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1000字提言

新しい音声メディア「SPコード」

岡本昇

 「SPコード」は切手サイズほどの面積に800字の活字情報を記録できる2次元コードで、紙などに印刷して使用する。これを読み取って音声で再生する装置を重度視覚障害者が購入する際、平成15年度から厚生労働省の日常生活用具給付事業によって助成が受けられるようになった。今後、自治体の広報などさまざまな分野での活用が期待されている。助成対象が重度視覚障害者に限定されているが、SPコードは今後、弱視者や高齢者、外国人にとって利用しやすくなっていくのかが気になるところだ。
 SPコードが一般に浸透し身近な存在になるにはどうすればいいだろうか。弱視者の立場から考えてみた。
 スーパーマーケットなどで買い物をするとき、私は店員さんに援助は依頼せず自分で商品を探して品定めをする。援助を依頼すれば買い物は楽になり助かるのだが、買いたいものをあらかじめ決めておかなければならないし、じっくりと商品を比較して考えることができないからだ。買いたい商品の場所へはあまり苦労せずにたどり着くが、それから後が大変になる。複数のメーカーが似たような商品を発売していると、その特長や分量などを知りたいと思うのだが、パッケージはハデな写真や装飾文字が多くて読みにくい。絹豆腐と木綿豆腐を間違えたり、レトルト食品だと思って買ったら、実は調理が必要だったり、失敗することがよくある。
 食料品や日用雑貨のパッケージにSPコードが印刷され、それを手軽に利用して商品の情報を得ることができれば、このような失敗は少なくなると思う。商品棚の近くにSPコードの読み取り装置を設置し、商品を近づけるとその説明が音声で再生されるようにはならないだろうか。問題となるのは費用。バーコードのように、パッケージに印刷できるようにするには環境整備が必要だ。また、店内に設置する読み取り装置も同様で、莫大(ばくだい)な費用がかかる。
 商品棚の近くで新製品のCMビデオを見かけることがあるが、SPコードも音声で商品名や特長を再生するものなので、宣伝効果があるのではないだろうか。そのような理由で、メーカーにCMの一環として費用を負担してもらうようにすればと勝手に思い描いている。
 SPコードが特別なものではなく、身近で便利な存在になっていくことを期待している。

SPコード

(おかもとのぼる 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター職業訓練部)