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厚生労働科学研究・障害保健福祉総合研究成果発表会

みて、きいて、はなしあおう、元気の出る話

地域移行・本人支援・地域生活支援 東京国際フォーラム

記念講演2「オランダにおける本人活動と地域生活支援」

(オランダ)オンダリングシュタルク(LFB)
所長  ウイリアム・ヴェステヴェル
北部地区所長 ヴィレム・クワッケル

ウイリアム  皆様、ようこそ私たちの講演においでいただきました。ありがとうございます。私の名前はウイリアム・ヴェステヴェル、LFBの所長です。そして隣にいるのがサンタクロース…ではなくて、ヴィレム・クワッケル、LFBの北部地区所長です。

それでは、LFBについてご紹介いたします。

私たちの組織は、知的障害者のための知的障害者による全国組織です。ちょっとほかの講演とは違っていまして、私とともにこの壇上にいますヴィレム・クワッケルは英語は話せませんので、通常は彼のコーチがやってくれますが、今日は私が彼の言葉を英語にして、その英語になったものを通訳が訳すという形で行わせていただきます。

私たちの組織の成り立ちについて簡単に説明いたします。

1985年、最初のピープル・ファースト・グループ「共に強くなろう」ができました。私もこのピープル・ファースト運動にかかわった1人で、立ち上げを手伝いました。1995年、私たちは独立した団体になりたいということで独立し、全国をカバーする全国組織となりました。2000年には、地方事務所をオープンさせました。そしてさらに広い範囲で展開を続けています。私たちの組織は、非常にユニークな組織形態を持っています。親の会とか、あるいはそのほかの団体とは全く異なる独立した組織で、障害者自身がコーチなどの支援を得て、本人たちだけで運営している組織です。2003年には県の事務所も開設しました。2005年の今年は10周年を迎えています。

本部には、サービス事務所があります。そこで仕事をしているのは本人たちです。そして、その本人たちからいろいろ学んでいる人たちがいます。私たちは、仲間や社会を育成・開発する機関でありたいと思っています。いろいろな組織と協力をしながら人を育てるということをやっていますし、政策提言や政治についても発言をしていく活動を行っています。

私たちの組織構成は少し複雑です。本部の中枢機関としてサービス事務所を置いています。私はそこの責任者として仕事をしています。四つの地方事務所があって、今、私の右側に座っているヴィレムさんが地方事務所の一つで仕事をしています。その下に12の県単位の事務所があります。それから40のピープル・ファースト・グループ「共に強くなろう」があります。各組織には、監査、理事も置いています。

今度はヴィレムさんが、自分の地方事務所で何をやっているかを説明してくれますので、彼が言うことを私が英語に訳します。

ヴィレム  では、地方事務所の活動を紹介します。テーマカフェを組織をつくってやっています。私たちは、地方事務所の下部組織である県の事務所の開発と発展のための支援をしています。県の事務所に出かけ、当局に情報提供をしたり、意見交換をしたりします。介護支援者、ケアの提供者との連絡・調整も行います。県当局者との連絡も行います。地方事務所相互の連絡・調整も行います。 

ピープル・ファースト・グループ「共に強くなろう」の中で、自己主張し、自分自身を強くするために具体的な取り組みを行っています。いろいろな社会的な接触、何を変えたらいいのかということについての話し合いもします。何をやりたいかということについての話もします。親からは独立した形でやっています。あるいは施設からは独立した形で、介護者からは独立した形でやっています。

テーマカフェでやっているのは、「人と一緒に」いられるようにするための取り組みです。

ウイリアム  ネットワークは非常に大事です。いろいろな省庁とやりとりをします。そのために、関係諸団体と一緒に活動することがあります。そのうちの一つが、「Mee(メイ)」というものです。四つのLFBの地方事務所と一緒に活動します。それから脱施設化を進めていきたい施設や介護者たちとも協力し合ってやっていきます。

LFBには、40のピープル・ファースト・グループ「共に強くなろう」があります。理事会の中でいろいろな組織の状況について話し合いをします。地方事務所からのメンバーの代表が4人、理事会に参加しています。それから1人の独立した議長がいます。組織活動の運営を任せられている事務所の代表である私もこの理事会に参加しています。理事会は、サービス事務所、地方事務所を監視し、支援も行います。

さて地域生活のためのアドバイスということでお話ししますとまず、学校の場において障害を持つ人たちも新しい友人に出会うことができます。仕事という面では、知的障害を持つ人たちが雇われることによって、社会の中でのインテグレーションが可能になります。そして一番大事なことは、友人を見つけ、サポートを見つけ、そしてあなたが一緒に仕事をしたいと考えるスタッフを見つけて、自分がやりたいという仕事をやっていく。そして支援が必要なときには求めていくということです。

また、本人の周りの人たちへのアドバイスとしては、親や介護の支援者、提供者は、その本人の資質というものをもっとよく見るべきです。そして本人の希望や願いにしっかり耳を傾けるべきです。そしてその夢がかなうように一緒に進んでいくのが良いと思います。

また知的障害の人たちは、普通の学校の環境の中でこそよりよく成長・発達・自己実現を遂げることができます。また知的障害者の人たちが、お互いに会うことのできる場が必要です。おしゃべりをしたり、ダンスをしたり、ゲームをしたり、そして楽しいときを過ごすことができるそういう場が必要だと思います。

 ありがとうございました。(拍手)