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特集/精神障害者のリハビリテーション

共同作業所の実態とその役割

─精神障害者の働くことの意義について─

藤井 克徳*

岩崎 晋也**

1.はじめに

 「加盟各国は、職業リハビリテーション及び雇用に関する国内政策を策定し、実施し、かつ定期的に見直すものとする」「この条約の規定は、すべての種類の障害者に適応する」。これは、ILO159号条約-職業リハビリテーション及び雇用(心身障害者)に関する条約(ILO第69回総会採択・1983年6月22日)の一節である。残念ながら我が国の障害者のための職業リハビリテーション対策は、前掲した159号条約ならびに同時に採択された168号勧告に照して、決して妥当なものとは言い難い。わけても精神障害者に対する立ち遅れは極めて顕著である。ここにきてようやく政府(労働省)は、重い腰をあげ、159号条約を次期通常国会で批准する旨を言明した。同時に「障害者の雇用の促進等に関する法律」を一部適用(納付金制度にもとづく助成対象)することも発表した。これらの動向自体は歓迎できるものであるが、実効のほどはなお疑わしい。

 一方、厚生行政が所轄する、福祉的就労対策はどうであろうか。鳴り物入りでスタートした精神保健法において、はじめて授産施設が法定化された。その拡充が注目されたが、どうも思わしくない。1991年9月1日現在、その設置数は全国で、32ヵ所、総定員数も約700人で、福祉的就労の場を希望する者の実数からすれば、ほとんど応えきれていない。こうしてみていくと、労働行政・厚生行政いずれも精神障害者に対する職業リハビリテーション対策はふがいない状況にある。先行した身体障害者や知的障害者に対する職業リハビリテーション対策は、ここに至るまで長い歳月を要し今日なおおぼつかない状況にあることを併せみると、精神障害者に対するそれは、なお遼遠の彼方というのが実感である。

 こうしたなかで、相変わらず増勢を続けているのが共同作業所である。1970年代なかばから展開され始めた共同作業所の設置運動は、80年代に入って本格化し、1991年8月1日現在、精神障害者を対象とし、かつ都道府県・政令指定都市の補助対象となっている共同作業所として609ヵ所を確認した。法定外施設であるものの、今や現実的な社会資源として欠くことのできない存在となりつつある。働くことの有効性については、精神医学ならびに作業療法の歴史に徴して明瞭であるが、共同作業所での活動は、これを立証するものであり、精神障害者対策の今後に一石を投ずるものになってるのではなかろうか。

 以下、本稿では精神障害者にとっての働くことの意義に力点をおきながら、共同作業所の実態ならびに今後のあり方等について言及したい。

2.共同作業所の実態

 有効な役割を果たしている共同作業所であるがその実態となると必ずしも明確ではない。これまでも各種の調査が実施されているが、いずれも概要の掌握に力点がおかれ細部におよぶものになり得ていない感がある。ここではサンプル数を絞ってできる限り詳細にその内容を明らかにすることを目的に行われた障害者労働医療研究会の実態調査をもとに、その概要を紹介する。調査は1990年3月31日現在の内容で、1990年5月から6月にかけて共同作業所全国連絡会加盟の作業所61ヵ所(精神障害者の利用者が8割以上を占めているところすべて)に調査票を送付し、このうち回答のあった41ヵ所を集計したものである。

(1)調査結果の概況

 大きな特徴としては、小規模で経営基盤はそれほど安定しているとは言い難いが、職員体制および開所日数・活動時間などからみて、かなり本格的な職業リハビリテーション施設の形態をとっている。精神障害者通所授産施設と比較してもそれほど遜色はない。運営費の面で年間基準額は1,620万円(91年度予算)に対して1,220万円(平均)とやや厳しいものの、職員数は非常勤を含めると、授産施設職員数と同数のほぼ4人を確保し、活動時間も同様、利用者数と職員数の割合はむしろ共同作業所の方が有利な条件を呈している。

 なお作業種目については、一作業所あたり平均2.7種目で、大半は下請作業で占められている。下請作業だけというところは、22ヵ所(53.6%)となっている。これに対して自主製品を製造しているところは、自主製品のみが2ヵ所(14.9%)、下請作業と並行しているところが17ヵ所(41.5%)となっている。利用者一人あたりの月額平均工賃は、7,647円であるが、作業種目で区別すると下請作業のみの作業所の平均が7,306円、下請作業と自主製品の並行している作業所で7,138円、自主製品のみの作業所の平均が15,543円とかなり開きがみられる。

