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平成18年度厚生労働科学研究
障害保健福祉総合研究成果発表会報告書

フロアからのコメント

谷口 はい、ありがとうございました。

3人とも手短ではなかったと思うのですが、たいへん内容の濃いお話を聞かせていただいたと思います。ここでフロアからの言葉にいきたいと思います。今の3名の方々に関して何かご質問がありましたら、挙手でお願いしたいと思いますが、ありませんでしょうか?

ないようでしたら、時間がもったいないので、永田祐さんからお話があったように、今日は「地域の仕掛け人」が集まっていると思いますので、こちらからご指名してお話を聞きたいと思っています。

まずは、和泉村の川瀬さん、いいですか? 今回この調査が入って、何かお考えがどう発展したかとか、何が確認できたかとか、そういうことをお聞かせ願えませんか。

和泉村の仕掛け人です、どうぞ。

川瀬 先生、心の準備が。

谷口 この調査に徳竹さんが入ってくれたのですが、一緒にいろいろお手伝いしていただいて、何か再発見されたこととか、そんな地域だったんだと思われたことってございますか。

川瀬 そうですね、徳竹さんのコメントの中に、うちの村の特徴として「地域のことは地域でやる」というような風土があり、たとえば消防団とかがしっかりしているという分析枠組みのコメントを見せていただいたときに、自分は意識していなかったが、小さい地域にはそういういいところがあるのだな、というのはちょっと再発見しました。

ただその、もうさっき先生に700人とおっしゃっていただいたのですが、合併してから和泉地区の人口は激減いたしまして、今は650人相当になっています。地域として限界なのかなと思うくらいに人がいない。住民同士が支えあってやっていくということは、やはりある程度の規模がないと難しいと今のお話をお聞きしながら思いました。

谷口 ありがとうございます。今おうかがいすると、和泉村がだんだん和泉地区になって、そして人口がどんどん少なくなっていって、なくなっちゃわないようにしてくださいね。ありがとうございました。

次に、突然あてて申し訳ないのですが、さっきの十津川村がある奈良県の職員の方が、来ておられますので、十津川村についてのコメントをお願いしたいと思います。藤田さんよろしくお願いいたします。

藤田 失礼します、奈良県の障害福祉課の藤田といいます。先生、いつもお世話になっております。十津川村には、あまり行ったことがなくて、奈良県の一番端でして、温泉が沸くので1回、2回、3回くらいは入ったことがあります。

十津川村の地域の特徴ということを資料の59~61ページあたりでおまとめいただきまして、住民気質、困っている人はいつでも助ける気質があるという、そういうお言葉をいただいてはっとしました。我々がずいぶん忘れている住民の、気持ちがあるのだと。そこに出会いを作るチャンスがいる人、コーディネーターが必要だというお話、先ほどの仕掛け人というところのお話とずいぶん結びつくのかなと考えておりました。

そういうことを考えますと、県の役割というのは人材育成というふうに位置づけられておりまして、そういう地域の仕掛け人というのを、どうやって奈良県として人材を作っていくのがいいのかな、そういう仕掛け人をたくさん作っていくそういうプログラムなりカリキュラム、そういうことをまた教えていただけるとありがたいなというふうに、ちょっと感じました。すみません、感想だけですが、ありがとうございました。

谷口 ありがとうございます。突然指名して、申し訳ございませんでした。

そうしたらですね、調査対象地区である善通寺市の、実は善通寺から事例をいただいたのは、今日きていらっしゃる、お母さん、どうぞ。逃げないでください。

お母さん 報告書の中で、善通寺のことが書かれておりまして、学生さんに今まで頼ってきた中で、相互関係が崩れてきている地域であるというのが書かれています。ここ3、4年それをすごく感じておりまして、その中で地域の力って私たち親の立場で、障害者父母の会をどうしていくか。何をどう働きかけていくかというのがすごく今までありまして、今日は何かつかめたらと思いながら参加させてもらいましたが、地域力の構成要素の中に、障害をもつ人たちが、先ほど言っていた精神的葛藤の減少、これも支援費が始まってから親同士の中ですごく感じていることなので、私たち今からどういうふうに若いお母さん方、私らの年代の人も、どう考えて取り組んでいったらいいのかな、地域の中に私たちが出かけていかないと、たぶん理解してもらえる場も、先ほどのサロンの場、広場が必要だとか、そういういろいろ、考える部分はありました。

