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厚生労働科学研究・障害保健福祉総合研究成果発表会

みて、きいて、はなしあおう、元気の出る話

地域移行・本人支援・地域生活支援 東京国際フォーラム

分科会2「地域で自立して生きていくために」

●午後の部

  それでは、午後の分科会を始めさせていただきます。午後は、地域でのプライバシーの話です。よろしいでしょうか。

  午前中、ウイリアムさんからも、プライバシーの問題などがあったという報告を受け取りましたが、そのあたりのことも含めて、地域におけるプライバシーに絞って話をしていけたらと思います。積極的にご質問、ご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。ウイリアムさん、ご自分の体験などもふまえ、プライバシーのことについてお話いただけませんか。

ウイリアム  私が考えるには、プライバシーを守るということと地域で生きるということを両立していかなければいけないと思います。私たちは、プライバシーを守ることと、自分のアパートを借りることは同じだという結論にたどり着きました。プライバシーというのは、自分の人生を自分で形づくっていく、自分で決断をするということが根本になると思います。例えば、自分が許可もしないのに、勝手にたんすの中をのぞき込まれたり、自分が留守にしているときに部屋の中に入られるのは、とても嫌だなと思います。そういう意味でのプライバシーというものを確保し、社会の中で生きていきたいと思います。

自分の家、自分の部屋であることを確実にするために、ドアのかぎは自分だけが持っていたいと思います。もちろん、支援者、スタッフ、世話をしてくれる人が、世話をするときに入ってこられるようにかぎを持っているという場合がありますが、自分の部屋ですから、支援者ですとか、世話をしてくれる人が来たときに自分がドアをあけるという形にすべきではないかと思います。もしかしたらお金を払わなければいけないとか、煩雑なこともあるでしょうけれども、自前のかぎを持つということが大切で、そういうところから私はプライバシーを進めたいと思っています。

先ほどの「わらじの会」の皆さんがおっしゃっていましたように、やはりいろんな経験をして、ときには恥ずかしい思いをしてしまったり失敗することもあるけれども、そこから学ぶということが非常に重要だと私は考えます。先ほど、Aさんのお話がありましたよね。一文なしになってしまったと。お財布にお金がないということですが、そういうことから学ぶことがあります。コンビニでドリンクを買われたときには、お金が1円もなかったからたぶんほかの人が払ってくれたとは思いますが、厳しいことを言ってしまえば、お金がないときはものは買えないんだということをやはり体験する必要があると思います。私自身がそういうことを体験してきました。レストランに行って食事をして、財布をあけたらお金がありませんでした。このときは、レストランの人から厳しくしかられました。アパートのお金を払えなくて追い出されたというような経験も持っています。

きつい思いも恥ずかしい思いもしますけれども、そういうことから、例えばお金の管理の必要性を学び、身につけることができると思うんです。ときとしてスタッフ、支援者、コーチ、仕事をしている皆さんですと、働き先の人がお金の管理を代わってやってくれているのではないかと思います。それは本当に便利で、ある意味ではありがたいんですけれども、自分で稼いだお金を自分で使い、自分で管理し、身につけていかなければいけないのではないかと思います。プライバシーもそうです。相当きついこともありますけれども、自分で勝ち取るためには、いろいろなものを学んで身につけていかなければいけないと思います。

プライバシーや自立ということを考えますと、自分でお金の管理をしていかなくてはいけないと思います。部屋代を払ったり、ガス、光熱費を払ったり、そういうことでは節約をしたり工夫したりするといったことも学んでいく必要があるかと思います。支援者にすべてをお任せするということではなくて、そういうものも身につけていく必要があると実感しております。皆さんの話し合いを聞いた上で意見を述べさせていただきました。次はジェーンさんの話を聞きたいと思います。

ジェーン  私はちょっと視点を変えて、家族と一緒に住んでいる人、親御さんと住んでいる人の状況について考えたいと思います。子どもたちはだんだん大きくなっていきます。そして成人になります。成人になった子どもに対しての親の態度です。親子関係というものも変わっていかなくてはいけないと思います。お互いに大切に思っている親、子どもたちではありますが、成人した子どもには、それ相応の態度、接し方というものを、親御さんたちも考えていただきたいと思います。そうでないと、大人にはなれないのではないでしょうか。子どもも、自分は成長したんだ、大人になっているんだということを認識し、親のほうも自分の子どもは成人なんだということを認めていかなければいけないと思います。こういうことを親離れ、子離れと言うんでしょうか。

そういう段階を経ていかないと、結局はお互いに依存し合いすぎてしまい、一個人としての尊敬、敬意というものを、家族以外の人々から得るというのがとても難しくなると思います。自分のやったことに対しては責任を持つことが必要です。これは、私たちも、親御さんたちもそうです。そしてその責任というのは、人から与えられたものではなく、自分のやったことに対してみずから責任をとることが必要だと思います。

それから先ほどのかぎのことですが、自分の部屋やアパートのかぎのことをウイリアムさんがおっしゃいました。私も自分の家や自分の個室と呼べるところに関しては、ドアのかぎは自分だけで持つべきだと思います。部屋はだれのものでもない自分の空間ですから、そこの出入りは私だけ、またはその本人だけであるべきです。本人だけがその中に入ってもいい人を選ぶことができるというようにするのがいいかと思います。

そして、お互いに、仲間同士で助け合う。お互いが何を思っているのか、何を願っているのかということに耳を傾ける。そして協力し合う。1人ではなくてみんなが力を合わせることで強くなれる、そして自由になれると考えることが大切だと思います。ありがとうございました。(拍手)