特集/自立生活 学校から成人生活への移行

特集/自立生活

学校から成人生活への移行

──イギリスの「ウォーノック報告」および「特殊教育に関する政府白書」から──

小鴨英夫 *

はじめに

 今から3年前の1978年5月、イギリスでは障害児童・青少年の教育問題に関する政府委員会の答申-「ウォーノック報告」(Warnock Report)が、教育科学大臣に提出されていたが、この答申に応えて、政府は今後の特殊教育に関する政策・立法の方向を示した政府白書-「教育における特別のニーズ」(Special Needs in Education)を昨年8月に公表した。

 ここでは、先ず、ウォーノック報告の概要をかかげ、次に「学校から成人生活への移行」の章を要約し、最後にこの委員会報告を受けた政府の対処(考え方)と提言を紹介する。

 1.ウォーノック委員会報告

 1973年11月、当時、教育科学大臣であったマーガレット・サッチャー女史は、スコットランドおよびウェールズ相、社会保障および雇用大臣と協議の上、次のような個条について委託する委員会の設置を提案した。

 「心身障害児童・青少年に対する英国の教育制度に再検討を加え、同時に、これら青少年の就業対策を含む医療面の改善策を考慮し、併せて以上の目的に沿った予算人員の最も効果的な配分等の方策について調査し、所要の勧告を行うこと。」

 調査委員会は1974年に設置され、委員長にウォーノック女史(オクスフォード、セントヒューズカレッジ上席研究員)が就任し、委員には特殊教育の各分野から26名が任命されている。それらの委員は、地方教育行政当局の担当者、特殊学校の管理者、総合制中等学校の管理者、小児科医、精神科医、教育心理学者、オープンユニバーシティの教授、ケンブリッジ教育研究所、教員組合、障害児の親の団体の代表などから構成されている。

 調査委員会は、1974年9月、第1回会議を開催し、1975年の初めに小委員会制(sub-committees)を整備し、調査活動に入り、およそ2年半にわたる調査の後、1977年5月に各小委員会の調査を終了した。小委員会は、①就学前、障害幼児の教育課題、②障害児の統合教育、③特殊教育諸学校の役割、④義務教育を修了した障害生徒の教育課題、⑤特殊教育の教員養成、研修計画、の5小委員会が設置され、問題別に現況と改善点を審議した。

 翌1978年3月、ウォーノック委員長による本報告書が、シャリー・ウィリアムズ教育大臣宛提出された。委員会報告の内容は、全部で19章とそれに序論と勧告の要約を含んだ400ページから成るものである。

 本報告が提案する重要な柱の1つとして、障害児の義務教育の年限延長の勧告をしている。これは、従来の5歳から16歳までの義務教育期間の前後に、就学前教育と職業・社会生活指導(careers guidance)の課程を置こうとするものである。

 就学前教育は下限年齢を設けずに出生後、できる限り早期から開始する。この時期の主たる教育者は両親であり、地方教育当局は両親に対し、専門的立場から援助を行う。

 しかもこの2つの新しい課程は、義務教育と継続、一貫性をもたせて1人ひとりの障害児が、誕生から社会に出るまで教育界の責任で適切な発達の保障をすべきであるというものである。このため、施設設備の拡充、たとえば保育学校の増設、重度障害幼児に対する特殊保育クラスおよびユニットの設置、地域高等職業訓練所や成人訓練センターの建設、または、大学、総合技術専門学校(ポリテクニク)、進学の相談・援助センターなどの物的条件や人的資源の動員体制について数多くの提案をしている。

 2.「学校から成人生活への移行」(The Transition from Schools to Adult Life )

 (1) 評価と職業・社会生活の指導

 ①ニードの再評価

 学校では、卒業が近づいた生徒に対して、本報告書の第4章で述べられている評定の手続きが適用される。

 (第4章は、「発見、評定、記録」についての章である。ここでは、特殊教育の対象児について在学中に記録を最新のものに維持し、進歩を評定するために適当な回数の評定が行われるようにすることが述べられている。そのため地方教育当局にすべての年齢の児童生徒に対し、多様な専門的診断を行う権限を与えること、作成された記録の秘密保持、記録に関する地方教育当局の措置に対する両親の権利などについて提案している。