善通寺もまだまだ、地域、公助自体も少ない部分がありまして、障害児を持ったときの親子教室的なこともまだ、2、3年前から行政に働きかけていますが、やっと来年の4月くらいから見通しがつくかなという感じになってきています。考えてみたら、あれもこれもというのがずいぶん頭の中に思いつきまして、さてどうしたらいいのかなと。現実はそういう感じで聞かせていただきました。

谷口 ありがとうございます。

同じ四国の松山から、五島さん。『坊ちゃん』の小説を私たちもよく読ませていただきましたが、昔は『坊ちゃん』を読んでいるとすごい地域力があるように思いますが、今はどうですか?

ゴシマ 先生、突然で。対象地域でもないのですが、今『坊ちゃん』というところでだいぶPRを愛媛、松山はしているようなのですが、夏目漱石の100周年というところで。それと相反して地域力がまったくない地域と思って、松山から2人、勉強にまいりました。

逆に、今日の勉強を題材に、地域に逆に投げかけようという思いで来ました。地域力がないところに、どうすれば着目してもらえるのかというのを今日学ばせていただけたような気がします。

今、道後温泉をPRしていただきましたので、逆に福祉でない世界からどのようにコラボレーションしていこうかというのが、一つ課題として持っているところであります。また、参考になることがあったらどんどん教えていただきたいと思っています。

谷口 ありがとうございました。

本当に全国いろいろなところで、地域力を高めるためにいろいろな努力をしていただいているというのが、よくわかっていただけたのではないかなと思っています。

地元の京都の方にも一度聞いてみないといけないのですが、京都も、誰に聞こうかなと思って今困っているのですが、芝野さんのお父さん、よろしいですか。

芝野 失礼します、芝野です。今、先生のお話、それから3人の方のお話を聞いていてちょっと感じたことを言わせていただきます。この支援費制度、それから今は自立支援法になってきていますが、そういう自立支援制度なんかができてきますと、それはまさしく公的な援助といいますか、それが強くなってきているのですね。

そういうのが強くなってくると、障害児を持っている親にしても、だんだんそこに任せてしまうという、そういう姿勢が見られる。それまでは親が、そういう子どもを持っているのでいろいろな活動をしてやっていこうということで、逆に地域力が落ちつつあるのではないかな、そんなような感じを持っているところでございます。

よろしいでしょうか。

谷口 ありがとうございます。本当に心配なコメントをいただいてしまいましたが、これから我々はどう考えていくのだろうなということで、最後に、この地域力をどう使っていくかというようなことで、現実、日々障害を持った方々の支援をしてくださっている京都の土屋さん、どういうふうに地域力を障害者の地域支援に使っていくかということで、一言でコメントをいただけたらと嬉しいです。

土屋 今日は、お休みをいただいて参加させていただいていますが、仕事の話になるとは思っておりませんでした。

先ほど来お話を聞かせていただいておりまして、一点やはりいろいろと感じていたことがあります。まず、地域という言葉を今使われている中で、どの単位なのかな、どういう範囲なのかなあというのをずっと思い浮かべていました。今、報告をいただく中で、やはり顔の見える単位というところが非常に重要視されているのだろうな。ただ、私たち、私自身の勤めているところは北区、左京区を担当としているところなのですが、一人一人顔をみることは24万人いる中では不可能だと思います。そのあたりで、先ほど武田さんのご報告の中で「普遍化」という言葉が挙がっていたかと思うのですが、そういえば今その生活しているエリアの中で、何かしらネットワークを立ち上げていかなければならないというところで、介護保険の地域包括支援センターというものが立ち上がっていて、左京であれば7つ、8つくらいになっていたのかなあと思うのですが、そういった方々が今、一所懸命ネットワークを作ろうとされている。そういったところに何か寄り添うという形で、本来は高齢の組織化というところを作っていこうとしているところに、何か関わらせてもらう中で普遍化というところを考えていかなければならない。障害の中の資源としては私たちは弱いのですけれども、何か広げていけるのかなというようなことを少し感じたりしておりました。