(2)利用者の概況

 調査対象となった精神障害者は872人で、その概要は以下のとおりである。性別では男性547人、女性325人。年齢構成は、30歳代と40歳代で全体の3分の2(63%)を占めている。生活形態別にみていくと、家族との同居が3分の2の67%(581人)、単身生活24%(205人)、入院8%(65人)となっており、それほど多くはないものの、入院者が利用していることは注目できる。診断名は精神分裂病がその大半の83%(668人)を占めている。推定発病年齢については20歳未満と20歳代を合せて84%(578人)に達している。社会生活能力面では、全体としては一定の水準にあるが中間的な層もかなりいる。

(3)共同作業所の機能をめぐって

 共同作業所の機能については、41作業所中「病状の安定・改善」の1位選択作業所が34%(14ヵ所)、「働く場」1位選択作業所が29%(12ヵ所)、「就業に向けての訓練の場」1位選択作業所が21%(9ヵ所)、「憩い・交流の場」1位選択作業所が12%(5ヵ所)という傾向を示している。力点のおき方は多様であるが、全体としては、ここ自体が働く場および就業にむけての訓練の場、すなわち職業リハビリテーション分野に力点をおいているところ(51%)と、病状の安定および憩いの場、すなわちデイ・ケア的な目的に力点をおいているところ(46%)に大別される。さらにこれらの機能別に特徴を探ってみた。まず賃金(1990年4月度一人あたりの平均)については、「働く場」1位選択作業所が9,946円、「就業にむけての訓練の場」1位選択作業所が10,330円、「憩いの場」1位選択作業所が4,619円、「病状の安定・改善の場」1位選択作業所が6,346円と機能別にかなりはっきり傾向が示されている。また、利用者の通算利用期間については、「就業にむけての訓練の場」1位選択作業所が2年0ヵ月で他は2年6ヵ月と開きが明らかにある。

(4)医療機関・保健との連携

 精神障害の障害特性(障害と疾病の併存)からみて、医療機関や保健所などの医療分野との連携は不可欠である。連携の必要性およびその実態については、「定期的な連携」12%(5ヵ所)、「必要がある時必ず連絡をとる」78%(32ヵ所)で、「必要がない」ならびに「連携をとっていない」は0ヵ所であり、かなり医療機関とのつながりが強いことを示している。

 一方、保健所については、「定期的な連携」37%(15ヵ所)、「ケースによって連携」46%(19ヵ所)、「不十分な連携」7%(3ヵ所)で圧倒的に連携していることがあげられる。とくに「定期的な連携」は医療機関の5ヵ所と比べてかなり多い。

(5)就業援助活動

 まず、実際に就業を希望する者に系統的な援助を行っているかについては、「行っている」39%(16ヵ所)、「行っていない」61%(25ヵ所)で、なんらかの活動はなされているものの計画的もしくは意図的となると十分ではない。

 「行っていない」と回答のあったところの理由としては、就業活動そのものを否定するところはなく、職員体制の不備や、職安や職業センターとどのように連絡をとればいいのかわからない、といったものである。開所以来、就業者の延べ人数は全体で448人で、このうち現在も援助を行っている者は192人(43%)となっている。就業した者の平均作業所在籍期間は1年5ヵ月である。

3.精神障害者にとっての働くことの意義と共同作業所の役割

(1)働くことの意義について

 障害の有無に関わらず一般に働くことの意義については、①自立して生きるために金銭を得ること、②社会人としての立場や地位を得ること、③社会的有用感を感じて自己実現を図れることがあげられる。しかし、働くことによって自己実現を図ることの難しさは言うに及ばず、最近はフリーターなどの出現により社会人としての立場にすら意義を見出さない人もいる。しかし、日本はまだまだ働き蜂社会であり、失業率の低さともあいまって、働いていない人への社会の目は厳しい。精神障害者は一見どこが障害か分かりにくく、働かないでいることへの社会的承認を得にくい。また障害者本人や家族にとっても「働くこと」=「治癒」との認識があり、本人としても働かないでいることを正当化しづらい状況にあるといえよう。分裂病圏の精神障害者(以下、分裂病圏をさす)は自己の存在基盤の不確かさゆえか、はっきりした社会的立場を求める傾向にあるといわれている。とすれば精神障害者にとっての働くことの意義は、②の社会的立場や地位を得るということが一般の人以上に重要性を持っているのではないか。もし本人が望むような立場・地位が得られない時にはなんらかの形で「働けない」現実と決着をつけなければならない。「働くこと」と自分が上手な折り合いをつけることが、地域で安定して生活していく上で重要なポイントとなっている。

