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平成17年度厚生労働科学研究

発表会:「障害のある人をサポートする情報を共有するには?」

-言語的意思伝達に制限のある重度障害者に対してIT技術等を活用した意思伝達手段の確保を支援するための技術開発に関する研究-

講演3「ハイテクを利用した情報共有・e―PPシステム」

その他にはオプションの話をします。オプションには、自分用のパスワードを変更することであるとか、公開設定これはパスワードの変更は分かってもらえると思うんですけれども、二番目の公開設定のパスワード、今現在はこの一郎さんのページを見にきた相手に公開する時には、この下に書いてある、半角の1というのを、パスワードを知っている人だけが見るように設定してあります。けれども作っている最中にはまだ公開したくないという方は、一番最初の公開しないというのを選ばれるかもしれませんし、あるいはe‐PP のシステムを、僕の情報は一切ホームページで公開すると考えられる方は一番下の三番、パスワードなしで一般公開というような設定もできます。ちなみに本日使っているパスワードは暗号化されますので、途中で情報を盗まれても大丈夫なことにはなっております。

その他。公開されている下にあります要約をメール送信というのがあるんですけれども、後の方で少し話ができるんですけれども、e‐PPを実際に使って頂いて反応を聞いたんです。先程、携帯電話を持っていらっしゃる方を聞いたらたくさんの手があがりましたけれども、カメラを使っている方って言ったらがーっと減りましたね。インターネットを使っている方はまだがーっと減るかもしれないですね。いろいろな機能があるのに使っていらっしゃらない。例えばこのe‐PP はインターネットにアクセスするということがありますけれども、お話を聞いてみると、メールを読むところまではやる。音声会話はもちろんですけれども、メールを受け取るのはする、自分ではメールをしない。そんな方もいらっしゃいます。e‐PPでましてや、インターネットでアクセスする行為というのは、僕はするかなという方もいる。例えばこの一郎さんの情報の要約をメールで送るということを本人ならできます。この中味見てみますと、先程見て頂いた一覧をご自身が、あるいはその他の人に送る。今日はこういう予定ですよということを、支援者の方に伝えるということができるかもしれません。

その他、一番最初に皆さんに、URL、 http://e-pp.org と打って頂きましたけれども、なかなか携帯で打つのも大変かもしれないです。はじめて使われる支援者の方、いいシステムなんだけれども、なかなかそれを打って頂くのも難しい方は、一番下にリンクをメール送信というのがあります。この機能を使いますと、先程の画面が出るんですけれども、始めて見る支援者の方のアドレスをご存知であれば、そこにメールをお送りすると、e‐PP のアドレスとパスワードと、それから名前とパスワードをくっつけて情報を送ることができます。受け取った方はそれをクリックするだけで、一郎さんのページにすぐにいける。そんなリンクを送ることができます。そういう使い方があります。

これ戻って警告が出るのは、個人情報が残らないように配慮している、戻れないように。必ずパスワードを知っている人だけが続きを見れるようにされています。

以上、だいたい、ここを説明しなかった。写真を追加するところを見て頂きましたが、先程見て頂いたのは、パソコンでやればああいうような操作になります。携帯電話であれば、写真を追加というふうにやりますと、実は前に出ていた携帯の画面になります。一番上のところに写真の添付とあるんですけれども、そこを選択されると自動的にメールのソフトがたちあがります。事前に写真を隣において、その写真をメールに添付して送ることによって、それがサーバー上に添付ファイルとして送られます。その送られた写真の大きさを自動的に調節して組み込むということをe‐PPは行います。この作業だけ携帯電話を使われるのか、パソコンを使われるのかで変わります。後、その他全て一緒になります。

こういうのを作ってきました。研究で、ではどれくらい使って頂けそうかということを、システムの強化を行いました。広島県内の三つの高齢者施設と、もう一つ障害のある方の施設を訪問して、e‐PP を紹介し、どうですか、使って頂けそうですかということを、インタビューとして行いました。

色々お話はあるんですけれども、最終的に、システム利用に関しては、確かに、動きが画面を通して分かるので便利そうだというようなプラスの意見は聞けるんですけれども、これ使うのにどれくらいコストがかかるのという心配のある方、個人情報、これ見たらそのまま携帯を持って行かれたらどうなるのという心配のある方、これだけはそのまま持って行かないですけれども、すぐにこんなの売れちゃうんじゃないのという不安感であるとか、あるいは携帯電話、普段は電話として使うけれども僕には使えるかなというような不安があります。特に高齢者の方の施設を訪ねた時に、どこという明確な境はないんですが、年齢が上になるに従ってそういった反応がよく聞かれるようになりました。