 対象児の評定は、原則として専門家チームが担当し、状況に応じて5段階制の評定を採用すべきであるとしている。児童生徒の進歩は少なくとも年1回、学校在籍期間中、少なくとも3,4回、地方教育当局の責任で実施され、本人の記録として残される。この教育記録は、専門家の検討に備え、学校の責任で常備されなければならないとされている。)

 そのため、この数年間に、学校で特別の教育的ニードが必要であることが明確になったものについて上述の手続によって評定が行われる。ある生徒の場合、青年期になって初めて確認されることもあるし、また、疾病や事故によることもある。在学中に特別の教育的ニードが発見された生徒の場合、職業・社会生活指導(careers guidance)を早く開始し、生徒が学校を卒業する前に特別なニードを再評価しなければならない。そのため、この点について、学校を卒業する少なくとも2年前から生徒別の特別のニードについて、再評価が実施されるよう提案がなされている。また、この際、特別のニードの再評価の過程では、常時、職業・社会生活指導者を中心とし、教育、保健、社会サービスに関する専門家も通常、これに参加するようにしている。そして結果が明らかになったら、特別のプログラムが専門教師や他の専門家の間で検討され、その生徒の将来に必要な各種サービスが継続して実施されることが保障されるようにしている。

 ②職業・社会生活の指導

 特別のニードをもつ青少年に対して行う職業・社会生活の指導に関する準備はいまだ不十分の状態である。これは障害を有する青年から受けた次のような事実からも明らかである。すなわち彼らが在学中に、職業・社会生活指導を受けている場合でも、彼らは障害の程度にかかわりなく彼らに適した、あるいは不適な職業があるという固定観念を抱いていることが明らかにされた。また彼らは種々の障害とか異常に関する問題に対して直ぐに専門家との相談が利用できないこと、特に一般の学校に在籍している障害児の場合に、そのような不満があることがわかった。障害を有する生徒がたとえ一般の学校でうまく統合されていても、彼は依然として継続教育か、高等教育を受けるか、訓練かの決定についての専門家の援助は必要であるということが、教師や両親たちに常に認識されているとは限らないからである。

 そのため、年長の生徒が在籍している特殊学校では、職業・社会生活指導に責任をもつ教師が配置され、またすべての一般の中等学校には、種々の障害や異常を有する児童生徒を理解するため特別の訓練や専門的知識、技術を有する職業・社会生活指導教師を少なくとも1名は配置すべきことを提案している。

 なお一般的指導として少なくとも学齢人口5万人につき1名の常勤専門家としての職業・社会生活指導担当官を置くようにしている。そして、職業・社会生活指導の教師や担当官は、必要に応じて特別の教育的ニードをもつ生徒の両親を訪問し、その生徒が継続教育もしくは高等教育へ進むか、訓練か就職かを決定するための相談の機会をもつことを併せて提案している。

 ③成人生活への移行に対する学校における準備

 特別の教育的ニードをもつ生徒が一般学校に在籍していようと、特殊学校に在籍していようと、その生徒が基礎的、教育的技能を獲得することは大変重要なことである。そして同時に彼らに雇用の機会を現実に知らせるために、社会的能力の発達や職業的関心を喚起させ、将来の生活への希望が達せられるよう援助することは大切なことである。

 障害が重度で働くことのできない生徒の場合は、買物とか公共輸送を利用するといった日常生活の基礎的指導が一つ一つ行われなければならない。

 更に特殊学校で全教育期間を過した生徒には孤独の感情に打ち勝ち、成人生活に対するために特に障害をもたない人々と出来るだけ毎日の活動を共にするような特別の努力が払われなければならないとしている。

 ④補習コース(Linked courses)

 このコースは学校と継続教育を実施する大学とによって共同で計画されたコースであり、生徒は半日から1週2日の間で大学で過すのであるが、このことは生徒に継続教育の可能性を導くと共に彼らの視野を広めることができる有効な方法であるということができる。

 ⑤就労の準備

 義務教育修了後、直ちに就職を希望している生徒の場合、雇用に必要なもの、労働条件などの識見を獲得できるよう計画された就労の準備のための重要な単元を、カリキュラムの決定の際に、設定することを提案している。

