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平成17年度厚生労働科学研究

発表会:「障害のある人をサポートする情報を共有するには?」

-言語的意思伝達に制限のある重度障害者に対してIT技術等を活用した意思伝達手段の確保を支援するための技術開発に関する研究-

講演2「情報共有を保障する道具:サポートブック」

丸岡 玲子

丸岡:情報共有を保障する道具・サポートブックということについてのお話をさせて頂きたいと思います。香川県から参りました丸岡と申します。よろしくお願いします。

知る人だけ知っているという自閉症ノブの世界というホームページの管理人をしています。まもなく息子のノブが来ると思います。今サポーターさんと一緒に過ごしているんですけれども、最後に、昨日と今日と私が作っているサポートブックをサポーターさんが持たれて、同じ方だったので、それを持ってサポートされているので、最後にサポーターさんの方から、どうだったのかというのをご感想を聞かせて頂きたいなと承諾を得ていますので、間もなく来て下さると思います。ノブヒロが来たらちょっとあいさつをさせますので、その前に話を進めていきたいと思います。

先程の、中邑先生のお話をお聞きしてて、私本当に確信しました。サポートブックというのは本当に大事なんだなと思いました。それについてのサポートブックの話についてなんですけれども、確か2002年のこのATACで実際にセミナーをさせて頂いたと思うんです。その時は確かサポートブックを作ろうだったと思うんです。これがその時の原稿なんですけれども、サポートブックの作り方という、サポートブックを作ろうというので。その時には作り方を結構細かくお話をさせて頂いたと思います。その後、昨日懇親会に参加された方はきっとご存知だと思うんですけれども、おめめどうの奥平さんとお話をしていて、このサポートブックの作り方と使い方という本を出しちゃいました。もう、これ、お持ちの方、どのくらいいらっしゃいますか。あらま嬉しや。お持ちでない方は必ず買って帰って下さい。だって今日は作り方の話はほとんどしません。ざっと流します。ですからこれを買わないと作れません。それはないんですけれども。是非スペース96の書籍販売のところに置いてますので、よろしければ手に取って下さい。

息子来ましたので、ちょっとあいさつさせます。

丸岡ノブヒロ:皆さん、こんにちは。丸岡ノブヒロです。ハナを宜しくお願いします。皆さん、こんにちは。丸岡ノブヒロです。母をよろしく。皆さん、こんにちは。よろしく。母をよろしくお願いします。

丸岡:すいません。坂井先生はノブヒロとあんなに付き合いが長いのに、大きなミスをしました。ノブヒロは私のことを母とは呼びません。お母さんと呼びます。だから、お母さんをよろしくお願いしますと書いていると、きっとスムーズにいったと思うんですけど。

坂井:失敗したのは字が汚かったことです。

丸岡:そうですね。ということで、今日は情報を共有する道具としてのサポートブックという、ちょっと先に進んだ話をさせて頂こうと思います。ただ、サポートブックということをまだご存知ない方も、いらっしゃるかと思いますので、ちょっと軽く説明させて頂きますが、サポートブックというのは、障害者本人との活動の時に、支援者の方に、本人の特徴や支援の仕方を分かりやすく伝えて、共に有意義な時間を持つことができるためのアイテムとして考えました。先程、中邑先生が言われていたような感じです。つまりサポートの時に、支援者に利用してもらうためのものです。障害のある人の特徴や、特性、支援の仕方等を分かりやすくまとめたものです。本人と支援者の間を円滑にするために、効果的なものです。また、支援してもらう本人も安心、支援する人も安心、預ける親も安心ということです。それと、さっき言っていたコミュニケーションの共有というところで、コミュニケーションの橋渡し、道標、ネタ帳、私はモー娘が好きだとか、SMAPが好きだとか分かっていると、先程先生がやられていたみたいに、SMAPの曲をかけたら、すごい、サポーターさん、着メロがSMAPなんだというので、話が出るかもしれない。それと、本人の情報を色々な方と共有できるというすぐれものにならないかなと思っています。

思いついたきっかけなんですけれども、思いついたきっかけというのは、本にも書いてありますが、1999年に息子が高等部3年生の春だったんですけれども、息子が卒業してから後のことの生活を考えて発案しました。つまり、学校にいる間というのは本人を知っている人に結構囲まれているんですけれども、社会に出ると本当に息子を知る人というのは少なくなってくるんです。そうなった時に、息子の世界は、でも社会に出たらどんどん広げていきたいという気持ちがありましたので、そこにだんだん子離れというのがなされなければならないなと。親が関わるよりも、親以外の方が関わる機会を増やしたいという気持ちがありました。そこで、コミュニケーションの苦手な息子ですけれど、分かってもらうにはどうしたらいいんだろうかというのを考えて、口頭で伝えるというのは非常に難しいんですよね。サポートする時に、うちの子はこうなのでというのは。話す言葉は流れますから、残らないので。それをきちんと目で見て分かるものにして、なおかつ携帯できるもの、すぐにその場で使えるものというものにしてみたらどうなのかなと、そういうものに息子の情報を載せて、支援者の方にお渡ししたらどうなんだろうかと、それが最初の思い付きでした。

