障害者自立支援調査研究データベース 事業実施報告内容 平成20年度 通番号103


項目 内容
通番号 103
番号 2
年度 平成20年度
指定テーマ 【指定13】 障害者の芸術文化活動の普及と作品の評価向上に関する調査研究事業
事業名 視覚障害者用点字楽譜データのデジタル変換事業
事業目的 70年にわたり楽譜の点字図書を専門に出版していた平井点字社の事業閉鎖に伴い、昨年当館は当該図書亜鉛原板の寄贈を受けた。ただし、亜鉛原板は材質そのものの性質から経年劣化は防ぎ得ず、緊急に何らかの手だてを下す必要がある。楽譜は、一般書籍の読書と違いその性格から借りるというより個人の持ち物とする必要度が高い。また、内容が古くなるという性質のものでもなく将来にわたって通用することに特異性がある。
楽譜点訳という側面においては、一般の点訳者では作成できない専門的な知識が必要であり、点字図書館の通常の業務では作成が困難な分野である。それゆえこの平井点字社のデータ保存・活用は重要度が高く、申請事業は、音楽を職業とする視覚障害演奏家の活動、あるいはこれからその道に進もうとする視覚障害学生の就労に貢献し、また音楽を愛する視覚障害者の文化活動を支援することを目的とする。
事業概要 楽譜の点字図書を専門に出版していた平井点字社の事業閉鎖(平成19年11月)に伴い、厚生労働省の仲介を経て当館は当該点字楽譜図書亜鉛原板の寄贈を受けた。ただし、亜鉛原板は材質そのものの性質から経年劣化は防ぎ得ず、何らかの手だてを下す必要があった。亜鉛原板の点字楽譜をデジタルデータに変換できれば、上記の懸念については解消されることはもとより、そのデータを元に他の媒体での活用も可能になる。
邦楽はもとより洋楽をも加えて音楽を勉強する視覚障害者は伝統的に多い。ただし、点字の楽譜が少なく、それが故に晴眼者に伍して社会的な評価を得るには並大抵なことではなかった。
そのような状況を打破すべく、専門的に点字楽譜の出版を続けていたのが平井点字社であったが、事業主の平井正氏の逝去によりその事業を閉鎖せざるを得ない状況になった。
当館はその平井点字社の原版寄贈を受け、「平井点字社楽譜文庫」と名付けて丁重に保存すると共に利用者への提供も行う所存であった。
ただし、亜鉛原板はその性質からいつかは劣化してその用に供せなくなってしまうので、それを回避する方途を見いだす必要があった。
この度の事業は、まさにその方途である。
以下は、約180タイトル(約290巻・約2万頁)分の亜鉛原板を点字データに変換を行う作業の手順である。
① 亜鉛原板元に校正刷りのゲラを印刷する。
② 印刷した点字用紙をスキャナを使用してテキストデータに変換する。
③ テキストデータを点字データに変換する。
④ レイアウト等点字データの表面的な不備を修正する。
⑤ 亜鉛原板からの校正刷り及び変換した点字データを作業従事者に送付する。
⑥ 作業従事者は第1校正を行うと共にデータを修正する。
⑦ 修正したデータを元に点字印刷し、再度作業従事者による第2校正作業を行う。
なお、この作業従事者は現に音楽活動を行っている視覚障害者に依頼し、校正に正確を期す。
⑧ アウローラ音楽・文化研究所に洋楽部門のデータ化を委託する。
⑨ 邦楽部門のデータ化を澤村祐二氏にお願いする。
事業実施結果及び効果 本事業は目的の項に記したようにきわめて緊急度も高く、実施されれば将来にわたって高い効果を発揮する。
またデジタルデータに変換することにより、冊子体で提供するだけでなくインターネットでの配信も行い、必要なときに必要な楽譜を読めることを可能とし、情報格差を強いられている視覚障害者にきわめて有効な成果が得られる。
データ化を行った点字楽譜は視覚障害者用図書情報ネットワーク「ないーぶネット」に随時アップし利用公開を進めていく。また点字楽譜のネットワーク化を進めている点字楽譜連絡会の基礎資料としても活用が期待される。
事業所/団体名称 社会福祉法人日本点字図書館
事業所/団体〒 169-8586
事業所/団体住所 東京都新宿区高田馬場1-23-4
事業所/団体TEL 03-3209-0241
事業所/団体FAX 03-3204-5641
事業所/団体EMail nitten◎nittento.or.jp (◎を@に置き替えてください)
事業所/団体URL http://www.nittento.or.jp/
報告書 デジタルデータに変換した点字楽譜の一覧
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