかし遠慮していては自分の生命が危険にさらされる恐れがある。
  • 避難した人が障害者に理解のある人ばかりではない中、特に障害の特長が見えにくい障害者の場合、要望を出すと周囲からわがままだとか自分勝手だとかの評価を受けるという現実がある。
  • 福祉避難所が実際に存在し、どのような支援をしているか把握していないが、聴覚障害者の場合は、福祉避難所に避難していることはないと思われる。理由は福祉避難所の存在とその意義に関する情報の提供がないことと、福祉避難所での情報保障がなされていないと思われる。
  • 現在の福祉避難所がどういう体制になっているのか。そこに避難したすべての障害者は障害に応じた支援が受けられるのか。特に看護等に日常的な介護を必要とする障害者はそこで十分な支援を受けられるのか。
  • すべての障害者への支援を満たせる福祉避難所を設置するのは現実的には困難ではないかと思われる。障害種別ごとに避難所で求められる条件を出し合い、福祉避難所に求められる機能マニュアルを作成する必要がある。福祉避難所をいくつかの障害種別ごとに設置することも必要と思われる。

③従来のサービスの維持、確保について

従来受けていた福祉・医療のサービスシステム自体が大震災で大きな打撃を受けた場合に、いかにこれらのサービスを継続的に確保するかが重要だが、この点に関して、被災事業者への物的または人的支援、または、従来のシステム回復までに緊急的に必要な対策といった視点から、ご意見を伺いたい。

【尾上委員】

●震災後、被災地の行政も社会的機能も喪失又は著しく低下した状況の中で、大きな力を発揮したのは、ボランティアを含むNPOの活動である。特に、障害者分野では障害当事者団体や各種障害者支援団体、地域の自立生活センターや作業所等々はいち早く支援活動を展開してきた。しかし反面、被災地の諸機能低下等のためNPO等の活用が不十分な状況も生じている。こうした現状から緊急時に被災地の主体的機能による対応が困難であることを想定した対策を講じることが必要である。

具体的には、日本障害フォーラム(JDF)及び関係団体が日常的な活動の中で、被災等を含む緊急時の対応策を国等の関係機関との連携も含めた関係や体制づくりを進めることが必要である。

●また、震災直後、ガソリン不足によりヘルパーが障害者宅に訪れようにも自動車を使うことができず、移動に困難をきわめた。医療機関等には、ガソリンの優先割当が実施されたが、訪問系サービスの事業所等においても同様にガソリン割当等の方策が講じられる必要があったと考える。

特に、阪神淡路大震災から16年を経る中で、訪問系サービスやグループホーム等、地域生活とそのための支援を目指して展開してきたにも関わらず、災害直後の緊急対応や復旧策の中では、地域生活への視点が欠けていると言わざるを得ない状況がある。

例えば、2011年4月26日付で厚生省社会援護局長名等で出された通知「東日本大震災に係る社会福祉施設等災害復旧費国庫補助の協議について」では、その対象を「障害者福祉サービス事業所(療養介護事業、生活介護事業、児童デイサービス事業、短期入所事業、共同生活介護、自立訓練事業、就労移行支援事業、就労継続支援事業及び共同生活援助事業を行うものに限る)」と限定列挙であげている。この通り、災害復旧費の国庫補助の対象から訪問系サービスの事業所が外されている

ヘルパー自体が被災するという困難な状況の中でも、地域の障害者の安否確認や被災地での支援を進めてきたが、そのことをどう評価しているのかという問題ともつながり、ぜひ、改善される必要があると考える。

●被災地からの要望を受けて、「概算払い」による請求を認めてもらっているが、通常業務のメドが経つまで(例えば一年間)は概算払いができるようにすること。

【勝又委員】

「被災事業者への物的または人的支援」は、障害者を対象にした事業者というのではなく、高齢者や児童など社会的弱者に密接に関係した事業者への支援という考え方が必要である。自治体や国で打ち出した対策が、一部の事業者にしか適用されないというようなことのないようにすべき。