(2)「働く」上で何が障害となっているか

 精神障害者が「働く」ことを困難にしている障害は以下の点である。第一に働くために必要な能力の低下、第二に能力低下した自己の受容(障害受容)の困難性、第三に社会の偏見と支援する社会資源の不備である。

 第一点目にあげた能力低下には、臺のいう「生活のしづらさ」と呼ばれる能力障害があげられる。①日常生活の仕方のまずさ、②人づき合いのまずさ、③就労能力の不足、④生活経過の不安定性、⑤生きがいの喪失・動機づけの乏しさなどであるが、これらはいずれも「働く」上で大きな障害となっている。さらに若年発病者は暦年齢に比べて社会経験が未熟であることや、長期在院によるホスピタリズム、薬の副作用も障害となっている。

 第二点目の障害受容の困難性には、二つの側面がある。現実検討能力や認知能力の低下により、現実の自己像を認知しづらいという側面。もうひとつは価値意識の問題である。精神障害者にとって確固たる立場や地位にこだわるのは、自己の存在基盤の不安定さから逃れられる拠りどころが欲しいのではないか。以前出来ていたことが出来なくなったということを、はっきり認めるためには代わりに自己の尊厳を保つ拠りどころを捜さなければならない。簡単に新しい生き方を捜しだすことは困難であり、その見通しもないまま過去の自分に対する「こだわり」を捨てろといわれても難しい。このことは職業選択の上で、自己の能力以上の職業に固執するという形で現れることが多い。無理な就職を繰り返し失敗することは、過大なストレスとして再発の危険性を高め、極端な自信喪失に陥る場合もある。また逆に見通しのないまま「あるべき自己像」を放棄した人や、そもそも社会との関係が希薄で「あるべき自己像」の形成が弱い人は、社会との関係を深めて自己形成を図ろうという意欲自体が低下していることも多い。このことは「自己価値の再編」を行い、自己の障害状況に見合った生き方を選択することをいっそう困難にしている。

 第三点目の社会の偏見と、支援する社会資源の不備が、「働く」上での障害となっているのはいうまでもない。他の障害分野でさえ職場開拓は困難である。精神障害者は理解できないという偏見のつきまとう精神障害者ではいっそう困難を伴う。社会の偏見は、精神障害者であることを本人が職場で隠さなければいけないというストレスも生んでいる(職場の同僚の前で薬が飲めないなど)。また支援する社会資源の不備は、これらの障害の軽減を図る機会の不足につながる。精神障害者は慢性期に入っても長期に病状が安定し続ける人は少ない。継続的な支援をする社会資源が身近にないことは、病状再燃の危機に適切な援助を受けられず、再発・再入院につながり、いっそう障害を重くする可能性すらある。

(3)作業所の社会資源としての特性

 精神障害者を主対象とする作業所が600ヵ所を越える現状では、地域性や成り立ちにより、それぞれが有している機能や果たす役割は一様ではない。しかし、共同作業所全国連絡会に加盟する作業所においては、ウエイトの置き方や意味付けに多少の違いはあれ、以下のことが共通項として確認できる。①作業所自体が働く場であること、②役割によって組織化された自主性の高い集団づくりを目指していること、③作業所の中だけで自己完結することなく地域性をもっていること、などである。これら三点の社会資源としての特性が上述の「働くこと」を困難にしている障害の軽減にどういう役割を果たしているか、以下検討していきたい。

(4)能力障害に対して作業所の果たしている役割

 作業所のこれらの特性を評価するには、集団労働が本来もっている効果を生かす「労働の場」としての側面と、より保護性の少ない職場への就職に向けた「実地練習の場」としての側面に分けて考えねばならない。

