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厚生労働科学研究・障害保健福祉総合研究成果発表会

みて、きいて、はなしあおう、元気の出る話

地域移行・本人支援・地域生活支援 東京国際フォーラム

分科会1「本人活動とエンパワメント」

続いてオランダのヴィレムさんです。それではよろしくお願いします。(拍手)

ヴィレム  おはようございます。ヴィレム・クワッケルと申します。オランダから来ました。エンパワーメントの分科会に、皆さんようこそおいでくださいました。お互いに一緒に学び合いたいと思います。

雨が降った後には、太陽が輝きます。つまり、施設は曇りの状態ですが、ちゃんと太陽が輝くような組織になると確信しています。LFBという組織で働きながら、いつか太陽の輝くようなところで生活できるようにしたいと思っています。

私が話す内容は、私の生活について、エンパワーメントについて、いろいろな発展についてです。

私と同じく私の両親も知的障害者でした。私のエンパワーメントは、子どものころから始まっていました。私の里親の家族のところで、既に始まっていました。その家族とは2~3年一緒に住みました。

私たちは、学習する権利、発達する権利というものがあります。ほかの人たちより学習のスピードは遅いかもしれませんが、学習する権利というものが私たちにもあるのです。私が学校で勉強したかったことを、今、LFBという組織の中で勉強しています。

私自身の経験についてお話しします。私は以前、ある施設におりました。そこでの経験は私にとっては全然エンパワーメントできるものではありませんでした。24人の人と一緒に住まなければならなかったし、またそれは自分が選んだ人たちではなかったからです。そこで一緒に暮らしている人たちは、別に友達だったわけではありませんでしたし、楽しいとは思いませんでした。ですから、こういう大勢の人が一緒に施設で暮らすというのは、私にとっては全然エンパワーメントできるものではありませんでした。

私は、以前、腹話術をやっていたことがあります。それはどういう意味かと言いますと、要するに自分は口をあけているだけで、ほかの人が代わりにしゃべっていたからです。私は腹話術の人形にしかすぎなかったということです。ですからエンパワーメントでも何でもなかったわけです。施設に住んでいる人というのは、自分が操り人形のように感じている場合が多いと思います。自分で動いているのではなくて、だれかに動かされているという感じです。それは決していいことではありません。それから、複数の障害を持っている人も、やはりエンパワーメントを持つ権利があると思います。

家族についてお話しします。私には今、一緒に住んでいる女性(妻)がいます。そして猫も家族の一員として住んでいます。子どもは持たないことにしました。そのかわりに猫を飼っています。子どもを育てるのは、ちょっと無理があるだろうと思ったので、子どもは持たないことを自分で選びました。私自身が自分でそうしようと決めたのです。

次にセルフアドボカシーについて述べます。障害者という意識を持ったときに、本当に障害者という姿が見えてくると思います。自分自身が障害者意識を持って積極的に発言をしてこそ、初めてほかの人の支援ができるようになると思います。何か約束をするときも、自分で電話をかけて約束をします。約束をしたことは、きちんと約束どおりにやって責任を果たします。エンパワーメントするということは、自分でやり、責任を果たすということです。そうすることが大事だと思います。

次に情報について。短く、はっきりと、思っていることを率直に言うということが大事だと思います。それがよいことだと思います。私たちがお互いに話をするということが大事なのであって、私たちのことを他の人にしゃべってもらうということではありません。私たちこそが、専門家なのです。ですから、当事者として議会に対しても発言します。それこそがエンパワーメントです。知的障害を持っている人たちのための、またそういう人たち自身によるワークショップが開催されています。過去においては、いろいろな会議やシンポジウムが行われました。知的障害についての会議やシンポジウムでしたが、それは知的障害者のための会議やシンポジウムではありませんでした。

次にノーマライゼーション、みんなで一緒になってという意味です。私たちにも、目や耳や鼻があります。手もあります。ですから、それを自分たち自身で使いたいわけです。何をするにしても、私たち自身が参加したいと思います。きちんと尊敬されたいと思います。何をするにしても参加したいですし、まただれからも、親からも支援者からもちゃんと尊敬されたいと思います。

みんなと同じように生きたい、私たちもまた一緒に生きたいということです。まさに、このエンパワーメント、当事者が自分たちの力で決定するという権利こそ、私の人生になくてはならない考え方です。長い間、話を聞いていただいてありがとうございました。(拍手)

  ありがとうございました。猫と一緒に生活しているということですが、猫はかわいいですよね。私も猫になりたいです。(笑)

ここで少し休憩を取りたいと思います。11時10分まで休憩します。