音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

平成17年度厚生労働科学研究

発表会:「障害のある人をサポートする情報を共有するには?」

-言語的意思伝達に制限のある重度障害者に対してIT技術等を活用した意思伝達手段の確保を支援するための技術開発に関する研究-

講演2「情報共有を保障する道具:サポートブック」

こんな感じで。この方は確か、まだお子さんが2歳前だったんですけれども、何を書いていいのか分からないというので、何を伝えたいのですかとお聞きしたら、もしこの人に想像、イメージをしてみて下さいと、お子さんを隣の人に預けなければならない場面が出てきた時に、一番に何を伝えたいですかというふうにお聞きしたんです。そうしたら、家の中で遊ぶ、遊び方を伝えたいと言われたので、じゃあ遊び方を伝えましょう、どんなもので遊びますかと聞いたら、太鼓とか音の出るおもちゃで遊びますと言うんです。それをどういうふうに書いたらいいですかと言われたので、さっきの四角の中に、一番上のところに家の中での遊びと項目を書いて、二番目のところに使うのは太鼓とか音の鳴るおもちゃで遊びますと書いて、次のところに、太鼓は、例えば矢印をして、こんな遊び方をします、音の出るものはこんなふうにして遊びます、というので、そういうふうにして伝えて、一番下のところに、その時に、あなたはあなたにどのような形で関わってほしいかということを一番下のところに入れておくという、というふうに言うと、あ、そうなんだというのでひらめいたらしくて作られてましたけれども。こんな感じで作られてました。人数的にはこんな感じでやってましたけれども。非常に皆さん、2時間2時間、あわせて4時間の作成会だったんですけれども、実は作成会としてはまだまだ時間は短いんですけれども、ある程度とっかかりができたみたいでした。その時には。

それがさっきの、この本の最後のところに入っているんですけれども、誰でも作れるサポートブックの雛型になるんです。例えばこれに入れ込みますよね。作り方のポイントとしては、より分かりやすく、伝えやすいサポートブックにするための提案として、ごめんなさい、ちょっと飛んでしまいましたけれども、この誰でも作れるサポートブックの雛型というのを使えば、ある程度簡単に作れます。その時の作り方のポイントで、さっきの中邑先生のお話の中にも出てきてたんですけれども、情報を共有するものとして、楽しいものだったらいいなというふうに思ったんです。その時に、私の今までの書き方を、親目線の書き方で書いてたんです。例えば、ノブヒロは知的障害を伴う重度の自閉症です。で、こうこうです。コミュニケーションではこうこうです。パニックを起こした時にはこういう状況がそろうとパニックが起きます。パニックが起きる時の状況はこんな感じです。その時にはこう関わるとこうなります。親目線でしょう。これを全部親目線、第三者目線で書くよりも、本人目線で書いてみたんですよ。本人目線で書いたのを後で出しますけれども、非常にソフトになります。いい感じなんです。本人の言葉のような感じで、いい感じになるんですけれども。それが例えばこんな感じなんです。

一番最初のところにコミュニケーションというのをもってきているんですけれども、これをノブヒロは知的障害を伴う自閉症ですとかいうふうに、サポーターさんのことを認知するのに時間がかかりますとかという書き方をしていたんですけれども、それを本人目線で書くと、僕は自閉症ですというので、ここに自分紹介がありまして、その下に自分の様子ですよね、あなたを認知するまであなたの言葉かけや働きかけが僕には伝わらないかもしれません、ごめんなさいという感じで。マッチングはできるので、僕の目を見て、名前を教えて下さい。笑顔や自然な接し方が好きです。要求してもだめな時には、僕が断念と言ったらとりあえず納得しています、というので。一番下に、自分から、本人から、もしかしたら本人に聞いたら全然違うよって言うかもしれないんですけれど、それはそれとして。

(ひも?何のひも?丸岡君、後でお時間あげますから。おうちに帰ります、後でね。タクシーで帰りましょう。)

それで、サポーターさんに伝えたいのが、必ず僕に見通しをつけて下さい。これもうちの息子の場合はとても大事なので。スケジュールは僕にとって何より大事です、大切です。必ず伝えて下さいという感じとか。後は、例えば、次であれば、パニックになるかも。パニックの伝え方って、伝える時に非常にストレートな感じになってしまうことがあるんですけど、これを本人目線にすると、結構これ私好きなんですけど、僕がパニックを起こすのはとか、小パニックの時どうなっちゃうのという感じで、思わず服の襟を噛んで、手をぱんぱんやるかもね、丸岡君ね、この頃見られないけどね、あんまりね。そんな感じでそんな時にどうしてほしいかというと、見て見ぬ振りをしてくれると嬉しいなとか、なんだかほっとするからとか、という言葉を入れると、すごくやわらかくなるかなというのを。これ作っていると、作りながら顔がにんまりするんですよ。親の方も。主人には言われました。本当にそんなふうに思っているのかって、本人が。それはそれとして。特に、大パニックはほとんどないんですけれど、大パニックを起こした時には、僕が暴れている時には近寄らないで、危ないからという感じとか。そういうので僕も結構気にしているんだとか。そういうのを入れたりとかしながらすると、すごくやわらかく、なおかつ本人からの言葉のような、本人からの情報提供のような感じになるかなって思うんです。僕の好きなスポーツなんかもここに入れていますけれども、はめを外した時とか具体的な感じで。ボーリングなんかも、色々あの子にとっての儀式的なものが、いっぱいあるんですよ。そういうのもね。トイレの回数は多いです、僕にとってトイレは安心する場所だから、今もトイレって言ってたから。

(はい。何ですか。すみません。先生、よろしくお願いします。)