事業者が被災して、地域で支援や介助が受けられない時、他の地域の事業者が一時的に当事者(サービス利用者)を受け入れる仕組みが必要。住民票が移動できなくとも、住民と同様の扱いをする必要がある。一方、支援を行う非被災事業者に対する公的支援(自立支援給付)も必要。

【川﨑委員】

地域生活に必要なすべてのサービスをアウトリーチの手法で提供していく「包括型地域生活支援アウトリーチセンター」の設置を上げることができる。

このセンターは、生活再建に向けての行政サービスを提供するだけでなく、その基礎となるからだの健康とこころの健康ついての保健・医療・福祉のサービスを提供することを役割とする。地域住民すべてをサービスの対象とし、特に障がい者など災害弱者となりやすい人を支えることを重視するシステムとする。サービスの担い手は行政だけでなく、一般市民やボランティアやNPO等の力をあわせる官民共同の取り組みとする。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

医療機関のスタッフの人的確保は最優先に考えてもらいたいと思います。電気、水などのライフラインの復旧には、非常用電源(バックアップ)を最低限の検査等ができるまでのものを日常的に確保すること。また在宅患者を支援している事業所が被災した場合のバックアップ体制や、自宅用の非常用バッテリーの確保、そのための基準をつくり、国が補助を行うべきであると思います。

また、保険証がなくとも医療が受けられることや、福祉サービスや医療を受けるための自己負担の免除を、厚生労働省は早くから決定し通知を出しましたが、被災地ではその通知がゆきとどくまでに時間がかかりました。これら、災害時における諸制度の当然の措置(合理的配慮とも言うべき)について、その都度、通知を出さなくとも各地で臨機応変に対応できるようなしくみを、今回を教訓に日常的に周知徹底(行政機関にも、国民に対しても)しておくこと。その他、医療については、やむをえず差額ベッドを使ったり、未承認の保険外医薬品などを使用した場合(安全性の確保には留意しつつ)など、状況に応じて災害救助法の救助の一つとして自己負担や医療機関の負担を免除できることなどのしくみの改善も必要です。被災した人工透析患者の通院経費(通院介助事業者の被災による通院困難も含めて)についても対象にすべきです。

診療報酬制度による、入院中の他医療機関受診の場合の減額制度については、早くから医療団体、患者団体からの要望があったにもかかわらず、厚生労働省はこの措置を解除せず、かなり経ってから、透析医療に限ってこの措置の解除を通知しました。医療全般にわたってこれらの制度の妥当性について、再検討すべきです。

<日本肝臓病患者団体協議会>

○肝炎治療特別促進事業への対応

肝炎治療特別促進事業により医療費助成を受け、C型肝炎のインターフェロン治療、B型肝炎の核酸アナログ剤治療を受療している方は、保健所等で把握していることから、治療継続の可否を確認して「治療継続の方法」「治療中断の措置」などを早急に案内する必要があると思われます。

また、新規に「医療費助成」の申請がされても行政機関が被災したことにより事務処理遅れがないのか、あるとすれば遡って処理をしていただくよう対応をお願いしたい。

○肝炎治療の体制確保

被災市町村のなかでは全医療機関が失われた市もあり、肝炎患者だけでなく、全ての患者が治療を受けるには極めて厳しい状況にあります。

また、医療機関が再開しても、主治医が亡くなった、医療機関の被災によりカルテが無い、通院のための交通手段が無いところもあり、被災前の治療を受けているかどうかの把握は難しい状況です。

もともと津波被災を受けた沿岸部は「肝臓専門医」のいない地域が多く、今後の対応が難しいと思いますが、早急にかかりつけ医も含めた「肝疾患診療ネットワーク」の再構築が必要と思われます。