この三方みんな楽というのは、本人が楽、支援する人が楽、預ける親が楽、三方みんな楽というのがキャッチフレーズなんですけれども、最初に考えたのが、支援者を楽にさせてあげたいなと思ったんです。楽にさせてあげたいというとすごく語弊があるんですけれども、支援する方が知りたい本人の情報というものを、親が知っている限りのものを、提供したいなと思いました。

(トイレ、どうぞ。行って来て下さい。帰ってきて下さいね。ノブヒロ、また帰ってきて下さい。お願いします。)

その時、預ける親の気持ちを考えました。私は息子は社会人なんですけれども、それでも人に預けるのはすごく勇気がいるんです。よく相談を受ける小さな子の親御さんは、もっともっと不安だと思うんです、人に預けるのって。だから、私の知っている限りの情報はこれだけなんです、私の知っている限りの情報はここに入れてますというのが、人に預ける勇気の後押しになるのかなと思うのと、それからこれは親の立場での話なんですけれども、息子、娘、子供のサポートブックを作ろうと思ったら、客観的に子供を見ないとなかなか作れないんです。例えばやっている情動行動なんか、自分たちは当たり前になってしまって見過ごしてしまうんだけれども、その情動行動を始めて見た人にとっては、すごく奇異なものに映りますよね。でもそれがこの子のくせなんですって一言書いておけば、問題はなくなる。というふうに、自分が思わず見落としてしまいそうなこととか、パニックを起こしたら何分くらいでおさまるんだろうかとか、非常に客観的に見ることができることで、ある程度いい距離を、子供と持つことができるという、そういう利点もありました。そしてなによりも、私が一番大事にしたいのは本人なんです。中心に置きたいのも本人。その本人が自分を知ってくれている、自分の情報をある程度持ってくれているという人と一緒にいるという安心感。やはり支援を託す側と託される側の不安を少しでも少なくして、本人も楽にしてあげたい。そんな考え方です。

サポートブックの作り方なんですけれども、詳しくはこれを読んで下さい。実際に作ってみようと思ったら、項目を考え、前段階としてサポートの作成フォームを作ってみる。作成フォームといっても、色々なその項目に応じて、思いつくままに書き出してみたらいいと思うんですけれども。オリジナルのサポートブックを作ってみる。オリジナルのサポートブックというのはこんな形で。また後で時間があればよろしければ見に来て下さい。で、作っています。でも実際に色々なところでお話をしていて、本の中にも入っているんですけれども、作りたいけど作れないというご意見もいっぱいあったんです。そこで、オリジナルのものが難しければ、誰でも作れる雛型というのがいいかなと思うので、考えついたのが「誰でも作れるサポートブックの雛型」@玲子というのがちょっといやらしげに著作権を持たせてますけど。無いようなものなんです、好きなように使ってというんですけれど、ちょっといやらしく付けてます。後ろに。

「誰でも作れるサポートブックの雛型」というのは、簡単なんです、何でもいいんです、A4でも、これを折って四つに折ってA6にしてでもいいんですけれど、そこに四角を四つ書くだけでいいんですよね。大きさは好きな様に書いたらいい。四つの四角を書いたら、四つ四角があると大概のものが入るんです。一番下のところだけを色付きにして、一番下の四角をとりあえず支援者の方に、上の項目と一番下の色付きのところを見てもらえれば、その場ですぐ、サポートブックってその場ですぐに使うものですから、とりあえず知りたい情報、私がどうしたらいいんだろうかという情報を得ることができるという、こういう形にしているんですけれど。一番上に項目を入れて、行動とか原因とかを入れますよね。その時の状況や様子などを入れる。で、一番下のところに対応とか支援の仕方を具体的に書く。支援者の方にも、とにかく具体的なアイディアとかこういう方法がありますよというのを伝えたいものを、一番下に入れるという方法なんですけれども。

誰でも作れるサポートブックの雛形:好きな項目を入れる、行動・原因など、その時の様子・状態など、支援者に伝えたい・具体的な支援方法

これは実際に、県内の養護学校の方で、2回にわたって、人数が10人か12~13人くらいだったので、一番よかったんですけれども、その人数でやった作成会なんですけれども、この作成会の様子、時間があればお見せしたいんですけれども、これ実は動画なんですけれども、この辺りちょっとお見せしましょうか。