ただこの点に関しては、少し説明して頂くと、研究段階なんで、コスト、我々においくら払って下さいというのはないんですけれども、e‐PPを使うための通信料はどうしてもご負担頂くということにはなります。ただこのあたりは、定額制とかそんな流れで今後安くなるなというふうなことは期待しながら、個人情報の問題に関しましては、先程申しましたように、パスワードの暗号化等の処置をとっています。ただしこれに関しましても、携帯電話、それをすれば完璧かといわれると、なんらそういった、テクノロジーの穴という部分もありまして、このあたりはご本人と支援者の方で、どういう内容を本当に伝えたいか、個人情報として、要するにふさわしいということを、了解を得ながら作っていくということが大切かなというふうに、基本的には考えております。

電話操作に関しても、実は、その次、実証実験を、香川大学の教育学部の学生さんの協力を得ながら、かつまたそれを附属学校におきまして実験を行いました。この学校はボランティアに来る学生さんや教育実習生が本当に多くいまして、その支援することに関して、今まで紙で申し送りをしていたんですけれども、それだけではいけないということで、口頭でご説明をするというふうに先生方方から聞きましたら、あまり来客される方が多くて、なかなか時間がとれない。実際に授業の時間を確保することも考えて、ではe‐PP をお使い頂けますかというような感じで、実験を行って頂きました。

対象となる子供さんのプロフィールをe‐PP で示して、ということを実証実験に入る時にしました。その際に八名の大学生、大学院生の方にe‐PPを使って介助する、あるいは従来の紙の情報を見て頂いて介助することによる成績を調べてみました。

そうすると、これは簡潔にまとめていますけれども、e‐PPの利用によって介助成績、このように介助して下さいねということが、紙の情報として、あるいはe‐PP の情報として提示されていたんですけれども、e‐PP を使うことによって介助成績が上がったという内容ことです。

ただ、これ始める前に、二つの情報提供の方法を見て頂いて、どちらを使いたいですかというと、実は全員が、紙の方が便利そうだしすぐ見れるから、という意見が多かったんですけれども、e‐PP を使っていくと、いや思ったほどそんなに難しくない。なぜかというと、普段自分がやっていることと全部一緒。というような抵抗感がない、ポジティブな意見も終了段階では聞くことができました。

現在はこのe‐PP をお使い頂いて、実験という形で、保護者の方が支援者の方に、子供さんが外出される時に、今日の予定はこうですよというそういった情報をe‐PP で提供するケースも登場しています。

e‐PP、Personal Profiler 、個人プロフィールと言いました。支援に関する情報というような話をさせて頂きましたけれども、その役割、障害に関する情報を事前に提供しておく、それによって不必要な誤解や負担を軽減するという大きな役割を果たすことが期待されます。ただそこに勉強する必要は決してなくて、例えば初めて会う時に、障害の方に行ってみて、初めて会う時になかなか、何を話していいんだろう、この人実は阪神タイガース好きだという話もあるし、何か一つ共通の話題があれば、話が、もう少しコミュニケーション豊かになることが期待されます。そういったファシリテータとしての役目をe‐PP ができないかなということも我々考えています。将来的には、最近の携帯電話はお財布携帯、無線の色々なやりとりがあります。最新機能等を使っていけるのではないかなと期待を持ちながら、研究を進めていきたいなというふうに思っております。夢物語半分ですけれども、そういった新しいテクノロジーを使っていけるかもしれません。

今回、この実験にあたってこういうコメントを頂きました。載せていたe‐PP の情報に関しまして保護者の方から、さっきの田中一郎さんの情報に関して、ご本人の言葉で書いてある。僕こういうのが好きなんだ、こういうふうにして下さい、先生、というのではなくて、子供さんが話しているように、子供の言葉で書かれてあることがよかったですと。ですから情報共有する支援者の間で作るんですけれども、やはり本人が情報発信の主体、主役であるということに、ちゃんと支援者が分かったうえでやるということが大切だなということを私自身学びました。

システム的なことは以上ですけれども。

中邑:以上が我々の行った研究の概要です。今日は本当に午後の時間長い間ありがとうございました。実際にここまで実証実験等もやって参りまして、技術の進歩に比べて人の意識がついていけてないということを強く感じました。ですけど、こういうものを活用する時代が、必ずくるであろうということを思いながら、実は我々は細々とこの実験を続けております。特に今のこのe‐PP システムは閉じられてますよね。情報というのは登録したものしか入ってこない。これを広げていこうという。例えば阪神の好きな人だったら、阪神が勝ったら阪神が勝ったという情報が引っ張ってこれるといったところも持って来れるシステムというのが、理論的には可能でして、そういうところまで見据えたうえで、もう少しこれを洗練されたものにしていこうということです。必ずしや近い将来、これが商用的に運用できるような時代がくるだろうふうに思っております。

質問をお受けしたいんですが、実は時間的にぎりぎりということで、この会場の都合もありますので、一応これでこのセッションを終わらせて頂きたいと思います。どうも今回この発表会にお越し頂いてありがとうございました。