また、他県の医師の支援などにより医療体制を作る計画があるようですが、肝炎治療を念頭に置いた医師の配置を考えて頂きたい。

肝炎患者は高齢化、重篤化が進んでおり、遠隔地への通院が困難な患者が多いことから、被災地域への専門医の派遣・応援を進める必要があります。

【関口委員】

厚生労働省に登録した福祉事業に係る応援職員の人件費及び滞在費を、被災地の受け入れ事業書が負担するものとする、厚生労働省平成23年3月22日事務連絡は、問題である。そもそも、被災して払える状況にないことは明白であり、国の責任で登録職員の人件費を出すべきと考える。

東日本大震災にかかる社会福祉施設等被害復旧費国庫補助の協議について(平成23年4月26日、厚生労働省雇児発0426第2号社援発0426第5号老発0426第1号)は、災害復旧にかかる費用補助の対象となる障害福祉サービス事業所から居宅介護事業所、重度訪問介護事業所等の地域生活支援にかかる事業所を除外しているが、本来は、地域生活を支える居宅介護事業所、重度訪問介護事業所等こそが、施設以上に費用補助の対象として認められなければならないはずである。

【中西委員】

●自立生活センターや障害当事者団体などの自助グループ、およびそのネットワークは被災時には行政のサービスの一翼を担った。日常的に彼らの組織やネットワーク強化のために、支援を行っていくことが大切である。

●阪神淡路大震災また東日本大震災においては、被災地の行政も社会的機能も喪失又は著しく低下した。医療機関は野戦病院化し、あわせて地域医療、訪問看護、介護サービスが機能不全に陥った。こうした状況で大きな力を発揮したのは、自立生活センターや障害当事者団体などの自助グループ、ボランティア団体などのNPOの活動であった。被災地の諸機能の低下のために、NPO等の活用が不十分な状況があったことは残念である。国は、日本障害フォーラム(JDF)などとともに被災障害者のためのガイドラインを策定してほしい。

【松井委員】

今回の被災地では生産や消費拠点が甚大な被害を蒙ったため、就労系事業所は利用者のための仕事が確保できず、そのため工賃も支給できないなど、就労系事業所としての就労・訓練機能の維持に大変苦慮している。この課題解決には、被災地における生産や消費活動の再開が不可欠であるが、それにはかなりの時間がかかることから、当面は被災地以外にある関係団体、事業所および企業等の協力を得て、仕事や販路を確保するという方法をとらざるをえないと思われる。

④新たなニーズについて

従来はサービスを受けていなかったが、身内や地域の支えを失ったり、急激に生活環境が変化することなどにより、新たに生まれた支援のニーズを緊急に公的サービスに結び付けるうえでの問題点や課題について、支給決定のプロセス、または新たな人材確保による雇用創出、さらには市町村財政の支援といった面から、ご意見を伺いたい。

【大濱委員】

原発での県外避難の例では、避難先では個々人の障害に合わない建物のため、居宅介護ヘルパーの必要時間が2倍3倍と必要になっている実態がある。しかし、避難元市町村はそれどころではないため、支給量の変更ができない。もちろん県外へ出向いての現地調査もできない。

対策としては、避難先市町村が調査して支給決定を行い、その費用は国が全額負担するなどの緊急措置が必要である。

また、原発以外の避難についても同様に、同一市町村内での避難において、避難先が障害にあっていないため、支給量が多く必要になる事態がおきている。

対策として、これについても、支給量の増加部分は、国が全額負担する緊急措置が必要である。

【尾上委員】

●家族介護中心で在宅で暮らしていた人は、普段から地域社会との接点が希薄で、やはり避難が遅れて犠牲になったり、助かっても、家族も一緒に地域社会から孤立していた人がいる。そのため、潜在的なニーズが震災をきっかけに顕在化した。こうした顕在化したニーズに対する支給決定と、サービス提供できる事業所をはじめ社会資源の整備が必要である。

●また、避難所は自宅とは環境が異なり、例えば自分用にカスタマイズした自宅では介護がなくてもトイレができたものが、避難所では介護が必要になったり、あるいは日中活動の場もなくなることで、その時間帯をヘルパーで対応する必要があるなど、必要とする支援サービスの種類と量が大きく異なってくる。こうした環境との相互作用によるニーズの変化に対応して身体介護・家事援助・重度訪問介護・行動援護等の支給決定サービス量を増やすことが必要である。また、そのことによるサービスの増大分は国庫負担割合を増やして、被災自治体の負担を軽減する必要がある。