 まず集団労働の有する要素には、社会的有用性、課題性、規律性、集団性などがある。これにより①報酬により自分の自由になるお金を得る、②家族や近所の人からの評価がよくなる、③労働をやり遂げることによる達成感を得られ、意欲の向上につながる、④規則正しい生活や社会性を身につけられる、⑤人間関係が広がり友達ができる、といったことが可能となる。これらのプラスの効果は、それぞれの職場が課す要求水準(与えられた仕事ができる、休まず出勤し残業もこなす、職場のつきあいができる)に応えてこそ可能といえる。しかし、精神障害者にとって過大な要求水準を課せられることは、再発の危険性が高まることを意味している。このことから、そもそもは精神障害者は働くことにむいていない、働かなくても良いとの意見すらあるが、「共同作業所、職親、職能訓練所が、立派に治療とリハビリテーションに寄与している現実を無視」した論と言えよう。作業所では、保護性を高め、一般の事業所よりは要求水準は下げながらも、集団労働によって得られる効果は最大限に引き出すことを目指しており、こうした活動が能力障害の改善に役立つと考えている。そのために作業所での仕事の内容を、紙加工に代表される内職仕事だけに依存するのではなく、生活協同組合と共同で自主製品を開拓したり、喫茶店や手作りパン・クッキーの販売を行う所が出てき始めている。地域とのつながりを重視して、社会的評価を実感でき、達成感をより多く感じられる作業種目の開拓が、作業所の重要な課題となっている。さらに作業所では、集団の構造をわかりやすくし、また個々のメンバーに過度の負担がかからないように、集団を組織化して役割を分担している。役割行動上の問題が発生した時は個人レベルで解決せず、集団全体の問題となるように働きかけている。ただし、作業所の職員の働きかけは、集団の決定権を尊重した「間接的介入」でなければ、労働による達成感を削ぐ結果にもなりかねない。

 もうひとつの側面である次の職場にむけた実地練習という点では、個々人の問題性にしぼった働きかけが必要となる。特別な働きかけをしなくても、集団労働が本来もっている効果により能力障害が改善し、作業所を出て、より保護性の少ない職場で働くことができる人もいる。しかし職場を転々として作業所に来ている人の多くは、その人の行動パターンに問題があり、問題の所在すら気づいていない。その問題の内容は服薬や、金銭管理、異性関係などであるが、最も多いのが職場の中における対人関係である。この問題は、作業所という「職場」においても再現される。再現された時には、同じことが前の職場でも起きていたことを本人に認識してもらうことが重要である。その上で、具体的な改善方法(職場で孤立している場合は、挨拶の仕方やどういう話題で雑談するかなど)を提示し、実際に作業所でやれるよう援助する。作業所で実行できれば次の職場で必ずうまく行くわけではないが、問題認識ができていれば援助しやすいし、作業所での成功体験があれば本人も援助を受け入れやすい。また、このような実地練習は作業所の中だけでやるよりは、地域にある実際の職場でも行った方が成功体験の効果が大きい。いくつかの作業所では「集団職場実習」「集団アルバイト」などと称して、定期的に実施している。

(5)障害受容の困難性に対して作業所の果たしている役割

 村田は精神障害者のリハビリテーションにおいて「価値論」からのアプローチの重要性を指摘し「障害の相互受容と自己価値再編」のプロセスとしてまとめている。障害の受容には挫折体験が欠かせないとされているが、多くのメンバーは作業所に来るまでに何度も挫折を繰り返している。しかし、なぜ挫折するのか明らかな答えが得られないまま、疲れはてて作業所にやって来る人が多い。そうした人の一番の支えは同じ障害をもつ仲間との出会いである。はじめは精神薬を飲んでいることを隠さなくてもいい「行く場所」ができた、という程度で、他のメンバーとのつきあいも浅い。しかし、作業を一緒にすることで集団になじみ、受け入れられて行くにつれ、作業所の外でもつきあえる友達ができるようになる。この過程はまさに「障害の相互受容」にほかならない。同じ障害をもつ仲間のいろいろな生き方を見て「ああこういう生き方もあるんだ」と思えるようになれば「自己価値の再編」までできたといえよう。しかしここに至るには、年単位の時間がかかることが多い。その間、安定して作業所に居続ける人は少なく、なかには作業所に満足できず通所を中断する人もいる。特に「働くこと」によって得られる地位や立場に「あるべき自己像」をおく人にとっては、作業所は「働く場」と呼べる場所になりづらく、何度も「働く場」を求めて作業所を出て行く。作業所は、就業が現時点では困難であるとの見通しを伝えた上でも挑戦したいという人には、もし失敗したら戻ってくることを約束してもらうことが多い。失敗し挫折して戻って来た時に、集団が自分を受け止めてくれたという経験が「障害の相互受容」にもっとも効果的だからである。作業所にはもちろん通所期限もなく、再通所も断らず、むしろ優先的に受けている所が多い。精神障害者にとって出たり入ったり自由に利用できる社会資源の存在が重要であろう。

