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平成17年度厚生労働科学研究

発表会:「障害のある人をサポートする情報を共有するには?」

-言語的意思伝達に制限のある重度障害者に対してIT技術等を活用した意思伝達手段の確保を支援するための技術開発に関する研究-

講演1 「情報共有で障害のある人とのコミュニケーションを変える」

坂井:映像の方がよく分かると思うんです。これは、そうなんです。知的障害の方の情報を学ぶうえで、紙に色々書かれても分からないけれども、こういう方でこういうような動作をされる方とかというのがありましたら、支援する側としてはとてもありがたいことです。

中邑:はい。幸いに皆さんは、毎日使わない、ほとんど使っていないカメラを今持ち歩いているわけです。何かというと携帯、そうですね。カメラ付き携帯、皆さん持ち歩いているんですが、毎日使っておられる人、おられますか。お一人、お二人くらいですね。後の方はほとんどカメラを使わない。使わないカメラを持ち歩いている。これを活用しない手はないじゃないですか。携帯電話って、本当に簡便ですよね。これを使っていこうというのが、我々の研究の、一つの目的なわけです。

コミュニケーションがとりにくいにも関わらず、せっかく築いたコミュニケーションのとり方を次の人に伝えることの難しさ、これ先程、最初にお話したんですけど。その結果何が起こっているかというと、人が関わるたびに、同じことを繰り返していく。何度も何度も水をかけながら、お茶をかけながら、お茶を飲ましていくということを繰り返していく。いつもいつもコミュニケーションの誤解がおこる。本当にそこで行き違いが起きて、パニックが起きる。逆に、適切な介護の方法というものが伝わらないがために、事故になる。事故が起きるということも、これは実際にはあるわけです。ちょっと色が変わっています。すみません。

初めて介護に携わる場合に、当事者の人とのコミュニケーションに強いストレスを感じる人もいるということです。これは人間誰しも、初対面の人と話をするというのは、まさにストレスのかかることなんですが、これが本当に重度の障害のある人のところに、専門学校出たての、若いヘルパーさんが行くということを考えてみて下さい。全くどうしていいか分からないという状態ですよね。ですから、統計によりますと、ヘルパーさんの定着が長続きしないという、こういうデータもあるわけです。それはどうしてか。やはりその一因には、コミュニケーションが成立しないということがあると思います。これは、コミュニケーションが成立しないとは、人間にとって非常にストレスだということです。昨日も私やられましたから。

坂井:いやいや、そのことですが、コミュニケーションが成立しないとは、昨日、実は私のセッションでは、中邑先生が途中で入ってくることが分かっていたので、会場の皆さんに、中邑先生が入ってきたら、みんな下を向いて下さいと言っておりました。そして前へ中邑先生が来たら、中邑先生が、皆さんどうですか、坂井の講義だから眠たいですかときっと言いますと。その時にもみんな下を向いていて下さいね。そうしたら中邑先生は、あ、もういい、じゃあ帰ろうって言うからって。そしてもう帰ろうって言ったら、僕がそこで、じゃあ、中邑先生に来て頂いてよかったですねって言いますから、そこで拍手をして下さいと言って、そこで拍手。そうしたら、最初、中邑先生入ってこられて話をしても、全然通じない。そうしたら、顔が曇ってですね、やっぱりだめだっていう感じになって、帰ろうとして。あのときつらかったですよね。

中邑:ええ、つらかったです。泣きたかったです。

坂井:そうでしょう。僕はとってもしてやったりな気持ちになって。でも中邑先生でさえこれだけストレスがかかったんですね。もう帰っちゃうよっていう感じになったんですよね。

中邑:そうです。これは本当に、我々みんなそうなるということですよね。だからこそきちんとした情報を届けていかなければいけないということです。

先程と同じことが書いてあるのですが、下の方。ここで実はIT、情報技術の進歩というものが、この問題を解決できる可能性を秘めているということです。皆さんがとにかく今使いこなしている、このIT技術、インターネット、あるいは携帯電話、パソコンといったものを、そういうところに使おうじゃないか、というのがこの研究。

何か色がおかしい。これさっぱり見えません。なんででしょう。さっき触ってたのに。本当にすいません。他のところも確認してきます。しゃべってて下さいね。

坂井:結局はe-PPの話につないでいくというところですよね。

中邑:そうです。

坂井:我々はIT機器を使って情報を瞬時に受けることができるような、タイミングよく出来る様になれば、介護の質も高いことができるようになるのではないかということです。

中邑:そうですね。ここに書いてあります。幸いその限界を情報技術で補うことが可能になってきています。サーバー上に家族や支援者が情報を文章、映像、音声等で記録し、それをコミュニケーションする際に共有できれば、質の高いコミュニケーションを実現できると考えるわけです。個人情報保護の課題などがあるものの、その課題をクリアしながら積極的に情報技術の活用を図っていく必要があろうと。そのことが重度障害のある人の生活の質を保証することにつながっていくと我々は考えたわけです。

そこで考え出したシステムがこういうシステムです。これe-PPシステムと呼んでいます。e-PPというのは、Electronic Personal Profiler 。電子化された個人のプロフィール。これを使える道具ということでe-PPと呼んでいます。まず、それぞれの人たちがコミュニケーションの方法や、自分のプロフィールという、それぞれの情報を持っているわけです。その情報について、支援者である人たちが、コンテンツ、その情報内容を作り上げる、それをサーバーに保管して、それを介護者がインターネットを介して活用するという、簡単にいうと、こういうシステムです。

最後の時間に実際に出来上がったシステムをデモさせて頂きたいと思います。つまり、中邑さん、今日坂井さんのところに行って下さい、という時に、坂井さんってどんな人だろうかというものを、実は電車の中で、Webにアクセスしながら iモードやEz web にアクセスしながら、チェックしながら、こういう人なんだ、なるほど、といいながら出かけて行くということです。

ここでのリストが、実はWebになっているということです。最初我々は、こういうものはメールで一括送信すればいいと思ったんです。ところがメールで一括送信するということによって、実は人は読まなくなる。自分が必要な情報というものを取り出せる方が、やはり人間は、アクティブに関わっていけるという。ですから我々は Web にした。

もう一つは、情報、セキュリティのうえでも、実はメールにすると問題がある。送られたものは転送されて、どんどん広がっていってしまう。Web から読み出しだけしかできないようにしておけば、その中だけの情報として確認できるということ。

そういうこともありまして、実は我々は、携帯電話を使った個人情報の確認システムというものを作り上げてきました。これをこの後お話をさせて頂きたいと思います。

ちょうど時間になりましたので、私の話はこれだけで終わろうと思うのですが、この後、個人情報というものを、プロフィールにして人に伝えていくという方法を、丸岡さんの方と坂井先生の方から、お話頂こうと思います。

ここまでで何か質問はございませんでしょうか。ちょっと分かりやすく説明できたのではないでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、パソコンのスライド等の準備もありますので、次は2時からお話をさせて頂きたいと思います。それでは、いったん休憩に入ります。どうもありがとうございました。