●さらに、ヘルパーの被災等で人手不足が生じており、見なし資格の導入や、身体介護・家事援助・重度訪問介護・行動援護等に分かれている制度を暫定的にでもシンプルにし(例えば、長時間介護と短時間介護の二類型等)、必要な人に必要な支援ができるように柔軟な対応が求められる。

【新谷委員】

被災を受けた市民全体の視点から、支援ニーズを考える必要がある。被災市民、その中での災害弱者、その中での障害者という捉え方で、問題点や課題を抽出する作業が必要と考える。

【関口委員】

まず、生存に関わるニーズが満たされる必要がある。既存のサービス体系にとらわれるべきではない。個々の必要性に応じたサービス提供が必要で、その部分はNGOも担いうる。(食料、必需品供給、ピアカウンセリングなど)

精神的に不安定になっている被災者は多いことと思うが、だからといって、すべて精神医療に結びつけば、それでいいとは考えない。精神医療による二次的被害をうけるようなことは、あってはならないし、慎重に判断がされるよう、アドボケイトをつける事業を行うことが望ましい。

【中西委員】

●自立生活センターや障害当事者団体などの自助グループを強化することで、行政では対応しにくい緊急の変化に応じたサービスの提供が可能となる。

●現在障害者に対するサービスは、身辺介助、家事援助、重度訪問介助、通院介助、移動介助などに細分化されているため、被災地での緊急支援にはつかいづらい。せっかく支援できる人材がみつかっても、区分ごとに資格要件が異なるために活用できない。サービス体系と資格要件を簡略化、一本化することであらたなニーズに対応し、かつ雇用の創出も可能となる。

⑤行政と障害関連団体との連携について

災害が大規模であり、また広域にわたるものであればあるほど、市町村の行政機能にも被害が発生することを考えると、上記の課題を含め、行政とNGOとの連携が必要となってくるが、この連携に当たっての諸課題について、ご意見を伺いたい(特に、①については、情報公開とプライバシーの保護をどう考えるかも含めて)。

【大濱委員】

居宅介護利用者などの名簿は、市町村にしかない。

災害時の電話等も含むライフライン全滅後の各障害者自宅確認には、行政がNGOに(無償で)委託する形で、行政職員と分担または協力して自宅を回ってもらうなどの取り組みを行うように、国がガイドラインを自治体に対して示しておくべき。

【尾上委員】

●行政と障害関連団体の連携は、被災地の障害者支援に必要不可欠なものであり、上記の意見のとおり臨時的・断片的ではなく、日常的・継続的な関係づくりが必要。

●また、障害関連団体が被災地支援に関与するに当たっては、必要に応じて法制度を整備し、准公務員または業務委託等の形態により実施できる体制と根拠を確保する。

【川﨑委員】

難しい問題である。精神障がいについては、地域性も含めて極めて偏見が根強くある。できるだけ行政(保健師など)が対応することが望ましい。またNGOの構成メンバーが、PSWや看護師、保健師などであればもともと専門職であり、守秘義務もある職種の人たちであることから抵抗感も少なくなると思われる。信頼を得られるNGOであるかも重要。その上でのプライバシーの問題も解決できると考える。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

普段からの行政と当事者団体との連携・情報交流は、発災時の対応の質を左右します。行政が、当事者団体とともに災害時の「マニュアル」の策定、緊急医療手帳の保持、それによる訓練、災害時の連携方法などとともに、専門医療機関との有機的連携を構築しておくことが難病患者の場合はきわめて重要です。

プライバシー情報は、当事者の了解を得て市町・民生委員・電力会社・消防・水道局を包括する地域防災組織に事前に知らせておくことが望ましい。

<日本肝臓病患者団体協議会>

○行政の支援について

肝炎患者は病気による自覚症状が少ないため、被災を契機に治療を諦めて、止めてしまうことも考えられます。しかし、そのことにより将来、肝硬変・肝がんのリスクが大変高くなることから、行政として肝炎患者に対する治療継続の啓発・広報などが大切になります。