一点あと、サロン的なことが非常に重要である。これは多分、何から始めるかという答えはないのやろうなあと思う中で、そういえばこんなことができたらいいなと思っているものを、私たち独自の機関ではなかなかしんどいというところがあって、それを一緒にできる人がどこにいるのかなというようなことを今思い浮かべながらお話を聞いておりました。以上です。

谷口 はい、ありがとうございました。

すごいですね、24万人ですか。すごいですね、和泉村がいくつ入りますかね。地域と言ってもいろいろそんな広い地域と狭い地域といろいろな地域がございまして、そこに人口もどれくらいいるかというのも非常に大きな問題だと思っています。

和泉村はサロンにしてもなかなか遠距離から来てくれないと思うんですよね。そのへんをどういうふうにしていくかというのは非常に難しい問題なのではないかな、私も和泉村にいって驚いたのは、子どもが子どもっぽいんですよ。本当に子どもが子どもらしいんですよ。私はひさしぶりに小学校、中学校で講演して、小学生が車いすをよく触ってくれました。今、誰も車いすを珍しがらないのに、すごい車いすに触ってくれて、久し振りに嬉しかったという気持ちがございます。

言っている間に時間がなくなってまいりました。最後に、まとめというわけにいかないので、シンポジストの方にもう一度、最後にコメントをいただいて終わりたいと思いますが、それでは今までの順番と逆に、永田祐さんから一言ずついただけますでしょうか。

永田 今、最後にお話で、たとえば地域包括支援センターのお話とかが出てきました。それから、一緒にできる人はどこにいるんだろうなあ、というお話も出てきました。

それでよく思うのですけれども、私は地域福祉が専門ですから、やはりこんなところでは怒られないから言ってしまうのですが、やっぱりもうちょっと社協さんに頑張ってほしいなあという思いがあります。

社会福祉協議会というのは、やはり協議会ですよね。協議会ですから、地域のいろいろな関係者の人たちが集まって議論する場だと思うんですよね。だから、頼りになるところとならないところがあるのだろうと思うのですけれども、ただ私なんかがやっている中では、本当に一所懸命やっているワーカーの人たちがいて、そういう人たちは本当に地域の仕掛け人として活躍している方もいらっしゃいます。ただ、なかなかそういうのが難しい社協さんだとか、難しい地域の社協さんだとかがあると思うんですね。

それから、私はたまたまなのですが、東京のほうで非常勤で保健師さんの養成の中に1個だけ社会福祉の科目があってその非常勤をやっているのですけれども、今日もお話していただきましたけれども、保健師さんというのは本当に元気な方が多くて、キーになって活動してくださっている方がいる。

コミュニティワーカーというのは社協のワーカーだというふうに学校でも習うのですけれども、そういう難しいことを言わないで、地域の面白い人をなんとか引っ張りこむことで、ただ本当はそういうのを社協の人が、この人とこの人と面白いからくっつけてみようみたいなことをやってくれるといいなあと思っているのですけれども、ただ、何度もあれして申し訳ないのですが、さっきのやっさ祭りのを見させてもらってですね、それは坊さんだっていいじゃないかとかですね、誰だっていいわけですよね。たとえば谷口先生みたいな面白い人がいると、たくさんの人が集まってくる。そういう仕掛け人になる人をやっぱり見つけていくとか巻き込んでいくことが、私は大事なのだろうな。それが今後の展開、この研究をやってきて、これからの課題としてこういう人たちの役割とか、面白い人たちがどういう動きをするのかという、先ほど申し上げましたが、ぜひ考えていきたいなというふうに思っています。

谷口 はい、ありがとうございました。

今日は社協の方々も何名か来られていますが、指名しません。大丈夫ですから、安心してお聞きくださいませ。

それでは次に、武田さん、お願いします。

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