障害者自立支援調査研究データベース 事業実施報告内容 平成20年度 通番号51


項目 内容
通番号 51
番号 4
年度 平成20年度
指定テーマ 【指定6】 発達障害者の地域支援を効果的に行うための調査研究事業
事業名 高機能広汎性発達障害(HPDD)に対する就労前支援のためのSST実施方法の開発に関する研究事業
事業目的 東京都発達障害者支援センターで相談受理するHPDDにかかわる事例のうち、小・中・高等学校と通常学校での教育を受け、専門学校や大学を卒業後、就労困難或いは就労継続が困難な状態にある人たちは年ごとに増えている。そして、多くの人がそれまでの生活歴からくる低い自己評価や周囲の人や社会的状況への不安により、いまある就労支援の対象にもなりにくく、結果的に社会参加できない状態が長年継続している。これに対し、過去2年にわたり試行事業を展開し、上記の人に安心できる行き場を確保し、現実場面における対人交流を確実に重ねていくという有効性が認められた。このことを受け、さらに有効な支援法を模索するために、いま、教育や就労支援において盛んに取り入れられている「SST」の導入と、さらに実施担当者の研修のために有効なサイコドラマの適用も含めて、基本技能および実施方法の開発を目的とした。
事業概要 HPDDがある人に対するSSTの基本技能および実施方法の開発研究にむけて、まず、SSTを実施する支援者のワークショップを実施した。その上で、就労前支援グループにおけるSSTの導入を図り検討会を行った。そしてさらに、HPDDがある人のグループワークにおいてSSTを実施、HPDDがある人へのSSTの実施法ならびに、SSTを実施する支援者のあり方を試行検討した。この過程においては、精神科医、SSTの実践家、臨床心理の専門家によるスーパービジョンを受けながらすすめた。
事業実施結果及び効果 HPDDがある人に対して「SST」の導入をより効果的にすすめていくための要点として、以下の点が明らかになった。
①当事者がSSTを受ける目的を主体的に認識するためには、十分な解説が必要である。
②①から言えることとして、当事者が自分自身に気づく(自己認知)こと、また、他者と
の関係から自分をとらえる機会をつくることが必要である。これには、SSTというよりも、サイコドラマの考えを取り入れ、本人の自発性が発揮されるような場面設定が有効と考えられた。
③知的・言語能力の如何を問わず、本人と他者の認識や体験内容の共有は難しいことから、同じ課題を共有しながらグループワークを運営していくことへの工夫が必要である。
また、必ずしも当初の段階で、本人にとってSSTを受ける目的が明確になっていなくとも、SSTに参加する中でその人の主体性や他者への関心や意識が芽生え、他者とのやりとりや、自らが場面を意識して行動する体験を重ねることができ、「目的をもつ」ことの実感が得られ、SSTに積極的に参加する態度が一様にみられた。
これを受け、SSTをより効果的にすすめていくためには、SSTを実施する支援者の育成が不可欠であり、SSTの基本技能習得の前提として、まず、支援者側の相手のみかたと対応の柔軟性(自発性)に着目した育成プログラムを提案したいと考えている
事業所/団体名称 社会福祉法人 嬉泉
事業所/団体〒 156-0055
事業所/団体住所 東京都世田谷区船橋1-30-9
事業所/団体TEL 03-3426-2323
事業所/団体FAX 03-3706-7242
事業所/団体EMail tosca◎kisenfukushi.com (◎を@に置き替えてください)
事業所/団体URL http://www.kisenfukushi.com/
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