音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

特集/検証・市町村障害者計画

自治体の声

北海道滝川市

障害者の支援機能が不足

庄野雅洋

 滝川市は北海道のほぼ中央、札幌市と旭川市の中間にあり、石狩川と空知川の合流点に広がる人口4万8000人の市で、旧産炭地域と農業地域で構成される「中空知広域圏」のサービス業務都市としての役割を持っている。
 障害者数は身体障害者が2145人、知的障害者が212人、精神障害者が548人(いずれも平成8年度末現在)となっており、身体障害者通所授産施設と知的障害者の通所更生施設はあるが、入所施設はなく、障害者の社会参加や在宅を支える機能は十分な状況にはない。

計画策定は単独事業で

 平成8年度から「障害者計画」の策定に取り組んでいる。当初は国のモデル事業で策定する予定であったが、他のメニュー事業と併せた取り組みを求められたことから、モデル事業は断念し、市の単独事業として九年度までの2か年事業とすることとした。
 初年度はバリアフリーの実態調査やアンケート、障害者団体からのヒアリングを行い課題の把握を行ったが、障害の種別、程度などにより課題は重く多岐にわたっている。急いで作らなくて良かったというのが正直な感想である。

障害者は高齢者の次
―計画づくりを困難にしているもの―

 市町村の計画策定が進まないのは「老人保健福祉計画」のように「作成義務」ではなく「努力義務」となっていることである。市町村の役割を重視し主体性を持ってもらうためというのはありがたいが、障害者施策に本腰を入れて取り組むには、高齢化・少子化施策が一段落しなければ取り組めないという厳しい財政的問題がある。「努力義務」は市町村にとっては有り難いというのが本音ではないだろうか。
 実際本市においても、老人保健施設の整備、保育所の建て替え・大規模改修といった事業による財政負担が障害者計画の実効性を明確にできない要因ともなっている。

必要な財政的支援と広域的連携

 計画を作り、その実現に向けて取り組むのは当然ではあるが、自主財源の面から計画の実効性を確保することは非常に厳しい。
 市町村の自主性を財源にまで求められても人口の減少と高齢化が進む地方都市では無理がある。地方分権や規制緩和も必要ではあるけれど、福祉の分野においてはまだまだ国の財政支援が欠かせない。
 また、市町村が個々に計画を作るのではなく複数の市町村、都道府県と一緒になって、日常の生活圏を単位とする広域障害者計画を策定してはどうか。そうすることにより都道府県、圏域、市町村の役割も明確になり実効性を高めることができるのではないか。
 実際に精神保健施策や障害者の雇用、施設の受け入れ、医療といった分野は広域的に進めている訳で、もっと多くの障害者施策が広域的に結びついてもよいのではないか。
 ただし、その中心にいるのは障害者であることを忘れてはいけないと思っている。

(しょうのまさひろ 北海道滝川市保健福祉部福祉課)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年6月号(第17巻 通巻191号)16頁・17頁