音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

工夫いろいろエンジョイライフ

車いす【4】
●住む●
身近な便利品利用で、快適住空間

提案:鈴木徳子(ヘルプ協会・立川)
イラスト:はんだみちこ

1.壁のキズのガード役

 車いすでの室内の移動には壁の傷がつきもの。フットステップのぶつかりキズだけではなく、時々タイヤの跡の縦縞まで側面の壁に付いてしまうこともあります。特に白い壁紙についてしまったりしたら最悪。せっかくの素敵なお部屋も台なしになってしまいます。そんな時、今はやりの約30センチ四方の組み合わせ自由のカーペットを使ってみてはどうでしょうか。最近は100円ショップでもよく見かけます。以前はキルティングの生地などでカバーしていましたが、どうしても弱く一度ぶつかってしまうと綿が出てしまうこともありました。付ける時は両面テープまたは隠し釘(とても細く目立たない釘)を使ってキズを付けやすい場所に丁寧に貼ってみてください。同じ高さに帯状に貼ってみてもなかなかインテリアとしてもアクセントになります。アパートなど賃貸住宅では「現状復帰」が原則。そんな時のガード役として、ぜひ使ってみてください。

2.家具の簡単移動

 部屋の中を見渡すと移動する時のさまざまな「障害物」になる家具材(だけではありませんが)が、たくさんあります。しかし、生活上必要な家具材はそろえなければなりません。極力床に物を置かないように注意しても限界があります。そんな時役に立つのが、椅子の四足等の下につけることのできる家具滑り剤!!
 いろいろなタイプの物が出ていますが、用途や大きさに合わせてカッティングできるものをお薦めします。たとえば、冬場のストーブ。ストーブの床面と接する場所に4枚程度貼りつけるとあら不思議? 簡単に移動することができます。車いすのフットステップの先に引っ掛けるだけでも簡単に動いてしまいます。他にもチョットしたマガジンラック、椅子・テーブルの足、本棚の床面等など、とりあえず部屋に配置してあるいろいろな家具材に貼っておくと、簡単に移動させることができます。
 部屋の中はいつも動線に注意しながら快適に配置したいもの。部屋の間取り、形に合わせ、自分にとって快適な空間を作ってみてください。

3.てこの利用でドアの開閉もラクラク

 どうしても車いすの位置からは、上下左右の稼動範囲に制限が生まれてしまいます。環境制御装置などすべてリモコン操作など、直接手を触れなくても自分の意思どおり動くような仕組みを作ることも可能ですが、それにかかる費用、制御範囲など、やはり限度があると思います。そんな時、小学生の時に習った理科のてこの原理や滑車などが役立ちます。
 たとえば玄関のドア。昔の家なら引き戸が多く開け閉めが簡単だと思いますが、今は開き戸が一般的です。車いすに座った状態からだと「PULL(引く)」はとても苦手な作業です。もちろん自動ドアにできれば何の問題もありませんが、普通の家屋で自動ドアというのはまだまだ一般的ではないと思います。まして賃貸住宅では数少ないと思います。そんな時滑車と紐を使い、家の中からドアを閉めてみるというのはどうでしょう? 手前に向かわなければならない力の矢印を上から下への矢印に変えてみるのです。こんなふうにちょっと考えてみるといろいろと応用できると思います。昔に戻って、家の中で理科の実験をするように試してみてはいかがですか?