 (2) 義務教育修了後の青少年に対する教育的準備

 障害をもつ青少年の大部分は、16歳で形式的な教育は修了する。1977年1月現在、イングランド、ウェールズの特殊学校に通学している15歳の生徒は15,019人であるが、16歳では教育を受けるものは5,945 人、17歳では、1,069 人に減少する。更に、National Children's Bureauの調査では、義務教育修了後、更に進学したり、継続教育(further education )を受ける割合は、障害者の場合、障害をもたない者のおよそ5分の1である。

 ①学校における準備

 特別の教育的ニードをもつ生徒に対して、規定年齢(16歳)以上の留年制の緩和をすること、また中等教育を6学年制(sixth form)や6年制カレッジに近づけるよう提案している。

 ②継続教育(Further education)

 特別の教育的ニードをもつ生徒に対して、継続教育を実施するためには、種々の準備が必要である。どのような場合でも職業・社会生活指導がすぐに利用できるものでなければならないし、職業・社会生活指導担当者は、教育的プログラムの作成に参加しなければならない。多くの障害青少年にとって継続教育を設置することは、彼らにとって一般の教育を続けるための学校よりも適切な境遇と思われる。教育的な到達度や社会的能力が低い卒業生は、読み、書き、数の基礎技能が不足しているので、継続教育のコースを準備することによって彼らに援助を与えることとなるのである。この種のコースは明らかに特別のニードをもつ生徒に大きな価値を有するものであり、彼らから広く利用されることが望ましいのである。

 継続教育のあり方として次の諸点について提案がなされている。

 ・特別のニードをもつ青少年は、継続教育の普通コースに出席できるように必要な援助を与えるべきであること。

 ・特別のニードをもつ青少年のために、一般の継続教育コースを修正した継続教育が設けられるような試みを実施すること。

 ・継続教育のいくつかのコースに、特別のニードをもつ生徒のための実地レベルでの特別職業訓練コースや社会的能力を育成し、自立するための特別訓練コースを準備すること。

 ・各地域内に継続教育を設置した場合、より重度の障害をもつ青少年のために特別コースを用意した特別ユニット(special unit)が少なくとも1つ設置されること。

 ③高等教育

 いくつかの大学や総合技術専門学校では、障害をもつ学生が高等教育のコースを遂行できるような処置をとっている。例えばSussex大学では身体障害学生のために、医療施設をもつ住宅ユニットやろう学生のために施設を用意している。公開大学(open university )も常に障害学生のために特別の準備をしている。

 すべての大学や総合技術専門学校では、高等教育の他の施設と同様に、障害をもつ学生の入学に関する方針を示し、公表しなければならない。そして、入学許可をした人々のために職業・社会生活相談を含め、福利や特別のニードに合致した組織的準備をしなければならないと提案している。

 ④成人訓練センターおよびデイ・センター

 すべての成人訓練センターやデイ・センターでは、特殊教育的単元を設定し、教育サービスは、その準備に責任をもたなければならないとしている。

 ⑤病院施設

 地方教育当局は長期の医療ケアを要する青少年の個別ニードに合致するよう継続教育プログラムの作成をしなければならない。

 (3) 就職のために訓練、準備そして未就職青少年に対する措置

 ①訓練

 雇用主と密接な接触を保っている産業訓練委員会(Industrial Training Boards)は、障害者のための雇用や訓練の機会を用意するよう雇用主を奨励する役割を果たすべきであること、また、障害をもつ青少年のために彼らのニードに合致した地方に置かれたTSAコース(訓練サービス協会のコース)が取得できるようなより多くの機会が用意されることを提案している。

 ②未就職青少年に対する特別措置

 1977年6月、政府はMSC(人的資源サービス委員会)に対し、16歳から18歳の未就職(失業)青少年のために機会を与えるための新プログラムを提出するよう要請した。MSC特別調査委員会のレポート「青少年と労働」に基づくプログラムは、青少年の間に失業という最悪の結果を軽減するためにつくられたものである。このレポートでは、1980年代には失業の高率がなお持続することを予測している。