津波被災などにより家族・財産を失った方もおり、病気治療の意識低下、通院困難者も出て来ています。他の自治体の保健師などの支援を受けて早急に実態把握し対策をするべきだと思われます。

また、各県の「肝疾患相談センター」についても被災者対応を含めた相談が出来るような体制が必要です。

「肝硬変、肝がん患者」は特に、内陸部などへの通院、治療に多大の費用がかかっております。被災者はもちろんですが被災しない方にも、長い期間、治療費・通院費の支援が必要と思われます。

【新谷委員】

避難の在り方はハザードによって異なり、その実効性は事前の訓練によるところが多い。ハザード情報は避難準備情報(要援護者避難開始)、避難勧告、避難指示の区別があるが、ほとんど市民レベルには周知されていない。行政による訓練に加え、NPO・障害者団体が共同して災害リテラシーを高める必要がある。また、ハザードマップが自治体ごとに作成されているが、障害者団体も絡んでバリアフリーマップとの相互乗り入れが必要と考える。

一般避難所、福祉避難所の在り方についても、事前計画への当事者団体の参画が必要で、運営にあたってのNPOとの協力体制も同様と考える。

【関口委員】

精神障害者(手帳や自立支援医療費の受給をしていない者で、精神科から医療保険の請求があった者)の個人情報がリストになることは、精神医療の対象に結び付けられ、結果として不利益になる場合が想定される。

そのため、情報公開というよりは、行政が丸抱えしないように、障害者団体及びNGOを行政の一部を担わせたり、公的な支援制度の中に位置づけるなどして、活動を進めやすいようにすべきと考える。(本人の了解を取った上でNGOに繋ぐのが望ましい)

【中西委員】

  • 行政と障害関連団体の連携は、被災地の障害者支援に必要不可欠なものであり、臨時的・断片的ではなく、日常的・継続的な関係づくりが必要である。
  • 障害関連団体が被災地支援に関与するに当たっては、必要に応じて法制度を整備し、准公務員または業務委託等の形態により実施できる体制と根拠を確保する。

【久松委員】

上記4と同)

※日ごろから障害者の実態を行政として把握し、障害種別ごとにどのような支援が必要かを障害者団体と協議してマニュアルを作成し、緊急の場合に備える必要がある。

※災害が起きた場合、行政だけで障害者支援をすることは不可能である。民間であっても、活動実績がある障害団体には障害者名簿を開示して協力を求めるべきである。特に在宅の障害者の場合、情報がなく、手段もない場合、取り残され生命の危機に陥る危険がある。すべての団体とは言わないので、日頃から障害者団体との連携を密にし、情報開示団体を決めておくことが必要である。

※障害者支援についてはそれを支える支援団体との連携が必要である。社会福祉協議会は全国組織を持っているが、今回の震災で障害関係についてその機構が活かされているとは言い難い。日頃から障害者団体と地域社会福祉協議会との連携について、役割分担を文書で確認しておくべきである。

※支援に当たる民間団体は資金がない。本来は行政の役割であるところを民間が役割の一部をになっていることから、行政からの支援が困難な場合は、共同募金会等寄付団体からの支援を行政または国が繋ぐべきである。

※避難所については、震災の規模等で一概には言えないが、障害別の避難所を検討してもよいのではないか。

【松井委員】

被災により市町村の行政機能が弱体化しているなかで、支援にたずさわる障害関係団体も含む、さまざまなNGOを市町村がコーディネートして、障害者も含む、被災住民の支援ニーズの充足をはかることは困難なことから、NGOサイドで市町村の協力をえながら、そのための仕組みづくりをする必要がある。その際、とくに留意すべきなのは、障害関係団体だけでなく、メインストリームのNGOも被災障害者への支援に積極的に携われるよう、障害関係団体と密接な連携をはかることである。