今日サポートして下さっている先生に残って頂いて、後で感想を頂きたいので、すみません。

(丸岡君、ばいばい。自慢の息子です。本当に。)

ではこんな感じで伝えていければいいかなと思うんです。

サポートブックを使う時の注意点というのもあるんです。これも一応お伝えしておきたいんですけれども。サポートブックというのは、ものすごくはっしょってますけど、詳しく知りたい方はこれを読んで下さい。サポートブックはあくまでも母親とかその子供に関わっている人が知っている範囲の、本人の情報に過ぎないんです。だから、一方方向の、平面的な情報に過ぎないので、それでサポーターさんを縛らないようにしなければいけないかなと思うんです。これだけ情報を伝えておいたのに、何でこの子パニックを起こしたのよって。それは違うんじゃないという感じです。本人が、場所とか支援者とか、一緒にいる方とか、場所とかで、全然態度が違う時がありますし、親には見せない顔もありますので、そういう時にはサポートして下さった方から新たな情報をもらえれば、だんだん実態的にその子の情報を得ることをできるようになるのではないか、これも一つの情報の共有になりますよね。実際に利用している支援者の方から意見を聞くことも大切です。今日意見を頂きます。これも共有につながっていき、またそれをお聞きしてサポートブックのちょっと抜けているところなどがもし分かれば、次に生かしていけるかなと思うんです。

支援者にとっても便利なもの、助かる情報になるようにしなければならないかなと思います。様々な方向から情報が集まることで、ブックがより充実して、本人の姿がよい形で立体的に見えてくる。そういうふうな情報共有の道具になっていければ、より本人の生活が豊かになっていくかなと思うんです。

また、サポートブックというのは、皆さん、当然のことながら、子供は成長します。どんな形にしろ、必ず成長します。変わります。1年経てば変わります。こだわっているものも変わります。好きなものも増えるかもしれない、減るかもしれない。これはよくある失敗なんですけれども、サポートブックをきれいに作り過ぎて、あまりにも美しく作り過ぎて、私の作品だわという感じになって、あなたの作品ではないというのに、なってしまって、バージョンアップしたくなくなるんですよね。だって、例えば小さなお子さんが1年経っておむつがとれたんだけれども、おむつがとれたというので書き換えなければならないからもう一回おむつを履きなさいというわけにはならないとは思うんですけれども。そんな感じで子供は日々成長するんだということを忘れないで、未完成なままにしておいて。サポートブックは作り替えがしやすい状況にしておいた方がいいかなと思うんです。そうじゃないと、正しい情報を提供できなくなるかもしれない。だから常にブックを見直しながら、本人の今の情報というのを常に書いておくということが、本人が本当に充実した楽しい生活につながるんではないかなと思うんです。私の念頭にあるのは、とにかく本人の楽しい暮らしです。それしかない。楽しく生き生き、目をきらきらと輝かせながら暮らすという、それしか頭にないというか。それでいながら、それだけではだめですよね。ちゃんと社会のルールを覚えながら、社会の中で受け入れられながら、本人らしく生きていければいいなと思っています。サポートブックというのは、進化していくと思うんですよね。

さっき、今回のこのセッションのテーマである、情報を共有するということに関してなんですけれども、最初は、私も親ですし、私は自分の息子の分だけ作るつもりだったんですね。こんなに広がるつもりも、広げるつもりもなかったんですけれども。やはり主なる作成者というのは保護者である。1対1のサポートを思い浮かべながら作りました。

でも、本人を取り巻く人的ネットワークというのは多様化していますよね。支援費に伴って、色々なホームヘルプも利用すれば、外部ヘルプも利用する、施設も利用するだろうし、親以外の色々なものを利用しながら、色々な人たちと関わりながら、暮らす機会というのは増えてきています。その人たち一人一人の情報というのはみんな違う、本人に対しての一人一人の持っている認識というのも違う場合に、本人絶対混乱すると思うんですよ。そこにやはり情報を共有する必要があるかなと思います。

そうなってくると、本人を中心とした情報を共有できるもの、だからA施設にいた時にはこういうことがありました、こういうエピソードがありました、こういう時こういう対応をしたらこうでした。ああ、それじゃあそれも一つの提案として入れておこうかと、そんな感じでやっていければ、こんなふうになれればいいなと思うんだけれど。誰が作るというよりも、保護者だけではなくて、その子を取り巻く一つのチームのような形で取り組んでいければ、すごくいいんじゃないかなというふうに思うんです。

これは、エコマップというのはまた別のネタなんですよ。エコマップだけで1時間いくんですけど。その中からちょっと切り取ってきましたけれども。エコマップというのは、四国学園のワタナベ先生から私が教わりましたけれども、エコというのは環境という意味で、本人を取り巻く環境の地図というので、本来ならばこのエコマップというのは、10年後を想定して10年後に強めたい、弱めたい関係、増やしたい関係というのをこの上から、弱めたい関係は赤、強めたい関係は青、それから増やしたい関係というのは緑で新たに加えるという形で、10年後の本人の人的ネットワークというのを目で見て分かるようにするという一つの優れものなんですけれども、そこから切り出してきました。2005年の、今のノブ24歳を取り巻く人的ネットワークなんです。今のノブヒロの周りにはこんなようは人たちというのが関わって下さっています。そうなってくると、この皆さんに対してのノブヒロの情報の共有というのが、それぞれの形でそれぞれのところに必要な分量、必要な項目で伝わっていければ、非常にノブヒロは安定した生活をできるのではないかなと思います。

今日最後のところにいく前にかなり私時間を残しているんですけれども、先生。15分ほど時間を残しています。いっぱい時間を残しておりますので、しゃべって下さい。