 ③就職に対する準備

 ESA(雇用サービス協会)は26の雇用リハビリテーション・センター(ERC)を維持しており、そこでは、傷害、疾病や長期失業などのため、職を得ることが困難な人々のために個別に作成されたコースを設置する。このセンターはこれらの人々のために職業的評価を実施したり、技能や適応性や関心などを判定する専門的、技術的熟練者を有している。ここでは成人とともに青少年も入所しており、1976年には、入所者15,500人のうち、16歳から18歳のものが2,250 人を占めていた。

 (4) 就職

 ①庇護的雇用(sheltered employment)

 庇護雇用は障害者のうち障害が重度で他の方法によっては雇用され、または自営する可能性のないものに対して、特別な条件のもとで終生雇用を維持、賃金を得させる特別の雇用施設を準備している。これに当たるものとして、レンプロイ社(Remploy )や地方公共団体や有志の団体により経営された障害者のための庇護授産施設などがある。

 庇護授産施設の中で用意される作業は技術的に高いものであるが、その多くはきまりきった請負い仕事である。しかし庇護雇用は彼らの手の技巧や社会的能力を発達させることができ、障害青年を援助することによって彼らは自信をもち、一般への就労への道に目を向けさせることができるのである。現在、庇護授産施設は準備が不十分であり、特に地方ではそうであり、より多くの資財や努力がその施設の拡張のために要求されている。また障害をもつ青少年が利用できる寄宿制施設の利点をより一層助長されなければならないと考える。更に庇護授産施設は障害をもつ出来るだけ多くの人々に、一般就労が可能となるようにつくられた活動を盛り込んだ進歩的なプログラムを導入すべきことを提案している。

 ②成人訓練センター

 精神薄弱者のための成人訓練センターでは、庇護授産所と同様に、きまりきった請負い作業がなされ、彼らの多くのものはただ気晴らしの社会的活動をやっているに過ぎないといわれている。成人訓練センターは、庇護授産所と同じく、出来るだけ多くの人々が一般就労ができるようにするための活動を盛り込んだ積極的なプログラムが用意されなければならない。

 ③その他の作業センター

 身体的に重度の障害のため、レンプロイ工場や地方当局が経営している庇護授産所では受け入れられない青年たちが、かなりの数に達していることが明らかにされている。しかし彼らはデイ・センターや成人訓練センターへの参加では知的に満足しない。彼らは労働を希望し、週給による通常の方法での労働による報酬を希望している。

 また社会的にも情緒的にも未成熟で、不適応を示す軽度教育遅滞と分類される青少年たちもかなりの数存在する。

 Spastic Society (脳性まひ協会)やこれらの青年たちのニードに合致するようつくられた地方グループがある。これらの主なねらいは就職の準備のできていない者や障害が重く普通の生活ができない者に働く機会を与え、彼らはわずかの賃金を受けとり庇護授産所とか一般への就職へ移る前に種々の経験が与えられる。

 (5) 援助サービス

 ①指定相談員(Named Person)

 その青年の障害が重度もしくは重複している場合に、職業・社会生活指導担当官か専門員は、その特別なニードをもつ青年およびその両親の相談に応ずる指定相談員の業務を実施する。

 ②個別カウンセリング

 特別のニードをもつ青年やその両親に対して、保健や社会保障なども含む多面的な個別カウンセリングを強化すること、また特別のニードをもつ青年に対して、どのように性についてのカウンセリングを与えたらよいかについて調査を行うとともに、カウンセラーやその他の職員の訓練を実施することを提案している。

 ③財政的援助

 地方教育当局は障害者で後期中等教育および高等教育への進学者および成績優秀な青年に対する奨学制度の拡充を図るよう勧告している。

 ④設備と補助具

 障害者の使用する補助具のデザインや設備についての諸調査を実施することと全国的に障害者のための補助具の準備を促進すること。

 ⑤移動

 16~17歳の障害者の旅行や仕事のための移動の際の援助を強化すること、を提案している。

3. 政府白書「教育における特別のニーズ」
   (Special Needs in Education)

 政府の今後の特殊教育に関する政策・立法の方向を示した政府白書は、1980年8月公表された。白書の内容のうち、「学校から成人生活への移行」と関連のある項目である「16歳以後」(Post 16 )、「高等教育」(Higher Education)についての政府の考え方、提言をとりあげた。