(6)社会の偏見、支援する社会資源の不備に対して作業所の果たす役割

 精神障害者の地域生活の拠点として作業所の数を増やし、存在を地域に知らせていくことが、偏見の解消にもつながっていくのではないか。存在をアピールする手段としては、バザーや作業所のニュースを発行することにとどまらず、講演やコンサート、映画会を企画する作業所も多い。また精神障害者の就業に理解のある職場を広げて行くためには、障害を告知し安定して就業を継続している成功例を地道に増やしていかなければならない。そのために作業所は、就業後も継続的に援助する施設としての役割を果たしていく必要がある。職場で起きた問題の相談はもとより、実際に職場にいき問題解決を図ったり、回復者クラブへの参加を促し、つながりを絶やさないように努力している。

4.共同作業所のあり方をめぐって─今後の課題─

 共同作業所の課題は山積している。わけても最大の課題である経営基盤の安定化、すなわち政策上の課題については別の機会に譲るとして、ここでは「精神障害者の職業リハビリテーション」という視点から、処遇面の課題に力点をおいて以下に略記する。

 これについては大きく二点があげられる。その一つは、共同作業所の独自の機能をいかに高めていくかということである。働きがいや達成感は、労働の質(作業種目等)と工賃に規定されるのではないか。さらに、いくら労働内容や工賃が良くみえても、それが与えられるものではなく、個々の特性や状態、年齢等によって選択できる条件が具備されてこそ、より十分なものに近づいていくものと考えられる。ひるがえって、現状の共同作業所を見た時、やや画一的な感があり、実質的な選択の幅は狭く、「通いがい」という点からは、今一つという状況にあるところが少なくない。これまでは専ら量的な拡大に力が注がれていたが、この段階で同一の行政区や、同じ経営体が複数の作業所を設置した場合、思いきった機能の分化を図っていくことを試みるべきではなかろうか。具体的には、①生産活動に主眼がおかれ、一定の工賃を得ることが目的(福祉工場型)、②一般就労に向けてのトレーニング(職業訓練型)、③軽作業、教育的活動が中心で、生活のリズムの確立や再発防止が目的(軽作業型)などの分化の仕方が考えられるが、これについては今後さらに深い研究が必要である。なお、機能の分化は、それのみでは意味をなさず新たな段階での作業所間の協力や連携、一人ひとりが移籍できる条件が確保されることなど、これをより活かすシステムの工夫が求められる。

 もう一つの課題は、地域全体の援助力を高めていくシステムの確立である。個々の共同作業所の機能充実とあわせて地域の関連社会資源のなかでの貢献度を高めて、サポートシステム全体の力を高めていくことが重要になる。医療機関、保健所(デイ・ケア含む)、職業安定所、職業センターさらには、グループホームなどの生活の場など、これまでも連携は図られているがどちらかというと平面的なつながり、いわゆるネットワーク的関係であった。もっと相互の関係を深く構造的なかたちにしていく必要がある。

 これまで絶えず無権利状態にある障害者に焦点を当て、法制度の「すき間」を埋める活動を展開してきた共同作業所、引き続き働く場の保障に力点をおきながら、地域サポートシステムづくりについても新たな役割を発揮していくことが求められる。

参考文献 略

*共同作業所全国連絡会事務局長
社会福祉法人ときわ会あさやけ第二作業所所長
**共同作業所全国連絡会非専従事務局員
社会福祉法人ときわ会あさやけ第二作業所指導員


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1992年1月(第70号)9頁~14頁