 (1) 政府の対処

 ①16歳以後(Post 16 )

 政府は、ウォーノック委員会が特別の教育ニードをもつ青年の成人生活への移行に与えた重要性を受け入れている。その適性に応じて継続される教育や訓練へ向う道を選ぶ選択肢は、できるだけ広くあるべきである。

 ある生徒にとっては正しいコースは、学校に残るか、更に上の継続教育のカレッジに移るかであろうが、他の者はMSC(人的資源サービス委員会)が資金供与するコースを利用して公開もしくは庇護雇用へと主に続くような教育および訓練で援助する一連の制度を世話することができるようにすべきである。MSCは現在ほとんどの雇用リハビリテーション・センターで青年勤労準備コースを提供している。地方教育当局はこれが実行可能なところでは、成人訓練センター、または、デイ・センターに出席している者、または病院に残っている者のために継続して教育する上で協力する用意を行わなくてはならない。

 ②高等教育

 ある生徒は、高等教育機関に入学するために適用される資格を十分に持つであろう。いくつかの総合大学、総合技術専門学校ないし他の高等教育施設は、ウォーノック委員会の勧告の線の上で特別なニードを持った学生のための取り決めを開発させ発行してきた。このことは重度障害生徒を適切に協力していくための施設の集中または、合理化を意味している。政府はすべての施設はいかにして現存の資源の中で、更なるプロセスが成就できるかを考える。それもかかわりある敷地や建物の多様性を記憶してである。

 (2) 政府の提言

<16歳以後>

 ①特別な教育ニードをもった児童が義務教育年齢に達したとき、親-親以外のものではいけない-は、その教育と訓練について重要な決定に直面する。政府は、ウォーノック委員会の勧告を義務就学の最後の年における職業教育や進路指導に承認している。しかしカリキュラムのこの面に与えられた優先権は、それに対する他の圧力のかたわらに考えられなければならないということを認めている。

 学校にいる青年が卒業年齢に近づくにつれ職業指導および雇用に関するガイダンスの提供、障害青年に対する継続教育および訓練、職業指導教師との密接な協同作業に重要な役割を演じている。

 継続教育および職業訓練の可能性は、かなりの程度に個々の子どもの特殊教育ニードの性質および程度に左右される。政府は一連の機会が実行可能なものの限界の範囲内で、特殊教育ニードをもつ青年にも他の者と同じように総合的なものであるべきだと思っている。そのうちのある者は公の試験まで続くコースをたどりたいと思うであろう。普通の学校にいる者は当面の普通の取り決めに従い、その学業を続けることができよう。特殊学校にいるある生徒は適切な取り決めがなされうるなら16歳以後も止まるか、中等学校最上学年たる第6学年または第6学年の高等教育に加わることも、そうすることから利益が得られるというなら出来るようにすべきであろう。しかし、他の者にとっては学校を卒業し、他の場で教育や訓練を求めることがより有益であろう。

 これらの青年はその必要とする援助をその上の教育システムに求めることができるべきである。

 ②継続教育を治める法の弱点は、障害生徒のニーズに何ら特別な言及をしていないことにある。政府は、同法を特別な教育ニーズをもつ学生のために明確にする必要を認めている。しかし、このことは大臣が地方当局の連合体と協議を始めている継続教育を統治する法的枠組のより広い再検討の一部としてなされる必要があろう。一方で地方教育当局や高等教育機関のますます多くが生徒の特殊ニーズを満している。あるカレッジはウォーノック委員会の勧告の線に沿って特殊教育ニーズをもつ生徒にあったコースを開発するについて立派な事業を示してきた。そして身体障害学生のためのコースをより容易に参加できるようなカレッジの施設を取り入れることにいくつかの発展がみられた。このような機会の大規模な拡大は現在の経済情勢では可能ではないだろう。しかし政府は地方教育当局が地方的にも地域的にも措置の規模や多様性を増す方法を検討しつづけることを希望する。それはこの分野のボランタリー団体の重要な貢献を考慮に入れているのである。

*淑徳大学教授


(財)日本障害者リハビリテーション協会
「リハビリテーション研究」
1981年3月(第36号)15頁~20頁

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